拘束時間と労働時間の違いとは?長過ぎるときの対処法も解説

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この記事のまとめ

  • 拘束時間とは、実労働時間と休憩時間を合わせた時間のこと
  • 法定労働時間は休憩時間を含まないため、拘束時間はこれよりも長くなる
  • 労働時間の判断基準は、雇用主の指揮命令下に置かれているかどうかが一つのポイント
  • 拘束時間が長過ぎる場合は、企業の対策室や労働基準監督署に相談したほうが良い
  • 自分に合った拘束時間の企業を探すなら、風通しの良い社風があるか注目しよう

職場の拘束時間が長いのでは…と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。労働時間は、労働基準法や労働契約によって定められています。

このコラムでは、労働時間の定義や拘束時間との違いを解説。拘束時間のなかでも労働時間として認められるもの・認められないものの基準を紹介します。また、労働時間・拘束時間が長過ぎる場合の対処法も紹介するので、自身の職場が違法な労働環境でないか判断する参考にしてください。

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拘束時間と労働時間の違いとは?

拘束時間と労働時間の主な違いは、休憩時間を含むか否かです。それぞれの概要を詳しく確認していきましょう。

拘束時間とは

拘束時間とは、実労働時間(所定労働時間+残業)と休憩時間を合わせた時間です。たとえば、所定労働時間が8時間、休憩が1時間、残業が1時間だった場合、拘束時間は10時間になります。

休憩時間は自由に過ごして良い時間ではあるものの、会社の監督下にいる時間として拘束時間と呼ばれるのが一般的です。

労働時間とは

労働時間とは、休憩時間を除き、雇用主の命令下で労働者が働く時間を指します。拘束時間との違いは「休憩時間を含むかどうか」です。労働時間は「労働に服している時間」なので、休憩は含まれません。ただし、制服に着替える時間や、来客の待機時間は仕事に必要な時間とみなされ、労働時間に含むのが一般的です。

拘束時間に上限と下限はある?

労働時間は労働基準によって上限が定められています。一方で、拘束時間の上限・下限には法的なルールはありません。例外として、バスやタクシー、トラックなどの自動車運転者に限っては、長時間の拘束による影響を考慮し、厚生労働省が拘束時間の上限を定めています。

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拘束時間を決める3つの要素

職場での拘束時間を決める要素は以下です。下記の3つについて詳しく解説していきます。

拘束時間を決める要素

  • 法定労働時間
  • 所定労働時間
  • 実労働時間

1.法定労働時間

法定労働時間とは、労働基準法で定められている労働時間を指します。労働時間の上限は、労働基準法の第32条において「休憩時間を除き、1日の労働時間は8時間、1週間で40時間を超えてはならない」と明記されています。よって、労働時間と休憩時間を合わせた拘束時間は、法定労働時間より長くなるでしょう。

また、労働基準法の第35条では「休日は少なくとも週に1日以上与える」ことが定められています。休日や休暇に関しては、「労働基準法で定められている休日は?休暇との違いや休日出勤のルールを確認」でも詳しく解説しているので、参考にしてください。

法定労働時間の上限

法定労働時間を超えて働く時間(時間外労働)は、1ヶ月で45時間、年間で360時間が上限です。これも、労働基準法の第36条で定められています。

臨時的な特別の事情があり、労使が合意する場合でも時間外労働は年間で720時間以内、時間外労働と休日労働を合わせた労働は月100時間未満に収めなければなりません。また、2〜6ヶ月間の平均時間外労働時間は、80時間以内とする必要があります。さらに、時間外労働は、原則とされている月45時間を超えられるのは、年に6ヶ月までです。

参照元
e-Gov法令検索
労働基準法

トラック運転手の拘束時間は?

トラック運転手の1ヶ月の拘束時間は原則284時間までと定められています。厚生労働省労働基準局の「労働時間等の改善基準のポイント」によると、1日あたりの拘束時間は13時間以内が基本、最長でも16時間が限度です(宿泊を伴う長距離貨物運送の場合)。

参照元
厚生労働省
自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)

2.所定労働時間

たとえば、午前9時始業で午後5時終業、休憩1時間の場合、所定労働時間は7時間です。この場合の拘束時間は、労働時間に休憩時間を加えた8時間となります。

3.実労働時間

実労働時間は、実際に働いた時間のことです。実労働時間には、始業前の準備や終業後の整理、早出や残業、休日出勤などの時間も含まれます。

休憩時間は働いた時間とはみなされないため、実労働時間に含まれません。たとえば、所定労働時間が8時間、休憩1時間、残業2時間の場合、実労働時間は10時間です。また、この場合の拘束時間は11時間となります。

