上司のパワハラはまず相談!職場での対処法やハラスメントの種類を解説

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この記事のまとめ

  • パワハラは、年齢や上下関係に関わらず起こりうるハラスメント行為
  • 上司からのパワハラの場合は社内で相談しづらく、泣き寝入りしまうことが多い
  • 6類型に分かれたパワハラタイプによって被害の程度が異なる
  • 上司からパワハラを受けた場合、まずは周囲に相談することが一番の解決方法
  • 上司によるパワハラがなくならない場合、社内の相談窓口や弁護士を利用するのも手

上司からのパワハラに悩んでいる方は、まず周囲に相談しましょう。パワハラは上下関係問わず起こり得ます。しかし上司からのパワハラは打ち明けづらく、泣き寝入りしてしまう人が多いようです。社内でパワハラを相談しづらければ、社外の相談機関や弁護士に相談するのも手。このコラムでは、パワハラの定義や対処法をご紹介します。現在上司からパワハラを受けている方は、ぜひコラムを参考に、周囲や相談機関を頼りましょう。




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パワハラとは

厚生労働省によると、パワハラの定義とは「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」をいいます。


パワハラって具体的にどんなこと?

パワハラは主に上司が地位や権力を振りかざすことが多く、仕事のみならず、さらに一歩踏み込んだプライベート面にも及ぶことがあるようです。以下のような行動はすべてパワハラに含まれます。


・権力を使って部下の評価をわざと下げる
・暴力的な言葉をぶつける
・容姿に文句をつける
・難しい仕事を無理やり押しつける


パワハラは年齢・上下関係問わない

パワハラは、上司が部下にすることが多いですが、逆も存在するといわれています。知識や経験の差を逆手に取り、同僚・部下からハラスメントを受ける場合もあるようです。年齢や上下関係問わず、自分の立場を利用して嫌がらせをすること自体がパワハラになると考えて良いでしょう。


事例からみるパワハラの定義

下記は、厚生労働省「パワーハラスメントの定義について」から引用した、裁判例からみたパワハラの定義です。実例をふまえ分かりやすく定義しているので、ご参考にしてください。


S事件(鳥取地判 平20・3・31)D1-Law.com判例体系

「全体として、原告の勤務先ないし出向先であることや、その人事担当者であるという優越的地位に乗じて、原告 を心理的に追い詰め、長年の勤務先である被告会社の従業員としての地位を根本的に脅かすべき嫌がらせ(い わゆるパワーハラスメント)を構成する。」


K事件(東京地判平21・10・15)労判999号54頁/S事件(東京地判平20・10・21)労経速2029号11頁

「パワーハラスメント(組織・上司が職務権限を使って、職務とは関係ない事項あるいは職務上であっても適正 な範囲を超えて、部下に対し、有形無形に継続的な圧力を加え、受ける側がそれを精神的負担と感じたときに成 立するものをいう、と一応定義する。以下「パワハラ」という。」
※ 両方の事件において同じ定義が示されています。


F事件(大阪地判平24・3・30)判タ1379号167頁

「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を 超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為などと定義される 」


U事件(東京地判平24・3・9) 労判1050号68頁

「世上一般にいわれるパワーハラスメントは極めて抽象的な概念で、内包外延とも明確ではない。そうだとすると パワーハラスメントといわれるものが不法行為を構成するためには、質的にも量的にも一定の違法性を具備して いることが必要である。したがって、パワーハラスメントを行った者とされた者の人間関係、当該行為の動機・目的、 時間・場所、態様等を総合考慮の上、『企業組織もしくは職務上の指揮命令関係にある上司等が、職務を遂行す る過程において、部下に対して、職務上の地位・権限を逸脱・濫用し、社会通念に照らし客観的な見地からみて、 通常人が許容し得る範囲を著しく超えるような有形・無形の圧力を加える行為』をしたと評価される場合に限り、被 害者の人格権を侵害するものとして民法709条所定の不法行為を構成するものと解するのが相当である」


