配偶者手当とは?手当の現状や廃止が進む理由を解説!

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【このページのまとめ】

  • ・配偶者手当は企業独自の福利厚生なので、支給条件や支給額は企業によって異なる
  • ・国家公務員の扶養手当は法律によって定められ、地方公務員はそれに準ずることが多い
  • ・家族手当は多くの企業にある制度で、中でも配偶者手当がある企業は約80%もある
  • ・家族手当の平均支給額は約17,000円で、企業規模が大きいほど高くなりやすい
  • ・配偶者手当は、共働き世帯の増加や実力主義への変換から廃止や見直しが進んでいる

就職したら配偶者手当がもらえるのか、支給額はいくらなのか、疑問を抱えている人も少なくないでしょう。配偶者手当は企業独自の福利厚生であるため、支給条件や支給額は企業によって異なります。このコラムでは、配偶者手当の内容や一般的な支給条件を解説。また、ライフスタイルの多様化や評価制度の変化にともない、廃止や見直しが進む実態についても紹介します。

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配偶者手当は配偶者がいる社員に支給される手当

配偶者手当は配偶者がいる社員に、基本給とは別に会社が支払う手当のことです。1975年に普及し、多くの企業で「家族手当」として定着しました。当時は共働き世帯が少なく、男性社員が1人で扶養家族を支えるのが一般的だったため、社員を経済的に支援する目的で導入されたものです。

配偶者手当は企業独自の福利厚生

配偶者手当は企業が独自で設定している福利厚生の一つです。法的義務はないため、配偶者手当がない企業もあります。
また、配偶者手当の支給条件や支給額も企業によって異なるようです。家族手当の一部としている企業や、扶養している配偶者のみを対象とする扶養手当を支給している企業もあります。

配偶者手当は所得税の課税対象

配偶者手当は給与所得と見なされるため、所得税の課税対象となり、社会保険料もかかります。所得税や社会保険料は固定賃金が対象であり、配偶者手当は毎月の支給額が固定されるため、これに該当するのです。

公務員の扶養手当は法律で決められている

国家公務員の場合、配偶者手当ではなく扶養手当が支給されます。国家公務員の給与は国税から支払われるため、対象となる家族の条件や支給額は法律で定められているのです。これは、税金の不正使用を防ぐ目的で、国会で定められた法律をもとに国民のチェックを受けていることを意味しています。
地方公務員の場合は自治体によって支給条件が異なります。国家公務員の法律に準じて、地方自治体の条例で定められていることが多いようです。

配偶者手当の一般的な支給条件

配偶者手当の支給条件は企業によって異なります。配偶者とは、婚姻関係にある夫や妻のことですが、この項ではより対象範囲の広い家族手当の一般的な支給条件について解説します。

「家族」の対象範囲

多くの企業では配偶者や子どもを対象にしているようです。両親を対象にする場合は、同居または同一生計を条件にすることが多いといわれています。
また、配偶者を婚姻関係のある夫婦に限定するか、事実婚も対象にするかは企業によって判断が分かれるでしょう。

対象家族の収入の上限

対象家族の収入によっては、支給対象から外れる場合があります。また、支給対象になる場合でも、収入に応じて支給額が変わることも。人事院の調査では、50%以上の企業が「所得税の配偶者控除が受けられる103万円」を上限としているようです。そのほか、「社会保険料の被扶養者とされる130万円」や「配偶者特別控除の満額支給の対象となる150万円」を上限とする企業もあります。

<配偶者の収入に制限がある企業の割合>
・103万円(所得税の配偶者控除の上限額)約52%
・130万円(社会保険料の被扶養者の上限額)約34%
・150万円(配偶者特別控除の満額支給の上限額)約7%

家族手当の支給額については、後の項で解説します。

参照元
人事院
民間給与の実態(2019年(平成31年)職種別民間給与実態調査の結果)
-3 手当の支給状況 表12 家族手当の支給状況

同居や同一生計の有無

対象家族の条件を「同居しているかどうか」で判断する企業もあります。この場合は、扶養している子どもであっても、一人暮らしで別居していれば対象外になるでしょう。
単身赴任で一時的に別居している場合は、企業によって判断が分かれるようです。
また、「生計を一つにしているか」で判断する企業もあり、この場合は一人暮らしで別居していても、生活費を仕送りしていれば対象となります。
両親が年金を受給している場合は、同一生計とは見なされずに対象外とする企業もあるようです。

対象家族の年齢

対象家族を年齢で判断する企業もあります。
子どもは大学進学前の18歳、または大学卒業の22歳を上限にすることが多いようです。両親は定年退職にあたる60歳以上を対象とするのが一般的でしょう。
家族手当は、扶養家族がいる社員の経済的負担を軽減するためのものなので、就業中の家族は対象外にするという考え方がベースにあります。

配偶者手当を支給している企業はどれくらいある?