実労働時間の計算方法

改めて確認すると、実労働時間は以下の式で計算できます。

実労働時間 = 退勤時刻 – 出勤時刻 – 休憩時間

9時に出勤してお昼に1時間休憩をとり、17時に退勤する人の場合、実労働時間は次の式で求めましょう。

17(退勤時刻)-9(出勤時刻)-1(休憩時間)=7時間(実労働時間)

ちなみに、この場合の拘束時間は休憩時間を入れた8時間です。

拘束時間が長い仕事とは?

拘束時間が長い仕事とは?の画像

拘束時間が長い仕事として知られる代表的なものはトラックドライバーの運転手です。特に、長距離の運転は拘束時間が長くなりがちです。移動時間が長い高速バスの運転手や飛行機の乗務員なども高速時間が長い仕事に挙げられます。

ほかに、長時間営業の飲食店はランチタイムとディナータイムの間の休憩時間を含めて、拘束時間が長い傾向があります。午後の診察開始までの昼休憩が長い病院やクリニックも、拘束時間が長くなりやすい職場です。

拘束時間と法定労働時間の例外パターン

先述のとおり、労働時間は労働基準法で厳格に定められています。しかし、例外的に法律で定められている時間以上に労働時間を設け、拘束時間を長くすることが可能です。例外的に認められているのは、下記のパターンとなります。

変形労働時間制

変形労働時間制とは、繁忙期と閑散期の所定労働時間を変えることで、全体の労働時間を短くするための制度です。変形労働時間制を導入すれば、繁忙期は1日10時間、閑散期は1日6時間といったように、1日8時間の原則を超えて労働させられます。

ただし、1ヶ月の1週平均労働時間を40時間以内に収めるのが条件です(特例事業場は44時間以内)。

時間外労働協定を結んでいる場合

時間外労働協定とは、いわゆる36協定(サブロク協定)といわれるもので、労働基準法36条に基づく労使協定のことです。労働基準法で定められた「1日の労働時間は8時間、1週間で40時間以内」を超えて労働する場合、企業と労働者は協定を結び、労働基準監督署に届け出なければなりません。

つまり、労使協定を結ばないまま、残業のため1日の労働時間が10時間になった場合は違法といえます。

みなし労働時間制

みなし労働時間制とは、事前に決めておいた労働時間を「働いたとみなす」制度です。外回りの多い営業職など、労働時間を正確に把握するのが難しい場合に適用されます。また、みなし労働時間制における労働時間は、1日8時間、週40時間以内に設定するのが原則です。

みなし労働時間制の特徴として、労働者の裁量で拘束時間を短くできる点が挙げられます。たとえば、効率的に仕事を進めた結果、1日6時間で業務が終わった場合でも、8時間分の給料が支払われるのがポイントです。

特例措置対象事業所

特例措置対象事業所とは、理美容業や診療所、飲食店といった特定の事業において、常時10人未満の労働者を使用する事業所をいいます。この場合の労働時間は1日8時間、週44時間まで認められており、週6日勤務が可能です。たとえば、月〜金は8時間勤務し、土曜日は4時間の半日勤務が可能となります。

時間外労働と36協定に関しては、「36協定と残業時間との関係は?制度について詳しくご紹介!」で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

拘束時間に含まれる労働時間として認められるもの

仕事中に、「今は拘束時間だけど労働時間になるの?」と疑問に思う瞬間があるでしょう。冒頭で説明した通り、労働時間とは「雇用主の指揮命令下に置かれている」時間です。

つまり、雇用主の指示によって労働者が何らかの業務に従事している時間は、労働時間として認められます。実際に業務に従事していない待機時間や移動時間も労働時間としてカウントできることを覚えておきましょう。

待機時間

待機時間とは、業務のタイミングを待っている時間です。飲食店や旅館、サービス業などで、来客対応をするまでに待機している時間が主に該当するでしょう。具体的には以下のような例があります。

  • ・飲食店や旅館でお客さまがいない間に一休みする
  • ・トラック運転手が荷物の到着を待っている
  • ・タクシー運転手がお客さまを待ちながらスマホを見る

この時間は「手待ち時間」とも称され、お客さまが来ればすぐに対応できるよう準備する時間です。そのため、休憩時間とは異なり、自由な時間とは見なされません。接客や調理などの業務を行っていなくても、待機時間は労働時間に含まれます。

移動時間

一度会社に出社したあと、営業先や作業現場へ移動する場合には、原則としてその移動時間も労働時間に含まれます。就業時間中の移動となるため、拘束時間の一部です。

ただし、家から職場までの移動は通勤時間となります。現場に直行する場合、その移動時間は通勤時間であり労働時間には含まれないため、注意しましょう。

出張の移動時間はどうなる?

