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業務委託とは?働き方や正社員との違いをわかりやすく解説!
更新日
この記事のまとめ
- 業務委託とは、請負契約と委任契約の2つを総称する言葉
- 業務委託と派遣の違いは、「企業の指揮監督を受けるか」「責任はあるか」の2つ
- 業務委託の契約では「契約書の作成」「契約内容の確認」「収入印紙の有無」に注意
- 業務委託のメリットとは「業務の選択ができる」「高収入を狙える」など
- 業務委託のデメリットとは「自分に責任の所在がある」「労働法で保護されない」など
「業務委託とはどんな働き方?」と疑問に思っている方もいるでしょう。業務委託とは、企業に雇用されることなく仕事を請け負う働き方です。「自分のペースで自分に合った仕事がしたい」と考える方に向いている働き方ですが、すべてを引き受けなければならない大変さもあります。このコラムでは、業務委託の詳細やメリットとリスクをご紹介。業務委託と正社員のどちらが良いか迷っている方は、参考にしてみてください。
業務委託とは?
業務委託とは、企業に所属する社員ではなく外部の企業、または個人に業務を委託することです。また、雇用関係を結んでいない企業と仕事を行い、報酬を得る働き方を指します。
業務委託は、正社員やアルバイト、パートなどの雇用形態とは異なるため、契約を締結する際には注意が必要です。
業務委託契約を結ぶと、企業に対して労働力ではなく成果物を提供することに。アルバイトや正社員のように「働く時間」ではなく、主に委託された仕事の「成果」で報酬が決定します。働く時間などの決まりはないため、期日までに成果物を提供できれば比較的自由な働き方ができるのが特徴でしょう。
法律における業務委託とは
業務委託は、法律で明確に定義されているものではありません。ただし、民法に「請負」があり、契約内容や義務・責任、報酬や成果物については記載があります。
しかし、業務内容の詳細は企業や案件によって異なるため、実際に契約する際は個別に内容を決める必要があるでしょう。業務委託契約の種類や法律で規定されている内容について、次の項で詳しく解説します。
参照元
e-Gov法令検索
民法
業務委託の種類
業務委託は依頼された業務を行って報酬を得る「請負」「委任」「雇用」のうち、「請負」と「委任」の2つを指す言葉です。業務委託である「請負」と「委任」の契約について以下で詳しく解説します。
業務委託の「請負契約」とは
請負契約とは、「民法第632条」によれば、企業が依頼した業務を行って成果物を完成させ、それに対して報酬を得る契約です。
成果物を完成させるまでの過程(業務内容やかかった時間)ではなく、あくまでも「成果物が依頼どおりか」「しっかり納品されているか」など成果物に対して報酬が支払われます。この性質上、プログラマーやライター、デザイナーといった職種が請負契約を結ぶことが多いようです。
業務委託の「委任(準委任)契約」とは
委任契約とは、「民法第643条」によれば、自分の代わりに法律行為をすることを相手に依頼し、相手方がそれを承諾することで発生する契約です。
委任(準委任)契約は、請負契約とは異なり、成果物に対する責任は問われません。成果物ではなく、業務そのものに対して報酬が支払われます。この性質上、弁護士や受付、美容師、医師などが委任(準委任)契約を結ぶことが多いでしょう。
なお、委任と準委任の違いは、業務内容が法律行為かどうかです。弁護士など法律行為を行うのが委任、コンサルタントなど法律行為ではない業務は準委任となります。
参照元
e-Gov法令検索
民法
業務委託と正社員・派遣社員の違いとは?
業務委託と正社員・派遣契約は、それぞれ雇用契約が異なります。それにともない、指揮監督権や報酬の支払い方なども違うので、以下で確認しておきましょう。
業務委託と正社員の違い
正社員は、勤め先の企業と雇用契約を結んでいます。雇用契約が結ばれていると、雇い主と従業員の関係になり、雇い主側(企業側)に指揮命令権が発生するのが特徴です。また、従業員(正社員)は会社に勤務時間分の労働力を提供し、その対価として雇い主が給与を支払います。
それに対して、業務委託の働き方は企業の指揮命令下に置かれません。また労働力ではなく「成果物」を提供する点に違いがあります。
業務委託と派遣社員の違い
業務委託と派遣社員はどちらも業務を依頼する企業に直接雇用されない働き方です。業務を依頼する企業にとっては、派遣と業務委託のどちらも「外部への業務依頼」であることに変わりはありません。しかし、派遣社員は企業の指揮監督下に置かれる一方、業務委託は指揮監督下に置かれないのが特徴です。
業務の成果物に対する責任については、派遣契約の場合は派遣先企業が負い、業務委託の場合は業務をした本人が負います。一方で、業務委託は自身の権限で動くため、責任の所在は本人です。派遣社員の働き方に関しては、「フリーターと派遣社員の違いとは?正社員をおすすめする理由も解説」のコラムで詳しく紹介していますので、参考にしてみてください。
アルバイトとの違いとは?
