年収には交通費を含む?扶養内で働く条件やふるさと納税についても解説

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この記事のまとめ

  • 年収とは1年間の総収入のことであり、税金や保険料が引かれる前の金額を表す
  • 交通費(通勤手当)は、月15万円まで非課税とされる
  • 税制上の年収を計算する際、非課税限度額の範囲内であれば交通費は含まない
  • 社会保険の扶養範囲内かどうか判断するための年収は、交通費を含めて計算する
  • ふるさと納税の控除限度額を計算する際は、年収に交通費は含まない

年収の申告や計算を行う場合に、交通費(通勤手当)を含むべきか悩んでいる方もいるでしょう。「扶養の範囲内で働きたい」「ふるさと納税の控除限度額を計算したい」など、年収が必要なケースはさまざまです。年収を申告する目的によって交通費を含むかどうかは異なるので、各制度を正しく理解しておく必要があるでしょう。
このコラムでは、年収の壁や制度ごとの交通費の取り扱いについて解説します。ぜひ参考にしてください。

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年収と交通費

年収を計算する際に交通費を含めるのかを考える前に、まず「年収」と「交通費」それぞれの言葉の意味や基本知識を知っておきましょう。

年収とは

「年収」とは1年間の総収入のことであり、給与の「総支給額」を指します。給料をもらう際、税金や保険料などが差し引かれますが、なにも引かれていない状態の給与の1年分の合計金額が「年収」です。手取り金額ではなく、会社が従業員に支払った総支給額を表していることを知っておきましょう。

総支給額の意味や手取り金額の計算方法について知りたい方は、「総支給額とは?交通費は含まれる?手取りの計算方法や年収について解説!」のコラムもぜひチェックしてみてください。

交通費とは

交通費とは、「仕事や業務を遂行するうえで発生する交通に関する費用」のことを指します。たとえば、出張費用や取引先へ訪問した際にかかる電車代や飛行機代、タクシー代などが交通費に含まれます。

なお、交通費と似たものに「通勤手当」がありますが、通勤手当とは「職場へ通勤するためにかかった費用」のことです。業務中の出張や外出などで発生する移動費は、一般的に通勤手当には含まれません。ただし、会社によっては通勤手当のことを交通費と表示しているケースもあるようです。

会社側に交通費を支払う義務はない

労働基準法には交通費や通勤手当についての定めがないため、会社に支払い義務はありません。そのため、交通費や通勤手当が支給されている場合は、従業員の働きやすさを考慮した会社側の好意だといえます。
また、交通費や通勤手当の支給額は企業によってさまざまです。全額支給する会社もあれば、一部支給としているケースもあります。自宅から職場が離れていると、電車代やガソリン代、バス代などは結構な出費になるでしょう。希望の会社が遠方の場合は、求人情報をしっかり確認しておくことをおすすめします。

年収の計算に交通費は含まれるのか?

おおまかな年収を求められているときには、状況に応じて交通費を含むか含まないかを判断して問題ないでしょう。しかし、税金や社会保険に関連した内容では、年収に交通費を含むべきかどうかが制度上明確に決まっているケースもあります。

年収に交通費を含むかどうかは場合によって異なる

年収に交通費を含めるかどうかは、どういった目的で年収が必要なのかによって異なります
たとえば、社会保険上の扶養条件に該当していることを確認するために年収を申告する際は、交通費を含みます。しかし、「税金」を計算する場合は、交通費が非課税であれば年収に含みません。国税庁「通勤手当の非課税限度額の引上げ」によると、1ヶ月の通勤手当が15万円以下であれば非課税とされています。一方、月15万円を超える部分については課税対象となるため、年収に含める必要があるでしょう。なお、交通費が給料に含まれているなど、給料と通勤手当の区別がない労働契約を結んでいるケースでは全額課税対象となります。
参照元
国税庁
通勤手当の非課税限度額の引上げについて

源泉徴収票の年収に交通費は含まれていない

源泉徴収票の「支払金額」という項目では、1年間の収入の合計金額が確認できます。ただし、税金の計算を行ううえで必要な項目を記載している源泉徴収票の性質上、交通費(通勤手当)が非課税限度額の月15万円以内に収まっていれば「支払金額」に含まれません。
年収の額面(総支給額)を確認する際に源泉徴収票が用いられることは一般的ですが、交通費や通常必要と認められる旅費など、非課税扱いとされる手当は含まれていないことを知っておきましょう。

「年収の壁」によっても交通費を含めるかどうかは異なる

扶養の範囲内で仕事をしたい場合、年収が103万円・106万円・130万円に収まるかどうかは重要なポイントです。これを「年収の壁」といいます。「年収の壁」を超えていると、税金の優遇を受けられなかったり社会保険上の扶養から外れてしまったりする恐れがあるので、年収の壁ごとの交通費の取り扱いについてしっかり把握しておきましょう。
※以下で解説する内容は、2025年3月時点の税制によるものです。

年収103万円の壁

103万円の壁を考える際、基本的には年収に交通費を含みません
まず、年収103万円の壁がなにを指しているのか、国税庁の「No.1800 パート収入はいくらまで所得税がかからないか」「No.1180 扶養控除」を参考に説明します。

「年収103万円の壁」には二つの意味合いがあります。一つ目が、所得税の課税対象となる年収の基準です。給与所得者の年収が103万円を超えなければ、所得税が非課税とされますが、超えた部分に対しては所得税の支払いが発生します。
二つ目が、扶養控除が受けられる被扶養者の年収の上限です。扶養されている方(主に学生やフリーターなど)の給与所得が年間103万円を超えると、税制上の扶養から外れます。税制上の扶養から外れると、扶養者(親など)は所得控除が受けられなくなるため、住民税や所得税の支払いが増えてしまうのです。

年収103万円の壁は、税制上の優遇が受けられるかどうかのボーダーラインであり、年収の計算に交通費は含まないことを覚えておきましょう。ただし、前述のとおり、交通費が月15万円を超えると超えた部分を課税対象として年収に含む必要があります。
年収103万円の壁について詳しくは、「年収103万を超えたら税金はいくら払う?働き損にならない方法を解説!」のコラムをご参照ください。
参照元
国税庁
トップページ

150万円の壁とは?