参照元:厚生労働省-パワーハラスメントの定義について



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パワハラの主な6種類

パワハラには、主に以下の6つのタイプがあります。


1.暴力的な行為を行う「身体的攻撃型」

身体的攻撃型は、目に見えて分かりやすいパワハラで「殴る」「蹴る」「手を振り上げて脅す」「胸ぐらを掴む」「物にあたり威嚇」などの、暴力や傷害行為をいいます。


2.精神的に追いつめる「精神的攻撃型」

精神的攻撃型は、いわゆる「言葉の暴力」です。罵声を浴びせたり、侮辱したりして、相手に精神的なダメージを与えます。そのほか、「仕事が終わるまで帰るな」と脅すことや、人前で相手をバカにすることもこの精神的攻撃型にあたるでしょう。


3.一人だけ違う行動を取らされる「人間関係切り離し型」

人間関係からの切り離し型では、社内での仲間はずれや無視、特定の相手にだけ仕事を教えない、会社の連絡事項を伝えないなどが当てはまり、陰湿性の高い行為といえます。


4.仕事を押し付けられる「過大な要求型」

過大な要求型は、実現不可能なノルマを与えたり、終わるはずのない仕事量をあえて任せる行為です。


5.仕事内容を制限される「過小な要求型」

過小な要求型は、先述した「過大な要求型」とは反対に、コピー取りや掃除、雑用などしか仕事を与えない行為です。仕事を与えない、プロジェクトに参加させてくれないなども過小な要求型に当てはまり、受けた本人が精神的なダメージを受けているならパワハラとみなされる場合が多いでしょう。


6.プライベートのことに口出しされる「個の侵害型」

個の侵害型は、プライベートを深堀りしたり、仕事後に個別でメール・LINEを送ったりすることを指し、相手が不快に感じる場合パワハラにあてはまります。


種類によって受ける被害や精神的ダメージの程度は違いますが、どのタイプも立派なパワハラ行為です。自分が相手の理不尽な行為で不快感や精神的・身体的なダメージを追った場合、「パワハラかもしれない」と考えて良いでしょう。



上司の行動を振り返ろう!パワハラの特徴5選

この章では、具体的なパワハラの特徴を知り、上司の行動がパワハラなのかどうか紐解いていきましょう。


1.地位・優位性を利用した言動

お伝えしたとおり、パワハラは職場上の権力・地位を利用した嫌がらせを指します。発言力の高い上司からの有無をいわさぬ要求や人前での侮辱を受けた場合、パワハラである可能性が高いです。


2.業務範囲を超えた指示や強要

従来の業務範囲を超えた指示や強要は、「パワハラ」とみなされます。たとえば、仕事とは関係のない個人的な命令や、謝罪に土下座を強要するなどがあてはまるでしょう。


3.人格否定や尊厳を侵害する行為

相手の自覚を否定したり、尊厳を侵害する行為はパワハラにあたります。たとえばミスをした部下に対し「だからお前はだめなんだ」「使いない奴」などの侮辱もパワハラです。先述した「精神的攻撃型」のパワハラや、「人間関係切り離し型」がこれにあてはまるでしょう。


4.嫌がらせが断続的に続く

相手への嫌がらせが一定期間断続的に行われている場合、常態化したパワハラだと考えて良いでしょう。ただし、それが一時的な行為である場合、パワハラだと判断されないことが多いです。


5.精神的・身体的な苦痛を与える

パワハラは、精神的または身体的に相手に苦痛を与える行為です。自身のミスにより先方に迷惑をかけたり、怠慢や失敗を繰り返したりした際上司から叱責されることは、パワハラとはいえない場合が多いです。ただし、パワハラの線引きは難しいもの。上司の言動に深く傷つき業務がままならない状況になってしまった場合、「パワハラを受けている」と考えて問題ないでしょう。


上司にパワハラをやめてもらうには?