業務委託とアルバイトの違いは、雇用契約の有無です。アルバイトは企業と雇用契約を結ぶ働き方で、決められた時間に働き、労働力への対価として給料を受け取ります。また、アルバイトには労働基準法が適用される点も業務委託との違いの一つ。一定の条件を満たせば、社会保険に加入できます。
つまり、アルバイトは雇用契約としては正社員に似ていますが、無期雇用ではありません。正社員と違い雇用期間に定めがあるため、雇用・収入が不安定な点は業務委託と類似します。
業務委託は個人事業主?
業務委託は企業と雇用契約を結ばず対等な関係となるため、個人事業主になります。副業で業務委託を行う場合も個人事業主として仕事を請け負うため、開業届や確定申告が必要になるでしょう。個人事業主や自営業については、「自営業とは?確定申告は必要?個人事業主との違いや税金・社会保障を確認!」のコラムでご確認いただけます。
業務委託とフリーランスの違いは?
フリーランスは案件ごとに仕事を請け負って働く人や働き方をいいます。業務委託との違いは、税務署に開業届を出したかどうかです。開業届を出さずに、単発の仕事を請け負う場合はフリーランスと定義されるでしょう。たとえば、エンジニアやデザイナー、ライター、人事、営業など様々な職種でフリーランスとして活躍する人が増えています。
業務委託の5つのメリットとは?
業務委託とは、「企業の監督下に置かれず自由に業務を進められる」というメリットがある働き方です。そのほか、業務委託の主なメリットとして、以下の5つが挙げられます。
業務委託のメリット
- 自分が得意な業務のみを行える
- 業務内容によっては高収入を狙える
- 業務を自由に進められる
- 依頼された業務を断る自由がある
- 人間関係のわずらわしさがない
1.自分が得意な業務のみを行える
業務委託は業務の選択権が自分にあるので、得意なものを選んで働ける点がメリットです。これは、自分で業務内容を選ばず、企業の指揮監督のもと業務を進める必要がある雇用契約に比べて、特徴的なところといえます。
自分に合った適職の見つけ方について、「適職の見つけ方を解説!好きなことだけでなく得意なことを探そう」のコラムで詳しく紹介していますので参考にしてください。
2.業務内容によっては高収入を狙える
業務委託のなかでも専門性や難易度が高い業務内容は、それだけ報酬額も大きい傾向にあります。実力があれば、専門性の高い業務に携わり、高収入を得ることも可能でしょう。
雇用契約では、月の収入額があらかじめ決められていることが多いので、働いても報酬額に限界があります。しかし、業務委託では仕事をこなすほど収入が得られるため、働き方や仕事内容によっては高収入を狙えるのは大きなメリットといえるでしょう。
3.業務を自由に進められる
業務委託は雇用契約と違い、業務の進め方に関して企業の指揮監督を受ける立場にない働き方です。そのため、比較的自由に業務を進められるのがメリット。納期までに成果物を完成させて納品すれば、業務の場所や作業時間帯は問われないので、自分に合った効率が上がる働き方を選べます。
4.依頼された業務を断る自由がある
業務委託では、企業から依頼された業務に対して自分が「できない」と判断すれば、その業務を断れます。先述したように、雇用契約と違い、業務において誰の指揮監督下にもないからこそのメリットといえるでしょう。
5.人間関係のわずらわしさがない
業務委託は基本的に1人で仕事を行うため、人間関係のわずらわしさが極めて少ないです。固定された人間関係がなく、苦手な人と我慢して付き合うストレスがありません。契約内容にもよりますが、依頼主との関係は案件が終われば解消されるので、その点をメリットと感じる人もいるようです。
業務委託の5つのデメリットとは?
