- フリーター就職支援「ハタラクティブ」TOP
- お役立ち記事TOP
- 公務員が懲戒免職になったらどうなる?その後の処遇についても解説
公務員が懲戒免職になったらどうなる?その後の処遇についても解説
更新日
この記事のまとめ
- 懲戒免職された公務員は「退職金(退職手当)」が支給制限される
- 懲戒免職後、再び公務員職に就くのは難しくなる
- 懲戒免職とは公務員に下される「懲戒処分」のなかの一つで、解雇に相当するもの
- 懲戒免職は「欠勤」「秘密漏洩」「セクシャルハラスメント」などが対象となる
公務員として働いている、あるいは公務員職を目指している方のなかには「懲戒免職されるとどうなるの?」「その後の人生への影響は?」と気になる人もいるでしょう。懲戒免職になると、公務員として再就職するのは難しい傾向にあります。また、公務員が懲戒免職になると退職金が支給されない場合もあるようです。このコラムでは、懲戒免職になった公務員の処分内容や再就職に行き詰まったときの対処方法についても解説します。
公務員が懲戒免職になったらその後はどうなる?
懲戒免職された公務員が抱えるリスクは、退職金(退職手当)の支給制限や再就職が厳しくなるなどです。以下で詳しく解説します。
懲戒免職になると退職金に影響が出る
「国家公務員退職手当法第十二条」によると、懲戒免職を受けた公務員は退職金(退職手当)を全額、または一部が支給されない可能性があるようです。
公務員の賃金支給額は地方条例や法律で定められており、退職金も同様に法令に基づいて金額が決められています。支給後に、退職金の返納を求められる場合もあるので覚えておきましょう。
参照元
e-Gov法令検索
国家公務員退職手当法
懲戒免職による退職金の支給は不服申立てが可能
懲戒免職の処分に不服があれば、人事院に審査請求する方法があります。「基準に比べて処罰が重過ぎる」「そもそも事実とは異なる」「他処分で済むと考えられるのに懲戒免職にされている」などの場合には処分に対して申し立てることも可能です。
ただし、審査請求ができるのは処分を告知された翌日以降の3ヶ月以内。懲戒免職の処分に対して不服を申し立てる場合は、早めに行動しましょう。
年金や失業保険は支払われる
公務員は国民年金と厚生年金に加入しており、この2つが公的年金として支払われます。しかし、公務員の方が懲戒免職を受け禁錮以上の刑に処せられたとき、懲戒処分を受けたときは「退職年金」または「業務障害年金」が給付制限の対象です。また、失業保険も対象となるものの、懲戒免職の場合は「自己退職」として扱われます。受け取りまで待期期間があり、会社都合退職に比べると給付日数も少ないのが特徴です。
懲戒免職になると公務員として再就職は難しい
「国家公務員法第三十八条」によると、国家公務員で懲戒免職になった場合、処分の日から2年間は官職に就くことはできません。地方公務員の場合も「地方公務員法第十六条」で同様の規定が定められており、懲戒免職の処分から2年経たない間は職員にはなれず、職員採用試験を受けることも不可能です。
公務員以外の再就職も厳しい可能性がある
公務員が懲戒処分を受けると、氏名や所属名を公表する場合があるため一般企業への就職も厳しくなると予想できます。転職活動をする際、懲戒免職の事実を履歴書に記載する義務はありません。しかし、再就職の面接で前職の退職理由を聞かれ嘘をつくのは避けましょう。
仮に免職したことを隠したまま入社した場合、社会保険や雇用保険の加入手続きなどで発覚する場合もあります。
国家公務員共済組合(社会保険)の資格を失う
公務員が懲戒免職を受けると、加入していた「国家公務員共済組合」(社会保険)の資格を失い、医療費の給付を受けられなくなってしまいます。そのため、国民健康保険に入るもしくは、再就職して会社の社会保険に加入する必要があるでしょう。再就職先で会社の被保険者になった場合は、社会保険の手続きは勤務先で行い、社会保険料も折半するのが一般的です。しかし、国民健康保険は保険料の全額を支払うのに加えて、住んでいる自治体で自ら加入の手続きを行うため、社会保険の資格を失うと負担が増える可能性があるでしょう。
公務員にとっての懲戒免職とは?
