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就職氷河期とはいつのこと?世代の特徴や受けられる支援を解説!
更新日
この記事のまとめ
- 就職氷河期とは、バブル崩壊で就職難となった1993~2004年ごろまでを指す言葉
- 就職氷河期世代は「仕事に対してストイック」「資格やスキル重視」といった特徴がある
- 就職氷河期世代は非正規社員が多いため、平均年収も低い傾向にある
- 就職氷河期世代を対象としたリカレント教育や専門窓口の設置など支援プログラムがある
- 就職氷河期世代に関わらず、求職活動では不安になり過ぎないのが成功のコツ
「就職氷河期」という言葉を聞いたことがあるものの、いつのことなのか、その世代の年齢が何歳なのか、具体的に知らない方は多いのではないでしょうか。このコラムでは、就職氷河期の意味や世代の特徴、支援プログラムなどを解説。また、就職氷河期の就職事情や、その世代が抱える問題についてもまとめました。就職氷河期世代の就職事情を知り、求職活動の参考にしてみてください。
就職氷河期とは
就職氷河期とは、バブル崩壊に伴う景気の悪化により、就職が厳しくなった時期のことです。不況の影響で企業が新卒採用の人数を減らした結果、新卒で正社員の就職ができない学生が増加し、非正規雇用も増えました。この世代が「就職氷河期世代」と呼ばれています。
就職氷河期の時期はいつ?
バブル経済が崩壊した1993年から2004年ごろまでを指します。「就職氷河期」は、1994年にその年の世相を表す「新語・流行語大賞」の審査員特選造語賞に選ばれるなど、時代を象徴する言葉といえるでしょう。
また、リーマンショックを契機として2008年前後に訪れた就職難は、「新就職氷河期」と呼ばれることもあるようです。
就職氷河期世代とは?
就職氷河期世代は、1993年から2004年ごろに就職活動を行っていた方を指します。そのため、高卒・大卒を含め1970年から1984年ごろに生まれた方が就職氷河期世代として該当するようです。
就職氷河期世代の特徴
就職難の時代に社会人となった就職氷河期世代は、入社後1日でも早く戦力となることを求められました。しかし、企業側に十分な教育コストをかける余裕はなく、自力で成長せざるを得なかったという背景があります。このことから、就職氷河期世代には、以下のような特徴があると考えられます。
仕事への考え方がストイック
就職氷河期は、企業の採用人数が少ないため、「少数精鋭」で仕事を任される傾向がありました。そのため、仕事に対してストイックなタイプが多いといわれています。上司や先輩から丁寧に仕事を教えてもらう機会が少なかったことで、自分で勉強し、先輩の背中を見て仕事を覚えざるをえなかったともいえるでしょう。また、企業側も「成果主義」の傾向を強めたので、「結果を出さなければ意味がない」と、ストイックさに拍車がかかったことが考えられます。このことから、転職市場では「就職氷河期世代は優秀」といわれることもあるようです。
資格を取得する人が多い
就職に苦労した経験から、「手に職をつけよう」「資格を取得してスキルを高めよう」という考えの人が多い傾向にあります。非正規社員から正社員を目指すために資格を取得したり、会社が倒産しても転職できるようにスキルを身につけたりするケースも。した人が多いようです。そのため、就業機会に恵まれなかったものの、高い専門スキルを持つ人もいます。
節約志向が強い
就職氷河期世代は非正規で不安定な仕事に就く方も多く、「節約志向」が特徴の一つとして挙げられます。また、当時は大手証券会社の倒産や、メガバンクの経営統合といったニュースもありました。両親がバブル崩壊のあおりを受けたというケースもあります。そのため、いつ何が起きるか分からないと実感し、節約・貯蓄を重視する人が多いようです。
就職氷河期世代を採用するメリット
就職氷河期世代を採用することで、企業側にもメリットがあると考えられています。では、どのようなメリットがあるのでしょうか。以下で解説していきます。
忍耐力や対応力がある
就職氷河期世代は忍耐力があるといわれています。アルバイトや派遣社員などで希望と異なる待遇・職種でも耐えてきた経験があると考えられているからです。また、企業の経営状態や社会動向によって、異動や転職を何度か経験している人も多く、変化に対応する能力が高い傾向にあります。そのため、40代〜50代でも新しい職場や業務に馴染みやすく、早期離職もしにくいと評価されるようです。
即戦力になりやすい
