- フリーター就職支援「ハタラクティブ」TOP
- お役立ち記事TOP
- 年俸制は残業代が出ない?注意が必要なケースを解説
年俸制は残業代が出ない?注意が必要なケースを解説
更新日
この記事のまとめ
- 年俸制は給与額が1年単位で決定される給与形態で、一般的に12分割で支払われる
- 年俸制は1年間の収入を把握できるメリットがあるが、不安定というデメリットもある
- 年俸制でも、残業代は労働基準法37条により基本的に支払われることになっている
- 年俸制の管理職も、労働基準法上の管理監督者に該当しなければ残業代は支払われる
- 年俸制の残業代は労働契約の条件によっては支払われないケースもあるため、注意しよう
「年俸制だと残業代は支払われないの?」「そもそもどういう制度なの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。年俸制は、給与額が1年単位で決定される給与形態のことです。年俸制でも残業代は基本的に支払われます。しかし、契約内容によっては支払われないケースもあるため、注意が必要です。このコラムでは、年俸制と残業代の関係をご紹介。残業代が支払われないケースについても解説していきます。
年俸制とは?
「年俸制」とは、給与額が1年単位で決定される給与形態のことを指します。事前に1年間の給与が確定しており、それを12分割して支給されることが一般的です。ボーナス月に多めに支給されるよう、分割額が調整されている会社もあります。
また、年俸制の場合、仕事の成果で直近の給与が変動することはありません。基本的に前年度の成績をもとに、上司と話し合って年俸額が決まります。
年俸制のメリットとデメリット
応募したい企業が年俸制を導入していた場合、応募前にきちんと判断するためにも、年俸制のメリット・デメリットを理解しておきましょう。
メリット
年俸制の場合、1年間に入ってくる額が分かっているので、短期間のローンが組みやすいという点がメリットです。また、年俸額を決定するために、目標設定や達成について上司と部下が話し合う機会を持てることも特長です。企業が社員に対する期待度を反映させ、給与をアップしてくれるケースもあるようです。
デメリット
通常の年功序列型賃金では収入が上がっていくことが一般的ですが、年俸制は成果が出せなかった場合、翌年分の給与が下がります。収入が不安定になる恐れがあることから、長期的な収入の見通しが立ちづらいことが年俸制のデメリットです。
年俸制は、「成果主義の方がモチベーションが上がる」という人にフィットした給与形態です。固定給(月給制)+歩合給と少し似た性質ですが、評価スパンが年単位と長めな分、業務目標も余裕を持って軌道修正できる良さもあります。給与形態は自分が業務に対するモチベーションを保てるかを決める大事な要素の1つです。メリットとデメリット、それぞれを知った上で応募を決めましょう。
年俸制のメリットやデメリットは、「年俸制のメリットやデメリットとは?気をつけるべきポイントを解説」のコラムでも解説しています。ぜひこちらもご覧ください。
年俸制と残業代の関係
ここでは、年俸制と残業代の関係について、労働契約の内容にも触れながら解説します。
年俸制でも残業代は支払われる
「年俸制だと残業代が出ない」という誤った認識を持っている方は少なくないでしょうか。その原因の1つが、プロスポーツ選手の年俸制と混同していることです。プロスポーツ選手は所属チーム側と個人事業主として請負契約をしているため、労働契約とは性質が異なります。労働契約での年俸制は、他の給与形態と同様に労働基準法の適用範囲内です。したがって、「労働基準法37条」により、年俸制でも時間外労働があった場合は残業代を支払うことが義務付けられています。
参照元
e-GOV法令検索
昭和二十二年法律第四十九号「労働基準法」
年俸制の残業代は「管理職」も支払われる
「年俸制の管理職には残業代の支払いが適用されない」という誤った認識を持った企業も一部存在しているようです。その原因としては、労働基準法上の「管理監督者」と会社における「管理職」の混同が挙げられます。労働基準法で「管理監督者」は労働時間・休憩・休日の規定は適用されず、残業代の支払いは必要ないとされています。これを受けて、年俸制の「管理職」にも「残業代の支払いが適用されない」と考える企業もあるようですが、厚生労働省の「労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために」によると、「管理監督者」には以下の適用条件があります。
「管理監督者」の適用条件
- ・労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容、責任と権限を有していること
- ・現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないようなものであること
- ・賃金等について、その地位にふさわしい待遇がなされていること
さらに上記に加えて、「管理監督者」は「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者」とされているため、一般的な課長や部長などの役職名だけでは「管理監督者」の適用はされません。そのため、年俸制の管理職にも残業代の支払いは適用されます。
特に、「管理職(役職者)のみに年俸制を適用している」という企業の中には、前述した「年俸制だと残業代が出ない」という誤った認識に加えて、「管理監督者」の適用基準を拡大解釈し、残業代を支払っていないところもあるようです。年俸制の企業に応募する際は、残業代の支払い有無を事前に確認すると良いでしょう。
「管理監督者」と「管理職」の違いや、混同されることの問題点については、「名ばかり管理職とは?管理監督者との違いや問題点について解説!」のコラムでも詳しく解説しています。こちらもぜひチェックしてみてください。
参照元
厚生労働省
労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために(パンフレット)
年俸制で残業代が出ないケース
前述でも解説したとおり、年俸制であっても残業代の支払い義務が企業側に発生します。しかし、以下のような条件で労働契約を結んだ場合は残業代が支払われないこともあるのでチェックしておきましょう。
- ・労働基準法上の「管理監督者」の条件に該当する
- ・裁量労働制などで労働時間が一定とされている
- ・みなし残業代が含まれた内容で労働契約を結んでいる
上記以外にも、「管理監督者」の職務内容が適用条件に当てはまる場合は残業代が支給されません。また、裁量労働制やみなし残業代を含む形で労使協定を結んでいる年俸制で、定められた範囲内の時間分の残業代は支給の対象外です。よって、決められた範囲を超えた残業に対しては、労働基準法で定められた残業代が支払われることになっています。もし上記のような労働契約を結ぶ場合は、何時間分の残業代が給与に含まれているのか、事前に確認しておきましょう。
年俸制のみなし残業についてさらに詳しく知りたい方は、「みなし残業の上限は何時間?年俸制の場合は?違法残業の見分け方や対処法も」のコラムも参考にしてみてください。
1人で契約内容を確認することに不安を感じる方は、ハタラクティブを活用してみませんか。ハタラクティブは、学歴や職歴を問わずご利用いただける就職支援サービスです。求職者と企業の仲介に入り、直接聞きづらいような質問など、必要な企業とのやりとりをすべて代行します。さらに、仕事選びから面接対策、内定後のフォローまでサポート。サービスはすべて無料です。「まずは相談だけしてみたい」という方も、お気軽にお問合せください。
- 経歴に不安はあるものの、希望条件も妥協したくない方
- 自分に合った仕事がわからず、どんな会社を選べばいいか迷っている方
- 自分で応募しても、書類選考や面接がうまくいかない方
ハタラクティブは、主にフリーター、大学中退、既卒、そして第二新卒の方を対象にした就職・転職サービスです。
2012年の設立以来、18万人以上(※)の就職・転職をご支援してまいりました。経歴や学歴が重視されがちな仕事探しのなかで、ハタラクティブは未経験者向けの仕事探しを専門にサポートしています。
経歴不問・未経験歓迎の求人を豊富に取り揃え、企業ごとに面接対策を実施しているため、選考過程も安心です。
※2023年12月~2024年1月時点のカウンセリング実施数
一人ひとりの経験、スキル、能力などの違いを理解した上でサポートすることを心がけています!
京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。