拘束時間とは?労働時間の違いや長すぎるときの対処法を解説

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この記事のまとめ

  • 拘束時間とは、実労働時間と休憩時間を合わせた時間のこと
  • 労働時間は、法定労働時間によって「1日8時間・週40時間」という上限が定められている
  • 労働時間の判断基準の一つは、雇用主の指揮命令に置かれているかどうか
  • 拘束時間が長すぎる場合は、企業の対策室や労働基準監督署に相談したほうが良い
  • 拘束時間に不満があり転職を考えるなら、上司と気軽に話せる風通しが良い企業を選ぼう

「拘束時間と労働時間の違いとは?」と疑問に思っている方もいるでしょう。拘束時間とは、実労働時間と休憩時間を合わせた時間のことで、労働時間との違いは休憩時間を含むかどうかです。
このコラムでは、拘束時間の定義や労働時間との違いを解説。拘束時間のなかでも労働時間として認められるもの・認められないものの基準や、労働時間・拘束時間が長過ぎる場合の対処法も紹介するので、興味のある方は参考にしてください。

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拘束時間とは?

拘束時間とは、実労働時間(所定労働時間+残業)と休憩時間を合わせた時間を指します。たとえば、所定労働時間が8時間、休憩が1時間、残業が1時間だった場合、拘束時間は10時間です。

労働時間との違い

拘束時間と労働時間の違いは「休憩時間を含むかどうか」です。労働時間とは、就業規則で定められた始業から就業までの時間から休憩時間を差し引いた時間を指します。労働時間は「労働に服している時間」なので、休憩は含まれません。ただし、制服に着替える時間や、来客の待機時間は仕事に必要な時間とみなされ、労働時間に含めるのが一般的です。

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拘束時間を決める3つの要素

ここでは、職場での拘束時間を決める3つの要素ついて、詳しく解説していきます。

拘束時間を決める要素

  • 労働基準法で定められている法定労働時間
  • 所定労働時間
  • 実労働時間

1.労働基準法で定められている法定労働時間

法定労働時間とは、労働基準法で定められている労働時間のことです。労働時間の上限は、労働基準法の第32条において、
「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない」
「使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない」と明記されています。
つまり、「休憩時間を除き、1日の労働時間は8時間、1週間で40時間を超えてはならない」という決まりです

また、労働基準法の第35条では「休日は少なくとも週に1日以上与える」ことが定められています。休日や休暇に関しては、「労働基準法における休日の定義とは?年間の最低日数や休暇との違いも解説」でも詳しく解説しているので、参考にしてください。

法定労働時間の上限・下限

法定労働時間には、前述した「休憩時間を除き、1日の労働時間は8時間、1週間で40時間を超えてはならない」という上限があります。下限は定められていません。

残業時間の上限について詳しく知りたい方は、「残業時間の上限はどれくらい?世の中の平均やトラブル対処法を紹介」のコラムも参考にしてください。

参照元
e-Gov法令検索
労働基準法

2.所定労働時間

所定労働時間とは、企業の就業規則や雇用契約によって定められた「休憩時間を除く、始業から就業までの時間」のことです。たとえば、午前9時始業で午後5時終業、休憩1時間の場合、所定労働時間は7時間となります。この場合の拘束時間は、労働時間に休憩時間を加えた8時間です。

所定労働時間については、「所定労働時間とは?8時間以上はアリ?賃金や残業代の計算方法も解説」のコラムで詳しく解説しています。

3.実労働時間

実労働時間は、従業員が実際に働いた時間のことです。実労働時間には、始業前の準備や終業後の整理、早出や残業、休日出勤などの時間も含まれます。
休憩時間は働いた時間とはみなされないため、実労働時間に含まれません。たとえば、所定労働時間が8時間、休憩1時間、残業2時間の場合、実労働時間は10時間です。また、この場合の拘束時間は11時間となります。

実労働時間の計算方法

実労働時間は以下の式で計算できます。

実労働時間 = 退勤時刻 – 出勤時刻 – 休憩時間

午前9時に出勤してお昼に1時間休憩をとり、午後5時(17時)に退勤する人の場合、実労働時間は「17(退勤時刻)-9(出勤時刻)-1(休憩時間)=7時間(実労働時間)」のように求められます。なお、、この場合の拘束時間は休憩時間を入れた8時間です。