出張中の移動時間が労働時間に含まれるか否かは、「業務に従事する必要があるか」によります。たとえば、上司から見積書の作成を命じられ、新幹線のなかで作業する場合は労働時間です。一方、やらなければならない業務がなく、自由に読書や睡眠ができる場合は労働時間とは見なされない可能性が高いでしょう。

拘束時間に含まれる労働時間として認められないもの

拘束時間のなかでも労働時間と認められないケースもあります。ここでは、労働時間として認められないケースについてご紹介。「思ったより収入が少ない」と慌てることがないように、労働時間の判断基準を確認しましょう。

休憩時間

休憩時間とは、従業員が業務から完全に離れることが保障されている時間です。労働基準法の第34条では、休憩時間についても定義されています。

休憩時間は労働時間の長さによって定められ、労働時間が6時間を超えるときは最低45分、8時間を超えるときは最低1時間です。休憩時間は労働時間には含まれませんが、拘束時間には含まれます。労働時間と休憩時間、拘束時間の関係性は、下記のとおりです。

労働時間休憩時間拘束時間
6時間以下なし6時間以下
6時間超最低45分6時間45分以上
8時間超最低60分9時間以上

たとえば、所定労働時間が6時間なら休憩なしで帰宅できますが、残業が発生した場合は45分の休憩を取らなければなりません。

休息時間との違い

休息時間はトラックドライバーなどの職種で導入されているものです。休憩時間は勤務中にとるものですが、休息時間は勤務終了後に次の勤務につくまでの時間を指しています。休息時間は継続して8時間以上というルールがあり、休憩時間よりも長時間に及ぶのが特徴です。労働者が企業の拘束を受けず、完全にプライベートを過ごせる時間といえるでしょう。

休憩時間が労働時間になるケースはある?

「電話番をしている」「お客さまがきたら対応できる状態で待機している」といった状態は、休憩時間として認められません。実際に労働していなくても、すぐに作業に取りかかれる状態で待機している時間は、手待ち時間として労働時間に含まれます。

休憩時間を分割するのはOK?

労働基準法には、休憩時間を連続してとらせるという規定はないため、分割しても違法になりません。ただし、あまりにも細かく分割して休憩時間を自由に過ごせない状態だと、法律に規定された休憩時間と見なされず違法になる場合があります。

「中抜け」の扱いとは?

中抜けとは、勤務時間中に一時的に仕事から離れて再び仕事に戻るまでの時間を指します。中抜けの扱いは、大きく分けて2つです。

  • ・休憩時間として扱い所定労働時間を変更する
  • ・時間単位年休として扱う

休憩時間として扱う場合、就業時間後もしくは始業時間前に働き、中抜けで短くなる労働時間を補うことになります。時間単位年休として扱う場合は、中抜けは休暇となるため勤務時間の変更はありません。

参照元
e-Gov法令検索
労働基準法

通勤時間

通勤時間とは、自宅とオフィスを往復する移動時間を指します。通勤時間中は本を読んだり、音楽を聴いたりと自由が保障されており、労働性や業務性はないため、労働時間としては認められません。

ただし、通勤時間中に会社からの指示で何らかの業務が発生する場合などは、労働時間に含まれる可能性もあります。転職の際に通勤時間を重視したい人は、「通勤時間の平均はどれくらい?長い場合のメリット・デメリット」のコラムを参考にしてみてください。

持ち帰り残業

労働時間内に仕事が終わらず、終業後に仕事を持ち帰ることを持ち帰り残業と呼びます。自発的に持ち帰り残業を行う場合は労働時間として認められません。上司の指示がなく、使用者の指揮命令下にあるといえないためです。

持ち帰り残業は会社で残業するのと同じだと感じる人もいるようですが、労働時間に含まれず、残業代の支給対象にもならないので注意しましょう。

拘束時間が長くなる?労働時間に含まれる例外5ケース

労働時間として認められるかどうかのポイントは、事実上強制されているか、業務から完全に離れているか否かです。ここでは、一見して業務とは関係ないように思われるものの、実は労働時間に含まれる5つの例を紹介します。

