パートやアルバイト、派遣社員、契約社員など、いわゆる「非正規雇用」として働く方のなかには、「無期雇用ってよく聞くけど、正社員と何が違うの?」「5年働いたらどうなるの?」と疑問を持っている方も多いでしょう。
無期雇用とは、簡単に言えば「契約期間の終わりがない働き方」のことです。一定の条件を満たせば「無期転換ルール(5年ルール)」を活用して、雇止め(クビ)の不安なく安定して働くことができます。
このコラムでは、無期雇用の正しい意味や正社員との決定的な違い、無期転換ルールの条件、メリット・デメリットまでを分かりやすく解説します。今後の働き方やキャリアに悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
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無期雇用とは?有期雇用と何が違う?
無期雇用とは、雇用期間に定めのない労働契約のことです。無期労働契約ともいい、契約満了による雇止めの恐れがなく、企業が定める年齢まで働けます。契約期間に定めがあり、更新されるか不確かな有期雇用に比べて、無期雇用は安定した働き方といえるでしょう。
以下のコラムで解説しているように、有期労働契約者は会社都合で仕事がなくなる恐れがあります。安定した就労のためにも、契約社員や派遣社員、アルバイトなどで働く方は無期雇用へ転換するのも一つの方法です。
正社員として働くか、今のまま無期転換するかで悩んでいる方は、以下のコラムもチェックしてみてください。
無期雇用は契約期間に定めがないが、正社員とは違う働き方
無期雇用とは、雇用契約に期間の定めがない働き方を指します。契約社員が契約更新を繰り返して契約期間の通算が5年を超えたとき、無期雇用の申し出をできるのです。はじめから無期雇用として雇われるのではなく、契約社員からの転換により無期雇用となることが多いといえるでしょう。契約社員が1年間などの期間が定められていることに対して、無期雇用の社員は契約期間の定めがないため、契約期間の満了ということはなく安定した雇用が期待できます。
無期雇用になると、原則として解雇や雇止めが困難になる一方、勤務態度や能力に関する会社の期待も高まる傾向があるでしょう。さらに、正社員と無期雇用は違うことに注意が必要です。正社員も契約期間の定めがない社員ですが、正社員と無期雇用とでは待遇に差がある会社が一般的です。
無期雇用は必ずしも正社員待遇になるわけではなく、賃金や福利厚生の内容は企業によって異なります。労働条件を事前にしっかり確認することが重要です。安定性と働き方のバランスを考慮したうえで選択する必要があります。
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無期雇用と「正社員」の決定的な3つの違い
「雇用期間に終わりがないなら、無期雇用=正社員ってこと?」と勘違いされがちですが、両者は全く別物です。パートや契約社員が無期雇用に転換した場合と、一般的な正社員とでは、以下のような決定的な違いがあります。以下で確認してみましょう。
1. 給与・賞与・退職金などの「待遇」
無期雇用は、あくまで「働く期間の制限がなくなるだけ」です。そのため、基本給が上がったり、正社員と同じようにボーナス(賞与)や退職金がもらえるようになったりするとは限りません。多くの企業では、時給や手当などの労働条件は「有期雇用の時と同じ(据え置き)」となります。
2.業務の責任範囲や転勤の有無
正社員は、将来の幹部候補として責任の重い業務を任されたり、部署異動や転勤を命じられたりすることが一般的です。一方、契約社員やパートから転換した無期雇用の場合は、業務の範囲や勤務地、勤務時間が限定されているケースが多く、正社員ほどの重い責任や転勤を求められない傾向にあります。
3.正社員は無期雇用の「一つの形」
法律上、正社員は「フルタイム勤務で、直接雇用で、無期雇用の労働者」と定義されます。つまり、正社員は無期雇用の数ある働き方の「一つの形」にすぎません。無期雇用の中には、「無期雇用のパート」や「無期雇用の契約社員」も存在するということを覚えておきましょう。
無期転換ルールは雇止め不安を解消する労働者の法的権利です
無期転換ルールとは、同一使用者との有期労働契約が通算5年を超えて更新された場合、労働者の申込みにより無期労働契約へ転換できる制度です。具体的には、契約期間1年なら5回目の更新後、3年契約なら1回目の更新後に申込権が発生し、使用者は拒否できません。