人事院による調査をもとに、家族手当の支給実態について解説します。

78%の企業が支給している

家族手当を支給している企業は78%と、多くの企業で支給されています。
制度がある企業のうち、配偶者に手当を支給するところは約84%です。ただし、ほとんどの企業で配偶者の収入制限を設けています。収入制限についての状況は以下のとおりです。

<収入制限の有無>
制限のある事業所 84.5%
制限のない事業所 15.5%

前述のとおり、収入制限の上限額は103万円か130万円が多いといわれています。

参照元
人事院
民間給与の実態(2019年(平成31年)職種別民間給与実態調査の結果)
-3 手当の支給状況 表12 家族手当の支給状況

支給額の平均は約17,000円

家族手当の支給額は企業によって異なりますが、平均で約17,000円です。企業規模が大きいほど支給額も多い傾向にあります。

<企業規模による平均支給額の違い>
1,000人以上 21,671円
300~999人 17,674円
100~299人 15,439円
30~99人 12,180円

また、家族によって支給額が異なる企業も多く、たとえば東京都の中小企業では約88%に上ります。配偶者への平均支給金額は約10,000円、子どもへの平均支給金額は約5,400円です。

参照元
厚生労働省
平成 27 年就労条件総合調査の概況 3 賃金制度 (3) 諸手当

東京都産業労働局 
中小企業の賃金・退職金事情(平成30年版)2 賃金事情

配偶者手当を廃止する企業が増えている理由

配偶者手当・家族手当は、廃止や見直しを検討する企業が増えているといわれています。
人事院の調査では、家族手当の見直しを検討している企業は約14%。そのうち廃止を検討している企業は24%、支給額の減額を検討している企業は約20%です。
この項では、廃止や見直しが進む背景について解説します。

参照元
人事院
民間給与の実態(平成30年職種別民間給与実態調査の結果)
-3手当の支給状況 表12 家族手当の支給状況 ウ 配偶者に対する家族手当の見直し予定の状況

ライフスタイルの多様化

配偶者手当が普及・定着した1975年に比べて、企業で働く従業員構成・家族構成は変化しています。
配偶者手当が普及した当時は男性が仕事に専念し、女性は家事・育児に専念する家庭が一般的でしたが、1997年には共働き世帯が専業主婦世帯の数を上回るようになりました。
1975年と2015年の女性の就業率の比較は以下のとおりです。

<女性の就業率の推移>
・25~29歳 1975年:41.1% 2015年:76.5%
・30~34歳 1975年:30.0% 2015年:68.4%
・35~39歳 1975年:53.1% 2015年:69.4%

また、共働き世帯は1980年には約600万世帯でしたが、2015年には1114万世帯になり、反対に専業主婦世帯は約1100万世帯から、687万世帯に減りました。
配偶者手当は、家族を扶養する男性従業員を支えるために普及した制度ですが、共働き世帯が多い現在では、配偶者手当の目的と家庭のあり方が合わなくなってきていると考えられます。

配偶者手当による就業調整を防ぐ

配偶者がいる女性のパートタイム労働者では、配偶者控除や配偶者手当を理由に就業調整をしている人が、21%いることが厚生労働省の調査で分かっています。そのうち、就業調整する理由を「配偶者の配偶者手当の対象から外れるから」とする人は約21%です。
このような就業調整によって、繁忙期の人手不足を招いたり、就業調整をしない従業員に負担が偏ったりするなどの問題が生じているといわれています。
また、労働力人口が減っている現状から考えて、パートタイム労働者を活用できていないことが社会的な問題であるという考えもあるようです。

さらに、配偶者控除額が改正されたことも影響しています。
2017年までは38万円の配偶者特別控除を受けられるのは、配偶者の年収が103万円未満の世帯でしたが、改正により年収の上限が150万円になりました。前述のとおり、配偶者手当・家族手当の支給対象となる家族の収入上限を103万円、または130万円としている企業は合計で約84%ありますが、収入上限と税制が合わなくなったことも廃止や見直しが進む理由の一つです。

参照元
厚生労働省
配偶者手当の在り方の検討

配偶者手当を見直した企業の例

この項では、配偶者手当を見直し、または廃止した企業の事例を紹介します。

幅広い対象者に変更

配偶者手当を廃止し、子どもや障がい者への支援策を新設した企業の事例があります。
この企業では配偶者扶養給として20,000円を支給していましたが、段階的に廃止。その代わり、新たに子どもが生まれた社員には、子ども1人あたり55万円を支給する支援策を新設しました。
さらに、子どもや障がい者等支援が必要な家族を扶養している社員には、月額5000円を支給することになったということです。
別の企業では、新たに「介護を要する本人・配偶者の親族」を対象家族に認めた例もあります。
いずれも、社員が子育てや介護に対する不安を解消し、安心して働けるようにするのが目的です。

実力主義・成果主義への転換のため廃止

ある企業では配偶者手当を見直すだけでなく、賃金制度そのものを見直しました。成果主義である海外の企業と競争するため、年功序列を廃止して実力主義へと転換。その際、配偶者手当や住宅手当は仕事の成果とは関係ないという理由で廃止しました。

男女均等の観点から廃止

配偶者手当は、支給対象が世帯主であったり、扶養している従業員であったりと、主に男性社員を対象にしてきました。しかし、男女均等の観点から廃止する企業が増えているといわれています。
また、配偶者手当だけでなく、各種手当を公平・公正の観点から廃止し、賃金制度に移すという企業もあります。この場合、廃止による余剰金は全員に再配分したことで、特に若手社員のモチベーション向上につながったようです。

参照元
厚生労働省
配偶者を対象とした手当に関する見直しが 実施・検討された事例等

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