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常用就職支度手当とは?再就職手当との違いや受給条件をわかりやすく解説
更新日
この記事のまとめ
- 常用就職支度手当とは、就職困難な人が再就職したときに支給されるもの
- 就職先がハローワークからの紹介でないと、常用就職支度手当は受け取れない
- 常用就職支度手当の条件に当てはまらない場合も再就職手当を受け取れる可能性がある
- 常用就職支度手当の金額は基本手当の支給残日数によって決まる
「常用就職支度手当ってなんだろう」「自分も受け取れるのだろうか」と疑問に思う方も多いでしょう。常用就職支度手当とは、失業保険の基本手当受給中、就職困難な人が1年以上の雇用を見込める仕事に再就職したときに支給される手当です。
このコラムでは、支給対象者や支給要件、支給額の計算方法などを解説しています。再就職しようとしている人や就職先が決まった人は、受給対象に当てはまるかどうかチェックしてみてください。
常用就職支度手当とは?わかりやすく解説
常用就職支度手当とは、失業保険の基本手当受給中に、就職困難な人が1年以上の雇用を見込める仕事に再就職したときに支給される手当です。厚労省による支援制度で、再就職した人への支援金「就職促進給付」の一つ。
障がいがあったり、就業日に45歳以上であったりするなど、就職がスムーズにいかない方の促進をするのが目的です。支給を受けるには条件を満たさなくてはならないため、常用就職支度手当の支給対象になるかをチェックしましょう。
参照元
厚生労働省
常用就職支度手当について
再就職手当との違い
常用就職支度手当と再就職手当の違いは、「基本手当の残日数」と「対象者」です。
再就職手当の場合、基本手当の残日数が3分の1以上必要となりますが、常用就職手当の場合は3分の1以下でも受け取れます。再就職手当の対象者には条件が定められていませんが、常用就職手当の場合は対象が「45歳以上もしくは就職が困難な人」に限られています。
再就職手当の条件や給付額の計算方法などの詳細は「就職が決まったらもらえるの?再就職手当とは」のコラムでご確認ください。
常用就職支度手当と再就職手当は両方もらえるか
常用就職支度手当と再就職手当の両方はもらえません。再就職手当と常用就職支度手当は受給できる条件に違いがあり、「就職が決まったけれど、支給残日数が足りなくて再就職手当がもらえない」という方も、常用就職支度手当を受け取れる場合があります。特例一時金との違い
特例一時金とは、短期の雇用を繰り返す方や季節的に雇用されている方など、短期特例被保険者であった人が失業した場合に支給される手当のことです。1年以上の安定した雇用を見込める仕事に就いた際に受け取れる「常用就職支度手当」とは違います。
特例一時金の受給要件は、「1 特例一時金の対象となる方」をご確認ください。
参照元
厚生労働省
離職されたみなさまへ <特例一時金のご案内>
特例受給資格者とは
特例受給資格者とは、「特例一時金」を受け取れる人のことです。短期雇用特例被保険者で、かつ「離職により資格の確認を受けた」「労働の意思および能力があるにもかかわらず職業に就くことができない状態にある」「算定対象期間(原則は離職前1年間)に被保険者期間が通算して6ヶ月以上ある」の条件に該当します。
特例受給資格者のうち、前述の支給対象者に該当すれば常用就職支度手当の受給が可能です。
常用就職支度手当と特例一時金は両方もらえるか
常用就職支度手当と特例一時金の両方を受け取ることは可能です。離職から6ヶ月経過していない特例受給資格者かつ、就職が困難と認められた場合は常用就職支度手当の対象になります。通年雇用奨励金の支給対象となる事業主に通年雇用された場合には、特例一時金を受け取った場合でも常用就職支度手当の対象となる場合があるようです。常用就職支度手当と特例一時金の受給申請は、ハローワークで行なえます。詳しくは、お近くのハローワークで相談してみましょう。
ハローワークについては「ハローワークとはどんなところ?サービス内容と利用の流れを解説!」のコラムもぜひ参考にしてみてください。
常用就職支度手当の支給対象者
