有効求人倍率をわかりやすく解説!年度ごとの推移や職種別の値もご紹介

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この記事のまとめ

  • 有効求人倍率とは、求職者一人当たりにどのくらい仕事があるかを示す経済指標のこと
  • 新規求人倍率は有効求人倍率に比べ、景気の最新動向を見るのにより適している
  • 有効求人倍率を参照する際には、求人サイトなどの求人は含まれていないことに注意する
  • 有効求人倍率には実数値と季節調整値があり、後者は過去のデータとの比較に適している

有効求人倍率という言葉は知っていても、何に役立つデータなのか分からない人もいるでしょう。有効求人倍率は景気を測るための経済指標の一つであるうえ、就職市場の実態を把握する一助となるものです。有効求人倍率の見方を知ると、景気の良し悪しだけでなく職業別・地域別の就職難易度が分かります。このコラムでは有効求人倍率の概要や年度別の推移、職業別・地域別の状況など幅広く解説していますので、ご一読ください。

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有効求人倍率とは?

有効求人倍率とは経済指標の一つで、求職者一人あたりにどのくらい仕事があるかを表すものです。
以下、それぞれ見ていきましょう。

ハローワークの有効求人数を有効求職者数で割ったもの

有効求人倍率はハローワークの有効求人数を有効求職者数で割って求めるものです。
たとえばハローワークの求職者数50人に対し100件の求人があった場合、100÷50=2で一人あたり2件の求人があることになります。反対に、求職者数100人に対し50件の求人だった場合は50÷2=0.5となるため、求職者数1人に対し仕事が1件もないことになるといえるでしょう。

景気を測る指標に使われる

有効求人倍率は景気を測る指標に使われます。先述のように計算した結果、一人あたりの求人数が多いほど企業が人を雇う余裕があるため、好景気という判断です。反対に一人あたりの求人数が1を下回ると、求職者の人数に対して求人が足りないということなので景気が悪いと判断されます。

「有効」の意味

「有効」とは、ハローワークでの有効期限を表します。ハローワークでは、求人・求職ともに手続きから2ヶ月間(翌月末)が有効期限です。期限を過ぎた求人や求職は無効のため、「有効期限内の求人・求職者=実際の求人数・求職者数」となります。よって、単に登録されている求人や求職者とは異なることに注意しましょう。

有効求人倍率と新規求人倍率の違い

有効求人倍率と新規求人倍率は、母数の範囲に違いがあります。
新規求人倍率は、全国のハローワークで当月に受け付けられた新規求人の件数とその月に新しく求職者登録を行った人の数から算出されるもの。
一方、有効求人倍率は新規求人を含む有効求人の件数と、ハローワークで求職者登録を行って2カ月以内の求職者数から算出された値です。よって、有効求人倍率に使用する値には新規求人と新規求職者も含まれます。
新規求人倍率は最新の値から算出するため、有効求人倍率に比べてより新しいデータが導けるのが特徴。景気や雇用の最新動向を見るのに適しています。

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有効求人倍率の高い・低いとは?

有効求人倍率が高い・低いとは、次のような状態を指します。以下、高い場合と低い場合に分けて見ていきましょう。

有効求人倍率が高い場合

「有効求人倍率が高い」とは、ハローワークの求人数を求職者数で割った場合の値が大きいことを表します。つまり、一人あたりの求人数が多いので求職者が仕事にあぶれにくいうえ、企業も積極的に雇用を進めている状態といえるでしょう。よって、有効求人倍率が高いほど好景気の傾向があるとされています。

有効求人倍率が低い場合

有効求人倍率が低い場合には、逆に不景気であるといえます。統計上では一人あたりの求人数が少ないので、求職者が仕事を選びにくかったりあぶれてしまったりする可能性が高いからです。また、企業が人を雇う余裕がないともいえるので、有効求人倍率が低いときには景気が冷え込んでいるということになります。

有効求人倍率のデータから見る景気の状況

有効求人倍率のデータを見ることで、現在の景気の状況やその変動が分かるでしょう。ここでは、年度別や都道府県別、職種別に有効求人倍率のデータを参照しながら考察します。

有効求人倍率の年度別推移

厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和4年4月分)について」によると、有効求人倍率の年度別推移は、以下の表のとおりです。

有効求人倍率の年度別推移の画像

 

