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モラトリアムとは?心理学的な意味や就活に向けて脱却する方法を解説
更新日
この記事のまとめ
- モラトリアムとは猶予期間を意味する言葉で、政治・経済・心理学などの分野で使われる
- 心理学におけるモラトリアムを簡単にいうと、社会の一員になるまでの準備期間のこと
- モラトリアム人間とは、長期間モラトリアム状態のニートやフリーターなどのことを指す
- モラトリアムは、回避・拡散・安易・延期・模索の5つの要素で構成されている
- モラトリアム人間から脱却するには、自分の現状としっかり向き合うことが大切
「モラトリアム」の言葉は聞いたことがあっても、意味がよく分からない人もいるでしょう。モラトリアムは「猶予」を意味する言葉ですが、政治や経済、心理学など使用場面によってニュアンスが異なるため、正しい理解が必要です。このコラムでは、モラトリアムの意味とともに、モラトリアム人間やモラトリアム症候群といわれる人の特徴、脱却方法を説明します。モラトリアム期間が長い方は、できることから始めて脱却しましょう。
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モラトリアムとは?各分野における意味は?
モラトリアム(moratorium)は「猶予期間」を意味する言葉です。本来は金融関係で使われていた言葉ですが、政治や経済、心理学などで使われることもあり、文脈によってニュアンスが異なります。各分野における「モラトリアム」の意味を確認しましょう。
政治・経済・金融でのモラトリアムの意味
政治・経済・金融の分野におけるモラトリアムとは、戦争や天災、経済恐慌などの非常事態が起きたときに社会情勢の混乱を避けるため、国が債務の支払いを一時的に猶予する措置のことを指します。
実際、世界恐慌時には「フーヴァーモラトリアム」と呼ばれる賠償金支払いの猶予期間が設けられました。死刑執行の停止や、法律の公布から施行までの期間をモラトリアムと呼ぶこともあります。
発達心理学でのモラトリアムの意味
発達心理学の分野では、青年期から社会人として責任のある立場になるまでの期間をモラトリアム(猶予期間)といいます。アメリカの心理学者であるエリクソンが提唱した考え方で、日本では発達心理学における意味で「モラトリアム」を使うのが一般的です。
派生語である「モラトリアム人間」とは、進学や就職を先延ばしにしたり、長期間にわたって自分探しを続けたりする人のこと。「モラトリアム症候群」とは、大人としての社会的責任や義務を担うことに不安を感じて先延ばしにし、社会への適応が難しくなっている状態を指します。実際に、大学や大学院を卒業したあと、モラトリアムを理由にフリーターになる人も少なくありません。
「高学歴フリーターを続けても大丈夫?将来のリスクと就職成功のコツを解説」では、モラトリアムを抜け出し、正社員になる方法をまとめています。ぜひ参考にしてください。
モラトリアムを構成する5つの要素とは
発達心理学上のモラトリアムは「回避・拡散・安易・延期・模索」の要素が複雑に絡み合って発生します。モラトリアムのあり方は人それぞれです。5つの要素を確認し、自分がモラトリアムに陥っているかチェックしましょう。
モラトリアムを構成する要素
- 回避
- 拡散
- 安易
- 延期
- 模索
1.回避
回避は、就職や結婚、老後などあらゆる人生設計を考えることを避けている状態です。自分の将来や社会的役割に対する不安や迷いがあるために、現実に直面することを避け、あえて結論を先延ばしにしていると考えられます。
回避の要素が強いと、ニートや引きこもりになる可能性もあるでしょう。現状が問題なければ良いと考え、定職に就かずフリーターになる人もいます。働きたくないと思う原因は「働きたくない心理の原因は?改善する方法や向いている仕事などを紹介!」でも詳しく解説しているので、あわせてチェックしてみてください。
2.拡散
将来を考えてはいるものの、多くの選択肢に目移りしてしまい、決断が下せない場合は拡散の要素が強いといえます。モラトリアムは自分自身のあり方を考える猶予期間でもあるため、拡散の傾向がある人は多いでしょう。選択肢をしっかり見極めて自分の決断に自信が持てるようになれば、モラトリアムから脱却できる可能性が高まります。