就職氷河期世代には手に職をつけようという人が多いため、専門スキルを要する仕事で即戦力になれる可能性があります。また、10年以上の社会経験があるので、ビジネスマナーや基本的なPCスキルなどが身についていることも評価されるポイントです。仕事に対して厳しい姿勢を持ち合わせているため、採用後の活躍が期待できると考えられているでしょう。
バブル世代とゆとり世代の橋渡しができる
競争の時代に活躍してきたバブル世代と、個性を尊重する時代に育ったゆとり世代は、仕事のやり方や人付き合いの仕方が大きく異なります。バブル世代の時代にはインターネットもパソコンもなく、コミュニケーション能力や営業力で仕事を獲得していました。一方、ゆとり世代はITスキルが高く、分からないことがあれば先輩社員に聞くよりも自分で検索するといった合理的な性質があります。
この2つの世代の中間に位置するのが、就職氷河期世代です。アナログとデジタルの両方の時代を知っている就職氷河期世代が、異なる世代の溝を埋めるのに適しているといえるでしょう。
バブル世代やそのほかの世代については、「バブル世代とのジェネレーションギャップはコミュニケーション力が鍵」のコラムでも詳しく紹介しているので、あわせてチェックしてみてください。
助成金が受け取れる
就職氷河期世代を採用した企業には、特定求職者雇用開発助成金が支給される場合があります。この助成金は、1968年4月2日から1988年4月1日の間に生まれた就職氷河期世代を正規雇用した企業に支給されるものです。支給条件として、ハローワークや民間の職業紹介事業者などを利用していること、過去5年以内に正規雇用で働いた期間が通算1年以下であること、などがあります。
そのほかの助成金
就職氷河期世代のみを対象にした制度ではないですが、上記以外にも助成金があります。たとえば、職業経験が少ない55歳未満の人を対象に、無期雇用での採用を目的として、3ヶ月の試用雇用を行うと支給される「トライアル雇用助成金」。そのほか、従業員のキャリアアップ・職場定着を目指して人材育成を行う企業に支給される「人材開発支援助成金」、非正規社員の正社員化または処遇改善を行う事業主に向けた「キャリアアップ助成金」などもあります。就職氷河期世代が抱える問題
就職氷河期世代は、非正規雇用で働く割合が高く、平均年収が低くなってしまうといった懸念が考えられます。以下で、詳しく解説します。
非正規雇用が多い
内閣府の「第2章 人口減少時代における働き方を巡る課題(第2節)」 によると、就職氷河期世代は新卒時の就職率が低く、30代になっても非正規雇用の割合が高かったようです。就職氷河期世代とほかの世代の新卒時の就職率を、以下で表にしてまとめました。
新卒の就職率 | 大卒 | 高卒 |
---|---|---|
就職氷河期世代 | 69.7% | 70.9% |
1985年~2019年(1993年~2004年の就職氷河期を除く) | 80.1% | 78.1% |
引用:内閣府「第2章 人口減少時代における働き方を巡る課題(第2節)」
上記から、ほかの世代の新卒に比べて、氷河期世代は大卒が10.4%、高卒は7.2%も就職率が低いという結果が出ています。また、前述のとおり30代以降も非正規雇用で働き続ける割合が、他の世代と比べて高かったことから、生涯年収に差が出てきてしまうことも考えられます。また、非正規社員の期間が長いほど、将来もらえる年金の額も少なく、老後の生活も不安定になりやすいという懸念も考えられるでしょう。
「平均収入の実態を紹介!年収を上げる方法や転職の注目ポイントを解説」では、正社員と非正規社員の平均収入を比較しているので、あわせて参考にしてみてください。
参照元
内閣府
日本経済2019-2020-人口減少時代の持続的な成長に向けて-
就職氷河期と現在の就職事情の違い
前述のとおり、就職氷河期の就職率は大卒が69.7%、高卒が70.9%でした。厚生労働省の「令和5年3月大学等卒業者の就職状況」によると、2023年3月に卒業した人の就職率は、大卒が90.9%です。また、「令和4年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」取りまとめ(令和5年3月末現在)」によると、高卒の就職率は99.3%でした。このことから、現在のほうが就職氷河期より就職しやすい状況であることが分かります。参照元
厚生労働省
令和5年3月大学等卒業者の就職状況
令和4年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」取りまとめ(令和5年3月末現在)