以前、キャリア相談をいただいたなかには、「契約更新の不安で積極的に意見できない」という20代の方がいました。しかし、この制度により雇止めの恐れが解消され、より主体的なキャリア形成が可能になります。実際、申込権を知った契約社員の方が職場で意欲的に業務に取り組み、責任ある業務を任されるようになったと聞きました。
ただし、重要なことは無期転換後の処遇です。直前の有期労働契約の際の労働条件がそのまま引き継がれるなど、労働条件は原則として直前の契約内容のままで、雇用区分は企業により異なります。事前に就業規則を確認し、必要に応じて処遇改善の交渉も検討しましょう。
この制度を足がかりに、さらなるキャリアアップを目指していただきたいと思います。
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通算5年で切り替わる!「無期転換ルール」とは
無期転換ルールとは、「同じ会社(雇用主)との間で、有期労働契約が更新されて通算5年を超えた場合、労働者の申し出により無期労働契約に転換できる」という制度です。2013年に制定されました。
パート・アルバイト・契約社員も対象
無期転換ルールは契約社員だけでなく、パート、アルバイト、派遣社員(派遣元企業との契約)など、名称に関わらず条件を満たせばすべての有期雇用労働者が対象となります。無期転換ルールや無期労働契約について詳しく知りたい方は、厚生労働省のWebサイトを確認してみましょう。
参照元:厚生労働省「有期契約労働者の無期転換ポータルサイト」
【要注意】自分から申し出ないと転換されない
非常に重要な注意点として、5年経過したからといって自動的に無期雇用に切り替わるわけではありません。
無期転換を希望する場合は、権利が発生した契約期間中に、労働者自身が会社に対して「無期転換を希望します」と申し出る必要があります。会社側に通知する義務はないため、自分で期間を把握しておくことが重要です。
会社は無期転換の申し出を拒否できない
通算5年を超え、労働者から無期転換の申し出があった場合、会社側はそれを拒否することはできません。労働契約法18条にあるとおり、申し出た時点で自動的に「無期労働契約」が成立したとみなされます。
もし「無期転換するなら辞めてもらう」などと言われた場合は不当解雇(雇止め)にあたるため、労働基準監督署や労働局に相談しましょう。
参照元:e-Gov法令検索「労働契約法」
無期雇用になる(無期転換する)3つのメリット
契約社員やパートが無期雇用に転換することには、3つのメリットがあります。以下でそれぞれのメリットについて詳しく解説するので、チェックしてみてください。
無期雇用になる(無期転換する)メリット
- 雇止めの不安がなくなり、安定して働ける
- 収入が途切れる心配がない
- 長期的なキャリアアップ・スキルアップが見込める
雇止めの不安がなくなり安定して働ける
無期雇用になる大きなメリットとしては、契約更新のたびに「契約を切られるかもしれない(雇止め)」という不安から解放されることが挙げられます。定年まで安定して会社に在籍できるため、精神的な余裕が生まれるでしょう。契約更新の面談に不安を感じている場合は、それ自体がなくなるため、目の前の業務に集中して取り組めるようになることも考えられます。
また、職場の同僚とも長期的な信頼関係を築きやすくなり、より働きやすい環境を作ることも可能でしょう。
収入が途切れる心配がない
突然仕事を失うリスクが減るため、収入が途切れる心配がなくなる点もメリットの一つです。毎月の収入が安定するため、引っ越しや住宅・車の購入など、将来に向けたライフプランや資金計画が立てやすくなります。また、雇用が継続されることにより社会的な信用が上がるため、有期雇用の時と比べて、クレジットカードの作成や賃貸物件の入居審査などに通りやすくなる点も大きなメリットと言えるでしょう。
長期的なキャリアアップ・スキルアップが見込める
「いつまでこの会社にいられるか分からない」という状態では、新しいスキルを身につけるモチベーションを保ちにくいものです。無期雇用になれば、その会社でじっくり腰を据えて働くことができるため、長期的な視点で資格取得やスキルアップに挑戦しやすくなるでしょう。企業側も「長く自社で働いてくれる人材」として認識するようになるため、手厚い社内研修を受けられたり、より中核的な業務を任されるチャンスが増えたりする傾向にあります。
無期雇用になる(無期転換する)際のデメリット・注意点
無期雇用になるメリットがある一方で、無期転換を申し出る前に知っておくべきデメリットや注意点もあります。詳細は以下をご確認ください。