業務委託の「自由」という主なメリットは、裏を返せば、業務についてはすべて自分に責任があり、外部によって保護されないというデメリットがあるということです。
以下、業務委託の主なデメリットを5つ説明します。
1.業務が労働法によって保護されない
業務委託の大きなデメリットは、労働法によって保護されないことでしょう。先述したように、「労働者」には当たらないため、労働者を守るための法律である労働法の適用を受けません。そのため、最低賃金や最大労働時間などは保障されず、これらに関してはすべて自己管理する必要があります。
また、業務中に事故などが起きたとしても、労災による補償がなく、補助を受けられない点も特徴的です。
2.自分で企業との契約交渉をする必要がある
業務委託では、どのような契約で企業と働くのかを自ら交渉する必要があります。直接雇用の場合、あらかじめ雇用契約の内容が決まっており、それを労働者が承諾するという形が基本です。転職時に給料交渉などをする人もいますが、成果物や働き方に関する交渉は基本的にないでしょう。
しかし、業務委託では、企業と対等な立場で契約を結びます。契約を結ぶ際には「自分に不利な点がないか」「企業にあまりにも有利な条件になりすぎていないか」などに注意を払い、慎重に契約を結ぶのが大切です。
3.自分で確定申告を行う必要がある
業務委託では、所得税や住民税などの税金を払うために、年度末に自ら確定申告をする必要があります。雇用契約であれば、源泉徴収で毎月の給与から税金が天引きされ、年末調整で正しい税金額に修正されたうえで行政に支払われます。つまり、企業側が自分の代わりに税金を納めてくれるのです。
業務委託として働くと年度末の確定申告は必ず行わなくてはならず、忘れると税金未払いとなり、ペナルティが課されることも。また、確定申告では1年間の報酬や経費などすべて遡って計算しなくてはならないため、大変な作業と感じる人が多いようです。
確定申告の方法や必要なものについて、「フリーターは確定申告が必要?やり方や準備すべき書類を紹介」のコラムで詳しく紹介していますので参考にしてください。
4.自ら動いて仕事を取りに行く必要がある
業務委託とは、仕事を求めて自ら動かなくてはならない働き方です。雇用契約であれば、基本的に企業から仕事を与えられるため、「する業務がなく報酬がもらえない」ということにはならないでしょう。
しかし、業務委託の場合は、いつでも仕事がもらえるわけではありません。営業活動をしたり、募集のある案件に毎回応募したり、その都度自分で仕事を確保する必要があります。そのため、いつも仕事が一定程度あるとは限らず、収入の不安定さにつながるのがデメリットといえるでしょう。
5.仕事を教えてくれる人に出会える機会が減る
業務委託契約で働くと、仕事を教えてくれる人に出会える機会が減る可能性があります。業務委託契約者は会社の社員ではないため、自社社員を教育するように仕事を教えるメリットが企業側に少ないからです。
そのため、業務委託契約の場合、自分でスキルを身に着けたり、成長できる仕組みを見つけたりしなければいけないことにデメリットを感じる方もいるでしょう。
業務委託が備えるべきリスク
業務委託は働き方が自由である一方、何かあった際の責任もすべて自分で負うことになります。そのため、以下のようなリスクに日ごろから備えておく必要があるでしょう。
- ・すべてを自己管理しなければならない
- ・「仕事が終わらなかった」では済まされない
- ・自分でスキルを磨かなければならない
業務委託はスケジュール管理や体調管理など、すべてをセルフマネジメントしなければなりません。正社員が会社を休んだ場合、必要に応じて誰かが仕事を代行してくれます。しかし、業務委託は納期までに自力で仕事を終わらせなければ、報酬を受け取れなかったり、トラブルに発展したりするリスクがあるでしょう。
また、正社員のように会社が教育の機会を与えてくれることもないので、自らスキルを磨く必要があります。スキル不足で業務委託を続けられなくなるリスクに備えて、自己学習でレベルアップを図るのが大切です。
業務委託の働き方が向いている人の特徴
この項では、業務委託の働き方が向いている人の特徴を解説します。業務委託には専門性が高い人や、そのときどきに応じた変化を楽しめる人が向いてるでしょう。
自由な働き方を求める人
業務委託の働き方は、企業に属さず自由な働き方を求める人におすすめです。業務委託は働く時間や場所、休むタイミングなどすべてを自分で決められます。また、異動や転勤もないので、私生活と仕事をバランス良く保ちたい人に向いているでしょう。
