手取りが少なすぎる?最低賃金よりも給料が下回っている場合の対処法

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【このページのまとめ】

  • ・手取り額は、国が決めた最低賃金をもとに決まる
  • ・手取り額とは、基本給に各種手当を足して保険料や税金を引いたもの
  • ・月給制の最低賃金は、平均所定労働時間から算出できる
  • ・手取りアップには、昇進や副業も手
  • ・正社員なのに手取りが最低賃金以下の場合は、転職もあり

正社員なのに、手取り額が少なく、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。国が定めた「最低賃金」以下で働かせることは違法なため、不安な方は、一度給与について確認してみましょう。このコラムでは、月給制の方が、自身の手取り額が最低賃金を超えているかを確認する方法も紹介しています。自分の手取り額が少ないと悩んでいる方は、参考にしてください。

手取りが最低賃金より低い?

正社員として企業に雇用されているのに、給与や手取り額が十分とは思えない人は、多いことでしょう。最低賃金よりも低い給与で働かせることは、違法です。「最低賃金よりも低いんじゃないか」と不安になったら、検証してみましょう。

最低賃金制度の3つのポイント

自分の手取り額が最低賃金より下回っていると不安な方は、まず最低賃金制度を理解しましょう。最低賃金を調べるうえで、下記の3つのポイントが重要です。

1.最低賃金は都道府県ごとに異なる

最低賃金制度とは、最低賃金法にもとづいて、国が賃金の最低額を定めたものです。使用者(雇用主)は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならない決まりとなっています。最低賃金の金額は、時間額(時給)です。最低賃金は全国一律ではなく、各都道府県で金額が異なります。地域ごとの人口や事業の賃金支払い能力などを配慮した上で決定されるからです。業界や職種、雇用形態問わず、都道府県ごとに一律の最低賃金が設定されています。
まずは自分が住んでいる地域の最低賃金を確認しておきましょう。
2021年現在では、東京都で1,013円、北海道で861円、大阪で946円となっています。

参照元
厚生労働省
賃金(賃金引上げ、労働生産性向上)
地域別最低賃金の全国一覧

2.最低賃金は変更になる場合がある

最低賃金は、例年10月を目処に、金額が改定されます。最低賃金は改定時に引き上げられることはあっても、引き下げになることはありません。数年前の最低賃金のまま給与額や手取り額が変わっておらず、現行の最低賃金を下回っている場合もあるので、気をつけましょう。

3.最低賃金の対象にならないものもある

最低賃金は、毎月支払われる給与のみを対象としたものです。賞与や時間外割増賃金、通勤手当などの一部の手当は、対象外となっています。
最低賃金をチェックするときは、月々の手取りから賞与や対象外の手当を差し引いた金額を算出しておきましょう。

手取り額とは

手取り額とは、手当を含め、毎月支給される給与額から、社会保険料や税金が差し引かれたものです。プラスマイナスされて、実際に手元に残る金額のことを指すため、「手取り」といいます。まとめると、下記のとおりです。

手取り=基本給+手当ー税金や保険料

なお、基本給に手当を足したものを「額面金額」ということもあります。給与明細では、手取り額を「総支給額」と表記していることもあるでしょう。なお、最低賃金とは基本給と一部の手当を含めた支給額の下限を定めたものです。通勤手当や控除額は含まれないので、実際の手取り額が最低賃金を下回っているように見えても、違法でない可能性もあります。

参照元
厚生労働省
最低賃金の対象となる賃金

最低賃金を割り出す計算方法

給与の金額が最低賃金を下回っているかを知るために、実際に最低賃金を計算してみましょう。最低賃金は、時給で表示されているため、月給や日給の場合は、換算が必要です。なお、計算するのは基本給のため、保険料や税金を差し引いた手取りで計算しないよう、注意してください。

時給制

時間給の場合は、単純に最低賃金と比較しましょう。自分の時間給が最低賃金を超えていれば、問題ありません。保険料や税金を差し引いた手取り額で計算してしまわないよう、注意してください。

日給制

日給の場合の計算方法は「日給÷1日の就業時間」が、最低賃金を超えているかを確認してください。一部の特定(産業別)最低賃金が適用される場合もあります。最低賃金が日額で定められているときは、自身の日給と最低賃金(日額)を比較してください。

