中小企業の退職金の平均はいくら?大企業や公務員との差をデータで比較

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この記事のまとめ

  • 中小企業の退職金制度の導入率は業界によって異なる
  • 退職金の相場は会社を辞める理由や学歴によって差が生じる
  • 大企業や公務員と比べた場合、中小企業の退職金は少なめな傾向がある
  • 自社での積立が厳しい企業では、中小企業退職金共済制度を利用していることが多い
  • 退職金が支給されるまでは、会社を辞めてから1~6ヶ月程度かかるのが一般的

「中小企業だと退職金はいくらもらえる?」と疑問に思う人もいるでしょう。退職金制度は法律による定めなどはないため、支給されるかどうかは企業によって異なります。勤め先の企業で退職金制度を導入しているか気になる場合は、就業規則などを確認してみましょう。このコラムでは、中小企業の退職金制度の導入率や金額の相場をデータを用いて解説。また、大企業や公務員との金額の差についても比較しています。

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中小企業の退職金制度の導入率は?

中小企業が退職金を導入している割合はどのくらいなのでしょうか。東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情 令和4年版(31p)」によると、従業員数が10~299人である東京都内の中小企業1,012社のうち、退職金制度を導入しているのは724社(全体の71.5%)です。さらに、同サイトの「第7表-① 退職金制度」をもとに、退職金制度を導入している企業を産業別に以下の表でまとめています。

 集計企業数退職金制度あり導入率
建設業85社74社87.1%
製造業274社242社88.3%
情報通信業50社32社64.0%
運輸業,郵便業55社33社60.0%
卸売業,小売業195社127社65.1%
金融業,保険業43社33社76.7%
不動産業,物品賃貸業30社21社70.0%
学術研究,専門、技術サービス業58社40社69.0%
宿泊業,飲食サービス業49社17社34.7%
生活関連サービス業,娯楽業33社20社60.6%
教育,学習支援業(学校教育を除く)32社18社56.3%
医療,福祉43社19社44.2%
サービス業(他に分類されないもの)65社48社73.8%

引用:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情 令和4年版(113p)

上記のデータをみると、退職金制度を導入している会社が多いのは建設業と製造業。この2業界は8割以上の会社が退職金を支給しています。反対に、宿泊業・飲食サービス業や医療・福祉業は、退職金制度の導入社数が全体の半分以下です。そのほかの業界の導入率は60%~70%程度であることが分かります。

退職金制度がないのは違法?

退職金制度は法的に義務付けられていないため、導入するかどうかは企業の判断によります。上記のデータ結果から、中小企業の3割弱は退職金制度を導入していないといえるでしょう。退職金を求めるのであれば、就職先を決める際に制度の有無を確認しておくことが大切です。現在勤めている会社の退職金制度について調べたい場合は、企業の就業規則や賃金規則などで確認してみると良いでしょう。

参照元
東京産業労働局
中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)

中小企業の退職金の相場

「中小企業の退職金相場はどのくらい?」と疑問に思う方もいるでしょう。東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情 令和4年版(34p)」によると、学歴別の退職金モデルは以下のとおりです。

学歴勤続年数自己都合退職会社都合退職
高校卒10年907,000円1,223,000円
15年1,705,000円2,148,000円
20年2,729,000円3,284,000円
高専・短大卒10年987,000円1,269,000円
15年1,837,000円2,274,000円
20年2,924,000円3,465,000円
大学卒10年1,121,000円1,498,000円
15年2,129,000円2,658,000円
20年3,431,000円4,147,000円

引用:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情 令和4年版(34p)

上記のデータをみると、学歴が上がるほど退職金の相場も高くなることが分かります。また、「自己都合」と「会社都合」のどちらの理由になるかで金額に差が出ることも読み取れるでしょう。

参照元
東京産業労働局
中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)

中小企業の退職金は大企業や公務員と比べてどのくらい?

