給料未払いで生活できない!賃金の請求方法や応じないときの相談先を解説

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この記事のまとめ

  • 給料未払いで従業員が生活できない事態を招く企業は、支払い義務違反に該当する
  • 給料未払いで従業員が生活できないほどの事態に陥るのは、企業の経営不振などが原因
  • 個人で対応しても給料が支払われない場合は、労働基準監督署や弁護士に相談しよう
  • 会社がすでに倒産している場合も、未払い給料の一部を受け取れる可能性がある
  • 給料が未払いで生活できない状態になる前に、専門機関への相談や転職を検討しよう

給料が未払いで「生活できないのでは…」と危機感を覚えている方もいるでしょう。どんな事情であれ給料の未払いは違法なので、早めに対処する必要があります。このコラムでは、給料に関する基礎知識と未払い時の解決方法を詳しく解説。弁護士に相談するタイミングや、労働基準監督署の立替制度についても説明します。未払いが一定期間続く場合は、泣き寝入りせずに必要な証拠を集め、賃金の支払い請求を行いましょう。

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給料の未払いは違法!生活できないと諦めず請求しよう

企業が給料を支払わない理由はさまざまですが、どのような事情があったとしても、給料の未払いは違法です。給料に対する支払い義務と請求の可否について詳しく解説します。

給料の支払い義務に従わない場合は罰金の対象

雇用主は労働者に対して、賃金を支払うことが義務付けられています。労働基準法第24条には「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」「賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない」と定められており、給料の未払いは違法です。従わなかった場合、労働基準法第120条第1項に基づいて企業側に30万円以下の罰金刑が下される可能性があります。

企業側が「あと数日待ってくれたら必ず支払う」などと説明されるケースもあるでしょう。しかし、明確にいつまで待つのか提示していない場合、給料未払いのまま泣き寝入りしかねません。期日を過ぎても給料が未払いである場合は「違法である」としっかり認識することが重要です。

なお、労働基準法第11条では、賃金とは労働の対価として支払われるすべての報酬を対象としています。給料(基本給)はもちろん、就業規則に定められている各種手当や賞与、残業代も対象です。いずれかが支払われない場合は、しかるべき対応に向けて準備を進める必要があるでしょう。

残業代の未払いに関しては「残業代が出ないのは違法?金額の計算式や対処法も解説」のコラムでも解説しています。法律に関する基礎知識や残業代の計算方法なども説明しているので、あわせて目を通してみてください。

参照元
e-Gov法令検索
労働基準法

アルバイトに対しても給与の支払いは義務

正社員ではなくアルバイトなどの非正規社員であっても、雇用関係を結んでいる労働者に変わりありません。アルバイトをした日数や労働時間、時給などに応じた給与を請求できます。

アルバイトで比較的多く見られるのが、無断欠勤で退職したのちに、最終労働月分の給料が未払いになるケースです。アルバイト側にも後ろめたい気持ちがある分、請求を見送る人も多くいます。しかし、法律では実際に労働した分の給料を従業員に支払うのが企業側の義務です。未払い給料がいくらなのかを把握できるよう証拠を集め、アルバイト先に請求しましょう。

給料未払いのまま会社が倒産していても請求可能

会社の倒産により給料が未払いである場合も、諦めずに公的な制度を利用して請求しましょう。会社が倒産した場合「未払賃金立替払制度」を利用すると、支払われる予定だった給与の一部を受け取れる可能性があります。

未払賃金立替払制度は、支払い能力がなくなった企業の代わりに、厚生労働省所轄の「独立行政法人労働者健康安全機構」が労働者に給料の一部を立て替えて支払う公的な制度です。支払いを受けるにはいくつかの要件がありますが、未払い給料がある場合には申請することをおすすめします。

なお、支払われる賃金は、退職日の半年前から未払賃金立替払請求日の前日分までが対象です。ボーナス(賞与)は支払いの対象に含まれません。会社の倒産により未払いが生じている場合は、できるだけ早く未払賃金立替払制度に申請しましょう。

参照元
厚生労働省
未払賃金立替払制度の概要と実績

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給料が未払いになる3つの理由

従業員には働いた分の給料を受け取る権利があり、企業には従業員に対して給料を支払う義務があります。しかし、中には従業員に給料を支払わない企業があるのも事実です。なぜ給料の未払いが起こるのか、背景にある事情を説明します。