労働時間に含まれる例外

  • 強制参加の朝礼
  • 制服・作業服への着替え
  • 当直の仮眠
  • 物品を運ぶための移動
  • 強制力のある社内行事

1.強制参加の朝礼

就業規則に朝礼への参加義務が明記されていたり、原則的に全員が参加していたりする場合、朝礼の時間は労働時間と認められる可能性が高いです。また、義務ではなくても、「業務に必要な申し送りがある」「参加しなければ賞与の査定に響く」などの場合も労働時間と見なされます。

一般的に朝礼は労働時間内に行われますが、始業時間の前に強制参加とされる場合は、その時間も勤務時間としてカウントするのが妥当です。なお、朝礼への参加が任意の場合や始業時間内に実施されている場合、参加しなくても仕事の評価に影響がない場合は、この限りではありません。

2.制服・作業服への着替え

会社指定の制服や作業服への着替え、保護具の装着といった時間は、労働時間です。業務後に私服へ戻るための着替えも、労働時間に含まれます。始業時間までに着替えておくよう強制されていれば、拘束時間を長く取り、着替えのための早残業をさせていることになるでしょう。

一方で、制服や作業服の着用が任意の場合や、自宅からの着用が認められている場合、着替えの時間が労働時間には該当しないこともあるようです。

3.当直の仮眠

ホテルのフロントや警備員など夜勤や当直がある仕事の場合、拘束時間内に仮眠時間が含まれていることがあります。仮眠時間を労働時間とするかは、状況によって異なります。

仮眠時間中であっても、何らかのトラブルが起こった際に対応するように指示されていれば、それは「待機状態」に当たるでしょう。先述のとおり、待機時間は労働時間として認められます。

逆に、仮眠時間中は自由に外出できる、電話応対をしなくて良いなど、完全に業務と切り離せる場合には、労働時間に該当しません。ただし、拘束時間には含まれます。

4.物品を運ぶための移動

「地方の代理店に商品を持っていく」「販促イベントのために新製品を会場へ運ぶ」といった目的がある移動時間は、労働時間に含まれるでしょう。このような物品の運搬・管理は業務性があると考えられます。

ただし、先述のとおり移動時間中を自由に過ごせる場合は、遠方への出張もあくまで通勤時間であり、通常時と変わらない扱いとなります。そのため、拘束時間は長いものの労働時間には含まれません。

5.強制力のある社内行事

終業後や休日に社内行事が開催される場合、完全な自由参加であれば業務とは考えられず、労働時間にはあたりません。しかし、参加が義務づけられている状況や、参加しないと仕事上の不利益を被る場合などは、労働時間に値する可能性があります。

具体的には、上司から社外研修に必ず参加するよう指示された場合や、研修後のレポートを提出するよういわれた場合です。こういった状況は、労働時間として認められると考えられるでしょう。当然、拘束時間にも含まれます。

拘束時間はどれくらい?所定労働時間を確認する方法

拘束時間を決めるのは、所定労働時間と休憩時間、残業時間です。所定労働時間と休憩時間は労働基準法に基づいて決められていますが、詳細は会社ごとに異なります。

雇用主は面接時や採用時などに、始業時間と終業時間、休憩時間について口頭や書面で明示する決まりです。そのほか、所定労働時間を超える労働の有無や、休暇・休日についても明示しなくてはなりません。つまり所定労働時間は、雇用契約書や労働条件通知書で確認できます。

雇用契約書

雇用契約書とは、雇用主と労働者が労働条件に合意したことを示す書類です。雇用契約書には、就業場所や業務内容のほか、始業時刻や終業時刻、残業の有無、休憩時間、休日や休暇などが記載されており、拘束時間を確認できます。

ただし、雇用契約書に作成義務はないため、企業によっては口頭による説明のみで雇用契約の成立となる場合もあるようです。

労働条件通知書

労働条件通知書とは、労働基準法で発行が義務づけられている書類です。労働基準法の第15条で、「労働条件を厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない」と定められています。厚生労働省の労働基準法に関するQ&Aをみると、記載内容は雇用契約書と基本的に同じですが、あくまでも通知するための書類であり、署名・捺印はありません。

労働条件通知書は原則的に書面で発行されますが、労働者が希望すれば、FAXや電子メール、SNSメッセージでの明示も認められています。また、雇用契約書が労働条件通知書を兼ねている場合もあるので、拘束時間を計算したい人は確認してみてください。