給与の伸び率が低い
国税庁の調査「平均給与(第6表)給与総額及び平均給与」によると、好景気時代(バブル期)と就職氷河期では、給与の伸び率が大きく異なります。1989年から1990年にかけての給与の伸び率が5.7%なのに対し、1994年から1995年にかけては0.4%に落ち込みました。就職氷河期世代はバブル世代に比べて給与の伸び率が低く、頑張った成果がなかなか給与に反映されにくかったことがうかがえます。
参照元
国税庁
平均給与
就職氷河期世代の支援プログラムとは
2019年6月、政府は「就職氷河期世代支援プログラム」として、3年間の集中プログラムを策定しました。新卒時、希望の就職ができなかった就職氷河期世代が、現在も非正規社員や無職といった状態にあることを問題視し、支援を強化しようと打ち出したものです。また、内閣官房の「就職氷河期世代支援に関する行動計画 2024」によると、2023年度からの2年間は第二ステージとして、支援の継続が決定されました。以下で、就職氷河期世代の支援プログラムについて解説していきます。
専門の窓口で就職支援を強化
ハローワークでは就職氷河期世代の専門窓口を設置し、専門の担当者が相談から職場定着までをサポートしています。対象者は、概ね35〜54歳で、正社員の就職を希望する人です。書類作成や面接指導、求人紹介を行い、就職後に不安や悩みがあれば相談もできます。
正規雇用に役立つリカレント教育
リカレント教育とは、「学び直し」ともいわれており、社会人がスキルを磨くために再び学校へ通うことを指します。就職氷河期世代に向けても、正社員を目指すためのリカレント教育が整備されているようです。非正規社員として働きながら資格取得ができる短期集中型の講座や、実務に役立つ職場実習などもあります。条件を満たせば、教育訓練給付金やキャリア形成促進助成金の活用も可能です。
採用企業側のメリット増加
選考を兼ねた社会人インターンシップが拡充されたため、入社後のミスマッチを防ぎやすくなったのは企業側にとっても良い点です。また、就職氷河期世代を採用した場合に各種助成金が支払われるといったメリットもあります。また、このプログラムを活用して良い事例を作ることで、企業のイメージアップへの効果も期待できるでしょう。
民間と連携した就職支援
就労が不安定な人に向けて、民間の事業者に委託して、教育訓練・職場実習を行うことも支援プログラムに盛り込まれています。ハローワークの支援と、民間事業者の支援を組み合わせて、就職氷河期世代が安定した職業に就けるように支援することを目指しているようです。たとえば、農業、漁業、建設業、宿泊業などの研修や就業体験を民間事業者が実施しています。
個人の状況に合わせた支援の拡充
自分からハローワークや支援機関に行けない人のために、職員が出向くアウトリーチ型の支援も強化しています。たとえば、「ひきこもり地域支援センター」や「地域若者サポートステーション」の支援員が、自宅に行って信頼関係を作り、就職支援を進めるという取り組みです。アウトリーチ型支援のほか、地域社会とのつながりを作るために、企業やNPO、地域包括支援センターなどが連携して自立をサポートするといった支援の輪も広がっています。
国が制定した、その他のキャリアアップ制度は「キャリアアップとは?目指す方法や活用できる制度を紹介」のコラムでも紹介しているので、参考にしてみてください。
参照元
内閣官房
就職氷河期世代支援プログラム
国家公務員として働く
「就職氷河期世代支援プログラム」に基づいて、就職氷河期世代の方に向けた国家公務員の中途採用があります。内閣官房の「就職氷河期世代支援に関する行動計画 2024」によると、就職氷河期世代の方の意欲や能力を活かし、組織の活性化を図る観点から積極的に採用に取り組んでいるようです。国家公務員と聞くと堅い職業というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、「育児短時間勤務」や「テレワーク」などを進めており、将来を見据えた働き方ができるといえます。参照元
内閣官房
就職氷河期世代支援に関する行動計画2024
就職氷河期世代から学ぶ就職に成功するコツ
就職氷河期世代が就職に成功するためには、自分に自信を持つことや、就職支援サービスを利用するといったコツがあります。以下で、就職氷河期世代における就職のコツをまとめているので、自身の就職・転職活動の参考にしてみてください。
自信を持って選考に臨もう