ここでは、上司にパワハラをやめてもらうための対処法をご紹介します。現在パワハラに悩んでいる方は、やりやすい手段を選び、すぐにでも実行しましょう。


まずは周囲に相談する

対処法で一番おすすめだとされている方法は「相談」です。「相談相手は誰が適任なんだろう…」と悩んでしまいがちですが、周りの同僚や先輩など、同じ被害にあっていそうな人を選ぶのもよいでしょう。同じ悩みを共有できる同士を一人でも多く作ることで、パワハラに対する行動を起こしやすくなるようです。


上司の上司に相談する

パワハラをしている「上司の上司」に相談するのも有効的です。上の立場の人であれば、何かしらの対処をしてくれる可能性があります。しかし、上司を擁護する場合も考えられるため、相談するときには動かぬ証拠を準備しておくとよいでしょう。たとえば、どんな言葉を浴びせられたのか、どんな態度をとられているのか、日付や時間まで事細かに記録した証拠を用意しておきます。もし、パワハラ被害にあっている最中に同席している人がいた場合は、その人からの証言ももらっておくと良いでしょう。


社内の相談窓口に相談する

多くの企業では、社内に「コンプライアンス窓口」や「ハラスメント窓口」などが設置されています。社内の相談窓口であれば、部署内では言いづらいことも打ち明けられるはずです。


パワハラの相談機関に頼る

社内窓口対応されない、窓口が存在していないという場合は、社外の相談窓口に頼りましょう。厚生労働省が解説している「総合労働相談センター」は各都道府県にあるので通いやすいです。相談センターでは、パワハラのほかに、雇い止めや職場内のいじめ、嫌がらせなど数多くの労働問題を撮り使っており、プライバシーの保護も万全。電話・面談から相談方法が選択できるので、社外の第三者に相談したい場合、相談センターを利用するのがおすすめです。


弁護士に相談する

パワハラ行為を行う上司を訴えたい、慰謝料を請求したいという場合、まずは弁護士に相談しましょう。パワハラの慰謝料請求は、基本的に「損害賠償請求」になるため、弁護士の力が必要です。また、パワハラの停止要求を文書等で申し入れたり、パワハラをした上司や会社と交渉したりする場合も、弁護士に頼り後ろ盾になってもらうことで精神的な負担を軽減できます。


法的手続きで上司に会社を辞めてもらう場合は…

会社が上司のパワハラを認識したあとも問題が解決されない場合は、具体的なパワハラの事実・証拠を示して法的手続に臨むことも考えましょう。まずは自分が受けたパワハラの加害者、日時、内容を事細かく記録し、客観的な証拠を用意します。メモやメール・LINE画面も証拠になりますが、改ざんできる可能性があるので、正確な情報だと判断されない恐れも。そのため、改ざんが難しい「音声データ」を証拠に示すのが効果的です。現在は、ICレコーダーを使わなくても、スマートフォンのボイスレコーダー機能で録音ができます。そのため、パワハラを受けている際は、なるべく上司の言葉を録音しておきましょう。


パワハラ以外に知っておきたい「ハラスメント」

パワハラ以外にも、「セクハラ」や「モラハラ」など、さまざまなハラスメントが存在します。ここでは、パワハラ以外の代表的なハラスメント事情をいくつかご紹介しましょう。


セクハラ

セクハラ、正式名称は「セクシャル・ハラスメント」。相手に性的な言葉や態度で不愉快な気持ちにさせる行為を指します。男女問わず、社内での性的な嫌がらせも後を絶たないようです。たとえば、いきなり身体に触れてきたり、性的な嫌がらせをしてきたり…。個人のプライベート事情に踏み込むのも立派なセクハラといえます。一般的には女性へのセクハラが多く見受けられますが、男性へのハラスメント行為もあるようです。男性に対するセクハラでは、露出度の高い服をわざと着る女性上司や彼女がいないことをからかうなどの行為があるとされています。


セクハラの二次被害「セカハラ」

セクハラ被害を相談したことで起こる二次的被害を「セカハラ」と呼んでいます。セカンド・ハラスメントは、被害を取り上げない、被害者に非があるなどの対応を会社側が行うことで生じる問題です。