参照元
厚生労働省
最低賃金額以上かどうかを確認する方法

月給制

月給の場合の計算方法は、「月給÷1箇月平均所定労働時間」で、時間あたりの給与を算出します。これが、都道府県の最低賃金を上回っていれば、問題ありません。ここでいう「月給」は、基本給のことです。手取りではないので、控除額や通勤手当などは含みません。
出来高制で、月の労働時間が定まっていない場合は、労働に掛かった時間数で割って、最低時給賃金を算出しましょう。

最低賃金が900円の地域で働くAさんの場合

ここでは、実際に金額を当てはめて、計算方法を紹介します。計算の前提は、下記のとおりです。

・最低賃金900円の地域
・1日の所定労働時間は8時間
・年間所定休日数は110日
・給与に20時間分のみなし残業代が含まれる

月給の最低賃金は、「月給÷1ヶ月平均所定労働時間」で計算します。まずは、1ヶ月の所定労働時間を計算してみましょう。

1ヶ月の所定労働時間
=(365日-年間所定休日数)×1日の所定労働時間数÷12ヶ月
=(365日-110日)×8時間÷12ヶ月
=170時間

上記の計算で、1ヶ月の所定労働時間が170時間であることが分かりました。Aさんが、最低賃金900円で、月に170時間働いた場合、月給換算すると、900円×170時間=153,000円になります。

次に、みなし残業代について考えていきましょう。労働基準法によって、時間外(法定労働時間・1日8時間・週40時間を超えたとき)は、賃金を25%以上割増しなくてはいけないことになっています(休日出勤や深夜出勤を除く)。今回は、時間外労働は1.25倍と仮定して計算してみましょう。まず、時間外労働分の最低賃金を算出します。

900円×1.25(割増賃金)×20時間=22,500円

上記の計算より、Aさんの時間外労働分には、最低22,500円が支給されなければならないようです。
Aさんの月給は、月の所定労働170時間と残業20時間分働くことが前提とされています。先ほど計算した170時間分の最低賃金は153,000円と、上記の残業分を足した額が、Aさんに適用すべき最低賃金です。

153,000円+22,500円=175,500円

以上の計算で、Aさんの最低賃金は175,500円ということが分かりました。手取り額と控除額を合わせても、この金額を下回っている場合は、違法である可能性が高いでしょう。

参照元
東京労働局
しっかりマスター労働基準法 割増賃金編

給料が最低賃金より下回るのは違法

手取りではなく、給料が最低賃金よりも少ないのは違法です。
例外的に都道府県労働局長から許可を受けていれば、最低賃金よりも少ない給料を設定することは可能となっています。しかし、ごく一部の限られた場合のみです。基本的には、たとえ労働者と合意のうえであっても、給料が最低賃金を下回ることは認められていません。ただし、試用期間中で都道府県から認められている場合は、最低賃金を下回ることもありえます。詳しくは、「試用期間の給与は本採用より低い?変わらない?制度の内容を詳しく解説」を参考にしてください。

最低賃金を超えている?基本給の基礎知識

自分の給与が適正かどうか確かめるには、手取り額ではなく、基本給と最低賃金を比較する必要がありました。ここでは、基本給の決まり方を簡単に説明します。基本給の決め方は、大きく3種類あるようです。

・属人給式
・総合給式
・仕事給式

属人給とは、年齢や勤務年数などの従業員の条件によって給与が決まることです。属人給は定期的な昇給を見込めるため、将来設定が安定しやすいという特徴があります。総合給式とは、従業員が担当する仕事の内容や必要な能力、責任の重さなどによって、総合的に給与を決めることです。従業員の勤務年数や年齢、学歴なども、評価の基準になります。実力次第で評価される反面、基準が分かりづらい面もあるようです。
仕事給式とは、職務や職種などといった、仕事の内容や職務の遂行能力、業績に応じて賃金を決める仕組みを指します。従業員の実力で評価されることが、この制度の特徴でしょう。

手取り額を上げる手当

基本給に加えて、手当を受けることで、手取り額を増やるでしょう。なお、最低賃金と比較する基本給に、手当を含むかは、手当の内容によります。手当のおかげで手取りが多くても、基本給が低い場合は注意しましょう。

1.残業手当と時間外手当

時間外手当や残業手当は、決まっている毎日の就業時間よりも長く働いた場合に発生する手当です。金額は、時間外労働時間に比例します。長く残業すればするほど、手当は増える仕組みです。また、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えた残業は25%以上の割増、法定休日(週1日)に勤務させたときは35%以上割増することなどが、義務付けられています。これらは、所定外給与といって、最低賃金の対象にはならない手当です。計算の際は、注意してください。