業務委託の働き方について、「委託社員とは?働くメリット・デメリットやほかの雇用形態との違いも紹介」でも解説していますので、あわせて参考にしてみてください。
自己管理能力が高い人
前述の通り、業務委託にはセルフマネジメントが欠かせないため、自己管理能力が高い人に向いています。業務委託は納期を守ることはもちろん、クオリティを維持しなければ次の仕事が来ない恐れも。
そのため、オンオフの切り替えやモチベーションの維持など、さまざまな場面で自己管理が必要です。会社であれば周りの人に刺激を受けることもありますが、業務委託は自分で自分を律する能力が求められます。
チャレンジ精神の旺盛な人
業務委託は短期間で仕事が変わる場合もあるので、チャレンジ精神が旺盛な人に向いています。依頼主によって仕事の進め方やコミュニケーションの取り方、活用するツールなどが変わることもありますが、そのような状況を前向きに考えられる人であれば業務委託を楽しめるでしょう。
特定のスキルを活かしたい人
業務委託は、特定のスキルを活かすことに注力したい人に向いています。業務委託には、理念への共感や会社へのエンゲージメントは求められません。企業に雇用される場合は、スキルのほかにも価値観や社風との相性、ある程度の帰属意識などが必要になります。スキルがあっても企業との方向性が合わないと判断されれば、重要な仕事を任せてもらえない可能性もあるでしょう。
もちろん、業務委託にもビジネスマナーやある程度の相性は求められますが、それよりもスキルや成果が重視されるのが特徴です。
人付き合いが得意な人
業務委託に固定された人間関係はないものの、多種多様な依頼主と意思疎通を図るためのコミュニケーション能力は必要です。継続的に仕事をもらううえでも、報告・連絡・相談を大切にできる人に向いています。会社と違って毎日顔を合わせるわけではないため、丁寧なコミュニケーションが求められるでしょう。
業務委託と契約する企業側のメリット・デメリット
企業が業務委託と契約するのは、教育コストをかけずに即戦力を得られるのが利点の一つです。ただし、必ずしも自社と相性の良い業務委託が見つかるとは限らず、コミュニケーションロスや情報漏洩といったリスクもあります。
業務委託と契約する企業側のメリット
業務委託と契約すると、必要なタイミングで即戦力を得られるのが企業側のメリットです。採用プロセスにかかる時間や労力を削減できるうえ、教育コストも軽減できます。社員と業務委託の役割を分担することで、生産性の向上も期待できるでしょう。
そのほか、業務の増減に応じて柔軟に人材を調整でき、大きなプロジェクトが決まった際も速やかに対応しやすくなります。
業務委託と契約する企業側のデメリット
業務委託との契約における企業側のデメリットには、「コミュニケーションが取りにくい場合がある」「情報漏洩リスクがある」「社員のスキルが向上しにくくなる」などがあります。
業務委託の働き方を企業側が管理することは難しいため、連絡が取れる時間帯や常識・マナーにズレがあることも。また、業務委託側のセキュリティ管理が甘い場合は、情報漏洩リスクもあるでしょう。そのほか、業務委託に依存し過ぎると社内に知見が溜まらず、社員の成長を妨げる場合もあります。
業務委託として仕事を始める流れ
業務委託として仕事を始める際は、税務署に開業届を出すところから始まります。自分で仕事を探し、良い取引先が見つかったら契約書を作成しましょう。
税務署に開業届を出す
業務委託になりたいと思ったら、税務署に開業届を出しましょう。開業届の用紙は国税庁のWebサイトからダウンロードが可能です。提出先は居住地を管轄する税務署になるので、「税務署の所在地などを知りたい方」で検索してみてください。ま
た、e-Taxを使ってオンラインでも提出できます。開業届の提出は業務開始から1カ月以内が期限のため、先に仕事が決まっている場合はスケジュールに注意が必要です。
青色申告承認申請書も提出しよう
開業届を出す際、青色申告承認申請書も一緒に提出しておくと便利です。青色申告承認申請書を提出することで、確定申告の際に「青色申告特別控除」を受けられます。確定申告には白色申告もありますが、青色申告のほうが税制優遇が大きいので申請しておくのがおすすめです。確定申告の際に申請しても間に合わないので、開業届と一緒に提出しましょう。
参照元
国税庁
A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続
