人手不足の業界の見極め方とは?原因やメリット・デメリットも解説

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この記事のまとめ

  • 人手不足の業界を見極めるには、有効求人倍率を判断の目安にするのがおすすめ
  • 業界が人手不足になる原因には、生産年齢人口の減少や若者の転職者の増加などがある
  • 人手不足の業界は採用されやすかったり、昇給/昇進しやすかったりする場合がある
  • 人手不足の業界は業務負担が大きくなりモチベーションを維持できなくなる可能性がある
  • 人手不足の業界へ就職する際は労働環境や待遇、将来性の確認を徹底することが大切

「人手不足の業界を見極める方法が分からない」と不安に感じる方もいるでしょう。業界が人手不足かどうかは、有効求人倍率を目安に判断できる場合があります。

このコラムでは、業界が人手不足である原因や就職するメリット・デメリット、就職後に後悔しないためのポイントを解説します。人手不足の業界を見極めたうえで応募職種を選び、希望の条件とマッチする働き方を実現させましょう。

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人手不足の業界を見極める方法とは

人手不足の業界かどうかを見極めるための方法の一つは、求人数と求職者数から割り出される「有効求人倍率」を見ることです。以下では、有効求人倍率の見方をご紹介します。

有効求人倍率の見方

有効求人倍率は、求人数と求職者数が同じ場合を1倍としたときに求められる数字です。

人手不足の状態で求人数が求職者数を上回っていると、1倍よりも大きな数字が出ます。反対に、人余りだと1倍よりも小さな数字となり、業界の人員の過不足を見極めるのに役立つといえるでしょう。

有効求人倍率とは

有効求人倍率とは経済指標の一つであり、求職者一人あたりにどのくらい仕事があるかを表すものです。ハローワークの有効求人数を有効求職者数で割ったものであり、景気を測る指標にも使われています。
有効求人倍率数に目を向ければ景気や労働市場の動向も把握できるため、応募職種や業界を選ぶのにも役立てられるでしょう。

有効求人倍率について知りたい方は「有効求人倍率とは?簡単に解説!年度ごとの推移や職種別の値もご紹介」をチェックしてみてください。

人手不足になる原因

人手不足になる原因としては、少子高齢化といった社会的背景や応募者と企業間の求める条件の違いなどが挙げられるでしょう。
ここでは、人手不足になる原因を解説します。「どのような経緯があって人手不足に陥っているのだろう」と疑問を感じる方は、ぜひご一読ください。

少子高齢化による生産年齢人口の減少

厚生労働省の「人口減少社会への対応と人手不足の下での企業の人材確保に向けて~人材不足解消のカギは仕事と子育ての両立支援!~」には、日本の人口は減少していくと記載されています。

 2020年2040年2070年
総人口1億2,615万人1億1,284万人8,700万人
14歳以下人口1,503万人1,142万人797万人
15~64歳人口7,509万人6,213万人4,535万人
65歳以上人口3,603万人3,928万人3,367万人

引用:厚生労働省「人口減少社会への対応と人手不足の下での企業の人材確保に向けて~人材不足解消のカギは仕事と子育ての両立支援!~(p.2)

年代別では、15~64歳の年代の人口は減少していき、65歳以上の人口はほぼ横ばいになっていくことが予測されているようです。
厚生労働省では、15~64歳は「生産年齢人口」と定義されています。生産年齢人口が減少することで、人手不足が促進する可能性があるでしょう。

応募者と企業間のミスマッチ

応募者と企業間の希望条件のミスマッチも、人手不足になる原因の一つです。

企業側が求人を募集しても、応募者側の希望に合っていないと人手は集まりにくいでしょう。
反対に、求人に対して応募があったとしても、企業が求める人材の条件にマッチしていなければ採用にはつながりません。人材の獲得ができなければ、人手を充足するのは難しいでしょう。

若者の転職者の増加

働き手を担う若者の転職者が増加すると、人手不足につながると考えられます。
総務省統計局の「直近の転職者及び転職等希望者の動向について」によると、2023年の転職希望者は1,035万人で、前年よりも78万人増えていました。

人数
2020年839万人
2021年890万人
2022年957万人
2023年1,035万人

引用:総務省統計局「直近の転職者及び転職等希望者の動向について(p.3)

2020年の転職希望者が839万人であったのに対し、2023年は1,035万人と3年間で196万人増加しており、年々増えています。

また、厚生労働省の「-令和5年雇用動向調査結果の概況-」で、25~29歳の転職入職率の割合はほかの年代と比べて高いことが分かりました。

※単位:%

 男性女性
19歳以下16.617.5
20~24歳14.616.5
25~29歳15.619.1
30~34歳10.014.2
35~39歳8.512.4
40~44歳6.311.4
45~49歳5.38.9
50~54歳5.69.0
55~59歳6.67.6
60~64歳13.57.6
65歳以上12.66.6