2.通勤手当

通信手当は、通勤のために使う電車代やバス代、タクシー代などに支給される交通費です。全額支給する会社や、月の上限が決まっている会社など、規定は会社ごとに異なります。通勤手当も、最低賃金の対象外となる手当です。

3.扶養手当と家族手当

扶養手当や家族手当は、家族がいる社員に対して支給される手当のことです。養う子どもの人数が増えると、扶養手当や家族手当も比例して多くなる仕組みを取っている企業が多いでしょう。仕事内容や実績ではなく、家族の事情に合わせて金額が決まります。家族手当も、最低賃金の対象外です。

4.資格手当

資格手当は、仕事に必要な免許や、高度なスキルを習得するための資格などを持っている従業員に、給与に追加して支給される手当です。資格をこれから取得する場合は、支援金という形で支給されることが多いでしょう。資格手当は、所定内給与とみなされ、最低賃金の対象内となります。制度は会社により異なるので一概にはいえませんが、手取りアップを目指す方は、仕事に役立つ資格を取得しているのもおすすめです。詳しくは、「資格手当の相場はどのくらい?収入アップにつながる?資格別にご紹介」もご覧ください。

5..役職手当

役職手当は、主任や管理職などの重要な立場にある人に支給される手当です。一般従業員よりも責任ある決定を下したり、人事などを取り仕切ったりするため、仕事内容の負担が大きくなります。役職手当は、最低賃金の対象となる手当です。基本給も、最低賃金レベルではなく、高くなるでしょう。手取り額を多くする確実な方法といえます。

手取り額が減る原因!代表的な7つの税金や保険料

最低賃金から差し引かれる税金や保険料には、いくつかの種類があります。基本給が最低賃金を下回っていなくても、手取りが少なく感じる原因ともいえるでしょう。給与から天引きされている金額の種類が適切か、給与明細で確認してみてください。

1.住民税

住民税は、前年度の所得に応じて、翌年から課税される税金です。一般的に、給与から天引きされて納税しています。社会人1年目のように、前年に所得がない場合は、天引きされません。2年目から手取りが少なくなったと感じている場合は、住民税の徴収額を確認してみてください。

2.所得税

所得税は、1年間の所得の金額に応じて、課税金額が決まる国税です。1年間の所得額を概算して、毎月の給与から天引きされているため、手取り額を少なくする原因といえるでしょう。年末調整で精算され、払い過ぎた税金が戻ってきたり、不足する税金を追加徴収されたりします。

3.厚生年金保険料

会社員の多くが加入している厚生年金のの保険料も、給与から天引きされています。4月~6月までの給与の平均額と賞与をもとに、いくら天引きされるかが決まる仕組みです。手取りは減りますが、厚生年金には、いざというときに助けてもらえるでしょう。原則65歳以降にもらえる老齢年金以外にも、病気や怪我をしたとき、被保険者が亡くなったときなどにも、厚生年金の支給を受けられます。

参照元
日本年金機構
厚生年金保険の保険料

4.健康保険料

健康保険料も、毎月の給与から天引きされているため、手取り額を減らす要因となります。健康保険とは、病気をしたり、ケガをしたりしたときの、医療費自己負担額を軽減するための保険です。手取り額は減りますが、病院に掛かったときに支払うべき金額が減るので、メリットもあります。

5.介護保険料

介護保険料は、40歳以上の人に保険料の納付が義務付けられている保険です。会社員の人は、健康保険料と一緒に給与から控除されるのが一般的なため、手取り額を減らす要因となっています。

6.欠勤控除

欠勤控除とは、欠勤をしたり、早退をしたりした分の給与が差し引かれる仕組みです。欠勤控除については法律で定められておらず、会社ごとの決まりとなります。有給休暇や時短勤務制度を利用せずに就業時間に出勤していない場合、手取り額が減っている可能性があるでしょう。

7.その他会社が定めたもの

上記のほかにも、会社独自に定めたルールにより給与から天引きされ、手取り額が少なくなっていることがあります。1つは、財形貯蓄です。財形貯蓄とは、企業が金融機関と契約して、定期的に従業員の賃金から天引きする貯蓄を指します。
入社時に薦められて、よく理解せずに利用し、手取り額が少ないと感じている人もいるでしょう。そのほか、社員旅行や社内行事のために、会社独自に積立されているものもあります。給与明細をよく確認し、自分の手取りが少ない理由を確認しておきましょう。