給料が未払いになる理由

  • 給料を支払う余裕がない
  • 故意に給料を支払わない
  • 払い忘れ

1.経営不振で給料を支払う余裕がない

給料の未払いが発生する代表的な理由の一つが、企業の経営不振です。業績不振により十分な利益が得られず、給料を支払いたくてもお金がない状況にあるといえるでしょう。

しかし、企業が資金不足だとしても、従業員は労働の対価として賃金を受け取る権利と給料を請求する権利があります。企業に支払い能力がないから「仕方がない」と諦めず、しっかり請求しましょう。

2.故意に給料を支払わない

企業側が従業員に対して何らかの理由をつけ、故意に給料を支払わないケースもあります。たとえば「勤務態度が悪かったため」「欠勤日数が多かったため」「退職時にトラブルがあったため」といった理由です。

当然、企業の勝手な理由付けによる給料未払いは、違法行為に該当します。企業は従業員が働いた分の対価として、給料を支払うのが義務です。罰則として給料を減額して支払う場合には、事前に就業規則に定めておく必要があるでしょう。

3.支払い手続きの不備

給料の支払い手続きに何らかの不備があり、未払いが発生することもあります。手続き上のミスで未払いを起こす企業は、管理体制が整っていなかったり、従業員の生活を保障している意識が低かったりする可能性があるでしょう。

勤め先の企業に対して不安を抱いたら、見極めの参考として「「ダメな会社」の特徴とは?見切りをつけて転職するときのポイントも解説」のコラムもあわせてご覧ください。

給料が未払いで生活できない場合に賃金を請求する方法

給料の未払いにより生活できないという事態は日常的には稀なため、実際に直面するとパニックになり適切な対応ができない可能性があります。万が一のときのために、給料が未払いになったときの対応方法を知っておきましょう。賃金を請求する流れを順に説明します。

賃金を請求する方法

  • 給料未払いに関する証拠を集める
  • 個人で未払い請求を行う
  • 専門機関に相談する

1.給料未払いに関する証拠を集める

給料が未払いの場合は、まず請求に必要な証拠を集めましょう。給料未払いの証拠がないと、いくら未払いがあるのか分からず請求できません。支払い請求に必要な証拠を確認しておきましょう。

勤務時間が分かるもの

自分の勤務時間を証明できるものを集めましょう。タイムカードがあるなら、コピーをとるかスマートフォンやデジタルカメラで撮影しておきます。タイムカード以外には、出退勤時間が分かる出勤簿やシフト表も有効です。

証明できるものが全くない企業の場合、毎日の出勤時間や退社時間を手帳や日記に記しておきましょう。タイムカードや出勤簿に比べると効力は落ちますが、証拠の1つとして採用されることもあります。

給与の支払額が分かるもの

給与の支払い額が分かるものも大切な証拠です。過去の給与明細を探して集めておきましょう。給与明細があると、基本給や残業代、各種手当などの支払額が分かります。給与明細がない場合は、源泉徴収票を探してみてください。過去に給与が支払われた通帳の明細もあると良いでしょう。

労働条件が分かるもの

労働条件が分かる雇用契約書や就業規則なども大事な証拠です。勤務体系や労働条件、給与体系、残業代の支払い基準、給与支払い日などを確認できます。万が一のトラブルに備えて、基本的に企業から配布されたものは一定期間保管しておきましょう。

無断欠勤・退職後に給料で補填するのは違法

無断欠勤後の退職により給料が未払いである場合、企業側が「無断欠勤による損害を補填するため」と理由付けすることも考えられます。しかし、会社側には、従業員の給料から勝手に補填分を天引きする権利は認められていません。従業員は働いた分の給料を請求できます。

2.個人で未払い請求を行う

集めた証拠をもとに未払い請求を行います。経営不振など会社の事情を理解しており大ごとにしたくない場合、はじめは個人で動くのも一つの手です。口頭での請求や内容証明郵便での請求で対応します。

集めた証拠をもとに口頭で請求する

まずは、口頭で未払いであることを伝えましょう。「週末には支払われるかもしれない」と待つ必要はありません。決まった日付に働いた分の給料を受け取るのは正当な権利です。単純に手続き上のミスで未払いの場合は、口頭での請求で解決する場合があります。口頭で伝えても解決できない場合は、次のステップに移りましょう。

