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パワハラの相談が無料でできる窓口はどこ?労働基準監督署についても解説
更新日
この記事のまとめ
- パワハラとは「職場での優位性」を理由に、従業員に精神的・肉体的な苦痛を与える行為
- パワハラの相談窓口には、会社内部の機関と外部の機関がある
- 「総合労働相談コーナー」や「法テラス」などでは、パワハラの相談が無料でできる
- 厚生労働省は、パワハラを6つの類型に分けて説明している
- パワハラの悩みは一人で抱えず、まずは会社の担当窓口へ相談してみよう
パワハラ問題に悩んでいるものの、「どこに相談すれば良いのか分からない…」と追い詰められている方もいるのではないでしょうか。問題を解決するためには、まず会社の相談窓口に相談することがおすすめ。このコラムでは、どのような行動がパワハラにあたるのか、基本的な知識を解説するとともに、無料で相談できる外部機関の窓口について紹介します。社内に相談しにくいときは、外部機関に頼ることも検討してみて下さい。
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パワハラの相談先は?
パワハラの相談窓口は、大きく内部と外部の機関に分かれます。職場でのパワハラをどこに相談すれば良いか悩んでいる場合、まずは会社の担当窓口に相談してみましょう。会社にそのような窓口がなかったり、会社全体でパワハラが横行していたりする場合は外部機関を利用してください。会社がある地域を管轄する労働局または労働基準監督署に行けば、総合労働相談コーナーで話を聞いてもらえるでしょう。なお、相談コーナーは電話での利用も受け付けています。相談するときは、パワハラだと感じた状況をなるべく具体的に説明しましょう。事前に、パワハラが起こった日付と相手、何を強要されたのかなど、事実関係をまとめたメモを作っておくのがおすすめです。
相談先や相談相手について詳しく知りたい方は「上司からのパワハラ対処法を紹介!特徴やハラスメントの種類も解説」もご覧ください。
そもそもパワハラとは
「パワハラ」とは、パワーハラスメントの略称で、「職場での優位性」を理由に、同じ職場で働く仲間に対して精神的・肉体的な苦痛を与える行為のことを指します。職場での優位性には、上司や先輩といった立場に限らず、知識・経験・人間関係など、さまざまな優位性が含まれるようです。そのため、同僚から同僚へ、部下から上司へのパワハラもあり得ます。適正な業務の指導範囲を超えた行為がパワハラの特徴であり、職場の環境や雰囲気を悪化させる要因となる恐れも。詳しくは、このコラムの「パワハラの6つの定義」をご参照ください。
パワハラの相談が無料でできる窓口
ここでは、パワハラの相談が無料でできる機関を内部・外部に分けて紹介します。
内部のパワハラ相談窓口
2020年6月1日に施行されたパワハラ防止法により、大企業には「パワハラ防止のための措置」が義務化されています。また、「2022年(令和4年)4月1日より、「パワーハラスメント防止措置」が中小企業の事業主にも義務化されます」によると、2022年4月1日より中小企業についても義務化が適用されたようです。そのため、現在多くの企業が、会社内に相談窓口を設置しています。相談窓口は、相談があった段階で発生している問題だけでなく、今後起こり得るパワハラについても広く対応する必要があるもの。相談窓口以外でも、直属の上司に相談できる状況なら直属の上司に、厳しければその上の上司や人事部に相談しても問題ありません。
参照元
厚生労働省
職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)
外部のパワハラ相談窓口
外部のパワハラ相談窓口
- 厚生労働省:総合労働相談コーナー
- 厚生労働省:ハラスメント悩み相談室
- 日本司法支援センター:法テラス
