会社都合退職の失業保険は自己都合退職と金額や期間が違う?手続き方法は?

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この記事のまとめ

  • 失業保険とは、雇用保険制度の1つ
  • 失業保険の受給期間は、会社都合か自己都合か退職理由によって異なる
  • 失業保険は、会社都合退職の方が保証が手厚い
  • 状況によって自己都合退職でも会社都合退職の失業保険が受給できる

会社を退職後、すぐに転職しない場合は失業保険を受け取れます。失業保険は、会社を辞めた理由によって支給条件が変わるため、自分の退職理由が離職票に書いてある内容と合っているか確認することが大切。コラムでは、退職理由による失業保険の違いについて解説します。退職を検討している方は、失業保険についてしっかり確認しておきましょう。

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会社都合退職をした場合の失業保険

会社都合退職をした場合、失業保険を受給するにあたって給付制限は設けられません。また、雇用保険の緩急期間が1年未満でも給付の対象になったり、年齢と雇用保険加入期間によって給付日数が伸びたりと、自己都合退職に比べて手厚い保障を受けられます。具体的な違いについてまとめました。

受給開始日

自己都合退職や懲戒解雇による退職者は「一般受給資格者」と呼ばれます。
一般受給資格の場合、雇用保険の利用申請(離職票の提出)をしてから7日間の待機期間と2~3か月間の受給制限期間があります。つまり、自己都合退職の方は退職してから3ヶ月ほど経たないと失業保険を受給できません。
いっぽう、「特定受給資格者」に該当する会社都合退職者は、ハローワークに離職票を提出してから7日間経過すれば失業給付金を受給することが可能です。これは、自分の意思ではなく突発的に離職となることが多いため。自分で退職を検討していなければ、仕事探しや金銭といった準備をしておらず、生活に困る可能性があるからです。待機期間については、「失業保険の待機期間とは?自己都合退職の場合やバイトの可否を解説」のコラムもご確認ください。

受給要件

通常、雇用保険の被保険者期間が1年未満の人は失業給付金を受ける資格がありません。しかし、特定受給資格者の場合は半年以上の加入期間があれば、90日間の失業給付金を受けることが可能になります。「雇用保険ってどんな制度?加入条件は?被保険者証がもらえないときの対処法」のコラムで、雇用保険について改めて理解を深めましょう。

給付日数

特定受給資格者(会社都合退職者)は、年齢や雇用保険の加入期間によって失業保険の受給日数が変化します。

  1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日
30歳以上35歳未満 120日
(90日※)
180日 210日 240日
35歳以上45歳未満 150日
(90日※)
240日 270日
45歳以上60歳未満 180日 240日 270日 330日
60歳以上65歳未満 150日 180日 210日 240日
引用:ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数

いっぽう、自己都合退職をした一般受給資格者は、年齢を問わずに雇用保険の被保険者期間のみで受給日数が決まります。

  1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
全年齢 90日 120日 150日
引用:ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数

会社都合退職者は最大で330日の給付となる一方で、自己都合退職者は年齢を問わず最大で150日の給付です。この日数の差からも、会社都合退職のほうが転職準備ができないほど急な退職になることが分かるでしょう。

 

参照元
ハローワークインターネットサービス
基本手当の所定給付日数

退職理由によって支給金額の基本は変わらない

失業保険の給付金額は、年齢と離職前の賃金で決定されます。上限と下限は定められているものの、離職理由によって変化はありません。ただし、会社都合退職のほうが失業保険の給付日数が長いため、トータルで考えると自己都合退職より会社都合退職のほうが多くの金額をもらえるでしょう。1日あたりの基本手当日額については「基本手当日額とは?雇用保険について詳しく解説」のコラムでご確認いただけます。

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失業給付金に関わる「会社都合退職」「自己都合退職」とは

会社都合退職とは

離職理由が会社都合として扱われるのは、「倒産」「解雇」「大量離職」「退職勧奨」など、会社の都合によって退職を余儀なくされた人が当てはまります。
ただし、労働者側に重大な違反行為や犯罪行為などがあった場合に勧告される「懲戒解雇」は会社都合とはなりません。
会社都合退職の場合は、急な退職によって転職するための準備期間が短いことが考えられるため、失業給付金が受給できる期間が長く設定されています。「会社都合退職は転職に不利?自己都合との違いや応募先にばれる可能性を解説」のコラムも併せてご覧ください。

自己都合退職とは

自分の意志で退職する場合は「自己都合退職」となります。
自分のタイミングで退職・転職日に備えることができると考えられているので、会社都合退職に比べると受給期間は少なめです。「自己都合退職。会社都合との違いは?」のコラムでも、違いについて詳しく解説しています。

自己都合退職でも理由によっては会社都合として扱われることがある

会社側から故意に退職に追い込まれた、勧められた、労働状況が極めて劣悪である、セクハラまたはパワハラの被害にあっていたなど、「労働環境が原因で退職を決断した」というケースもあります。このように、自己都合として退職してもその理由が会社側にあったと判断される場合は「会社都合」として取り扱われることもあるので、退職する際は自分が当てはまるかチェックしておきましょう。

