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自己都合退職とは?会社都合との違いや失業保険の受給方法を紹介
更新日
この記事のまとめ
- 自己都合退職とは、転職や結婚など自分の意思で退職を希望すること
- 会社都合退職とは、リストラや経営不振など会社側の都合によって辞めざるを得ないこと
- 自己都合で退職しても、理由によっては会社都合に該当することもある
- 自己都合と会社都合では、失業保険の給付開始日や給付期間などに違いがある
- 失業保険の受け取り方法や支給額については、自己都合退職も会社都合退職も同じ
「自己都合退職と会社都合退職って何が違うの?」と疑問に思っている方もいることでしょう。このコラムでは、自己都合退職と会社都合退職を詳しく解説。大きな違いとなる失業保険の内容について、具体的な数値を交えながらまとめました。また、自己都合ではなく会社都合と判断されるケースを紹介。さらに、失業保険の受給方法も解説しています。退職の基礎知識は、知っておいて損はないので、ぜひ本コラムをご一読ください。
自己都合退職とは
退職は理由によって自己都合退職と会社都合退職の2種類に分けられます。まずは、それぞれの特徴を見ていきましょう。
自己都合退職
自己都合退職は、転職・結婚・妊娠・引っ越し・本人の病気療養・家族の介護・家庭の事情・勤務時間や給与といった労働条件の相違など、自分の意思で退職を希望する場合を指します。
会社都合退職
会社都合退職は、リストラ・倒産・経営破綻・業績悪化など、会社側の都合で退職せざるを得なくなった場合を指します。また、退職勧奨に応じた場合も会社都合です。
自己都合ではなく会社都合になるケース
自分の意思で退職を希望したとしても、自己都合ではなく会社都合になるケースがあります。ハローワークインターネットサービスの「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」を参考に、会社都合として処理してもらえる事例を以下にまとめました。
残業時間
離職前の半年のうちに、3ヶ月連続して月に45時間以上の残業をしたことや、1ヶ月で残業が100時間を超えたことなどが理由で退職した場合は、労基法に違反しているため会社都合での退職となります。ただし、残業時間が明確に分かる書類を用意する必要があるため、辞める前に勤務記録表やタイムカードなどのコピーを用意しておくと望ましいでしょう。
給料の減額
本来の給与と比較して85%未満に低下したため退職した場合も、会社都合になります。こちらも給与明細などの証拠を提示できるよう準備しておきましょう。
業務内容の変更
専門職で入職したにも関わらず、スキルを発揮できない事務職などに配置転換させられ賃金が低下してしまった場合や、締結した労働契約内容と実際の労働条件に大きな相違があり退職した場合は会社都合として処理できます。また、10年以上同じ職種で働き、場違いの職種に異動させられたうえに新たな業務内容に関するレクチャーが行われず適応できなかった場合も該当するでしょう。
嫌がらせ、セクハラ
いじめやセクハラなどが原因で、退職に追い込まれた場合も該当します。ただし、嫌がらせは、言葉・態度など、証拠として残しづらいものが多い傾向です。レコーダーや第三者の証言など、日頃から証拠を集めておくとスムーズに手続きできる可能性があります。
勤務地の変更
オフィスが移転し、通勤時間に著しく時間がかかり勤務を続けられなくなった場合や、本人の承諾なしに転勤命令が出たことで退職した場合も該当します。転職がないという条件で労働契約を結んでいれば、契約書が証拠となります。
業務契約の未更新
期間契約の業務で1回以上更新したが、3年以上働いたあとに更新されなかった場合。また、契約更新が明示されていたにも関わらず、されなかった場合も当てはまります。
会社の不正や違反
法令や条例違反があったり、健康被害が生じる恐れがあると行政機関に指摘されても対策が講じられなかった場合が該当します。
給料の未払い
月給の1/3以上の金額が支払い期日までに支払われなかった場合。給与明細を証拠として提出します。
休職命令
会社の都合で休職を命じられた場合。3ヶ月以上続いたことで離職した場合は、会社都合退職に該当します。休職の命令書を保管しておくことが大切です。
このように自己都合退職と思われる理由でも、場合によっては会社都合退職と同等に扱ってもらえます。退職の際には、該当するかどうかの確認を行い「よく調べれば会社都合退職だったのに自己都合退職にされた」とならないようにしましょう。
参照元
ハローワークインターネットサービス
特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要
自己都合退職と会社都合退職の違い
自己都合退職と会社都合退職の大きな違いは、失業保険の内容です。自分で希望して辞めたのか、やむなく会社に退職させられたのかによって、給付日数や給付開始日などに違いがあります。ちなみに失業保険とは、離職した際に新たな仕事が見つかるまでに支給されるお金のこと。収入がなくなる無職の時期に十分な額を貰えることにより、スムーズな転職活動に繋がります。
給付日数
ハローワークインターネットサービスの「基本手当の所定給付日数」によると、失業保険の所定給付期間については以下のとおりです。
自己都合退職
特定受給資格者・特定理由離職者・就職困難者以外である自己都合退職者の失業保険の所定給付期間を以下にまとめました。被保険者であった期間によって給付期間が異なります。
年齢区分 | 被保険者期間 | ||||
---|---|---|---|---|---|
1年未満 | 1年以上 5年未満 | 5年以上 10年未満 | 10年以上 20年未満 | 20年以上 | |
全年齢 | 90日 | 120日 | 150日 |
引用:ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数 2. 1及び3以外の離職者」
会社都合退職
続いて、会社都合退職者(特定受給資格者及び一部の特定理由離職者)の失業保険の所定給付期間を見ていきましょう。
年齢区分 | 被保険者期間 | ||||
---|---|---|---|---|---|
1年未満 | 1年以上 5年未満 | 5年以上 10年未満 | 10年以上 20年未満 | 20年以上 | |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | - |
30歳以上35歳未満 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 | |