拘束時間に含む労働時間として認められる6つのパターン

冒頭で説明したとおり、労働時間とは「雇用主の指揮命令下に置かれている」時間です。つまり、雇用主の指示によって労働者が何らかの業務に従事している時間は、労働時間として認められます
ここでは、拘束時間や労働時間として認められる6つのパターンについてご紹介するので、「この時間は労働時間に含まれるの?」と疑問をお持ちの方はチェックしてみましょう。

拘束時間に含む労働時間として認められるパターン

  • 待機時間
  • 移動時間
  • 強制参加の朝礼
  • 制服・作業服への着替え
  • 当直の仮眠
  • 強制力のある社内行事

1.待機時間

待機時間は、拘束時間に含む労働時間として認められます。待機時間とは、業務の開始を待っている時間です。飲食店や旅館、サービス業などで、来客対応をするまでに待機している時間が主に該当するでしょう。具体的には以下のような例があります。

  • ・飲食店や旅館などの開店を待っている時間
  • ・トラック運転手が荷物の到着を待っている時間
  • ・タクシー運転手がお客さまを待っている時間

この時間は「手待ち時間」ともいい、お客さまが来ればすぐに対応できるよう準備する時間のことです。そのため、休憩時間とは異なり、自由な時間とはみなされません。実際に業務を行っていなくても、待機時間は労働時間に含まれます

2.移動時間

移動時間も拘束時間に含む労働時間です。一度会社に出社したあと、営業先や作業現場へ移動する場合には、原則としてその移動時間も労働時間に含まれます。ほかにも、「地方の代理店に商品を持っていく」「販促イベントのために新製品を会場へ運ぶ」といった目的も労働時間に該当するといえるでしょう。これらは、就業時間中の移動となるため、拘束時間の一部です

ただし、家から職場までの移動は通勤時間となるため、拘束時間には含まれません。また、現場に直行する場合も、その移動時間は通勤時間であり労働時間には含まれないため、注意しましょう。

3.朝礼

会社の方針で参加が義務付けられている場合、朝礼の時間は労働時間の一部と考えられるでしょう。また、義務ではなくても、「業務に必要な申し送りがある」「参加しなければ賞与の査定に響く」などの場合も労働時間と見なされます

一般的に朝礼は労働時間内に行うべきなので、始業時間の前に行われる場合は、その時間も勤務時間としてカウントするのが妥当です。なお、朝礼への参加が任意の場合や始業時間内に実施されている場合、参加しなくても仕事の評価に影響がない場合は、この限りではありません。

4.制服・作業服への着替え

会社指定の制服や作業服への着替え、保護具の装着といった時間は、労働時間に含まれます。また、業務後に私服へ着替えるのも、拘束時間に含まれる労働時間です。
一方で、制服や作業服の着用が任意の場合や、自宅からの着用が認められている場合など、着替えの時間が労働時間に該当しないこともあるようです。

5.当直の仮眠

当直の仮眠も拘束時間に含む労働時間といえるでしょう。ホテルのフロントや警備員など、夜勤や当直がある仕事の場合、拘束時間内に仮眠時間が含まれていることがあります。ただし、仮眠時間を労働時間とするかは、状況によって異なるため注意が必要です。

仮眠時間中であっても、何らかのトラブルが起こった際に対応するように指示されていれば、それは「待機状態」に当たるでしょう。先述のとおり、待機時間は労働時間として認められます。
一方、仮眠時間中は自由に外出できる、業務は一切しなくて良いなど、完全に業務と切り離せる場合には、労働時間に該当しない可能性も。ただし、拘束時間には含まれます。

6.強制力のある社内行事

強制力のある社内行事は、拘束時間に含まれる労働時間として認められる傾向にあるでしょう。終業後や休日に社内行事が開催される場合、完全な自由参加であれば業務には該当せず、労働時間にはあたりません。しかし、参加が義務づけられている状況や、参加しないと仕事上の不利益を被る場合などは、労働時間として考えるのが妥当といえます

具体的には、上司から社外研修に必ず参加するよう指示された場合や、研修後のレポートを提出するよういわれた場合などです。こういった状況は、労働時間として認められると考えられ、拘束時間にも含まれます。

拘束時間に含む労働時間として認められない4つのパターン

拘束時間のなかでも労働時間と認められない内容もあります。ここでは、労働時間として認められないパターンについてご紹介するので、確認してみましょう

拘束時間に含む労働時間として認められないパターン

  • 休憩時間
  • 通勤時間
  • 持ち帰り残業
  • 研修時間

1.休憩時間

休憩時間は、拘束時間に含む労働時間として認められません。休憩時間とは、従業員が業務から完全に離れることが保障されている時間です。労働基準法の第34条では、休憩時間について。「使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない」と定義されています。