副業で業務委託契約を結ぶなら会社に確認を取ろう
企業で働きながら業務委託で仕事を請ける際は、開業届を出す前に会社に確認を取りましょう。会社によっては副業を禁止、または許可制としている場合があります。また、「業務内容によっては可能」とする会社もあるので、上司に確認するのが大切です。
未確認のまま業務委託として仕事を請けてしまい、後で発覚してペナルティとなる恐れもあるため、秘密裏に進めないほうが良いでしょう。
自ら仕事を探す
業務委託として働くためには、自分で仕事を探す必要があります。仕事の探し方は、クラウドサービスへの登録や求人サイト、知人からの紹介などが一般的です。
クラウドサービスは、業務内容や自分のスキル、希望報酬額などを登録しておくと依頼が入る仕組みになっています。また、業務委託の求人も掲載されているため、自分から応募するのも可能です。
そのほか、一般的な求人サイトにも業務委託の募集はあるので、小まめにチェックしてみましょう。さらに、個人事業主やフリーランスで多いのは、前職で培った人脈を活かして仕事を獲得するケースです。クライアントや取引先の人と良好な関係を築いておくと、業務委託になってからも自分宛てに仕事を依頼してくれる場合があります。
仕事が決まったら契約書を交わす
実際に仕事を引き受けることになったら、業務委託契約を結びましょう。契約は口約束やメールのみで済ませず、業務委託契約書を取り交わすのが重要です。契約書によってお互いの認識に齟齬がないと確認でき、トラブルを回避できます。契約書でトラブルを回避するポイントについては、次の項で詳しく解説するので参考にしてみてください。
業務委託でのトラブルを回避する3つのポイントとは
正社員やアルバイトが雇用契約書を結ぶのと同じように、業務委託も契約内容を明確にしておくことが重要です。この項では、業務委託契約を結ぶ際に重要な3つの注意点について解説します。
業務委託でのトラブルを回避するポイント
- 必ず契約書を作成する
- 業務委託契約の内容を明確にする
- 収入印紙が必要な契約書かどうかを確認する
1.必ず契約書を作成する
業務委託として個人で仕事をする際には必ず契約書を作成し、契約内容を残しておきましょう。業務委託では、口約束で契約したために言った言わないのトラブルに発展してしまうケースも。たとえ個人的な小額案件だったとしても、書面の契約書を交わしておくのが無難です。
2.業務委託契約の内容を明確にする
企業と契約を結ぶ時点でお互いの認識をすり合わせるよう、以下について契約書にはっきり記載しておきましょう。
業務内容について
引き受ける業務の内容や範囲は、書面で明らかにしておきます。たとえば、デザイナーであれば、キャッチコピーや文章も考えるのか、修正も行うのか、その場合の修正費は発生するのか、といった詳細を決めておく必要があるでしょう。
成果物について
何を成果物とするのかは、請負契約なのか、委任(準委任)契約なのかによって異なるため、その点をしっかりと確認する必要があります。
前述の通り、請負契約の例にはプログラマーやライター、デザイナーなどがあり、完成した原稿や作品が成果物です。一方、委任(準委任)契約の場合は、弁護士や美容師のように労働そのものを提供するため、物としての成果物はありません。
契約期間について
業務委託契約を結ぶ際は、契約期間と更新の有無も重要なポイントです。業務委託の場合、3カ月や半年など、短期間の契約となるのが一般的。ただし、双方から契約終了の申し出がなければ自動更新とするケースも少なくありません。収入の見通しを立てるためにも、契約期間と更新については書面で認識を合わせておくのが大切です。
報酬について
業務委託の報酬は、業務内容によって多種多様な例があります。たとえば、案件ごとに単価が設定されたり、時給制だったりするなどさまざまです。業務終了までにかかる時間や労力、求められるスキルなどを考え、お互いに納得できる報酬を設定しましょう。
また、請求書の締め日や振り込み日なども確認しておく必要があります。
著作権について
成果物の著作権について明確にしておくと、トラブル回避に役立ちます。納品後の著作権は依頼主に帰属するのか、双方が持つのかといった点をクリアにしておきましょう。
著作権について取り決めがない場合、権利は制作者にあります。その場合、依頼主は成果物を自由に使うことができず、「報酬を支払ったのに…」と不満を持つことも。ただし、自分の成果物が思わぬ使い方をされる恐れがあるなら、著作権は制作者にあることを契約書に明記したほうが良いでしょう。
守秘義務について