35歳以上45歳未満 | 150日 | 240日 | 270日 | ||
45歳以上60歳未満 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60歳以上65歳未満 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
引用:ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数 1. 特定受給資格者及び一部の特定理由離職者」
上記の表から分かるように、会社都合で退職した場合は被保険者期間だけでなく、年齢によって給付日数が変わってきます。自己都合退職の場合、給付日数は最大で150日間であるのに対して、会社都合退職の場合は最大で330日間に上ります。
参照元
ハローワークインターネットサービス
基本手当の所定給付日数
給付開始日
厚生労働省の「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」によると、自己都合退職の場合、失業保険の給付が決定した日から7日間の待機期間+2ヶ月の給付制限があります。一方で、会社都合退職の場合は、失業保険の給付が決定した日から7日間の待機期間のみ。翌日から支給が開始されます。
なお、銀行口座に振り込まれる時期は、各自治体によって異なります。また、申請してから受給資格が決定し、待機期間や説明会、手続きなどもあるため、会社都合退職の場合も申請してから銀行口座への入金には、約1ヶ月かかるでしょう。
自己都合退職と会社都合退職の違いについては「失業保険は会社都合と自己都合退職で給付金額や期間が違う?手続き方法は?」のコラムでも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
参照元
厚生労働省
Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~
支給額
失業保険である基本手当日額は、離職する直前の6ヶ月で毎月決まって支払われた賃金の合計を、180で割って算出した金額(賃金日額)の50~80%となっています。年齢ごとに上限が定められており、自己都合退職と会社都合退職で違いはありません。ハローワークインターネットサービスの「基本手当について」によると、2024年8月時点における年齢ごとの上限額は以下のとおりです。
30歳未満 | 7,065円 |
---|---|
30歳以上45歳未満 | 7,845円 |
45歳以上60歳未満 | 8,635円 |
60歳以上65歳未満 | 7,420円 |
引用:ハローワークインターネットサービス「基本手当について 支給額」
基本手当日額の詳細は「基本手当日額とは?雇用保険について詳しく解説」のコラムをご確認ください。
参照元
ハローワークインターネットサービス
基本手当について
失業保険の受け取り方
自己都合退職でも会社都合退職でも、失業保険の受け取り方法は同じです。この項では、ハローワークでの手続き方法を詳しく解説していきます。
1.必要書類の準備
以下の6点の書類を準備しましょう。
- ・雇用保険被保険者証
・離職票
・個人番号が確認できる書類(マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票など)
・本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)
・証明写真2枚(縦3cm×横2.4cmで正面から上半身を映したもの)
・本人名義の預金通帳かキャッシュカード
事前に会社へ雇用保険被保険者証の有無を確認してください。紛失していれば再交付してもらいます。また、離職票を発効するためには、会社が作成する「離職証明書」が必要です。離職証明書の内容を確認し、署名・捺印などの手続きを行いましょう。
2.ハローワークにて失業保険の申請
管轄のハローワークにて行ってください。申請には、事前に準備した必要書類を忘れずに持って行きましょう。ハローワークでは、求職申込書への記入や必要書類の提出、就職相談などをします。また、雇用保険説明会の日時も決めるでしょう。
3.7日間の待機期間
本当に失業しているかの確認のための待機期間です。待機期間中に仕事をして収入を得てしまうと、失業保険の対象から外れたり、給付開始が先に延ばされてしまう恐れがあります。
4.雇用保険受給説明会を受講
待機期間後に開催されます。失業保険を受給するために雇用保険受給説明会には、必ず参加しないといけません。説明会では、雇用保険受給資格者証と失業認定申告書を受け取ります。これらの書類に必要事項を記入し、提出をしましょう。そのあと、面談を行い問題がなければ失業保険の給付が開始されます。
5.失業認定日にはハローワークへ
1回目の失業認定日になったら、ハローワークに行きましょう。失業保険の受給は、就職活動をしていることが前提です。就活状況を記入し、失業の認定を受けたら、次の失業認定日の指定があります。認定をもらうためには、失業認定申告書・雇用保険受給資格者証・求職活動計画書・印鑑が必要です。
6.失業保険の受け取り
指定した銀行口座へ振り込まれます。先述したように、自己都合退職の場合は、最短でも7日+2ヶ月かかることを覚えておきましょう。そのあとも受給を継続したい場合、手続きの流れは1回目と同様です。給付期間が終了するまで、4週間に1度、指定された失業認定日にハローワークへ行きましょう。入金は、認定日の約7日後に銀行に振り込まれます。
以上が失業保険の受給方法です。失業保険の受け取り方については「失業保険の受け取り方法とは?条件や手続きなどを詳しく解説」のコラムでも紹介しているので、併せてご覧ください。
給付期間が続く限り、失業保険をもらって過ごしたいと考える方もいらっしゃるでしょう。しかし、給付途中に就職が決定すると、一定の要件に該当する場合、基本手当の支給残日数に応じて再就職手当がもらえることもあります。安定した生活と再就職手当を手に入れるためには、早期就職がおすすめです。ハローワーク以外の求人サイトや人材紹介からの就職でも、規定に反していなければ手当は貰えます。ハローワークだけでなく、転職支援サイトの利用も選択肢の一つ。ハタラクティブでは、雇用保険制度の詳しい説明も行います。転職を考えている人はぜひご利用ください。
- 経歴に不安はあるものの、希望条件も妥協したくない方
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一人ひとりの経験、スキル、能力などの違いを理解した上でサポートすることを心がけています!
京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。