休憩時間は労働時間の長さによって定められ、労働時間が6時間を超えるときは最低45分、8時間を超えるときは最低1時間の休憩時間をを取得しなければなりません。休憩時間は労働時間には含まれませんが、拘束時間には含まれます。労働時間と休憩時間、拘束時間の関係性は、下記のとおりです。

労働時間休憩時間拘束時間
6時間以下なし6時間以下
6時間超最低45分6時間45分以上
8時間超最低60分9時間以上

たとえば、所定労働時間が6時間以下なら休憩なしで問題ありませんが、残業が発生した場合は最低でも45分の休憩を取る必要があります。

休息時間との違い

休息時間はトラックドライバーなどの職種で導入されているものです。休憩時間は勤務中にとるものですが、休息時間は勤務終了後に次の勤務につくまでの時間を指しています。厚生労働省の「トラック運転者の改善基準告示が改正されます!」によると「継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回らない」というルールがあり、休憩時間よりも長時間に及ぶのが特徴です。労働者が企業の拘束を受けず、完全にプライベートを過ごせる時間といえるでしょう。

参照元
厚生労働省
自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)

休憩時間が労働時間になるケースはある?

「電話番をしている」「お客さまが来たら対応できるように待機している」といった状態は、休憩時間として認められません。実際に労働していなくても、すぐに作業に取りかかれる状態で待機している時間は、手待ち時間として労働時間に含まれます。

休憩時間を分割するのはOK?

労働基準法には、休憩時間を連続して取得するという規定はないため、分割しても違法になりません。ただし、あまりにも細かく分割して休憩時間を自由に過ごせない状態だと、法律に規定された休憩時間とみなされず違法になる場合があります。
また、「休憩を取得せずに、その分早く退勤する」という方法は認められず、休憩時間は労働時間の途中に取得しなければならないため注意が必要です。

参照元
e-Gov法令検索
労働基準法

2.通勤時間

通勤時間も拘束時間に含む労働時間には認められません。通勤時間とは、自宅とオフィスを往復する移動時間を指し、通勤時間中は本を読んだり、音楽を聴いたりと自由が保障されています。そのため、労働性や業務性がないため、労働時間に当たりません。

ただし、通勤時間中に会社からの指示で何らかの業務が発生する場合は、労働時間に含まれる可能性があります

3.持ち帰り残業

労働時間内に仕事が終わらず、終業後に仕事を持ち帰ることを「持ち帰り残業」といいます。持ち帰り残業は、拘束時間を含む労働時間として認められません。なぜなら、自発的に仕事を持ち帰ることは、上司の指示ではなく、使用者の指揮命令下にあるといえないためです。

持ち帰り残業は会社で残業するのと同じだと感じる人もいるようですが、労働時間に含まれず、残業代の支給対象にもならないので注意しましょう

4.研修時間

業務上義務づけられていない参加自由の研修時間は、労働時間には該当しません。参加自由の研修は、会社から指示を受けて受講するわけではないため労働時間といえないからです。しかし、会社から研修に参加するよう指示を受けた場合は、労働時間に該当するため注意が必要でしょう。

拘束時間が長くなる例外パターン

先述のとおり、労働時間は労働基準法で厳格に定められています。しかし、例外的に法定労働時間や法定外労働時間の範囲を超えて労働することが可能です。
例外的に認められているのは、下記のパターンとなります。「拘束時間が長いけど大丈夫?」と心配な方は、確認してみましょう。

拘束時間が長くなる例外パターン

  • 変形労働時間制を導入している
  • 時間外労働協定を結んでいる
  • みなし労働時間制を導入している
  • 特例措置対象事業所に該当する

変形労働時間制を導入している

変形労働時間制とは、繁忙期と閑散期の所定労働時間を変動させることで、全体の労働時間のバランスを取れるようにした制度です。変形労働時間制を導入すれば、繁忙期は1日10時間、閑散期は1日6時間といったように、1日8時間の原則を超えて労働することが可能です。ただし、1ヶ月の1週平均労働時間を40時間以内に収めるのが条件です(特例事業場は44時間以内)。