失業保険の受給の流れ

失業保険の受け取りの流れを手順で紹介します。失業保険の受給を検討されている人や退職を考えている人は頭に入れておいてください。

1.必要書類を準備する

失業保険の受給にあたり必要となる書類を準備しましょう。雇用保険被保険者離職票とは退職する際に企業から直接渡される場合もあれば、後日郵送される場合もあります。もしも手元に届かない場合は、ハローワークを通じて提出を企業へ促すことも可能です。

・雇用保険被保険者離職票(1,2)
・マイナンバーカード
・身分証明書(運転免許証や資格証明書などの顔写真入りのもの)
・印鑑
・証明写真2枚
・本人名義の通帳またはキャッシュカード

失業保険の受給に必要な書類については、「雇用保険受給資格者証とは? いつどこでもらえる?見方や再発行方法も解説!」「離職票がもらえない!くれないのは違法?ハローワークへの問い合わせも解説」のコラムも参考になるでしょう。

2.ハローワークで失業保険の申請を行う

必要書類や準備物が揃ったら、お住まいの地域を管轄するハローワークへ行きましょう。失業保険を受給するためにはハローワークの求職者登録が必要です。登録後に必要書類と準備物を提出し、受給要件を満たしているのかをハローワーク側に確認してもらいます。

3.説明会の参加と求職活動の報告を行う

受給要件を満たし、受給可能となった場合は受給者向けの説明会に参加することになります。「受給者のしおり」が渡されますので、内容を確認しておきましょう。説明会では、失業保険受給についての必要事項の説明が行われます。説明会に参加すると、雇用保険受給資格者証と失業申請書を渡され、第1回の失業認定日が決定。なお、失業保険は求職活動を行っている人に対して支給されるものです。求職活動の記録は失業保険の受給要件を満たすために提出しなければなりませんので、必ず保管や記録しておいてください。

4.失業保険を受け取る

失業認定日が決定したら認定日にハローワークへ行き、説明会で受け取っていた失業認定申告書に求職活動の状況等を記入した上で、雇用保険受給資格者証とともに提出をしてください。また、失業認定は、原則として4週間に1度行われます。失業の認定が行われたら認定日から通常5営業日で、指定した金融機関の預金口座に基本手当が支給されます。

失業保険の受給に関しては「失業保険の受け取り方のステップとは?支給額のルールと注意点も紹介」のコラムでも詳しく紹介しています。支給を早めることができる職業訓練に関しても記載されているので、本コラムと合わせて退職後の知識として入れておきましょう。

会社都合退職と自己都合退職はどちらにメリットがある?

雇用保険は失業手当の受給開始日が早く、最大支給日数や総支給額が多いことから、会社都合退職者への保障が手厚い制度となっていることが分かります。
しかし、実際に再就職先を探す時は、必ずしも会社都合退職にメリットがあるとは限りません。会社都合退職のデメリットと、自己都合退職のメリットについても確認しておきましょう。

会社都合退職のメリットとデメリット

会社都合退職のメリットは、前項で紹介したように失業保険の給付を受けるまでの時間が短いこと。また、給付期間も長いため安心して再就職活動に臨めるでしょう。
デメリットは、再就職活動にあたって採用担当者からの確認事項が増えること。倒産などは確認されることは少ないようですが、解雇の場合は就労に関するトラブルなどを詳しく聞かれる可能性は高めです。

自己都合退職のメリットとデメリット

自己都合退職のメリットは、退職理由を明言せずに「一身上の都合」で済ませられること。また、近年では転職も一般化してきているため、極端に回数が多くない限りは自己都合退職をしていても選考に大きな影響は出ないようです。
しかし、失業給付の受給を検討している場合は、自己都合退職になると待機期間と給付制限があるため、3ヶ月ほどは無収入の状態になります。さらに受給期間も会社都合退職に比べて短いため、再就職活動も積極的に行う必要があるでしょう。

再就職を考えると自己都合退職の方が良いことがある

会社都合退職であれば、自己都合退職よりも一定期間の生活保証は優遇されます。しかし、前述したように会社都合退職の理由によっては、就職・転職活動で不利になることも。会社都合退職の内容次第では、自己都合退職の方がメリットが大きいといえるでしょう。
また、受給期間には限りがあります。支給残り日数がギリギリになってから本格的に求職活動を行っては、受給期間中に再就職することは難しいかもしれません。特に、会社都合退職ではネガティブな印象を払拭できないと、自己都合退職と比べてスムーズに再就職できる可能性が低いことも考えられます。

失業保険を受給している人の中には、「せっかくだから全額貰ってから再就職しよう」と考える方もいるようです。しかし、失業保険を全額受給していると無職期間が長くなり、再就職で不利になる可能性が高まります。体調を崩しているなど理由がなければ、できる限り早い再就職を目指しましょう。
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