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大企業と中小企業の違いは?両者に就職するメリット・デメリットもご紹介
更新日
この記事のまとめ
- 大企業と中小企業は資本金や従業員数などに違いがある
- 中小企業は中小企業基本法で定義されているが、大企業に明確な定義はない
- 中小企業とは違い、大企業は収入が安定しやすく社会的信用度が高い
- 大企業とは違い、中小企業は幅広い業務に携わりやすく転勤は少なめ
- 大企業と中小企業の違いを理解し、自分に合う職場を考えよう
「大企業と中小企業の違いは何?」と疑問に思っている方もいるでしょう。大企業と中小企業には、資本金や従業員数、働き方などに違いがあります。このコラムでは、大企業と中小企業の違いのほか、それぞれに就職するメリット・デメリットをご紹介します。就職・転職前に企業規模による働き方の違いを確認し、自分に合う職場を考えましょう。
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大企業と中小企業の違い
大企業と中小企業は、資本金・出資の総額や社員の人数に違いがあります。中小企業は「中小企業基本法」で定義されていますが、大企業には明確な定義がありません。基本的には、中小企業の基準を上回る企業が大企業とされます。
日本は大企業よりも中小企業が多い
日本に拠点を構える企業は、大企業よりも中小企業の数が圧倒的多数です。中小企業庁の調査によると、企業全体のうち、中小企業が99.7%を占めています。
ただし、中小企業の中には大企業の子会社や関連企業も含まれます。
たとえば、大手半導体メーカーの傘下には、部品の一部の生産を請け負っている企業や半導体製造の生産ラインの一部を親会社から委託されている工場が多数存在します。大手企業といえども、自社製品やサービスの提供や企画から製造を全てを自社で賄っているわけではありません。多くは大手企業を親会社に子会社や関連会社、委託先ベンダー企業と協調領域を構築してビジネスが成り立っているのです。
参照元
e-Gov法令検索
中小企業基本法
中小企業庁
中小企業・小規模事業者の数(2016年6月時点)の集計結果を公表します
- 自分でも丁寧に話を聞いてもらえるかな
- 無理な勧誘されないかな
- 最後までお金はかからないのかな
中小企業の定義
「中小企業基本法」における各業種の中小企業の定義は、下記の表のとおりです。基本的には、「資本金または出資の総額」「常時使用する従業員数」のいずれかを満たすものが中小企業と呼ばれます。
業種 | 中小企業者 (以下のいずれかを満たすこと) | 小規模企業者 |
---|---|---|
製造業、建設業、運輸業 卸し、サービス、小売りを除くその他の業種 | 資本金の額または出資の総額:3億円以下 常時使用する従業員の数:300人以下 | 常時使用する従業員の数:20人以下 |
卸売業 | 資本金の額または出資の総額:1億円以下 常時使用する従業員の数:100人以下 | 常時使用する従業員の数:5人以下 |
サービス業 | 資本金の額または出資の総額:5,000万円以下 常時使用する従業員の数:100人以下 | 常時使用する従業員の数:5人以下 |
小売業 | 資本金の額または出資の総額:5,000万円以下 常時使用する従業員の数:50人以下 | 常時使用する従業員の数:5人以下 |
引用:中小企業庁「中小企業・小規模企業者の定義」
全国に展開している企業であっても、資本金または出資の総額や従業員数が上記の基準に当てはまれば「中小企業」に該当します。そのため、知名度が高く大企業のイメージがあっても、資本金額や従業員数によって中小企業として扱われているケースがあります。
製造業は設備に多額の投資が必要とされる傾向にあるのに対し、小売業は投資が少ない状態でも始められることから、業種によって基準が異なります。
零細企業とは?