厚生労働省の「業務取扱要領 就職促進給付(40p)」によると、常用就職支度手当を受給できるのは、1年以上の雇用が確実で以下の条件いずれかに該当する人です。
・身体障がい者
・知的障がい者
・精神障がい者
・就職日において45歳以上の人
・季節的に雇用されていた特定受給資格者で、通年雇用奨励金の支給対象になる事業主に通年雇用される人
・日雇受給資格者のうち、日雇労働被保険者として就労することを常態とし、就職日に45歳以上の人
・刑余者や駐留軍関係離職者など就職が困難な人
上記に当てはまっている場合でも、常用就職支度手当の受給には特定の要件を満たす必要があるため注意しましょう。
参照元
厚生労働省
雇用保険に関する業務取扱要領(令和6年4月1日以降)
受給の前提条件は基本手当の支給対象者であること
常用就職支度手当を受給するには、まず失業保険における基本手当の支給対象者として認定される必要があります。常用就職支度手当は、あくまでも失業保険の一種です。基本手当の支給対象外なら常用就職支度手当の支給は受けられません。
失業保険については「失業保険の受給条件は?給付日数やもらい方などもあわせて紹介!」のコラムでご確認いただけます。
パート・アルバイト・派遣社員も常用就職支度手当を受け取れる
非正規であるパート・アルバイト・派遣社員も、支給条件を満たせば常用就職支度手当が支給されます。常用就職支度手当の支給条件における「1年以上の継続した雇用が確実であると認められる職業に就いたこと」は、正社員を指すように思われがちです。
しかし、この条件には雇用形態が問われていません。そのため、非正規雇用であるパート・アルバイト・派遣社員も、1年以上の雇用が確実である職業に就くと常用就職支度手当の受給対象になります。
常用就職支度手当の支給要件
厚生労働省の「業務取扱要領 就職促進給付(42~43p)」によると、常用就職支度手当を受給するにあたっては以下の要件をすべて満たす必要があります。
・基本手当の支給残日数が1/3未満であること
・1年以上の雇用が確実と認められる職業に就くこと
・ハローワークから紹介を受けて就職が決まった会社であること
・就職先が雇用保険の適用される会社であり、その保険に加入していること
・離職前の就職先に再雇用されたわけではないこと
・基本手当の給付制限期間が経過したあとに決まった就職先であること
・就職日前3年以内の就職の際に再就職手当や常用就職支度手当の支給を受けていないこと
・常用就職支度手当の支給が職業の安定につながると認められるものであること
支給対象者の条件に当てはまり、かつ上記の支給要件を満たしている場合は常用就職支度手当を受給できます。注意すべきは、基本手当の給付制限期間の再就職は対象外である点です。基本手当の給付制限期間は退職理由によって変わるので、基礎知識として覚えておきましょう。
失業保険における基本手当の給付制限期間については、「失業保険の待機期間とは?自己都合退職では何日?バイトはできる?」のコラムをチェックしてみてください。
参照元
厚生労働省
雇用保険に関する業務取扱要領(令和6年4月1日以降)
ハローワーク以外で転職先が決まると支給されない
就職先がハローワークからの紹介でない場合は、常用就職支度手当の対象にはなりません。ハローワークから紹介を受けて就職が決まった会社であることが、常用就職支度手当の支給要件となっているためです。ただし、基本手当の支給残日数が1/3以上あれば、民間の転職エージェントの紹介で再就職が決まった場合でも再就職手当は受け取れます。支給残日数多く残し受給額を多くするためにも、早めに再就職に向けて活動してみましょう。
常用就職支度手当の申請の手続きと流れ
常用就職支度手当の対象になる方は、申請の手続きや流れを把握しておきましょう。常用就職支度手当の金額は基本手当の支給残日数によって決まるため、申請が遅れると受け取れる金額が減ってしまいます。うっかりミスで損をしてしまうことのないよう、申請方法や必要なもの、申請期限などの基礎知識を確認しておきましょう。
申請場所
常用就職支度手当の申請を行えるのは、申請者の住所を管轄するハローワークです。
ただし、日雇いの方は、就職先の会社がある地域を管轄するハローワークでの申請になるので注意しましょう。なお、指定のハローワークに行くのが難しい場合は電子申請も可能です。