パワハラ問題について基本的に無料で相談できる3つの外部機関、「総合労働相談コーナー」「ハラスメント悩み相談室」「法テラス」について解説します。
1.厚生労働省:総合労働相談コーナー
全国の各自治体の労働局や労働基準監督署内に設置されている相談専用窓口で、パワハラ以外にも解雇や雇止め、賃金の引き下げ、いじめなど、さまざまな労働問題を相談できます。各都道府県の労働委員会、労働相談センターの労働相談窓口や法テラスなどと連携しているのが特徴です。労働者だけでなく事業主側からの相談も可能で、日本語以外での相談にも対応しているため、頼りになる存在といえるでしょう。
参照元
厚生労働省
総合労働相談コーナー
2.厚生労働省:ハラスメント悩み相談室
厚生労働省委託事業の一つで、職場におけるハラスメントについて無料で相談可能です。電話相談とメール相談が可能で、スマートフォンや携帯電話から利用できます。また、メール相談やSNS相談は24時間対応しているので、いつでも相談が可能です。パワハラだけでなく、各種ハラスメントの相談に応じているのがポイント。電話相談は土日も行っています。
参照元
厚生労働省
ハラスメント悩み相談室
3.日本司法支援センター:法テラス
日常生活の中で発生した法的トラブルについて相談できる窓口です。パワハラをはじめとする各種労働問題についても、法律面から問題解決に向けたアドバイスをしてもらえるでしょう。ただし、無料で利用するには「収入・資産などが一定以下である」といった条件があるので注意してください。弁護士に相談することになった場合、必要に応じて弁護士費用の立て替えも対応してもらえます。「法律家の話を聞いてみたいが、資金がない」という方は、ぜひ活用してみてください。
参照元
日本司法支援センター
法テラス
パワハラ問題は「匿名」での相談も可能?
「ハラスメント悩み相談室」では、匿名での相談も受け付けています。また、社内に設置された相談窓口が匿名で利用できるケースも。自分の身元を明かさず相談できることにより、窓口利用のハードルが下がり、問題の早期発見につながるようです。しかし、匿名で相談できる内容は限られる傾向があり、そのあとの具体的な対応も難しくなってしまうのも事実。匿名相談では問題の解決が難しい場合は、プライバシーが守られることを確認したうえで、名を明かした状態での相談も視野に入れましょう。パワハラが原因で退職を考えている方は、「パワハラが退職理由の場合は自己都合?会社都合になる根拠や手続きを解説!」も参考にしてみてください。
パワハラの相談をすべきか迷うときの判断基準
パワハラについてはどこまでが業務の適正範囲内かの判断が難しいこともあり、悩みの相談に迷う人もいるでしょう。厚生労働省の調査報告書によれば、企業の過去3年間におけるパワハラ相談件数の割合は以下のとおりでした。
過去3年間におけるパワハラ相談件数の傾向 | 割合 |
---|---|
相談件数が増加している | 9.2% |
相談があり、件数は変わらない | 14.7% |
相談件数は減少している | 9.9% |
相談はあるが、件数の増減は分からない | 14.4% |
相談はない | 47.9% |
相談の有無を把握していない | 3.9% |
引用:厚生労働省「令和2年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査 主要点(3p)」
半数近くの企業で過去3年間にパワハラの相談あり。一方で、同資料(11p)では、パワハラを受けた後の行動として「何もしなかった」という人の割合は35%を超えています。次項で厚生労働省が定義しているパワハラに該当する行為をまとめているので、自身の状況がパワハラにあたるのか判断できないと悩んでいる方は参考にしてみてください。
パワハラの6つの定義
パワハラの6つの定義
- 身体的な攻撃
- 精神的な攻撃
- 人間関係からの切り離し
- 過大な要求