内容証明郵便で請求する

口頭で請求しても支払われない場合は、会社に未払いの給料に対しての請求書を出しましょう。意思表示したことを明確にしておくために、郵便局から内容証明郵便で送ります。郵便局へ行く時間がない人は、Web上で24時間手続きができる電子内容証明サービス(e内容証明)を利用すると便利です。企業の受け取りが心配な場合は、配達証明をつけましょう。ただし、内容証明郵便は、あくまでも郵便物の内容を証明するに過ぎません。企業が郵便物の内容に従うことを強制するものではない点には注意してください。

ちなみに、内容証明郵便による請求は、賃金請求権の消滅時効が迫っている場合にも有効です。内容証明郵便の送付により、時効を6ヶ月間中断できます。会社がすぐに支払いに応じてくれない場合は、必要に応じて裁判の準備を進めることになるでしょう。

3.専門機関に相談する

証拠を集めて、口頭もしくは内容証明郵便で請求したにも関わらず、給料未払いが解決されない場合は、各種専門機関に相談を依頼しましょう。労働問題に関する専門機関として、代表的な3つの相談先を紹介します。

労働基準監督署

個人で請求しても給料が未払いのままなら、企業を管轄している労働基準監督署に相談するのがおすすめです。未払い給料があり、会社が労働基準法に違反していることを申告しましょう。労働基準監督署が給料の支払いを勧告すると、企業側が是正勧告を受け入れて未払いの給料を支払う場合があります。

ただし、労働基準監督署に対応してもらうためには「企業が給料を支払っていない」という明確な証拠が必要です。給料の振込が途中で止まっていることを証明できる書類(通帳など)や、会社側と話し合いをした際の録音データなど、分かりやすい証拠を揃えて相談しましょう。

労働条件相談ほっとライン

労働条件相談ホットラインは、厚生労働省が行っている事業です。労働関係の専門知識を持つ相談員が、給料未払いや時間外労働などの労働問題について電話相談を行っています。相談料無料のフリーダイヤルで土日も対応しているため、利用しやすいでしょう。相談だけなので職場への直接指導は期待できないものの、法律や裁判事例にそった助言を受けられます。

弁護士事務所

「労働基準監督署に相談しても動いてもらえなかった」「会社が勧告内容に応じない」といった場合には、弁護士事務所への相談も検討してみてください。弁護士への相談には費用がかかりますが、給料の未払い問題をスピーディーに解決できる可能性があります。

「どこの弁護士事務所に相談すれば良いか分からない」「弁護士費用が不安」な場合は、法テラス(日本司法支援センター)を利用するのもおすすめです。法テラスは国が設立した法的なトラブルに対する機関であり、収入や資産が一定以下の場合は無料での法律相談に対応してもらえます。自身での解決が難しい場合、弁護士に相談してどのように手続きを進めていくべきかアドバイスをもらいましょう。

参照元
厚生労働省
労働条件相談ホットライン

日本司法支援センター
法テラス

 

給料未払いに関して警察は関与しない

給料の未払い問題について「まず警察に相談しよう」と考える方もいるかもしれません。しかし、警察は、犯罪性がない個人間の争いには関与しない「民事不介入」が原則です。賃金に関することは対応してもらえない可能性が高いでしょう。時間を無駄にしないためにも、最初から専門機関や弁護士に相談することをおすすめします。

会社側がどうしても支払いに応じないときの対処法

個人で給料の未払い請求をしても会社側が支払いに応じない場合は、法的措置が必要です。民事調停もしくは何らかの裁判手続きでの解決を図りましょう。

民事調停で請求し解決を図る

専門機関に相談しながら対応しても、会社側が支払いに応じてくれない場合は、民事調停で請求する方法もあります。民事調停というと構えてしまいそうですが、裁判のように勝敗を争うのではなく、当事者同士の合意によってトラブルを解決するものです。企業側が話し合いに応じてくれそうな場合、民事調停は有効な手段なので検討すると良いでしょう。

民事調停は、比較的手続きが簡単なうえ、費用も低額で済むことがメリットです。話し合いはポイントを絞って行うので、問題が早期に解決することもあるでしょう。民事調停は「非公開」で行われるため、プライバシーも守られます。合意した内容は、裁判の判決と同様の効力を持つ調停調書に残されるので安心です。