引用:厚生労働省「-令和5年雇用動向調査結果の概況-図4-1性、年齢階級別転職入職率(令和5年(2023))

25~29歳に次いで、19歳以下・20~24歳の転職入職率の割合がほかの年代に比べて高めです。上表から、年齢が若いほど転職をしやすいことが分かるでしょう。

若い人材を採用しても、すぐに転職してしまう人が多ければ人材不足は解消されません。若者は定着すれば長く働いてくれる可能性が高いため、選考の段階で企業と求職者のミスマッチを防ぐことが重要です。

参照元
厚生労働省
人口減少社会への対応と人手不足の下での企業の人材確保に向けて~人材不足解消のカギは仕事と子育ての両立支援!~
厚生労働統計に用いる主な比率及び用語の解説
総務省統計局
雇用失業統計研究会(第21回)
厚生労働省
令和5年上半期雇用動向調査結果の概要

人手不足になりやすい業界

厚生労働省の「労働経済動向調査(令和3年8月)の概況」には、業界別の労働者の過不足状況が記載されています。

 不足過剰
建設業50%0%
医療,福祉45%4%
運輸業,郵便業42%4%
情報通信業35%2%
製造業35%7%
学術研究,専門・技術サービス業34%6%
不動産業,物品賃貸業33%2%
生活関連サービス業,娯楽業33%6%
サービス業(他に分類されないもの)31%4%
卸売業,小売業18%4%
宿泊業,飲食サービス業16%4%
金融業,保険業10%1%

引用:厚生労働省「労働経済動向調査(令和3年8月)の概況/表5産業別正社員等労働者過不足状況と労働者過不足判断D.I. (p.9)

調査によると、「建設業」「医療・福祉業」「運輸業・郵便業」「情報通信業」などの業界が特に労働者不足だと感じているようです。

ここでは、人手不足になりやすい業界の特徴をご紹介します。「なぜ人手不足になりやすい業界があるのだろう?」と疑問に感じる方は、ぜひご一読ください

建設業

人手不足を感じやすい建設業は、体力が必要となる作業を行うのが一般的です。天候にも左右されやすく、現場のスケジュールに合わせて働くことを求められる場合もあります。なかには、労働環境の厳しさから「応募職種に求める希望と合わない」と感じる場合もあるでしょう。

建設業の詳しい仕事内容や現状を知りたい方は「建設作業員の仕事内容とは?平均年収や求人の特徴も解説」でも詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

医療・福祉業

近年の高齢化社会により、医療・福祉業に関するサービスに対する需要は高まっており、より多くの人手が求められる業界といえます。

しかし、厚生労働省の「令和4年雇用動向調査結果の概況」によると、医療・福祉業は、入職率14.4%に対して離職率が15.3%という結果でした。
医療・福祉業は夜勤や責任の大きな業務を求められ、身体的・精神的な負担が大きくなりやすいといえます。業務のストレスが離職につながり、人手不足の原因になっている可能性もあるでしょう。

運輸業・郵便業

運送業界が人手不足になっているのは、インターネットショッピングの需要が高まっていることも影響していると考えられます。

総務省の「情報通信白書令和3年版/図表2-1-3-1 ネットショッピング利用世帯の割合」によると、インターネットショッピング利用世帯は、2020年3月以降に急速に増加しています。インターネットショッピングのニーズが高まることにより個人宅への配達が増えやすいのも、人手不足を強める要因の一つといえるでしょう。

また、厚生労働省の「令和4年雇用動向調査結果の概況」によると、運輸業・郵便業は入職率が10.2%であるのに対し、離職率が12.3%と上回る結果でした。長時間にわたる運転や、不規則な休憩・休暇といった労働環境になりやすいことが影響しているのかもしれません。

情報通信業

技術者が求められる「情報通信業」はIT関連の情報に長けており、実務経験のある人が重宝される傾向にあります。未経験での就職のハードルが高まりやすいことが、人手不足につながっている可能性があるでしょう。

参照元
厚生労働省
労働経済動向調査(令和3年8月)の概況
令和4年雇用動向調査結果の概要
総務省
情報通信白書令和3年版

人手不足の業界に就職するメリット

人手不足の業界に就職すると、人余りの業界に比べて就活がスムーズに進めやすかったり、社内で活躍できるチャンスの機会が増えたりする可能性があります。

ここでは、人手不足の業界に就職するメリットをご紹介します。「人手不足の業界だと苦労することしかないのでは」と不安に感じる方は、どのようなメリットがあるかチェックしてみてください。