手取り額が最低賃金を下回っていた場合の対処法

手取り額が最低賃金を下回っていた場合は、改善方法を試みてください。ここからは実践しやすい給与の改善方法を4つ紹介していきます。現在の勤務環境で、無理なく出来るものを試してみてください。

1.会社のシステムを確認する

手取りではなく、基本給自体が最低賃金を下回っているなら、会社のシステムをもう一度確認する必要があります。給与の制度そのものがどのような形かを確認しておきましょう。また、給与が月給制の場合は、残業手当や役職手当などが盲点になりやすいです。「最低賃金を割り出す計算方法」を参考に、「最低賃金を下回っている」という認識が正しいかよく確認し、会社に相談してみてください。会社が改善を行ってくれない場合は、専門機関に相談するのも手です。厚生労働省では、労働基準監督署や総合労働相談コーナーを設けており、賃金についての相談ができます。

参照元
厚生労働省
労働基準行政の相談窓口

みなし残業制は基本給が低くなる

給与の中に固定残業代が含まれている場合、最低賃金を満たしているか判断しづらくなるので注意しましょう。
固定残業代とは、決められた時間分の残業代をあらかじめ給与に含んでおく制度のことです。「みなし残業代」とも呼ばれています。残業時間に関わらず手取り額に一定の残業代が含まれる制度ですが、固定残業以上に残業をした月は注意しましょう。月の残業時間が固定残業代の分を超過した場合は、追加で残業代を支払わなくてはいけません。固定残業代を含む基本給も最低賃金を下回っている場合は違法になるので、それぞれの金額に注目してみましょう。

歩合制は要注意

歩合制は自身の能力や成果によって給与が大きく異なる制度です。成果を出せなかった月は、手取りが少なくなってしまいます。完全歩合制や、固定給と歩合給を併用している場合などがあり、最低賃金を下回っているかが判断しにくいという特徴もあるので、注意しましょう。

参照元
厚生労働省
最低賃金額以上かどうかを確認する方法

2.昇進・昇給で給与アップを目指す

最低賃金が気になるほどの待遇でも、今の職場で仕事を続けていきたい場合は、昇進や昇給で、給与アップを目指すのがベターな方法といえるでしょう。昇進して役職手当を貰う、昇給して基本給がアップするなどすれば、自然と手取り額も増えます。
ただし、昇進・昇給の対象になるには、会社から評価されなければいけません。業務で成果を上げるために、主体的に仕事に取り組む、業務態度にも気を配るといったことを心掛けましょう。

3.副業する

最低賃金に振り回されることなく手取り額を増やすなら、本業とは別の副業をするのも1つの手です。
Webライターやエンジニア、デザイナーなど、自宅でも出来る仕事が多くあります。クラウドソーシングサイトに登録すれば、案件を探しやすいため、ネット環境があれば気軽に始められるでしょう。ただし、中には副業を禁止している会社もあるため、始める前に会社に確認を取っておくのが無難です。副業で稼ぐことについては、「正社員でも副業してOK?会社にバレる理由や働く際の注意点について解説」も参考にしてください。

4.転職する

今働いている会社の給与が最低賃金に満たないなら、思い切って転職し、環境を変えるのも有効な手段です。労働者は、制度にもとづいた給与をもらう権利があります。法令を守らない会社に留まるよりも、きちんと労働者の権利を理解している会社を探した方が賢明でしょう。
しかし、新しく就職・転職した企業の給与が最低賃金制度に反している可能性もあります。自分自身が気持ちよく働くためにも、そのようなトラブルは避けたいところです。「就職後の条件を事前に確認しておきたいけれど、自分で企業と交渉するのは気が引ける」という方は、就活・転職エージェントの利用すると良いでしょう。直接は聞きづらい労働条件や給与のことも、エージェントを介して事前に確認できます。

最低賃金よりも手取りが下回っている場合は、転職も視野に入れて、柔軟に考えることが大切です。今の職場の労働条件が悪く、転職を考えているなら、ハタラクティブにご相談ください。「今の職場を辞めたいけれど、やりたいことが明確にあるわけではない」という方も、大丈夫です。経験豊富な専属アドバイザーが、あなたの経験やスキル、希望条件をヒアリングして、キャリアプランの作成をお手伝いします。求人紹介や面接対策も無料で行っているので、転職を考えている方は、一度ご相談ください。

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