無期雇用になる(無期転換する)際のデメリット・注意点
- 給料や待遇が上がるとは限らない
- 責任ある業務(リーダーなど)を任される可能性がある
給料や待遇が上がるとは限らない
前述したように、無期転換は「期間」に関するルールであり、労働条件(給与や手当など)を正社員並みに引き上げるルールではありません。企業が独自に就業規則で「無期転換社員向けの待遇」を定めていない限り、基本的には有期雇用の時の給料のまま働き続けることになります。
「無期雇用になればボーナスが出るはず」と期待していると、現実とのギャップに不満を抱く原因になりかねません。自分の会社で無期転換した場合の給与体系がどうなるのか、事前に就業規則を必ず確認しておきましょう。
責任ある業務(リーダーなど)を任される可能性がある
給与は変わらないまま、長年勤めているベテランとして「新人教育」や「シフト管理」「チームリーダー」といった責任の重い業務を任されるようになるケースもあります。無期転換を申し出る前に、転換後の業務内容や条件について上司や人事にしっかり確認しておきましょう。
会社からの期待値が上がることで、結果的に残業が増えたり、これまでのような自由な働き方が難しくなったりする可能性もあります。自分の希望するワークライフバランスが保てるかどうか、慎重に見極めることが大切です。
「無期雇用派遣」とは?一般的な派遣との違い
派遣社員として働く場合、近年増えているのが「無期雇用派遣(常用型派遣)」という働き方です。一般的な「有期雇用派遣(登録型派遣)」とは以下の点が異なります。
派遣会社との雇用継続が保障される安定性の高い働き方です
無期雇用派遣は、派遣会社と期間の定めのない労働契約を結ぶ働き方で、従来の登録型派遣とは大きく異なります。私がキャリア相談でお会いする20代の方々から「派遣は不安定」という声を聞きますが、無期雇用派遣なら派遣先が終了しても雇用関係は継続し、待機期間中も給与が支払われます。
特に注目すべきは、労働者派遣法改正により派遣会社にキャリア形成支援制度の整備が義務化された点です。計画的な教育訓練を受けながら、多様な職場で経験を積めます。また、派遣の「3年ルール」の対象外となるため、同一組織で長期間スキルを磨くことも可能です。
これまで、私が実際にキャリア支援した方では、ITスキルを身につけながら複数の企業で経験を積み、最終的に希望企業への正社員転換を果たしたケースもあります。
無期雇用派遣で働く際には、派遣会社選びがとても重要です。教育制度の充実度、正社員転換実績、福利厚生の内容などを事前に必ず確認しましょう。将来的な正社員転換を視野に入れつつ、まずは安定した雇用基盤を築く選択肢として検討してみてくださいね。
待機期間中(派遣先がない時)も給料が出る
通常の派遣社員は、派遣先企業が決まって初めて派遣会社と雇用契約を結ぶため、派遣期間が終了し次の仕事が見つかるまでの「待機期間」は給料(収入)がゼロになります。
しかし、無期雇用派遣は派遣会社(派遣元)の「正社員(または無期契約社員)」として雇用されるため、派遣先がない待機期間中であっても給料が支払われ、収入が途絶えません。
無期契約社員は雇用期間に定めのない契約で、正社員とは待遇差があることが多い
無期契約社員とは、雇用期間に定めのない契約で働く社員のことを指します。有期契約社員は半年や1年など契約期間があり、更新のたびに契約期間満了で退職するリスクがありますが、無期契約社員は期間の制限がなく、安定した雇用が見込めるでしょう。多くは「無期転換ルール」により、同一企業で有期契約として5年を超えて働いた労働者が希望すれば無期雇用へ転換できる制度に基づき成立します。
正社員との違いは、主に待遇面や就業条件にあるといえるでしょう。無期契約社員は雇用期間が無期限である点では正社員と同じですが、賞与(ボーナス)や昇給、福利厚生、昇進の機会、異動・転勤の有無などにおいては正社員より限定的であることが一般的です。また、業務内容も限定されているケースがあり、会社によってはキャリアアップが難しい場合もあります。したがって、安定性はあるものの、正社員と比べて処遇や将来性に差が出るのが一般的です。
派遣の「3年ルール」の対象外になる
派遣法には「同じ派遣先の同じ部署で働けるのは最長3年まで」というルール(派遣の3年ルール)があります。しかし、無期雇用派遣の労働者はこのルールの対象外となるため、自分と派遣先企業が望めば、3年を超えて同じ職場で長く働き続けることが可能です。
【まとめ】無期転換か正社員として就職するか迷ったらどうする?