モラハラ

パワハラと同じようなイメージのある「モラル・ハラスメント」。言葉や態度によって精神的なダメージを相手に与える行為のことを「モラハラ」といいます。たとえば、大勢の前で怒鳴ったり、罵倒したりして、精神的な苦痛を与える行為をすることです。また、話しかけてきた人を無視する、陰湿な嫌がらせをする、仕事を制限させるといった行動もモラハラの特徴。精神をむしばむハラスメントの一つであり、想像以上に相手に苦痛を与えかねない行為であるとも言われています。


マタハラ

妊娠や出産を控えている人に対して行われる「マタニティ・ハラスメント」。マタハラは、妊娠・出産をしている人に解雇を命じたり、自主退社や部署異動を促したりするハラスメント行為です。妊娠している人に対して仕事をたくさん振る、心無い言葉を放つなどのマタハラも散見されます。


「パタハラ」も問題視されている

マタハラに似たようなハラスメント行為の一つに、「パタハラ」という問題もあります。パタニティハラスメントと呼ばれるもので、育児に積極的に参加している男性に対して使われる言葉です。男性が育児をすることをあまりよく思っていない会社や上司などから、育休を取ることを妨害されるといったハラスメント行為を受ける様を指しています。


アルハラ

飲み会の場で問題となっている「アルコール・ハラスメント」。多くの会社が行っている新年会や忘年会、歓迎会などの飲み会の場ですが、よくないお酒の飲ませ方をすることをアルハラと呼ぶようです。一歩間違えるとアルコール中毒症になりかねない危険な行為でもあります。アルハラの特徴は、飲酒を強要したり、一気飲みをさせたり、わざと酔い潰したりするなど。新入社員歓迎会などでは、お酒を飲み慣れていない入社したての部下に無理やり一気飲みをさせるといった行為をする上司もいるようです。急性アルコール中毒で死亡したケースもあるため、社会問題化しているハラスメント行為でもあります。


スメハラ

体臭や柔軟剤のニオイによるハラスメント行為である「スメル・ハラスメント」。特に、ワキガや口臭のニオイは周りに気づかれやすいものです。しかし、当の本人は気づいていないことも多く、言い出しづらい雰囲気があるのも問題が深刻化する原因の一つ。人を不快にさせてしまうニオイは、30~40代頃から意識しはじめておくと良いとされています。家族や友人といった社外の人に体臭チェックをしてもらうなど、配慮が必要な時代になりつつあるようです。


ソーハラ

SNSなどを使って精神的な嫌がらせを行う「ソーシャル・ハラスメント」。舞台は主にFacebookやLINE上で起きているといわれています。Facebookでは、友達承認を強要したり、職場の人のプライベートにまでズカズカと入り込んでコメントを残したりといった行為が目立つようです。LINEの使用方法でも問題を生じる場合があります。社内連絡でLINEを使っている会社では、グループで会話した内容を元に会議を進めるといったケースも。
協力的ではない部下をグループから弾くこともあり、SNSの使い方自体が問題視されています。


その他ハラスメント

上記で紹介した以外にも、非常に多くのハラスメントが存在しています。


・ジェンダーハラスメント(男、女らしさを求める行為)
・エイジハラスメント(年上の上司に対してバカにした態度を取ること)
・レイシャルハラスメント(人種差別問題)
・マリッジハラスメント(結婚の話に故意に触れる、独身者をからかう行為)
・ラブハラスメント(恋愛経験の少ない人に話しを振る、自分の恋愛観を無理やり聞かせる)
・パーソナルハラスメント(いじめに似た行為)
・カラオケハラスメント(無理やりカラオケに連れて行き、歌を強要する)
・エアコンハラスメント(男女間で感じる温度差によるエアコン問題)
・スモークハラスメント(喫煙に関する嫌がらせ行為)
・ブラッドタイプハラスメント(血液型で人格を決めつける)


このように、社会には、あらゆるハラスメント行為があふれています。人を傷つけない行動や言葉に気をつけ、ハラスメントする側にならないように個人で注意する必要があるでしょう。


また、受けたハラスメント行為によって転職を考えている人も多いのではないでしょうか。
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