- 過小な要求
- 個の侵害
厚生労働省では、「パワハラの定義」として「身体的な攻撃」「精神的な攻撃」「人間関係からの切り離し」「過大な要求」「過小な要求」「個の侵害」の6つの類型に分けて説明しています。具体例とあわせて確認していきましょう。
1.身体的な攻撃
「身体的な攻撃」とは、肉体的に苦痛を与えるような暴行行為を指します。具体的には、以下のような例が挙げられます。
- ・叩く、蹴るなどの暴力をふるう
- ・物を投げつける
実際に身体に攻撃が当たらなかったとしても、危害が加わる恐れがあった場合、間接的な暴力に該当する可能性があります。
2.精神的な攻撃
「精神的な攻撃」とは、脅迫や名誉を棄損するような発言などにより、精神的に苦痛を与える行為のことです。具体的には、以下のような例が挙げられます。
- ・部下や同僚たちの前で叱責する
- ・長時間にわたり執拗に叱責する
- ・「給料泥棒」など、侮辱的な言葉で罵る
労働者の人格を否定するような暴言などを日常的に繰り返し行っている場合、パワハラに該当する可能性はより高くなるようです。
3.人間関係からの切り離し
「人間関係からの切り離し」とは、特定の労働者一人を意図的に孤立させたり、ほかの従業員との交流を断たせたりすることです。具体的には、以下のような例が挙げられます。
- ・ほかの人から席を離す
- ・一人だけ別の部屋に移動させる
- ・送別会など会社の行事に呼ばない
- ・会社の連絡事項について教えない
- ・仕事を教えない
- ・無視する、仲間はずれにする
配転命令や強制的な自宅研修などにより、退職に追い込もうとする場合もあるようです。
4.過大な要求
「過大な要求」とは、特定の従業員に対してのみ周囲より高いノルマや課題を課したり、追行不可能な業務を強制する行為のことです。具体的には、以下のような例が挙げられます。
- ・到達不可能なノルマを長期にわたり課す
- ・新人に無理のある仕事量を押し付ける
明らかに必要のない業務を与え、通常業務の妨害を行うこともパワハラに含まれます。
5.過小な要求
「過小な要求」とは、能力や経験を考慮せず、客観的に見て軽い内容の業務ばかりを命じることです。具体的には、以下のような例が挙げられます。
- ・コピーや草むしりなどの単調な仕事だけを命じる
- ・掃除だけをやらせる
- ・仕事を与えない
嫌がらせを目的とし、仕事を与えなかったり、合理的な理由もなく降格や自宅待機を命じたりする行為もパワハラに該当するでしょう。
6.個の侵害
「個の侵害」とは、従業員の私生活や従業員の私生活やプライバシーに踏み込もうとする行為を指します。具体的には、以下のような例が挙げられます。
- ・従業員の家族や交際相手の悪口を言う
- ・仕事が終わったあともLINEなどで悪口を送る
- ・しつこくプライベートについて聞く
仕事に関係のない内容であったとしても、労働者の私的な部分に過剰に立ち入り、侵害するような行為はパワハラにあたる可能性が高いようです。
よくあるパワハラの具体例をまとめましたが、このほかにもパワハラに該当する事例はあります。「自分が受けているのがパワハラなのか、適正な指導なのか分からない…」という人は、会社の窓口や外部機関に相談し、客観的な意見やアドバイスを求めるのが良いでしょう。少しでも精神的・肉体的な苦痛を感じているのであれば、一人で抱え込まず誰かに話を聞いてもらうことが必要です。
パワハラについて相談したらどうなる?
パワハラについて相談窓口などに相談した場合、「パワハラの改善」「パワハラを行っていた従業員への処分」「慰謝料の獲得」「不当な降格や解雇の撤回」などが望めます。単に「話を聞いて欲しい」という人も、第三者に相談することで具体的にどう解決していきたいかが明確になる場合もあるでしょう。
参照元
厚生労働省
パワーハラスメントの定義について
職場のハラスメントに関する実態調査
パワハラの相談先で知られる労働基準監督署とは?