無期雇用(無期転換)は、雇止めの不安をなくし、同じ職場で長く安定して働き続けたい非正規雇用の方にとって非常に有効な制度です。
しかし、「せっかく長く働くなら、ボーナスや退職金が出る正社員になりたい」「給料や待遇もしっかり上げたい」と考えるのであれば、正社員への転職を目指すのがおすすめです。
「今の職場で無期転換を申し出るべきか、正社員を目指して転職すべきか迷っている」「これまでの経験を活かして正社員になりたい」とお考えの方は、若年層の就職・転職支援に特化したエージェント「ハタラクティブ」にご相談ください。
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無期雇用に関するQ&A
今の会社で無期雇用で働きたいと考えている人もいるでしょう。ここでは、無期雇用に関する悩みや疑問についてQ&A形式でまとめているので、参考にしてみてください。
無期雇用になる条件はなんですか?
2013年4月以降に、同じ企業での有期雇用契約が通算5年を超えた状態で更新されており、なおかつ本人から企業へ申し出がある場合に無期雇用への転換が可能となります。無期雇用に転換すると、契約更新の必要がなく、雇用期間を気にせず働くことが可能です。
ただし、無期雇用に転換しても雇用形態が正社員に変わるわけではないので、注意しましょう。また、無期雇用になっても勤務態度に大きな問題がある、会社に大きな損害を与えた、犯罪行為をしたなどの場合は正当な解雇理由になるので、社会人としての良識を忘れずに働くことが大切です。
無期雇用とは正社員と同じですか?
無期雇用と正社員は同じではありません。パートや派遣、契約社員から契約期間の定めがなくなるだけで、雇用形態はそのままです。
正社員になりたいと思っている方は、転職を検討してみましょう。企業によっては正社員登用制度を設けているところもあるので、調べてみるのもおすすめです。
無期雇用を申し出たらクビにされますか?
企業側は、無期雇用転換を申し出たことを理由に労働者を解雇することはできません。企業側は無期転換の申し出を断ることは原則不可能です。また、労働契約法第16条により、客観的に合理的な理由もなく、社会通念上相当と認められない場合は解雇できません。そのため、条件を満たしており、普段の勤務態度に大きな問題がなければ、基本的に無期雇用転換は可能です。
参照元:e-Gov法令検索「労働契約法」
無期雇用派遣で働くメリットは?
無期雇用派遣の場合は「3年ルール」の対象外となるため、契約の更新を気にせず長期間働くことが可能です。
また、労働者派遣法改正により、派遣会社に「キャリア形成支援制度」の設置が義務づけられたため、キャリアアドバイスや研修を受けられる環境が整っています。キャリア形成がしやすくなるのは、派遣社員が無期労働契約を結ぶ最大のメリットといえるでしょう。
無期契約社員と限定正社員は何ですか?
限定正社員は、育児や介護などと仕事を両立するために勤務地や業務内容、労働時間を一定の範囲内に限った雇用形態です。契約社員やパートと違って、限定正社員にはもともと契約期間の定めがありません。そのため、通算5年以上働かないと無期転換できない契約社員とは異なります。
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