業務委託契約を結ぶ際は、業務のなか知り得る機密情報について漏洩させてはならないと契約書に明記されるのが一般的です。業務委託として働くといろいろな企業の情報を知ることになりますが、家族や友人に話したり、SNSに載せたりするとトラブルになりかねないので注意してください。なお、守秘義務は契約終了後も守る必要があります。
3.収入印紙が必要な契約書かどうかを確認する
契約内容によっては、契約書に収入印紙が必要になる場合があります。収入印紙とは、行政に対して税金や手数料の支払いに使用する証票のことです。
業務委託が請負契約に当たる場合、その契約書は印紙税法の第2号文書や第7号文書として扱われます。そのため、収入印紙を使用して印紙税を支払う必要があるのです。印紙税の金額は契約の報酬金額によって異なるので、確認のうえ適切な収入印紙を添付しましょう。一般的に委任契約であれば非課税なので、収入印紙は不要です。
業務委託の辞め方とは
業務委託は簡単に契約を解消できるのか不安に思う方もいるでしょう。この項では、業務委託の辞め方について解説します。
業務委託契約書の内容を確認する
まずは、業務委託契約書を確認し、契約終了についてどのような取り決めがあるかを把握しましょう。契約期間が満了のタイミングであれば、更新しない旨を伝えればそのまま終了となります。
一方、契約期間の途中で辞めたい場合は、契約書の内容に従わなければなりません。たとえば、「1カ月前までに申し出る」「書面での提出が必要」などの記載があれば、手順の通りに対応しましょう。
依頼主と相談する
契約書に取り決めがあったとしても、まずは依頼主に相談するのがマナーです。契約を終了したい次期や理由について伝え、先方の意向も聞きましょう。お互いの希望が一致しない場合は、話し合いで円満解約を目指します。
必要に応じて書類を作成する
契約終了が正式に決まったら、必要に応じて「契約解除合意書」を作成しましょう。契約途中での解約となる場合、違約金が発生する場合もあります。
また、成果物が未納品であれば、報酬が発生しないこともあり得るでしょう。「契約解除合意書」では、解約にともなう条件をお互いに確認し、合意を証明するうえで大切です。
業務委託と正社員のどちらがよい?
業務委託と雇用契約を結んだ正社員とどちらが良い働き方なのかは、仕事に対する個人の価値観や業務スタイルによるところが大きいでしょう。
業務委託と正社員で迷った際の判断基準
前述の通り、業務委託も正社員もそれぞれにメリット・デメリットがあるため、どちらが良いとはいい切れません。どちらを選ぶか迷っている方は、以下について考えてみてください。
- ・個人で仕事を請け負えるほどのスキルがあるか
- ・セルフマネジメントができるか
- ・キャリアプランに合うか
- ・収入が途絶えても生活できるか
業務委託を検討するうえでは、世の中の需要に見合ったスキルがあるかが重要です。「まだそこまでのスキルがない」という人は、まずは正社員で経験を積んだほうが良いでしょう。セルフマネジメントに不安がある場合や、「自己管理できるか分からない」という人も、業務委託になるのは時期尚早の可能性があります。
そのほか、キャリアプランを実現しやすいのはどちらなのかも大切なポイントです。将来は起業したいと考えるなら業務委託、管理職を目指したいなら正社員といった選び方があります。
また、業務委託は収入が不安定なので、ある程度生活を維持できるくらいの貯金も必要です。
安定性を求めるなら正社員が良い
月々の安定した収入を望み、安心して働き続けることを求める人は正社員が良いでしょう。正社員は会社に行けば仕事があり、基本給のほか交通費や各種手当なども支給される場合が多いです。また、上司や先輩が仕事を教えてくれるうえ、頑張って成果を出せばボーナスや昇給などの見返りも大きいといえます。
そのほか、社会保障も手厚く、厚生年金基金にも加入できるので老後の生活も安定しやすいでしょう。「正社員を目指す方法を解説!なりたい理由を明確にして就職に成功しよう」では、正社員を目指す際にどのような準備が必要か解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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一人ひとりの経験、スキル、能力などの違いを理解した上でサポートすることを心がけています!
京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。