中小企業の退職金の金額は、大企業や公務員と比べてどのくらいの差があるのでしょうか。以下では、東京産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)(34p)」のデータをもとに「大卒の方が自己都合で会社を辞めた場合の金額」を大企業や公務員と比較。なお、大企業については「令和5年退職金、年金及び定年制事情調査 表番号13-2」の総合職のデータを参考にし、公務員は「国家公務員退職手当実態調査(令和4年度)」のデータを参考にしています。

勤続10年(公務員は10年~14年の結果)

大企業…1,828,000円
中小企業…1,121,000円
公務員…2,769,000円

勤続15年(公務員は15年~19年の結果)

大企業…4,027,000円
中小企業…2,129,000円
公務員…5,255,000円

勤続20年(公務員は20年~24年の結果)

大企業…7,619,000円
中小企業…3,431,000円
公務員…9,328,000円

上記のデータをみると、金額がもっとも少ないのは中小企業、もっとも高いのは公務員です。また、中小企業の場合は大企業や公務員と比べて、長く勤めても退職金が大幅にアップする可能性は低いといえます。ただし、上記のデータはあくまで一般的な水準をまとめたもの。実際は勤め先の企業や個々の成績などで金額が変わる可能性もあるので、参考程度に留めておくと良いでしょう。

参照元
東京産業労働局
中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)
e-Stat 政府統計の総合窓口
令和5年賃金事情等総合調査
国家公務員退職手当実態調査(令和4年度)

退職金制度の種類

退職金制度の給付方法は以下の2種類に大別されます。

退職一時金制度

退職する際に一括で支給するタイプ。一般的に、退職金とはこの給付方法を示すことが多いようです。

退職年金(企業年金)制度

退職後、長期間に渡って徐々に退職金を支払っていくタイプです。企業は生命保険会社などの外部機関を利用しながら、退職年金を積み立てていきます。

中小企業退職金共済制度

退職一時金や退職年金と異なり、企業ではなく加入先の共済が退職金の積立・支払いをする制度です。自社での積立が厳しい企業ではこの制度を利用していることが多い傾向にあります。中小企業退職金共済制度は国が運営する制度です。個人ごとに掛け金を選ぶことができ、長く加入するほど利息が付いて金額が増える特徴があります。中小企業退職金共済制度については、「退職金は何年目から出る?基礎知識や計算方法を解説!」のコラムもあわせて参考にしてください。

なお、上記のどの制度を導入しているかは企業によって異なります。東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情 令和4年版(31p)」にて「退職金を導入している」と解答した724社の内訳は以下のとおりです。

退職一時金のみ525社72.5%
退職一時金と退職年金の併用164社22.7%
退職年金のみ35社4.8%

引用:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情 令和4年版(31p)

上記のデータをみると、中小企業では退職一時金を採用している割合が多いことが分かります。

参照元
東京産業労働局
中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)

退職金をもらえるタイミングは?

退職金の支給日は、退職金制度の導入と同じく法律による定めがないため、企業によって異なるのが現状です。一般的には、退職後1~6ヶ月の間に支給される傾向があります。ただし、場合によっては1年後など、支払いまで長期に渡ることもあるようです。退職金の支給においては、企業の経理や労務の担当が金額を算出したり書類作成したりする必要があるため、入金の準備にある程度時間を要します。共済制度を利用している企業では、さらに時間がかかるでしょう。支給日の目安が気になる場合は、退職前に前もって確認しておくことをおすすめします。

退職金が支払われないときは請求をしよう

制度を導入しているにもかかわらず、退職金が支給されない場合は違法にあたります。「一定期間待っても退職金が支払われない」「確認した支給日に入金がない」といった際には、担当者に問い合わせて請求しましょう。労働基準法 第23条によると、権利者より賃金の請求があった場合は、7日以内に支給するように法律で定められています。もし、7日過ぎても支給されないときは、労働基準監督署に相談してみましょう。労働基準監督署への相談方法については「労働基準監督署に相談できる内容は?方法は電話やメール?」のコラムでまとめているので、必要な場合は参考にしてください。

参照元
e-Gov法令検索
昭和二十二年法律第四十九号「労働基準法」

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