申請の際に持っていくもの
申請時に必要な書類は、「常用就職支度手当支給申請書」「雇用保険受給資格者証」「採用証明書」です。受給資格者のうち就業日に45歳以上の方は、「再就職援助計画対象労働者証明書」や「求職活動支援書等」なども必要になります。
また、日雇受給資格者の方は、再就職先を管轄するハローワークに被保険者手帳を提出する必要があります。
「常用就職支度手当支給申請書」はハローワークで受け取れるほか、ハローワークインターネットサービスからもダウンロードできます。「雇用保険受給資格者証」は、雇用保険の受給資格決定後に実施する説明会にて入手できるものです。「採用証明書」は、雇用保険受給資格者のしおりに含まれているので確認してみましょう。
「常用就職支度手当支給申請書」と「採用証明書」には、就職先の会社に記入してもらう欄があります。会社によっては書類の準備に時間がかかるため、提出期限を過ぎないよう余裕をもって準備を進めましょう。
参照元
ハローワークインターネットサービス
帳票一覧
申請期限
常用就職支度手当の申請期限は、就職日の翌日から1ヶ月以内とされています。この就職日とは、労働契約を交わした日ではなく実際に働き始めた日です。常用就職支度手当支給申請書の会社記入欄には就職日の記載があるので、確認してみましょう。申請から受給までの流れ
具体的な入社日が決まったら、就職先の会社に採用証明書を書いてもらいます。入社日前日までにハローワークに行き、最後の失業認定を受けましょう。この際、常用就職支度手当支給申請書をもらえるので、入社日以降に会社へ提出します。会社の記入が終わり手元に書類が返ってきたら、ハローワークで常用支度支援手当の申請をしましょう。
ハローワークにより就職先の会社に在籍していると確認されたら、常用就職支度手当支給決定通知書が手元に届きます。一般的には、通知書が届いてから1~2日後に指定口座へと手当が振り込まれるようです。
「ハローワークで求職登録する方法は?確認すると良い事項や注意点を解説!」ではハローワークでの手続きの流れを紹介していますので、ぜひご覧ください。
常用就職支度手当はいつもらえるのか
申請が通れば、書類の提出から支給までは基本的に7日以内とされています。就職先に実際に在籍しているか確認がとれたら、常用就職支度手当支給決定通知書が届くでしょう。
なかなか届かない場合は、手続きがスムーズに行われていないかもしれません。申請をしたハローワークに問い合わせてみましょう。
常用就職支度手当はいくらもらえる?
厚生労働省の「業務取扱要領 就職促進給付(43p)」に基づいて、常用就職支度手当の計算方法を紹介します。受け取れる金額は基本手当の支給残日数によって支給額が変わるので、自身の状況に合った計算方法を確認してみてください。
支給残日数が90日以上の場合
基本手当の支給残日数が90日以上ある場合は、「基本手当日額×90×10分の4(36日分)」で支給額を算出できます。
支給残日数が45日以上90日未満の場合
基本手当の支給残日数が45日以上90日未満の場合は、「基本手当日額×支給残日数×10分の4」で算出できます。
支給残日額が45日未満の場合
45日未満の場合は、残日数に関わらず45日として「基本手当日額×45(最低保障日数)×10分の4(18日分)」で計算されます。支給残日数が少なくても45日として計算できるため、最低でも18日分の常用就職支度手当の受け取りが可能です。
雇用保険の基本手当日額は変化する
厚生労働省のリーフレットによると、雇用保険では、離職者の「算定基礎賃金日額」を基に「基本手当日額」(1日あたりの失業給付金)が算定されています。算定基礎賃金日額とは離職した日の直前6ヶ月に毎月決まって支払われた賃金から算出した金額です。算定基礎賃金日額は上限と下限が設定されていて、平均定期給与額の増減によって変わります。つまり、基本手当日額は、離職者の離職前の給与と全国の平均給与によって決まるのです。
雇用保険の計算方法については「雇用保険の計算方法や注意点を解説!加入する目的とメリットを知ろう」で紹介していますので、あわせてチェックしてみてください。
参照元
厚生労働省
雇用保険に関する業務取扱要領(令和6年4月1日以降)
雇用保険制度
常用就職支度手当で嘘の申請をしたらバレる?