時間外労働協定を結んでいる

時間外労働協定とは、いわゆる36協定(サブロク協定)といわれるもので、労働基準法36条に基づく労使協定のことです。労働基準法で定められた「1日の労働時間は8時間、1週間で40時間以内」を超えて労働する場合、企業と労働者は協定を結び、労働基準監督署に届け出なければなりません。労使協定を結ばないまま、残業のため1日の労働時間が10時間になった場合は違法となるので注意が必要です。36協定に関しては、このコラムの「拘束時間が長くなる際に確認すべき36協定とは」と「36協定と残業時間との関係は?制度について詳しくご紹介!」で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

みなし労働時間制を導入している

みなし労働時間制とは、事前に決めておいた労働時間を「働いたとみなす」制度です。外回りの多い営業職など、労働時間を正確に把握するのが難しい場合に適用されます。また、みなし労働時間制における労働時間は、1日8時間、週40時間以内に設定するのが原則です。

みなし労働時間制の特徴として、労働者の裁量で拘束時間を短くできる点が挙げられます。たとえば、効率的に仕事を進めた結果、1日6時間で業務が終わった場合でも、8時間分の給料が支払われるのがポイントです。

特例措置対象事業所に該当する

特例措置対象事業所とは、理美容業や診療所、飲食店といった特定の事業において、常時10人未満の労働者を使用する事業所をいいます。特例措置対象事業所の労働時間は、1日8時間、週44時間まで認められており、週6日勤務が可能です。たとえば、月〜金は8時間勤務し、土曜日は4時間の半日勤務が可能となります。

拘束時間が長くなる際に確認すべき36協定とは

拘束時間が長くなる際に確認すべき36協定とはの画像

拘束時間が長くなる際は、前述した36協定を結んでいるかどうかを確認してみましょう。以下で、36協定について詳しく説明します。

時間外労働や休日労働に関する協定

36協定とは、法定労働時間を超えて働く場合に、企業と労働者で結ぶ協定のことです。労働基準法に基づく協定のため、36協定(時間外労働・休日労働に関する協定)と呼ばれています。企業は、労働者と36協定を結んだうえで、労働基準監督署に届け出をしなければなりません。

厚生労働省の「36協定で定める時間外労働及び休日労働 について留意すべき事項に関する指針」によると、時間外労働の上限は月45時間・年360時間で、臨時的な特別の事情がない限り、これを超えて働くことはできません。臨時的な特別の事情があって労働者と使用者が合意する場合でも、年720時間、複数月平均80時間以内、月100時間未満(休日労働を含む)を超えて働くことは禁止されています。

参照元
厚生労働省
労働基準関係リーフレット

拘束時間はどれくらい?所定労働時間を確認する方法

拘束時間はどれくらい?所定労働時間を確認する方法の画像

拘束時間を決めるのは、所定労働時間と休憩時間、残業時間です。所定労働時間と休憩時間は、就業規則や労働契約によって決められていますが、詳細は会社ごとに異なります。
雇用主は面接時や採用時などに、始業時間と終業時間、休憩時間について口頭や書面で明示する決まりです。そのほか、所定労働時間を超える労働の有無や、休暇・休日についても明示しなくてはなりません。つまり拘束時間を調べるなら、雇用契約書や労働条件通知書を確認すれば良いでしょう。

雇用契約書

雇用契約書とは、雇用主と労働者が労働条件に合意し、雇用契約を締結したことを示す書類です。雇用契約書には、就業場所や業務内容のほか、始業時刻や終業時刻、残業の有無、休憩時間、休日や休暇などが記載されており、おおよその拘束時間を確認できます。

ただし、雇用契約書の作成義務はないため、企業によっては口頭による説明のみで雇用契約の成立となる場合もあるようです。

労働条件通知書

労働条件通知書とは、労働基準法で発行が義務づけられている書類です労働基準法の第15条で、使用者は「労働契約締結の際に、労働者に対し厚生労働省令で定める方法により労働条件を明示しなければならない」と定められています。厚生労働省の「労働基準法に関するQ&A」をみると、記載内容は雇用契約書と基本的に同じですが、あくまでも通知するための書類であり、署名・捺印はありません。

労働条件通知書は原則的に書面で発行されますが、労働者が希望すれば、FAXや電子メール、SMSメッセージでの明示も認められています。また、雇用契約書が労働条件通知書を兼ねている場合もあるので、拘束時間を計算したい人は確認してみてください。

参照元
厚生労働省
労働基準法に関するQ&A

拘束時間が長い仕事とは?