懲戒免職(ちょうかいめんしょく)とは、公務員に下される最も重い懲戒処分のこと。懲戒免職は「懲戒処分」のなかの一つで、「クビ(解雇)」に相当するものです。
また、公務員には、懲戒免職以外にも「国家公務員法第八十二条」「地方公務員法第二十九条」によって定められた処分が存在します。以下では、免職をはじめとする懲戒処分について紹介します。
公務員にとっての懲戒処分
- 免職
- 停職
- 減給
- 戒告
1.免職
免職とは、職員の意にかかわらず、その職を失わせる処分です。懲戒処分のなかで最も重い罰といえます。
2.停職
停職とは一定期間、職務に従事させず無給とする処分です。国家公務員の場合は1日以上、1年以下と定められています。
「知っておきたい!停職ってどんな処分なの?」では停職処分について詳しく解説。気になる方はこちらもあわせてご一読ください。
3.減給
減給とは一定期間、職員の給与を減額して支給する処分です。国家公務員の場合、減給期間は1年以下で、減給額は俸給の20%以内と定められています。地方公務員の場合は、各自治体の規定によって異なるようです。
4.戒告
戒告とは、非違行為を行った方に始末書を提出させるなど、将来に対し戒める処分です。
これらの処分の決定に不服がある場合は、申し立てることができます。懲戒免職となった場合は訴訟に発展し、司法の判断に委ねる場合も少なくありません。
「懲戒免職」と「懲戒解雇」の違い
非違行為に対して、公務員に適用される処罰が「懲戒免職」、民間企業で適用される懲罰が「懲戒解雇」です。
懲戒免職と懲戒解雇は呼び方が異なるだけで、どちらも職を失う重い処分といえるでしょう。ただし、懲戒免職が下った公務員は場合によって氏名・所属先・処罰内容などが公表されますが、懲戒解雇になった一般企業に務める会社員は、原則世間的な公表には至りません。
国や自治体に所属し、税金から給与を支払われている公務員は、民間の正社員より厳しい処罰になります。懲戒解雇について詳しく知りたい方は「懲戒解雇が転職に与える影響とは?隠すリスクや再就職成功の方法を解説!」もあわせてご覧ください。
懲戒免職になる公務員はどれぐらいいる?
人事院が公表した「令和5年における懲戒処分等の状況について」の報告によると、令和5年の間に懲戒処分を受けた公務員は240人で、前年より6人増加しました。その内訳は、免職12人、停職57人、減給110人、戒告61人という結果です。ほかの処分件数に比べ、免職は少ないと分かります。参照元
人事院
令和5年における懲戒処分の状況について
公務員が懲戒免職になる事例とは?
「欠勤」「秘密漏洩」「セクシャル・ハラスメント」「横領」など、懲戒免職になる理由はさまざまです。具体的な刑の種類と処分は、人事院が定める「懲戒処分の指針」で判断されます。
非違行為が悪質なものであったり複数の非違行為を行っていたりした場合は、これから下記で紹介する事例より重い処分になる可能性も。一方で、処分が軽くなる場合は、非違行為を自ら申し出たり、非違行為の内容が酌量すべきものと認められたときです。
公務員が懲戒免職になる事例
1.欠勤
正当な理由のない欠勤が続いた職員は、日数に応じて懲戒処分が下ります。10日以内であれば戒告や減給ですが、21日以上欠勤した場合は停職や免職といった重い処分が下る恐れがあるでしょう。
2.違法な職員団体活動
「国家公務員法第九十八条第二項」にある「怠業」に該当する違法行為を企て、実行や共謀をそそのかす、あるいはあおった職員は免職または停職の処分です。また、活動に単純参加した場合は、戒告や減給となる恐れがあります。
3.秘密漏洩
職務上の秘密を故意に漏洩し、公務運営に大きな損失を与えた職員は、免職または停職の処分が下ります。このとき、自身の不正な利益を得る目的で秘密を漏洩した職員は、停職の余地なく免職の扱いです。
4.不当な取引制限などに関与する行為
いわゆる入札談合に該当する行為を行った、あるいは関与した職員は免職または停職の処分が下ります。
入札談合とは、物品の公共調達や公共工事にかかわる入札において、企業同士が相談し予定価格などの情報を示したり受注金額を定めたりして、競争の取りやめをほのめかす行為のことです。
5.公的な文書の不適正な取扱い
公的文書の変造や偽造、決裁文書の改ざんなどを行った場合、免職または停職の処分が下ります。また、その他公文書の改ざん、紛失や誤破棄をした職員は停職や減給、戒告処分のいずれかの対象です。
6.セクシュアル・ハラスメント/パワー・ハラスメント
職場において他者を不快にさせる性的な言動、脅迫や暴行に該当する行為。および上司・部下の関係を利用した性的関係の強要などを行った職員は、免職または停職の処分です。
7.横領・窃取・詐取
公金官物に関して、横領・窃取・詐取をした職員は免職となります。なお、公金官物に限らず、他者の所有物を横領したり恐喝や詐欺行為で財物を強取した場合なども、免職または停職の処分対象です。
8.放火・殺人
公務外非行関係に該当する放火・殺人をした職員は免職となります。
9.麻薬物の所持
危険ドラッグ(覚醒剤、大麻、あへんなど)を所持している、使用した、譲渡を行った職員は免職です。
10.淫行
金銭などを対償に18歳未満の者と淫行をした、または供与することを約束して淫行をした職員は免職または停職処分の対象となります。
11.飲酒運転
飲酒運転および酒気帯び運転をした職員は、免職または停職の処分対象です。また、飲酒運転により人にケガをさせたり死亡させたりした場合は、免職となります。加えて、運転手に飲酒の提供および飲酒をすすめる行為をした、飲酒状態にあると知っていながら同乗した職員も、免職・停職・減給・戒告のいずれかの処分対象です。
12.交通事故
交通事故により死亡させた、あるいは重篤な障害やケガを負わせた職員は、免職・停職・減給のいずれかの処分が下ります。
「民間企業と公務員の違いとは?転職前に知っておくべきことを解説」では公務員の基本的な仕事について解説していますので、罰則以外の業務内容に興味のある方はご一読ください。
参照元
人事院
国家公務員関係法令等一覧
公務員の副業も懲戒免職になる?