人手不足の業界に就職するメリット

  • 人余りの業界と比べて採用されやすい傾向がある
  • 幅広い業務におけるスキルを身につけやすい
  • 昇給や昇格につながりやすい

人余りの業界と比べて採用されやすい傾向がある

人余りの業界よりも人手不足の業界のほうが採用されやすい傾向があります。人員が過剰だと求人の募集人数を減らしたり、選考の競争率が上がったりすることも考えられるからです。

一方、人手不足の業界はより多くの求職者を求めるのが一般的です。募集人数が増えれば選考を通過する可能性も高まり、就活のハードルが低くなりやすいでしょう。

幅広い業務におけるスキルを身につけやすい

人手不足の企業では携われる業務の幅が広く、スキルや経験が身につきやすい場合もあります。「さまざまな知識や経験を身につけながら働きたい」といった希望のキャリアビジョンがある方にとって、スキルを身につける機会が増えやすいのは魅力的なポイントといえるでしょう。

昇給や昇格につながりやすい

昇給や昇格につながりやすいのも人手不足の業界ならではのメリットです。
人手不足だと、責任が大きかったり企業の実績に影響したりする業務に携わるチャンスも増えやすいと考えられます。重要な仕事を行うことで企業への貢献ができれば、評価されて昇給・昇格につながる可能性を高められるでしょう。

また、人手が少ないぶん業務の成果が目立つ環境である場合も。実績が上司の目に入り、頑張りに見合う評価をされやすくなることも考えられるでしょう。

人手不足の業界に就職するデメリット

人手不足の業界では、労働者一人あたりの負担が大きくなったり、企業の経営状況に関連して雇用が不安定になったりすることもあるようです。ここでは、人手不足の業界に就職するデメリットをご紹介します。

「人手不足の業界に就職するとどのようなデメリットが起こり得るのだろう」と疑問を抱いている方は、以下の例をチェックしてみましょう。

労働者への負担が大きくなりやすい

人手不足だと必然的に求められる仕事量が増え、労働者一人あたりの業務負担が大きくなりやすい傾向があります。たとえば、長時間労働が常態化していたり、有給休暇が取得しにくかったりすることなどが挙げられるでしょう。

労働者への負担が大きいと、離職にもつながりかねません。離職者が出ればそのぶん人手を失うことになり、さらに労働者の負担が増えてしまうといった悪循環となるケースも考えられます。

仕事のモチベーションが低下しやすい

労働者の負担が増えて仕事のモチベーションが低下しやすくなるのも、人手不足の業界に就職するデメリットの一つです。人手不足だと一人あたりに求められる仕事量が増えやすく、やりがいよりも業務を遂行することに重きを置かなければいけない場合があるでしょう。

しかし、仕事でやりがいを感じられる場面が少ないと、業務に対して意欲的な姿勢でいるのが難しくなることもあります。仕事に対する意欲がもてなければ、働くうえでの身体的・心理的な疲労やストレスが大きくなる恐れもあるでしょう。

雇用が不安定になる可能性がある

人手不足が企業の経営や事業に影響を及ぼし、雇用が不安定になることもあり得ます。

事業や経営の安定には、「十分な人手で業務の対応ができる」ということが大切です。しかし、マンパワー不足の状態だと業務における生産性も低下しやすくなります。生産性が低下して企業の業績に影響が出てしまえば、事業縮小を余儀なくされて職を失う可能性もゼロではなくなるでしょう。

人手不足の業界に就職してから後悔しないためのポイント

応募したい職種や業界が人手不足である場合は、業務や労働環境、雇用環境などが自分の希望とマッチしているかをしっかり確認することが大切です。

ここでは、人手不足の業界に就職してから後悔しないためのポイントをご紹介します。「気になる企業が人手不足といわれていて、応募して良いか不安」といったお悩みがある方は、ぜひご一読ください。

自分の適性に合う仕事かを見極める

就職後にミスマッチを感じて後悔しないためにも、応募先の企業や職種が自分の適性に合っているかを見極めることが重要です。携わる業務内容が自分の希望や適性に合っていなければ、働くうえでのストレスも大きくなりやすいでしょう。

自分の適性に合う仕事なのかを見極めるためには、企業のWebサイトだけでなく、OB訪問を利用して実際に担当する業務を見学したり、働く社員の意見を聞いたりするのもおすすめです。
OB訪問を行うメリットとは?やり方や質問例をご紹介!」のコラムではOB訪問を利用するメリットを詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