従業員数が5〜10人規模の企業は一般的に「零細企業」と呼ばれます。零細企業についても明確な定義は設けられていませんが、中小企業・小規模事業者の中に含まれます。詳しくは「零細企業の意味とは?就職するメリットやデメリットを紹介」のコラムをご覧ください。参照元
中小企業庁
中小企業基本法
中小企業・小規模企業者の定義
大企業と大手企業の違い
「大企業」という言葉のほかに、「大手企業」を聞いたことがある方もいるでしょう。大手企業は業界内でのシェア率や知名度の高い企業を指します。大手企業に該当するのはすべての大企業ではなく、シェア率などで業界の上位に位置する一部の企業です。
なお、「大手企業=上場企業」のイメージを持つ方も多いようですが、大手企業だからといって上場企業とは限りません。そもそも上場企業とは、証券取引所で株式取引ができる企業のことを指します。大手と呼ばれる企業のうち非上場会社もあるため、上場だけで企業を決めるのは避けましょう。
上場については、「東証一部上場とは?正しい意味や就職メリットとデメリットにも言及」のコラムでご確認いただけます。
準大手企業とは
準大手企業は、大手企業と後述する中堅企業との間に位置づけられます。大企業のうち、シェア率が大手に及ばず、知名度もそれほど高くない企業が準大手企業です。
大企業の中には中堅企業と呼ばれる企業がある
中堅企業は、中小企業から成長し大企業に区分されるものの、規模の面で大手や準大手に及ばないという位置づけです。しかし、特色ある製品や独自の戦略で一定のシェアを誇る中堅企業も存在します。地域に密着した事業を行い、ホワイト企業や優良企業として認知されているケースもあるでしょう。
大手企業については「大手企業とは?基準や定義はある?大企業や中小企業との違いも解説」のコラムでも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
大企業に就職する4つのメリット
大企業に就職する4つのメリット
- 中小企業に比べて賃金が高い
- 福利厚生が充実している
- 社会的信用度が高い
- 人材の育成制度が整っている
大企業に就職するメリットには、「中小企業に比べて年収が高い」「社会的信用度が高い」などがあります。
1.中小企業に比べて賃金が高い
大企業は賃金基準が明確なことが多いです。昇給や賞与などの制度も整っていることに加え、安定した経営や地盤があるため、中小企業に比べると年収が高い傾向にあります。年収が高いと経済的な余裕が生まれるので、仕事のモチベーションアップや定着率の向上にもつながるでしょう。
以下は厚生労働省が調査した、大企業と中小企業の賃金差のデータです。
年齢(男女計) | 大企業 | 中企業 | 小企業 |
---|---|---|---|
年齢計 | 348,300円 | 303,000円 | 284,500円 |
~19歳 | 187,800円 | 182,300円 | 183,100円 |
20~24歳 | 227,200円 | 216,700円 | 209,700円 |
25~29歳 | 266,500円 | 245,700円 | 238,000円 |
30~34歳 | 307,400円 | 272,500円 | 261,600円 |
35~39歳 | 349,600円 | 299,100円 | 288,200円 |
40~44歳 | 375,700円 | 325,000円 | 301,200円 |
45~49歳 | 397,800円 | 339,500円 | 311,300円 |
50~54歳 | 422,500円 | 354,100円 | 315,100円 |
55~59歳 | 427,000円 | 364,300円 | 318,300円 |
60~64歳 | 311,400円 | 293,600円 | 285,400円 |
65~69歳 | 275,000円 | 253,900円 | 254,300円 |
70歳~ | 245,500円 | 240,400円 | 235,100円 |
引用:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 (4) 企業規模別にみた賃金」
若い年代の内は中小企業と大きく差がありませんが、年代が高くなるに連れて乖離していくのがわかります。すべての企業規模で最も賃金が高くなるのは55~59歳ですが、大企業と小企業では10万円近い差が出ることに。企業規模問わず年齢に応じて賃金は上がっていくものの、大企業のほうが収入は高いことが分かるでしょう。