引用:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和4年4月分)について

平成21年度から30年度までは右肩上がりだった有効求人倍率ですが、令和元年度を期に下がり始め2年度には大幅に落ち込んでいるのが特徴的です。これは、求人票の記載項目が拡充されたことによる求人提出の見送りの影響とされています。また、2020年2月頃から流行した新型コロナウイルス感染症も、少なからず影響を与えているでしょう。

しかし、3年度には上昇に転じているように、右側の月別グラフを見てみても有効求人倍率はほぼ横ばいながらもじわじわと回復傾向にあることが分かります。求職者数に比べて求人数が少しずつ多くなっている様子が見られるため、このままの傾向が続くならば景気は少しずつ回復していくと予想できるでしょう。

都道府県別の有効求人倍率

厚生労働省の「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」第11表の12のデータから引用・算出した、2022年4月時点の地域・都道府県別の有効求人倍率は以下のとおりです(就業地域別、パートタイム含む)。

有効求人倍率の地域別平均値

地方ごとの有効求人倍率の平均値を表す値は、それぞれ以下のとおりです。

地域平均値
北海道1.11
東北1.37
南関東1.05
北関東・甲信1.38
北陸1.61
東海1.41
近畿1.12
中国1.53
四国1.33
九州1.24

引用:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)

データの値を見てみると、北陸地方の値が特に大きいのが分かります。次の都道府県別のデータでも上位5位の県中3県が北陸地方であることからも、北陸地方では有効求人倍率の大きい傾向があるといえるでしょう。

都道府県別:有効求人倍率の高い5地域

有効求人倍率の高い都道府県は、以下の5つです。

 地域有効求人倍率
1福井県1.85
2島根県1.68
3岐阜県1.61
4新潟県1.55
4富山県1.55

引用:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)

有効求人倍率の高い地域は比較的変動が少なく、順位の入れ替わりはあっても同じ地域が該当する傾向があるようです。

都道府県別:有効求人倍率の低い5地域

有効求人倍率の低い都道府県は、以下の5つです。

 地域有効求人倍率
1沖縄県0.83
2神奈川県0.87
3千葉県0.94
4兵庫県0.97
5埼玉県1.02

引用:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)

1位は年度にかかわらず沖縄県であることが多いものの、2位以下は入れ替わりが激しいのが特徴です。このことから、沖縄県を除くと有効求人倍率の低さには地域性の影響が比較的少ないといえるでしょう。

職種別有効求人倍率

厚生労働省「一般職業紹介状況(令和4年4月分)」の第21表-7によると、2022年4月の職種別有効求人倍率が高い職業と低い職業は以下のとおりです。

有効求人倍率の高い5つの職業

2022年4月における有効求人倍率の高い職業は以下の5つです。

職業有効求人倍率
建設躯体工事8.66
採掘5.56
保安5.37
土木5.15
建築・土木・測量技術者4.88

有効求人倍率の高い職業は順位の変動はあるものの、上位は同じ職業で占められています。また、建設や土木関係の求人が多いのも特徴的です。

有効求人倍率の低い5つの職業

一方、2022年4月において有効求人倍率の低かった職業は以下の5つです。

職業有効求人倍率
美術家、デザイナー、写真家、映像撮影家0.22
一般事務0.31
その他の運搬等0.31
事務用機器操作0.39
船舶・航空機運転0.42

有効求人倍率の低い職業については高い職業と違って業界にややばらつきがあるものの、ほぼ同じ職業で占められています。また、美術家といったクリエイティブな職業や人気のある一般事務の倍率の低さも特徴的です。

参照元
厚生労働省 
一般職業紹介状況(令和4年4月分)について
一般職業紹介状況(職業安定業務統計)
e-Stat 政府統計の総合窓口
一般職業紹介状況(職業安定業務統計)令和4年4月

有効求人倍率を参照する際のポイント

有効求人倍率を参照する際には、対象となるのはあくまでハローワークの求人であるのを把握することと季節調整値を考慮することが重要です。以下、それぞれ見ていきましょう。

求人サイトの求人は含まれない

有効求人倍率の値に入る求人はハローワークで受理されたものに限ります。よって、求人サイトで募集されている求人や、民間の求人広告などを通した応募などは含まれません。景気の状況を測る指標となるものなので、求人サイトなどの実際の状況とは異なる可能性があります。
また、新卒の求職者も対象外となるほか「空求人」といわれる実際には募集を行っていない求人が含まれている可能性もあるため、あくまで参考にするにとどめましょう。