3.安易
安易は、他人の意見に流されやすく、自分の意見を持たない状態のことです。フットワークが軽く、他人に誘われるがままに行動するため、一見モラトリアムではないように見えます。しかし、多くの場合、自分の将来設計を真剣に考えて動いているわけではありません。思慮深さに欠ける安易な行動を繰り返すことは、モラトリアムの特徴の一つといえます。
4.延期
延期は、自分自身がモラトリアムであることを理解している人によく見られる状態です。責任がある社会人になるまでの期間を自分の意思で延期し、大学生・新卒の期間は好きなように過ごそうと考えています。自分で決めたモラトリアムの期間が過ぎれば、社会の一員としての役割をまっとうするでしょう。しかし、うまく気持ちを切り替えられず、社会に出る日をずるずると先延ばしにしている人もいます。
5.模索
具体的に将来を考え、身の振り方を考えている状態が、模索にあたります。モラトリアムにおける5つの要素のなかでは最も人生設計を立てることに前向きなため、社会の一員として活躍できる日も近いでしょう。自己が確立し、やりたい仕事やライフプランが明確になれば、モラトリアムから脱却できるはずです。
やりたいことの見つけ方は「やりたいことが見つからない原因は?見つけるための思考や行動を解説」のコラムを参考にしてください。やりたいことを見つけて、就職につなげる方法を紹介しているので、モラトリアムからの脱却に役立つでしょう。
モラトリアム人間の特徴とは
前述したとおり「モラトリアム人間」とは、大人になる準備期間を終えていても、モラトリアムであり続ける人を指す言葉です。定職に就かずにいる引きこもりの人やフリーター、目的意識の低い学生のほか、自己が確立せずになんとなく働いている社会人などが該当します。モラトリアム人間と呼ばれる人に共通して見られる特徴についてチェックしましょう。
モラトリアム人間の特徴
- 社会的な自己が確立していない
- 決断力が低い傾向がある
- 実現したい目標がない
社会的な自己が確立していない
モラトリアム人間に該当する人は、仕事や家庭、社会にネガティブな感情を持っており、関わりを断とうとする人も少なくありません。社会に溶け込めない自分を認められず、現実を直視せずに自身の価値や能力を過大評価する人もいます。
「自分は世間からもっと評価されるべきだ」と考えているにも関わらず、否定されたり失敗したりするのを恐れ、社会に出ようとしない人もいるでしょう。
決断力が低い傾向がある
モラトリアム人間と呼ばれる人は、自分の人生を左右するような選択を自分で決められない傾向があります。特に、モラトリアムにおける拡散の要素が強い場合、自分で物事を決めるのは難しいでしょう。選択肢をあれこれ欲張ったり他人の意見に流されたりして、納得のいく決断を下せない状況に陥る可能性があります。
実現したい目標がない
実現したい目標や目的がなく、無気力になりやすいのもモラトリアム人間といわれる人に多い特徴です。自分の現状を否定しがちで、向上心が低い傾向があります。将来の目標を立てる気になれず、ニートやフリーターになる人もいるでしょう。物事に対して努力する意味や必要性を見い出せないままだと、何をしても「むなしい」と感じやすくなります。
モラトリアムから脱却する方法
モラトリアムから抜け出すには、自分自身や社会と向き合い、真剣に人生設計を考える必要があります。モラトリアム期は誰もが通る道であり、自分の将来や目標について悩み、考える大切な期間。しかし、モラトリアムが長引くと、社会に適応するのが難しくなります。自分がモラトリアム状態にあると自覚したなら、早急に現状から脱却するために行動しましょう。
現実を直視して客観的に判断する
モラトリアムから抜け出すために、社会から見た自分自身の価値や客観的な判断を受け止めましょう。たとえば、フリーターは正社員に比べて雇用が不安定で低収入な傾向があるうえ、福利厚生などの保障も不十分なケースが多いでしょう。将来何らかの事情で働けなくなったとき、生活に困ってしまう可能性があります。現実を直視すると、このままモラトリアムを続けるのは、自分にとって不利だと気づけるでしょう。
今後の身の振り方を前向きに考える