就職氷河期世代と同様に、「正社員の経験がない」「転職回数が多い」といった理由から、自信をなくしている人もいるでしょう。しかし、就職氷河期世代のように、就業機会に恵まれなかっただけでスキルが高かったり、忍耐力や対応力に優れていたりすることもあります。自分では、「仕事に役立つスキルではない」と思っていても、応募先企業では評価されることもあるため、不安になり過ぎず、自信を持って選考に挑みましょう。
自分に合った求人に応募しよう
ハローワークでは、「就職氷河期世代歓迎」「就職氷河期世代限定」と書かれた求人を紹介しています。このような求人では、企業側も正社員の経験が少ないことや、年齢が35歳以上であることを承知しているので、採用される可能性が高いでしょう。このように、正社員の経験がない人は、まずは未経験を歓迎している求人や職種、業界を探し、応募を検討してみるのがおすすめです。
就職エージェントを利用しよう
正社員就職に自信がない場合は、ハローワークなどの公共機関のほかに、就職エージェントを利用するのも1つの方法です。就職エージェントは、自己分析や書類作成、面接対策といった、就職に関するさまざまなサポートを行っている民間の就職支援機関です。専任の担当者がカウンセリングから内定後のフォローまで伴走してくれます。
さらに、求人紹介やスケジュール調整、応募先企業とのやり取りも代行してくれるので、就職活動に慣れていない場合も安心です。アルバイトや派遣社員などで働きながら正社員就職を目指したい人にとっては、効率的に就職活動ができる点がメリットでしょう。就職エージェントについては「就職エージェントとは?活用するメリットやデメリットを知ろう」のコラムでも詳しく解説していますので、あわせて参考にしてみてください。
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就職氷河期に関するFAQ
ここでは、就職氷河期にまつわる疑問をQ&A方式で回答しています。
就職氷河期とはいつのこと?
就職氷河期は、バブル経済が崩壊した1993年から2004年ごろまでの就職難の時期を指します。一般的に1970〜1984年生まれの方が就職氷河期世代とされているようです。就職氷河期では、バブル崩壊により景気が悪化し、従業員を解雇から守る代わりに、新卒採用者数が削減されました。
氷河期世代で就職できた人の特徴は?
幅広く求人を探し、就職活動に前向きであることが多いようです。就職氷河期世代は、新卒時に就職失敗を経験した人が多い傾向にあります。就職氷河期に限らず、不採用になると落ち込んでしまうものですが、「自分に合わなかっただけ」とポジティブに考えましょう。また、条件を絞り過ぎずに幅広く求人を探し、主体的に行動するのも大事です。「就活に成功する人と失敗する人の特徴!自分はどちらかチェックしよう」のコラムでは、就職に成功する人の特徴を解説していますのでチェックしてみてください。
フリーターの職歴の書き方は?
応募先企業で役立ちそうな経歴を書きましょう。アルバイトは正式な職歴とは見なされませんが、正社員の経験がない場合は、フリーター経験で得たスキルをアピールする必要があります。職務経歴書には応募先企業で評価されそうなアルバイト経験を記載し、スキルや資格、リーダー経験なども入れると良いでしょう。「フリーターに職務経歴書は必要?項目ごとの例文や書き方のポイントをご紹介」のコラムでも詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
就職活動で評価される就職氷河期世代の特徴は?
就職氷河期世代は、「仕事にストイック」「スキル習得に意欲的」などの特徴があるとされています。「就職氷河期世代の特徴」で解説したとおり、就職氷河期世代はバブル崩壊を目の当たりにした経験があります。仕事での成果を重視し、企業の経営が傾いても自分の身を守るためのスキル習得に意欲的なのはそのためです。「自分の市場価値はどのくらい?転職時に求められるスキル」のコラムを読んで、今あるスキルを確認してみましょう。自分のスキルが見つけられないという方は、「ハタラクティブ」にご相談ください。自己分析をサポートし、強みを見出します。
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一人ひとりの経験、スキル、能力などの違いを理解した上でサポートすることを心がけています!
京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。