季節調整値を見る

有効求人倍率を見る際には、季節調整値を参照するのがおすすめです。
有効求人倍率の値には、実数値と季節調整値があります。実数値が実際の調査値である一方、季節調整値は月の稼働日数や祝日の数の影響を除いて算出したものです。
よって、季節調整値を見ると過去のデータとの比較が実数値に比べてより正確にできるでしょう。

就職成功率を上げたいなら有効求人倍率を活用しよう

有効求人倍率を把握することで、現在売り手市場と買い手市場のどちらなのかが判断できます。
また、地域や職業ごとの倍率を見ると自分の就職したい地域ではどんな仕事が就職しやすいのかが分かるので、仕事選びに役立つでしょう。

就職成功率を高めるには、業界の事情や応募先企業の様子を知ることができる就職エージェントを利用するのも一つの手。就職エージェントは民間企業で運営している就職支援サービスで、就職希望の人に求人紹介をしているところです。運営企業ごとに扱う業界や支援対象が異なるのが特徴で、自分に合った就職支援サービスを選ぶと希望の求人に出会いやすくなります。
また、担当の就活アドバイザーから希望業界の事情や志望先企業の職場の様子を聞ける可能性があったり、選考対策を受けられたりするのもメリットです。
就職成功率を上げたい人は、就活において多くのサービスを受けられる就職エージェントの利用も検討してみると良いでしょう。

就職成功率を上げたい方は、就職・転職エージェントのハタラクティブをご活用ください。
ハタラクティブではフリーターや既卒、第二新卒といった比較的業務経験の少ない20代の方に向け、ポテンシャルと人柄重視の採用を行っている企業の求人をご紹介しています。カウンセリングでは、就活アドバイザーが有効求人倍率を見ただけでは分からない業界の様子や求められる人材像などをご希望に応じてお伝えするので、仕事選びに役立つでしょう。ハタラクティブのご登録・ご利用はすべて無料。どうぞお気軽にお問い合わせください。

有効求人倍率に関するQ&A

有効求人倍率の見方を把握すれば、景気や雇用の状況が分かります。ここでは、有効求人倍率についてよくある疑問と回答をまとめました。

有効求人倍率とは何?

有効求人倍率とはハローワークの有効求人数を有効求職者数で割って求める値で、景気を計るための経済指標です。有効求人倍率が高いと景気が良いと判断され、低いと不景気だと判断されます。求人倍率による転職活動への影響については「買い手市場と売り手市場って?それぞれの状況での転職活動の注意点」のコラムもご覧ください。

有効求人倍率で何が分かる?

有効求人倍率の値で分かるのは就職しやすいかどうかです。値が大きいほど求職者に対して求人の数が多いため就職しやすく、小さいと逆に就職しづらくなります。有効求人倍率は年度別や職業別、地域別などによって算出されていますが、企業ごとの就職難易度を表した求人倍率もあります。「倍率の低い企業なら就職できる…それって本当に大丈夫?」では、企業の求人倍率について説明していますので、こちらも参考にしてください。

有効求人倍率と新規求人倍率の違いは?

有効求人倍率と新規求人倍率の違いは、算出する際の求人数と求職者数の時期です。有効求人倍率が有効期限である2カ月以内の求人や求職者を合算しているのに対し、新規求人倍率は最新のデータのみから算出しています。よって、新規求人倍率のほうがより直近の景気の様子を見られるといえるでしょう。「第二新卒者が求人倍率の高い時にする事」のコラムでは、第二新卒の人が求人倍率の高いときに転職活動を有利に進めるためのアドバイスをしています。

有効求人倍率以外にも就活に役立つ情報を得るには?

就活の際には有効求人倍率のほか、志望業界の動向や企業の採用したい人材像などを押さえておくと選考対策がしやすいでしょう。もっとも新しく具体的な情報を知りたいなら、就職エージェントの利用がおすすめです。企業に取材を行っている就活アドバイザーから、求人からは分からない情報を得られるでしょう。20代向け就職エージェントのハタラクティブでも、就職に役立つ情報をお伝えしていますので、一度ご相談ください。

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