150万円の壁とは、「配偶者特別控除」が満額で受けられる配偶者の年収のボーダーラインです。納税者に配偶者がいる場合、「配偶者控除」や「配偶者特別控除」などの所得控除が受けられるケースがあります。

まず、配偶者の給与所得が年間103万円以内であれば「配偶者控除」の対象です。103万円を超えた場合は、配偶者の収入に応じて「配偶者特別控除」が利用できます。配偶者特別控除の控除額は、配偶者の年収が増えると段階的に減少していく仕組みであり、満額の控除が受けられる配偶者の年収の上限が150万円です。また、年収150万円の壁についても、年収に交通費は含みません。

配偶者控除、および配偶者特別控除の金額や条件について詳しくは「配偶者控除とは?計算方法や対象条件などについて紹介!」をご参照ください。

年収106万円の壁

106万円の壁においても、年収の計算に交通費は含みません
「年収106万円の壁」は、社会保険への加入義務が発生する年収の目安です。厚生労働省の「社会保険加入のメリット」には、社会保険の加入条件について以下のように記載されています。

  • ・週20時間以上の労働をしている(残業時間は含まない)
  • ・1ヶ月の賃金が8.8万円以上(年収にして106万円程度)
  • ・2ヶ月を超えて雇用される見込みがある
  • ・学生ではない
  • ・従業員数が51人を超える会社で働いている

また、1ヶ月の賃金8.8万円以上の条件に関しては、残業代や賞与、通勤手当、臨時の手当は原則含まないとも記載されています。そのため、年収106万円の壁を考えるうえで、年収に交通費は含みません。

106万円の壁について詳しく解説している「106万円の壁とは?フリーターが知っておくべき税金や保険の種類を解説」もぜひあせてご覧ください。
参照元
厚生労働省
従業員の皆様|社会保険加入のメリットや手取りの額の変化について

年収130万円の壁

130万円の壁における年収は、交通費を含めて計算します
「年収130万円の壁」とは、社会保険上の扶養に入りながら働ける年収の上限のことです。年収130万円を超えると、社会保険の扶養から外れるため自分で国民健康保険や国民年金の保険料を支払う必要があります。
130万円の壁を考えるうえでは、会社から支払われた総収入額の合計が年収130万円以内に収まっているかがポイントです。毎月の給料はもちろん、交通費や各種手当、ボーナスなど、すべての金額を合わせて年収130万円以下である必要があります。なお、会社から定期券を現物で支給されている場合も、金額に換算して年収に含めましょう。

上記のように、各制度によって年収に交通費を含むのかどうかは異なります。どのくらいの年収であれば扶養内に収まるのか、不安な方は勤めている会社へ聞いてみましょう。年収の壁については、「フリーターが年収103万円を超えるとどうなる?6つの年収の壁を解説」のコラムでも解説しているので、あわせてチェックしてみてください。

なぜ年収に交通費が含まれるのか

130万円の壁における年収に交通費を含む理由としては、社会保険料を計算するうえで「標準報酬月額」が基準とされることが挙げられるでしょう。

全国健康保険協会の「標準報酬月額・標準賞与額とは?」によると、標準報酬月額の報酬の範囲について「労働の対償として事業所から現金又は現物で支給されるもの」と記されており、基本給のほかに以下のような手当も該当します。

  • ・役付手当
    ・勤務地手当
    ・家族手当
    ・通勤手当
    ・住宅手当
    ・残業手当など
よって、年収130万円の壁を考える際は、年収に交通費を含んで計算します。
参照元
全国健康保険協会
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ふるさと納税の限度額計算も年収に交通費は含めない

ふるさと納税の控除限度額を計算する際は、年収に交通費を含みません。なぜならふるさと納税は、各自治体への寄付により税金の控除や払い戻しなどが受けられる制度であり、課税対象となる収入をもとに年収を考える必要があるからです。
ただし、交通費(通勤手当)が非課税限度額の月15万円を超える場合は、超えた部分を年収に含める必要があります。

前述のとおり、交通費の支給は法律で定められているものではありません。アルバイトやパートでは交通費が支給されないケースも珍しくないでしょう。もし、「現在の勤め先での待遇に満足できない」と悩んでいるのなら、転職を視野に入れてみることもおすすめです。

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年収や交通費に関するよくある質問

最後に年収や交通費に関するよくある質問を紹介します。

扶養控除や配偶者(特別)控除の年収に交通費は入る?

扶養控除や配偶者控除、配偶者特別控除を考えるうえでは、年収に交通費を含めないことが基本です。税制上の年収は、課税対象とされる収入のみで計算されるからです。交通費が月15万円を超えると、超えた部分は年収に含む必要があることを覚えておきましょう。
通勤手当の非課税限度額については、このコラムの「年収に交通費を含むかどうかは場合によって異なる」をご参照ください。

年末調整における交通費の扱いは?

年末調整においても、基本的には年収に交通費を含みません。税金を計算するうえでの年収には、非課税限度額(月15万円)を超えない交通費は含まないと考えましょう。
年末調整の対象期間や還付が行われる時期について知りたい方は、「年末調整はいつからいつまでの給料が対象?還付金が返ってくる時期は?」のコラムもぜひご覧ください。

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