今後の身の振り方を真剣に考えることも重要です。現実に向き合うと、周りと自分を比べて落ち込んだり、焦ったりすることもあるでしょう。
しかし、モラトリアムから抜け出すには、将来目指すべき姿を思い描き、これから進むべき道を決める必要があります。結論を急ぐとミスマッチにつながるので、焦らずに自分の意志や目標を明確にすることから始めましょう。目標が見つからないと悩んでいる方は「目標が見つからない無気力な日々を変えるには?社会人が今日からできること」のコラムも参考にしてください。
人と関わる機会を設ける
意識的に人との関わりを増やすことも、モラトリアムから抜け出すには効果的です。たとえば、趣味のサークルやボランティア活動に参加して新しい人間関係を築くと、自分の価値観や視野を広げられるでしょう。
異なるバックグラウンドを持つ人々との交流を通じて、新たな刺激が得られる可能性もあります。いろいろな人と関わることで、自分の考え方や行動が社会にどう影響するのかが分かり、現実的な目標を持つきっかけが得られるでしょう。
モラトリアムの期間を決める
モラトリアムから脱却するためには、自分に猶予を与える期間をあらかじめ決めることが重要です。たとえば「半年間は自己分析に集中し、その後は具体的な行動を始める」といった期限を設定することで、モラトリアム状態が無期限に続くことを防げます。期間を決めることで、漠然とした不安から抜け出し、行動を開始するための明確なゴールが見えるようになるでしょう。
モラトリアム人間は就職で不利?
学校卒業後、ストレートに就職した人に比べて、モラトリアム人間と呼ばれる人は就職活動の難易度が高くなる可能性があります。モラトリアム自体は悪いことではありません。しかし、期間が長引くと今後の人生に悪影響を及ぼす場合もあるでしょう。特に、ニートやフリーターといった空白期間は、就活においてネックになりがち。現状を変えたいと考えているなら、早めに就職活動をスタートするのが望ましいといえます。
早いうちに就活を始めたほうが良い理由は「ニートから就職を成功させるには?早く始めるべき理由や就活のコツを紹介」のコラムでも解説しているので、目を通しておくと良いでしょう。
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モラトリアムに関するお悩みQ&A
モラトリアムについてよくある質問にQ&A方式で回答します。
モラトリアム症候群とピーターパン症候群の違いは?
モラトリアム症候群は、社会的な責任を避けて自己探求を続ける状態を指し、特に青年期に見られます。一方、ピーターパン症候群は、大人になりきれず、幼い子どものように自己中心的な言動をする状態のことです。モラトリアムは自己成長のための猶予期間であるのに対し、ピーターパンは成長を拒む傾向が強いという点に違いがあります。
モラトリアムになりやすい期間はいつ?
モラトリアムになりやすいのは、主に思春期から青年期にかけての期間です。
具体的には、高校卒業後から大学生活や就職活動を始めるまでの時期が該当します。モラトリアムになりやすい時期は、自分のアイデンティティや将来の方向性を模索するための期間であり、社会的責任を意識し始める一方で、選択肢の多さから迷いが生じやすくなるでしょう。モラトリアムから脱却し、将来のことを考えたい方は「フリーターを脱却したい!正社員になるための方法と今すぐやるべきこと3つ」のコラムもチェックしてみてください。
履歴書にはモラトリアムでの空白期間はどう書く?
履歴書には、モラトリアム期間中の活動や自己啓発に努めた内容を記載しましょう。
たとえば、スキルアップのための勉強や資格取得、ボランティア活動など、具体的な活動内容を書くことで、空白期間をポジティブにアピールできます。空白期間を正直に記載し、モラトリアム中に得た学びや成長に繋がったことを伝えることが大切です。履歴書の空白期間の書き方に悩む場合は、ハタラクティブにご相談ください。履歴書の書き方はもちろん、面接対策もしっかりサポートいたします。
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一人ひとりの経験、スキル、能力などの違いを理解した上でサポートすることを心がけています!
京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。