拘束時間が長い仕事とは?の画像

拘束時間が長いことで知られる代表的な仕事は、トラックドライバーです。特に、長距離のトラックドライバーは拘束時間が長くなりがちです。このほか、移動時間が長い高速バスの運転手や飛行機の乗務員なども、拘束時間が長くなりやすい仕事といえます。

また、拘束時間が長くなりやすい職場の傾向として、飲食店や医療機関などが挙げられるでしょう。長時間営業の飲食店は、ランチタイムとディナータイムの間の休憩時間を含めると、拘束時間が長くなることも。午後の診察開始までの昼休憩が長い病院やクリニックも、拘束時間が長くなりやすい職場です。

ドライバーの拘束時間に関する注意点

運送業のドライバーの拘束時間や休息時間については、労働基準法とは別に「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」が設けられています。
そのため、ドライバーとして働く場合は、改善基準告示の内容を把握しておきましょう。

改善基準告示では、トラック運転者の1日の拘束時間は原則13時間までとなっています(宿泊を伴う長距離貨物運送の場合は週2回を条件に16時間まで延長可)。1日の休息時間は継続して11時間以上が基本で、9時間を下回らないことがルールです。この際の1日は、始業開始から24時間が経過するまでの間を指します。

たとえば、午前6時始業の場合、翌日の午前6時までを1日とカウントします。この条件で、3月1日の午前6時から午後8時まで働き、間に休憩を2時間取った場合の拘束時間は、14時間です。さらに、3月2日の午前4時から働いた場合、午前6時までの間の2時間分は前の1日分の拘束時間としてカウントします。つまり、3月1日の拘束時間は、14時間に3月2日に働いた2時間を足した16時間です。拘束時間は日付変更の有無に限らず「24時間」で考えるので気をつけましょう

トラック運転手の1ヶ月の拘束時間は?

トラック運転手の1ヶ月の拘束時間は原則284時間以内です。しかし、厚生労働省の「労働時間等の改善基準のポイント(p.3)」によると、例外として1ヶ月の拘束時間が284時間を超える月は、連続3ヶ月まで認められています。また、労使協定により、1年のうち6ヶ月までは、1年の総拘束時間が3,400時間を超えない範囲で、1ヶ月の拘束時間を310時間まで延長できるようです。

参照元
厚生労働省
自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)

拘束時間や労働時間が長過ぎる場合の対処法

拘束時間や労働時間が異常に長い場合、まずは上司に相談しましょう。それでも解決しなければ、労働基準監督署や労働組合に相談するのも一つの手です。職場での解決が難しい場合は、外部の機関も利用して解決することをおすすめします。
以下で対処法について紹介するので、参考にしてください。

長時間労働を上司に報告・相談する

長時間労働に関しては、まず所属する会社の上司に報告・相談するのが基本です。拘束時間が長過ぎることやそれが原因で業務上に支障をきたしていることを説明し、改善を求めましょう。
会社から改善策を提示された場合は、その後の改善状況を確認することも重要です。

ただし、拘束時間が長くなっている原因が上司の命令である場合、相談に応じてもらえない恐れも。相談をきっかけに職場内で不利な立場になったり不当解雇を受けたりと、パワハラの被害を受ける可能性も考えられます。職場が労働時間の改善に取り組まない場合や、明らかに不当な扱いを受けている場合は、外部の機関を利用しましょう。

労働基準監督署や労働組合に相談する

拘束時間が長くなっている原因が会社や上司にある場合は、労働基準監督署や労働組合などの外部機関を頼りましょう
労働基準監督署とは、厚生労働省の出先機関で企業を監督する監督署です。企業の法律違反を取り締まる機関として国内の全国各地に設置されています。拘束時間の異常な長さのほか、不当な賃金や解雇の相談にも対応するのが特徴です。相談内容に応じて、企業側への注意喚起や勧告を行います。
詳しくは、「総合労働相談コーナーのご案内」をご覧ください。

また、会社に「労働組合」があるなら、まずは組合に相談するのも一つの方法といえます。労働組合とは、組合員の不満や苦情などを会社側に伝え、職場の風通しを良くする組織のこと。労働組合はすべての企業にあるわけではありませんが、2人以上集まれば自由に結成可能です。労働組合については、「労働組合とは何?会社での存在意義や加入方法を分かりやすく解説」で解説しているので、あわせて参考にしてみてください。