労働基準監督署とは、労働に関する規定を会社が守れているかどうかを監督する、厚生労働省の機関の一つです。パワハラの相談先として多くの方が思い浮かべる労働基準監督署には、「総合労働相談コーナー」が設置されています。
労働基準監督署の「総合労働相談コーナー」でできること
労働基準監督署の総合労働相談コーナーでは、言葉どおり労働に関する相談を受け付けています。ただし、行っているのはあくまでも「相談・助言」のみです。総合労働相談コーナーではパワハラを直接的に解決することはできず、解決方法の提言にとどまるため、注意しましょう。
相談をする際の流れとしては、まず「社内での解決ができないか」「パワハラの詳細な内容」などを確認されます。社内での解決が難しい場合は、第三者の介入が必要と判断し、労働局長による助言・指導や紛争調整委員会によるあっせん制度の案内を実施。会社側に労働基準法違反の可能性があれば、労働基準監督署への取次・申請方法の案内などを行います。
労基署への相談で解決できない場合は弁護士へ
先述のとおり、本人が「パワハラである」と感じていても、各種法律への違反が認められなければ、会社に対して直接働きかけることはできません。総合労働相談コーナーは、あくまでも相談者の話に耳を傾け、その内容から解決方法をアドバイスしてくれるところです。パワハラ問題が労働基準法に抵触している恐れがあれば、労働基準監督署に取り次ぎしてもらえる可能性もあるでしょう。しかし基本的には、問題に対して直接関わることはありません。パワハラ問題について、「慰謝料を請求したい」「ハラスメントをした相手の責任を追及したい」ということであれば、弁護士に相談するのがおすすめです。労働問題に強い弁護士を調べたり、このコラムの「パワハラの相談が無料でできる窓口」で紹介した法テラスも活用したりするのも良いでしょう。
パワハラに関する相談窓口はいくつかありますが、それぞれ異なる特徴を持っています。自分が相談相手に何を求めているのか明らかにしたうえで、相談先を決めましょう。とはいえ、「パワハラに悩んでいるものの、具体的にどうしたいのかはまだ分からない…」といったケースもあるはず。このような場合、まずは1度最寄りの相談窓口に相談してみましょう。相談するうちに自身の希望が明確になることも多く、その希望に応じて、適切な相談先を案内してもらえます。パワハラを解決する糸口として「同僚からのパワハラ解決方法!無視?訴える?助けたい場合の対策も解説」もおすすめです。
パワハラの具体的な相談や解決に向けたフロー
パワハラの具体的な相談や解決に向けたフロー
- パワハラの証拠をまとめる
- パワハラの被害を会社に相談・報告する
- 総合労働相談コーナーに相談する
パワハラを相談・解決したいと考えたら、まずは証拠を集めましょう。会社に相談して解決しなければ、外部機関を活用します。それでも解決に至らない場合の最終手段は、法的解決です。
1.パワハラの証拠をまとめる
パワハラについて相談や解決を考えたら、まずはパワハラに関する証拠を集めてください。罵倒や暴言、人間関係の切り離しなら音声を録音するのが有効でしょう。業務に関する内容で不当な扱いを受けている場合、業務指示のメールなどが証拠になります。業務日誌や同僚の証言、SNSの投稿なども証拠になる可能性があるので、集めておきましょう。
2.パワハラの被害を会社に相談・報告する
証拠とともに、社内の報告窓口や上司にパワハラの被害を報告しましょう。社内相談は総合労働相談コーナーに提出する証拠にもなり得るので、面談の日付や内容もしっかり控えておくのがポイント。「違法にあたるパワハラ」「会社が解決措置を取らない」といった場合の法的根拠になります。
3.総合労働相談コーナーに相談する
社内の相談窓口や上司に相談しても対応してもらえなかったり、解決に至らなかったりした場合、総合労働相談コーナーなどといった外部機関に相談しましょう。詳しくは、このコラムの「外部のパワハラ相談窓口」を参考にしてください。
パワハラについて訴訟を起こすかは慎重に判断しよう
話し合いなどで解決に至らなければ、裁判を起こすことも可能です。ただし、裁判を起こせば費用がかかります。勝訴したとしても、慰謝料より弁護士費用や裁判費用のほうが高くなることもあるようです。時間も費用もかかるため、訴訟するかどうかは慎重に検討しましょう。
パワハラ相談をしても解決が難しいなら転職も考えよう
今の職場でパワハラを解決するのが難しいと感じたら、転職を考えるのがおすすめ。パワハラが起こる職場は風通しが悪く、良い環境ではないことが多いでしょう。自分に合った職場を見つけるなら、若年層の就職・転職支援に特化したハタラクティブにご相談ください。
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