なお、「中小企業の年収はどのくらい?大企業との差や収入アップ方法もご紹介!」のコラムでは、大企業と中小企業の年収の違いを解説しています。中小企業で比較的年収が高い業界もご紹介しているので、チェックしてみてください。
参照元
厚生労働省
賃金構造基本統計調査
2.福利厚生が充実している
充実した福利厚生も大企業の強みです。社会保険はもちろん、休業手当や家賃補助など、ワークライフバランスを考慮した取り組みをしている企業もあります。また、資格取得支援や段階別の研修といった教育制度も整っていることが多く、社員が知識を吸収しながら成長できる環境です。
3.社会的信用度が高い
大企業は社会的信用度や知名度が高く、企業や個人間での商談を進めやすいのがメリットです。将来的に転職を考える場合でも、大企業のネームバリューはさまざまなビジネスシーンで有利に働くでしょう。
4.人材の育成制度が整っている
大企業では人材の育成制度が確立されているため、携わりたい業務や職種に合わせてキャリアプランを組むことが可能です。大企業ではどのようにステップアップしていくかが明確化されているため、目指すべき方向性をつかみやすいでしょう。
大企業に就職する4つのデメリット
大企業に就職する4つのデメリット
- 転勤がある
- 若い社員には裁量権があまりない
- 中小企業に比べて出世が難しい
- 求められる能力の水準が高い
中小企業とは違い、大企業には「転勤がある」「若い社員には裁量権があまりない」というデメリットもあります。
1.転勤がある
すべての企業や職種に当てはまるわけではありませんが、大企業は転勤をする可能性が高い傾向にあります。これは、企業規模が大きいと国内・海外にも拠点を多く持つため。企業によっては、数年単位で転勤が発生する場合も。
「転勤を拒否できるのはどんなとき?正当な理由があれば断れる?」のコラムでも説明している通り、就業規則に転勤について記載があれば、基本的には辞令を拒否することはできません。
2.若い社員には裁量権があまりない
大企業では部や課で業務が細分化されているため、自分の担当する分野に特化した働き方をする人が多いです。若手のうちは下積み期間として裁量権があまりないことも考えられるでしょう。また、業務フローにおいて許可をとるべき上司が多く、柔軟に動くのが難しい場合もあります。
3.中小企業に比べて出世が難しい
大企業は社員数が多いので、出世の競争率が高い場合も。役職者を目指したくても、少ない枠を多くの社員がねらっているのが現状です。社内での競争が激しいと、同僚や上司との人間関係が悪化するケースも。中小企業に比べ激しい社内競争にさらされる可能性があるため、高い能力が求められると覚えておきましょう。
4.求められる能力の水準が高い
大企業は知名度が高く業績も好調なことが多いため、志望者が増えやすいといえます。その中には高学歴や高い成果を持つ優秀な人材も多く、結果的に社員のレベルは高くなりがち。そのため、組織やチーム全体の能力水準が中小企業に比べ高い傾向にあります。
また、ビジネススピードも早いため、多くの仕事を高速で処理していく能力や新たなアイデアを創出するクリエイティブ性も求められるでしょう。
中小企業に就職する4つのメリット
中小企業に就職する4つのメリット
- 異動や転勤が少ない
- 出世の競争率が低い
- 若いうちからさまざまな仕事に携わりやすい
- 地元に密着した働き方ができる場合もある
中小企業は、大企業とは違い「異動や転勤が少ない」「出世の競争率が低い」といったメリットがあります。
1.異動や転勤が少ない
中小企業は支店のないことも多いため、異動や転勤の機会は少なめ。決まった場所で働き続けたいという希望が叶いやすいといえます。また、異動や転勤がなければ人間関係の構築がしやすく、安定したチームづくりを実現できるでしょう。
2.出世の競争率が低い
中小企業はそもそも社員数は多くありません。ライバルが少ないため、出世の競争率が低い傾向にあるでしょう。長く活躍するほど人材としての価値が高まるので、役職への道につながりやすいことも。大手企業では難しいポストに就けるチャンスは、中小企業のほうが高いといえます。
3.若いうちからさまざまな仕事に携わりやすい
中小企業は少数精鋭で成り立っているところが多く、若手のうちから営業や事務など広い分野に携わって働くことが可能です。仕事に対して手応えを感じられるだけでなく、着実にスキルを高められるのもメリット。また、上司や経営側との距離が近く、業務への提案や要望も伝えやすいでしょう。
4.地元に密着した働き方ができる場合もある