参照元
厚生労働省
労働基準法に関するQ&A

ドライバーの拘束時間に関する注意点

運送業のドライバーの拘束時間や休息時間については、労働基準法とは別に「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」で厚生労働省がルールを示しています。

そのため、ドライバーとして働く場合は、改善基準告示の内容を把握しておきましょう。改善基準告示では、トラック運転者の1日の拘束時間は原則13時間までとなっています(宿泊を伴う長距離貨物運送の場合は週2回を条件に16時間まで延長可)。1日の休息時間は継続して11時間が基本で、9時間を下回らないことがルールです。この際の1日は、始業開始から24時間が経過するまでの間を指します。

たとえば、朝6時に始業した場合、翌日の朝6時までを1日とカウントします。この条件で、3月1日の朝6時から夜20時まで働くと、その時点で拘束時間は14時間です。さらに、3月2日の朝4時から働いた場合、6時までの間の2時間分は前の1日分の拘束時間としてカウントします。つまり、3月1日の拘束時間は、14時間に2時間を足した16時間です。拘束時間は日付変更の有無に限らず「24時間」で考えるので気をつけましょう。

参照元
厚生労働省
自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)

拘束時間や労働時間が長過ぎる場合の対処法

拘束時間や労働時間が異常に長い場合、まずは上司に相談しましょう。それでも解決しなければ、労働基準監督署や労働組合に相談するのも手です。職場での解決が難しい場合は、外部の機関も利用して解決しましょう。

長時間労働を上司に報告・相談する

長時間労働に関しては、まず所属する会社の上司に報告・相談するのが基本です。拘束時間が長過ぎると説明し、改善を求めましょう。さらに、提示された改善策や解決策が実行されているか、その後の改善状況を見極めることが重要です。

一方、拘束時間が長くなっている原因が上司の命令である場合、相談に応じてもらえない恐れも。相談をきっかけに職場内で不利な立場になったり不当解雇を受けたりと、パワハラの被害を受ける可能性も考えられます。職場が労働時間の改善に取り組まない場合や、明らかに不当な扱いを受けている場合は、外部の機関を利用しましょう。

パワハラの現状

厚生労働省がまとめた「『令和4年度個別労働紛争解決制度の施行状況』を公表します」によると、総合労働相談件数は124万8,368件です。民事上の個別労働紛争の相談件数は6万9,932件で、いじめ・嫌がらせの相談件数は最多とされています。

また、同省の「令和4年度雇用環境・均等部(室)における法施行状況について(9p)」によると、いじめ・嫌がらせとは別にパワーハラスメントとしての相談は4万4,568件となっており、2021年と比較して2万6,146件も増加しているのが実態です。なお、厚生労働省による「パワハラ」の定義は下記の3つすべてを満たすものとされています。

  • ・優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
  • ・業務の適正な範囲を超えて行われること
  • ・身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること

そのほかにも、セクハラ(セクシャルハラスメント)や妊娠・出産・育児に関するハラスメントなども問題になっています。会社のハラスメント対策室や、民間の相談窓口なども活用して、被害を最小限に抑えましょう。

参照元
厚生労働省
「令和4年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表します
都道府県労働局雇用環境・均等部(室)における法施行状況について

労働基準監督署や労働組合に相談する

労働基準監督署とは、厚生労働省の出先機関で企業を監督する監督署です。企業の法律違反を取り締まる機関として国内の全国各地に設置されています。拘束時間の異常な長さのほか、不当な賃金や解雇の相談にも対応するのが特徴です。相談内容に応じて、企業側への注意喚起や勧告を行います。

厚生労働省は、「総合労働相談コーナー」として、全国に仕事に関して相談できる窓口も設けているので、利用しましょう。

また、会社に「労働組合」があるなら、まずは組合に相談するのも一つの方法です。労働組合とは、組合員の不満や苦情などを会社側に伝えやすくし、職場の風通しを良くする組織のこと。労働組合は全ての企業にあるわけではありませんが、2人以上集まれば自由に結成可能です。労働組合であれば、会社側に働きやすい環境に改善するよう、訴え掛ける権利が保障されます。

参照元
厚生労働省
個別労働紛争解決制度(労働相談、助言・指導、あっせん)
労使関係

改善されない場合は転職を検討する

それでも労働環境が改善されない場合は、転職も一つの手段です。思い切って環境を変え、新たな道でこれまでの経験を活かすことが解決策となる場合もあります。

オンオフのメリハリをつけられる企業で働くことが、スキルアップやキャリアアップにつながる場合もあるでしょう。長過ぎる拘束時間は、心身に支障をきたす可能性もあります。もし、「ストレスで退職したいときの5つの対処法!円満退社をするコツは?」で紹介しているような体調不良を感じている場合は、早急に対応してください。