状況によっては裁判手続も検討

調停で問題が解決できそうにない場合や、消滅時効の成立が迫っている場合には、裁判手続を検討する必要があります。支払い督促や少額訴訟、労働審判など複数の選択肢から、自分の状況に合った方法で対応しましょう。

裁判手続きへと進む場合、法律の知識がなければ対応が難しいため、労働問題に強い弁護士にサポートしてもらうのがおすすめです。ただし、弁護士費用がかかるうえ、決着まで長期間かかることもあります。コストやリスクがあることも踏まえたうえで、慎重に検討しましょう。

給料を請求できる期間は決まっている

未払いの給料を放置した場合、一定期間が経過したあと賃金請求権の消滅時効が成立します。時効までの期間は「厚生労働省からのお知らせ」によると、以下のとおりです。

・2020年4月1日より前における賃金請求権の消滅時効期間:2年
・2020年4月1日以降における賃金請求権の消滅時効期間:5年(当面の間は3年)

2020年4月1日から、労働基準法の一部改正によって、未払いの給料を請求できる期限が5年に延長されました。2020年4月1日を境目にルールが変わっています(当面の間は3年)。未払い給料があっても請求しないまま時効が成立してしまえば、企業に支払いを求めることはできません。未払いの給料を受け取りたい場合は、できるだけ早く対処するのが望ましいでしょう。
参照元
厚生労働省
労働基準法の一部を改正する法律について

いかなる理由があったとしても、従業員の給料を未払いにする企業は、信頼できるとはいえません。給料は毎日の生活に直結するため、企業側には給料を支払い従業員の生活を守ることが求められます。給料が未払いで貯金もなければ光熱費や家賃、食費が払えず、生活できない事態になりかねません。

現在の職場に少しでも不安を感じる場合は、転職を視野に入れて動き出すのが良いでしょう。給料未払いを起こしてからだと、適切に対応できない恐れもあります。給料未払いが起こらない信頼できる企業で働きたい人は、就職・転職エージェントのハタラクティブの利用を検討してみてください。ハタラクティブでは実際に取材を行った企業の求人だけを紹介しています。給料面以外にも、職場の雰囲気や詳しい仕事内容をお伝えできるので、自分に合った就職先を見つけたい人は、ぜひ一度ご相談ください。

給料の未払いや生活のお悩みに関するFAQ

給料の未払いについて、よくある質問に回答します。不明点を解消し、具体的な行動に移しましょう。

給料未払いの場合は出勤拒否できますか?

給料が未払いの状態であっても出勤拒否は避けましょう。
会社から職務放棄で損害賠償を請求される可能性があります。出勤拒否するのではなく、しかるべき機関に相談しましょう。給料未払いの相談先については「給料未払いの相談先は?対象となる賃金や手続きを解説」のコラムでも詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

ハローワークで給料の未払いについて相談できますか?

労働条件や賃金に関する問題についての相談は可能です。
必要に応じて適切な助言を受けられます。ただし、ハローワークでは解決につながる具体的なサポートはできません。給料未払いを解決したい場合は、労働基準監督署や弁護士などに相談しましょう。労働基準監督署への相談方法は「労働基準監督署に相談できる内容やメリットは?方法は電話やメール?」のコラムで確認してください。

給料未払いによる精神的苦痛は賠償請求できますか?

給料の未払いによる精神的苦痛に対して、賠償請求することは可能です。
不法行為に基づく損害賠償請求(慰謝料請求)に該当します。ただし、精神的苦痛を証明できる医師の診断書や、給料の未払いを原因とする客観的な証拠がなければ、訴訟を起こすのは難しいのが実情です。個々の状況によって判断が変わるので、弁護士に相談することをおすすめします。

給料未払いはいつまで待つべき?

給料日の15時を過ぎても銀行に振り込まれない場合、会社の担当者に確認しましょう。
事務的なミスで振込が遅れている可能性があります。給料日から数日待っても支払いがなく、会社側で対応してもらえない場合は、しかるべき行動を起こしましょう。労働基準監督署に相談したり、弁護士に相談して法的対応を検討したりする必要があります。放置せず早めに対応することが重要です。給料の振込が遅れているときの対応は「給料振込の時間は何時?いつまで待つ?振り込まれていない場合の対処も紹介」のコラムも参考にしてください。

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