参照元
厚生労働省
総合労働相談コーナーのご案内

改善されない場合は転職を検討する

何をしても労働環境が改善されない場合は、転職するのも一つの手段です。思い切って環境を変えることが解決策となる場合もあります。
拘束時間が長すぎる場合、心身に支障をきたす可能性もあるので、無理のない働き方ができる職場を探しましょう。

拘束時間に不満があるときの転職先探しのコツ

拘束時間に不満があるときの転職先探しのコツの画像

「今の職場は拘束時間が長くて転職したい…」と考えている方は、人員配置が徹底されている企業や、風通しの良い社風の企業などがおすすめです。「せっかく転職したのに、転職前と状況が変わらない…」という事態を避けられます。

人員配置が徹底されている企業を選ぶ

転職先を探す際は、人員配置が徹底されている企業を選ぶことをおすすめします。人材不足の企業は、人手が足りていないため入社後多くの仕事を任される可能性が高いでしょう。そのため、拘束時間が長くなりやすい傾向にあるといえます。

一方、十分な人員を配置している企業の場合、適切な業務量を任せられる傾向にあるため、拘束時間が過度に長くなり過ぎる心配はないでしょう。

拘束時間が過度に長い企業を避けるためにも、企業研究をよく行い、人員配置が徹底されている企業を選ぶのがおすすめです。

上司と気軽に話せる風通しが良い企業を選ぶ

仕事を選ぶ際は、上司と気軽に話せる風通しが良い企業に注目してみることをおすすめします。「もう少し残業を減らしたい」「家庭の事情で定時退社したい曜日がある」といったことも、上司にすぐ相談できれば問題を解消して働き続けられるでしょう。

また、上司と気軽に話せる職場は社員間の連携もしやすく、協力して業務を進めやすい傾向にあります。職場全体の拘束時間が適切であれば、「自分だけ先に帰るのは気まずい」といった状況にもなりにくいでしょう。

拘束時間が長すぎるなど、労働時間に不満があり、転職を考えている方は、就職・転職エージェントのハタラクティブにご相談ください。若年層の転職を支援するハタラクティブでは、募集要項だけでは分からない、残業や拘束時間に関する情報もご案内します。

また、一人ひとりの希望条件を聞いたうえで、その人に合った求人を紹介するので、拘束時間が長過ぎる職場に転職してしまうリスクを避けられるでしょう。そのほか、円満退職のコツや面接で好印象を残す方法などもアドバイスすることが可能なので、効率的な転職活動が可能です。興味のある方は、ぜひハタラクティブをご利用ください。

拘束時間に関するQ&A

拘束時間に関する疑問をQ&A方式で解説します。会社の拘束時間が一般的なルールに合っているのか不安な方は、参考にしてください。

拘束時間が長くなりやすい仕事とは?

拘束時間が長くなりやすい仕事は、高速バスやトラックのドライバー、飲食店のスタッフ、医療従事者などが挙げられます。しかし、同じ職種でも企業によって拘束時間は異なるため、就職・転職をする前に確認しておくことがおすすめです。
拘束時間が長くなりやすいドライバーの仕事内容について気になる方は「正社員ドライバーになるには?転職成功のポイントや求人の探し方を解説!」のコラムで詳しく紹介しているので、ご参照ください。

拘束時間と労働時間の違いとは?

拘束時間と労働時間の違いは、「休憩時間を含むかどうか」です。労働時間とは、就業規則で定められた始業から就業までの時間から休憩時間を差し引いた時間を指します。労働時間について詳しく知りたい方は、「法定労働時間とは」のコラムもあわせてご覧ください。

拘束時間に関する相談はどこにしますか?

拘束時間に不満があるときは、まずは上司に相談しましょう。職場での解決が難しい場合は、基準監督署や労働組合など、外部の機関を利用して解決することをおすすめします。外部の機関に相談したい方は、「仕事の悩みを抱えたら誰に相談すれば良い?解決方法も紹介!」のコラムで相談窓口を紹介しているので参考にしてください。

拘束時間に不満があるときはどうしたらいい?

拘束時間に不満があるときは、まずは長時間労働を上司に報告したり相談したりするなどの改善策を試しましょう。それでも何も変わらなければ、人員配置が徹底されている企業や、風通しの良い社風の企業などに転職するのも一つの手です。
ハタラクティブでは、一人ひとりの要望に合った仕事を紹介するので、拘束時間に悩んでいる人も安心です。転職をお考えの方はお気軽にご相談ください。

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