中小企業の中には、地域に密着して事業を展開しているところもあります。特定の地域でビジネスを拡大するため、対面での営業や交渉をしやすいのがメリットです。地域密着ならではの強みを活かしながら、顧客との信頼関係を深めることで、着実に成果をあげられます。
中小企業に就職するメリットは「中小企業に就職するメリットは?後悔しない優良企業の探し方をご紹介」でも解説しているので、あわせてチェックしてみてください。
中小企業に就職する3つのデメリット
中小企業に就職する3つのデメリット
- 大企業に比べて賃金が少ない
- 福利厚生が充実していない場合がある
- 企業の将来性に不安を感じやすい
中小企業の場合、「福利厚生が充実していない場合がある」「企業の将来性に不安を感じやすい」といったデメリットがあります。
1.大企業に比べて賃金が少ない
前述したように、事業が安定している大企業と比較して賃金が少ないのがデメリットといえます。なかには、昇給やボーナスといった給与査定の基準が曖昧な場合も。業績によっては賞与が少ない、もしくは支給されないことがあるでしょう。
2.福利厚生が充実していない場合がある
中小企業は大企業に比べると少ない人数で経営していて、「有給をとりにくい」「福利厚生が整っていない」といった企業もあるのが現状です。特別休暇制度や各種手当の支給があるのとないのとでは、働くことへの意欲にも差が生じるでしょう。
以下は、厚生労働省が実施した、年間休日数と有給取得率に関する調査結果です。
企業規模別の年間休日数
年間休日総数 | 1,000人以上 | 300~999人 | 100~299人 | 30~ 99人 |
---|---|---|---|---|
69日以下 | 0.3% | 0.1% | 1.2% | 2.3% |
70~79日 | 0.6% | 0.8% | 2.2% | 1.5% |
80~89日 | 0.7% | 1.0% | 2.7% | 4.1% |
90~99日 | 2.2% | 2.5% | 4.3% | 7.3% |
100~109日 | 20.3% | 22.2% | 31.0% | 32.7% |
110~119日 | 22.0% | 21.2% | 21.5% | 21.0% |
120~129日 | 53.0% | 50.9% | 36.2% | 28.9% |
130日以上 | 0.6% | 1.1% | 1.0% | 2.0% |
引用:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 1 労働時間制度 (3) 年間休日総数(5p)」
データを見ると、企業規模が大きいほど年間休日数が多くなることがわかりました。なお、全企業の平均年間休日数は110.7日です。
企業規模別の労働者1人あたりの平均年次有給休暇の取得状況
1,000人以上 | 300~999人 | 100~299人 | 30~ 99人 | |
---|---|---|---|---|
労働者1人平均付与日数 | 18.3日 | 18.0日 | 16.9日 | 16.9日 |
労働者1人平均取得日数 | 12.0日 | 11.1日 | 10.5日 | 9.6日 |
労働者1人平均取得率 | 65.6% | 61.8% | 62.1% | 57.1% |
引用:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 1 労働時間制度 (4) 年次有給休暇(6p)」
有給休暇の付与数。取得数も、企業規模が大きくなるほど高いことが分かりました。なお、全企業の平均は、付与数が17.6日、取得数が10.9日、取得率は62.1%です
参照元
厚生労働省
就労条件総合調査
3.企業の将来性に不安を感じやすい
事業の規模や範囲が小さいと、企業の将来性に不安を感じてしまう人もいます。また、地方によっては昔の考えのまま事業を進めているところもあるので、時代の流れや若年層との価値観の違いを感じることもあるでしょう。
大企業と中小企業の違いを把握して職場を選ぼう
大企業や中小企業にはそれぞれメリット・デメリットがあり、どちらが良いかは一概に言えません。このコラムでご紹介したメリットも、人によってはデメリットに感じる場合もあります。企業規模だけで判断せず、自分の望む働き方ができるかを考えて応募する企業を決めましょう。
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京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。
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