常用就職支度手当で嘘の申請をしても、会社への在籍確認でバレる可能性があります。バレるかどうかに関わらず、正直に申告しましょう。
万が一、申告内容の嘘だとバレた場合は、不正受給となりペナルティが課せられます。不正時給と見なされた場合は原則、常用就職支度手当として受け取った金額の2倍を返還しなくてはなりません。常用就職支度手当に限らず、失業保険の手当全般が嘘をつくとペナルティを課せられるので注意してください。
失業保険の注意点は「失業保険の受け取り方のステップとは?支給額のルールと注意点も紹介」でも解説しています。
常用就職支度手当の受給直後に仕事を辞めても良い?
常用就職支度手当を受給するには「1年を超える勤務が確実である」という条件があり、1年以上勤務しない場合はペナルティがあるのではないかと思う人もいるでしょう。しかし実際には自己都合や会社都合に関係なく、常用就職支度手当を受け取ったあとすぐに退職した場合も、不正行為をしていなければ返還の義務はありません。常用就職支度手当を受けた人が再び失業した場合、受給期間内であれば基本手当の支給残日数分を受け取れます。
ただし、支給申請中に退職した場合は対象になりません。もし、支給申請中に離職する可能性がある場合はハローワークに相談しましょう。
「就職先が自分に合うか不安だな」「自分に合う仕事は何かわからない」と悩んでいる方は、転職エージェントのハタラクティブの利用を検討してみましょう。ハタラクティブでは、1人での求職活動に不安がある20代の方を中心に就職を支援しています。未経験者歓迎の求人を数多く取り扱っているので、スキルや経験に自信がもてない方におすすめです。就活アドバイザーが丁寧なカウンセリングを行い、適性や能力に合った仕事をご紹介します。
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常用就職支度手当に関するQ&A
常用就職支度手当の受給条件や受給期間など、これから申請を行う人が知りたい情報をお伝えします。
前職でどのくらいの期間働いたら受給対象になる?
前職の勤務期間に関わらず、基本手当の受給資格者であることが受給の前提条件です。さらに、実際に基本手当を受け取っており、常用就職支度手当の支給要件も満たすことで受給対象になります。
ただし、基本手当の所定給付日数は、前職の勤務期間(雇用保険の被保険者期間)が長いほど多くなる仕組みです。
常用就職支度手当を受給している人はどのくらいいる?
厚生労働省の「雇用保険事業年報令和4年度 4.就職促進給付」によると、令和4年度には3,419人が常用就職支度手当を受け取っています。年間30万人以上が受給している再就職手当と比べると、受給者数は少なめです。
「再就職手当はハローワーク以外で内定が出ても支給される?受給条件を解説」で解説しているように、再就職手当はハローワーク以外の紹介でも条件を満たせば受給できます。
参照元
厚生労働省
雇用保険事業年報 全体版
常用就職支度手当基本手当の支給残日数が270日以上ある場合は?
「90日」として計算されます。「基本手当日額×90(日)×10分の4」で計算できるので、支給額を算出してみましょう。
なお、再就職手当はハローワーク以外から紹介を受けた場合でも対象になります。
実際の社内の雰囲気なども知ったうえで再就職を決めたい方は、ぜひハタラクティブにご相談ください。
- 経歴に不安はあるものの、希望条件も妥協したくない方
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一人ひとりの経験、スキル、能力などの違いを理解した上でサポートすることを心がけています!
京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。