公務員の副業は「国家公務員法第百三条」や「地方公務員法第三十八条」で、一部例外を除き禁止されているため、懲戒処分の対象です。ただし、不動産の賃貸や農業を営む「自営兼業」は承認基準に基づいて許可されています。参照元
e-Gov法令検索
国家公務員法
懲戒免職からの再就職に行き詰まったときの対処方法
公務員として懲戒免職になり正社員として企業に就職するのが難しい場合は、フリーランスで仕事を探したり起業したりと組織に加入しないで働く方法があります。ただし、公務員の懲戒免職後にフリーランスとして生計を立てるには、どの分野もある程度のスキルが必要です。
「知りたい!自宅で稼ぐ方法と注意点」のコラムでは、おすすめのフリーランス職種を紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
「やはり正社員として働きたい」「フリーで稼げる自信がない」との理由で民間企業への再就職を目指すなら、就職・転職エージェントを利用する方法もおすすめです。公務員からの懲戒免職によって再就職が難しい状況も、経験豊富なアドバイザーが就職活動をサポートしてくれるので心強いでしょう。
若年層に特化した就職・転職エージェントのハタラクティブでは、求職者一人ひとりに専任のキャリアアドバイザーがつきます。希望や適性を丁寧にヒアリングし、それぞれに合った求人を厳選してご紹介。未経験OKの求人情報も豊富に扱っているので、公務員から未経験の業界・職種への転職を考えている場合も自分に合った仕事を探せるでしょう。
また、就職活動の進め方や応募書類の書き方、面接対策など、選考対策についてもマンツーマンでアドバイスします。企業へ直接聞きにくい質問や就活中のスケジュール管理も求職者に代わって行うため、就職活動に不安のある方も安心です。「自分に合った仕事を見つけたい」「これまでの経験を活かせる仕事がしたい」などとお考えの方は、ハタラクティブにご相談ください。
公務員の懲戒免職に関するQ&A
公務員の懲戒免職に関する質問にお答えしていきます。ぜひ参考にしてみてください。
公務員が懲戒免職になると実名が公表されますか?
公務員が懲戒免職になると、実名を公表される場合があります。人事院による「懲戒処分の公表指針について」では、公表内容について「個人が識別されない内容を基本として公表する」として記載がありますが、非違行為に対し社会的影響が大きい場合は実名も公表の対象です。
参照元
人事院
懲戒処分の公表指針について
公務員の懲戒処分に時効はありますか?
公務員の懲戒処分に時効の規定はありません。処分の対象となる行為をしてから長期間経過していても、懲戒処分される場合があるため、注意しましょう。
「懲戒処分とは?種類や解雇されることで生じる影響について解説」のコラムでは、懲戒処分されるとどのような問題が生じるのか解説しているので、あわせてご一読ください。
懲戒免職になると再度公務員になるのは難しいですか?
懲戒免職された場合、公務員として再就職するのは厳しい可能性があります。懲戒免職の処分から2年経過しない間は職員にはなれず、職員採用試験を受けることもできません。今すぐに再就職したいと考えている人は、一般企業への転職も検討してみましょう。
転職に関するご相談は、就職・転職エージェントのハタラクティブにお任せください。
- 経歴に不安はあるものの、希望条件も妥協したくない方
- 自分に合った仕事がわからず、どんな会社を選べばいいか迷っている方
- 自分で応募しても、書類選考や面接がうまくいかない方
ハタラクティブは、主にフリーター、大学中退、既卒、そして第二新卒の方を対象にした就職・転職サービスです。
2012年の設立以来、18万人以上(※)の就職・転職をご支援してまいりました。経歴や学歴が重視されがちな仕事探しのなかで、ハタラクティブは未経験者向けの仕事探しを専門にサポートしています。
経歴不問・未経験歓迎の求人を豊富に取り揃え、企業ごとに面接対策を実施しているため、選考過程も安心です。
※2014年12月~2024年1月時点のカウンセリング実施数
一人ひとりの経験、スキル、能力などの違いを理解した上でサポートすることを心がけています!
京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。