労働時間や職場環境を確認して入社後をイメージする

応募を決める前に労働時間や職場環境などを確認し、入社後の自分の働く姿をイメージしてみましょう。特に、労働時間や残業時間、休みやすい環境があるかなどは、働くモチベーションにも影響しやすいポイントといえます。働き方に対するイメージが明確だと、入社後のミスマッチも起こりにくくなるでしょう。

労働環境を確認する際は、求人票を見るだけでなく、企業説明会に参加したり口コミサイトをチェックしたりすることも大切です。「人手が不足していることはもちろん、労働環境が劣悪でブラック企業かもしれない」といった不安を解消するためにも、入社後の労働環境を詳しく確認してみましょう。
ブラック企業は見極められる?特徴や見分け方のポイントを解説」のコラムでも労働環境の見極めるコツを解説しているので、ご活用ください。

収入や待遇が希望条件に合うかを確認する

収入や待遇が希望条件に合うかどうかも、応募前に確認しておきましょう。
収入や待遇は、私生活の過ごし方にも影響を及ぼすものといえます。希望の条件に合う金額や内容でなければ、「自分の働きと収入が見合っていない」といったストレスを感じてモチベーションが低下することも考えられるでしょう。

応募企業によって給与形態や福利厚生の種類などは違うため、求人情報を細かくチェックするのが大切です。
「基本給や月給といった用語の違いが分かりにくい」と感じる方は、「月給と月収の違いとは?手取りや基本給といった給与の基本用語を解説」のコラムで給与に関する用語を解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

雇用が不安定になる可能性の有無を調べる

コラム内の「人手不足の業界に就職するデメリット」で述べたように、人手不足の業界では雇用が不安定になる可能性があるため、応募企業の将来性に懸念点がないかを確認しておくことをおすすめします。

応募企業の将来性を見極めるには、中長期経営計画を確認するのも方法の一つです。中長期経営計画とは、企業の経営に関する現状や、数年後までの目標や取り組みに関する内容が記載されているもののこと。企業のWebサイトにて公表されている場合があり、企業の将来性を判断するのに役立つといえます。

人手不足の業界に採用されるための就活のコツ

人手不足の業界への就活の際に採用されるためのコツは、「企業へ志望度を伝えることを意識したアピールをする」「自身のスキルに合う求人選びをする」などがあります。

ここでは、人手不足の業界に採用されるための就活のコツをご紹介します。「選考通過の可能性を高めるためにはどうしたら良い?」とお悩みの方は、チェックしてみてください。

人手不足の業界に採用されるための就活のコツ

  • 熱意が伝わる志望動機を考える
  • 未経験者歓迎の求人を選ぶ
  • 業務に活かせる知識やスキルを身につける

熱意が伝わる志望動機を考える

就活で採用の可能性を高めるためには、志望動機の内容を企業への熱意が伝わるものにすると良いでしょう。

人手不足の業界への就活を進める際、「応募企業で働くやりがい」よりも「選考突破のしやすさ」を重視してしまうと、企業に対する熱意が伝わりにくくなることもあります。
志望動機で効果的なアピールをするためには、「企業で入社したら自分にとってどのようなメリットがあるのか」に焦点を当てて考えるのがポイントです。応募企業の特徴に合う志望動機を考えられれば、入社意欲がより伝わりやすくなるでしょう。

未経験者歓迎の求人を選ぶ

未経験者歓迎の求人を選ぶことも、就活をスムーズに進めるコツの一つです。
人手不足の業界であったとしても、求人によっては、即戦力を期待してスキルや経験を重視されることもあるでしょう。一方で、「未経験者歓迎」「未経験OK」などと記載のある求人を選べば、現時点ではスキルや経験がなくても採用されやすくなります。

募集要項をチェックして、自分のスキルや経歴に合う求人かどうか確認してみてください。

業務に活かせる知識やスキルを身につける

応募企業や職種で行う業務に活かせる知識やスキルを身につけることも、就活での効果的なアピールにつなげる方法です。企業のWebサイトや求人情報に記載されている情報などから、求められている人材の特徴を読み取り、どのようなスキルや資格があれば活かせるかを考えてみましょう。

なかには、多くの企業や職種で活かせる資格もあります。「就職に役立つ汎用性の高い資格とは?企業が求めるスキルを解説」のコラムでは、語学系や経理系、販売系などさまざまな資格をご紹介しているので、応募企業に関係する資格があるか確認してみてください。

「応募企業に適した就活の進め方が分からない」と不安を感じる方は、ハタラクティブにご相談ください。
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