拘束時間が長くて転職する場合の求人探しのコツ

「今の職場は拘束時間が長くて転職したい…」と考えている方は、人員配置が徹底されている企業や、風通しの良い社風の企業を選びましょう。「せっかく転職したのに、転職前と状況が変わらない…」という事態を避けられます。

人員配置が徹底されている企業

人員配置が徹底されている会社は、社員数が多く、1人あたりの業務量は必然的に少なくなります。定時で帰れることが多く、拘束時間は短いでしょう。

法に則った就業時間内に完了できる業務量であれば拘束時間が長くなり過ぎず、心身の負担も少ないはずです。なかには、就業時間内で仕事が終わるよう周囲の仕事を手伝い、社員一丸となって定時退社を目指す会社もあります。そのような会社なら、拘束時間を不満に感じることなく働けるでしょう。

上司と気軽に話せる風通しが良い企業

風通しの良い社風も、適切な拘束時間を保つために重要なポイントです。「もう少し業務量を減らしたい」「家庭の事情で定時退社したい曜日がある」といったことも、上司にすぐ相談できれば問題を解消して働き続けられるでしょう。

また、上司との風通しが良い職場は社員間の連携も良く、協力して業務を進めやすい傾向にあります。職場全体の拘束時間が短ければ、「自分だけ先に帰るのは気まずい」といった状況にもなりにくいでしょう。

拘束時間を正しく知り、今の職場を離れたいと考えている方は、転職エージェントのハタラクティブにご相談ください。20代の転職を応援するハタラクティブでは、求人サイトだけでは分からない、具体的な労働時間や拘束時間に関する情報もご案内します。

また、ブラック企業ではないことを確認したうえで求人を紹介するので、拘束時間が長過ぎる職場に転職してしまうリスクを避けられるでしょう。そのほか、円満退職のコツや面接で好印象を残す方法などもアドバイスしますので、効率的な転職活動が可能です。
拘束時間の長さや長時間労働から転職を考えている方は、ぜひハタラクティブをご利用ください。

労働時間に関するQ&A

会社の労働時間が一般的なルールに合っているのか不安に思う人もいるでしょう。労働時間に関する疑問をQ&A方式で解説します。

一般的な残業時間はどれくらい?

厚生労働省の調査「毎月勤労統計調査 令和4年分結果確報(7p)」によると、一般労働者の残業を含む平均所定外労働時間(調査産業計)は約14時間です。

業種や年齢によって差があり、人手不足といわれる運送業やIT業界は残業が多い傾向に。「平均残業時間ってどのくらい?もしかして働きすぎかも?」で詳しく解説していますので、ご覧ください。

参照元
厚生労働省
毎月勤労統計調査

休憩時間が長過ぎる企業は避けるべき?

休憩時間が長いと拘束時間が伸びるため、あまりにも長過ぎる職場は注意が必要です。「休憩時間」で解説したように、休憩は労働時間が8時間超で1時間以上と定められています。ただし、上限に決まりはないため、12時間労働の4時間休憩でも問題はありません。

しかし、拘束時間が長過ぎるとプライベートな時間が極端に減ってしまい、働きやすい職場とは言い難いでしょう。業務内容と拘束時間を鑑みて、適切な休憩時間なのかを判断する必要があります。

裁量労働制とは何ですか?

裁量労働制とは、契約上で労働時間を決める制度です。契約上の労働時間と実働が合っていなくてもOK。対象者は情報処理システムの設計者や建築士など、法律で決められています。アイデア出しや分析などの仕事は想定時間内でできるとは限らないため、労働者が自由に決めたほうが効率的という考えに基づいています。

裁量労働制が適用される職種は?残業代はどうなる?」のコラムが参考になりますので、ご一読ください。

労働時間に関する相談はどこにしますか?

まずは上司や人事部に相談するのがおすすめです。業務の見直しによって残業が減る可能性もあるでしょう。社内で相談しても改善の見込みがなければ、労働基準監督署や自治体の労働相談センターなどに相談します。対処法をアドバイスしてくれるほか、会社に違法行為があれば指導してくれることも。詳しくは「労働基準監督署に相談できる内容は?方法は電話やメール?」をご覧ください。

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