懲戒免職と懲戒解雇との違いとは?原則や知っておくポイントも解説

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この記事のまとめ

  • 懲戒免職とは、公務員に懲戒解雇は会社員に下される処分で職を失う最も重い処分
  • 懲戒免職とは横領やハラスメント行為、法律違反などをした場合に下されることがある
  • 懲戒免職とは、相当性や適正手続などの原則に則って下される
  • 懲戒免職になると、公務員への再就職や退職金の受給は難しい
  • 懲戒免職が不当解雇とみなされる可能性もある

懲戒免職とはどのような処分なのか詳しく知りたい方はいるでしょう。
教員や警察官、国家公務員といった人が不祥事を起こすと、懲戒免職になることがあります。懲戒免職は最も重い処分のため、その後の就職や生活に悪影響を及ぼす可能性が高いでしょう。
このコラムでは、懲戒免職のリスクや懲戒解雇の違いを解説。懲戒免職のリスクを正しく理解し、日々の行動を見直しましょう。

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懲戒免職とは

懲戒免職とは、公務員が汚職や犯罪といった行為をした場合に下される最も重い処分です。公務員の懲戒処分は5段階に分かれており、戒告(譴責)、減給、停職、後任、免職の順で重い罰になります。公務員は会社員より安定した仕事ですが、不祥事を起こして懲戒免職になる人も少なくありません。懲戒免職を受けると再就職に影響したり、社会的信用を失ったりすることもあるため、リスク回避のために正しい行動を心掛けましょう。

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懲戒免職と懲戒解雇との違い

懲戒免職と懲戒解雇は、どちらも職を失う重い処分です。言葉の意味は同じですが、対象が公務員であれば懲戒免職、会社員であれば懲戒解雇というように使い分けられています。懲戒解雇は各企業の就業規則で定められており、基本的に名前が公表されることはありません。
一方で、公務員が懲戒免職になったときは、氏名と職場が公表されることが多いです。会社員に比べて厳しい処分を受ける理由として、公務員の給料が税金で賄われていることが考えられるでしょう。公務員には誠実で清廉潔白なイメージが求められるため、相応しくない行為をすれば厳しい処罰が与えられます。詳しくは「公務員が懲戒免職になったらどうなる?その後の処遇についても解説」のコラムでも解説しているので、チェックしてみてください。

懲戒免職になる4つの理由とは

人事院が「懲戒処分の指針」で定めている、懲戒免職に値する理由は以下のとおりです。

1.公金官物取扱い

窃盗や詐欺、横領を働いた公務員は懲戒免職を受けます。過失での紛失・損壊等は戒告や減給の処分ですが、悪質性が認められれば懲戒免職になるでしょう。

2.一般服務関係

秘密漏えいや入札談合などに関与する行為、ハラスメント行為を行った公務員は懲戒免職になることがあります。また、公文書の改ざんやほかの職員を違法行為に勧誘した場合、21日以上無断欠勤した場合も懲戒免職になるので注意しましょう。

3.飲酒運転・交通事故・交通法規違反

飲酒運転で人身事故を起こしたり、事故後の救助義務を怠ったりした場合は懲戒免職になります。また、飲酒していない場合でも交通事故を起こして人が死亡、重篤な障害を負った場合は懲戒免職になることも。現場の状況や事故後の救助義務を果たしたかによって、懲戒処分の度合いは異なります。

4.公務外非行関係

殺人や放火といった犯罪行為は懲戒免職を受けます。ほかにも麻薬の所持や未成年淫行など、法律に反した行為をすれば公務外であっても懲戒免職になるでしょう。

参照元
人事院
懲戒処分の指針

懲戒免職を判断する7つの原則とは

懲戒免職は非常に重大な処分であり、懲戒免職についての法律も存在します。そのため、判断は慎重に為される必要があるようです。ここでは、懲戒免職を判断する際の原則とはどのようなものなのか説明します。

1.適正手続き

一部の人の証言や、先入観だけで処分を決めないよう、客観的な証拠を集め、事実関係の充分な調査を行わなければなりません。また、本人に弁明の機会を与えたり、懲罰委員会を設置するなど、規定に基づく適正な手続きを行う必要があります。

2.個人責任

処分の際は個人責任が原則となり、個人の行為に対して、連帯責任を負わせてはいけません。原因や犯人がわからないからと言って、全員に連帯的に責任を負わせ処分をすることはできないことになっています。

3.平等取り扱い

処分は、平等に取り扱わなければなりません。そのために、これまでに同様の事案があった場合の処分を確認し、そのときと同様の内容にするといった調整が必要となります。

4.相当性

懲戒免職は、事案に対し相当性の欠ける処分であってはならないということになっています。その背景や経緯を考慮したうえで、客観的に見て合理的で適切な処分をすることが必要です。

5.二重処分禁止

一つの事案に対し、2回以上の処分を行ってはならないとされています。既に何らかの処分を行っている場合、あとからの処分は重複した処分であるとみなされて無効となる場合もあるようです。

6.効力不遡及

事案が発生したあとで設けられた処分規定は、その効力を有しないとされています。既に発生した事案に対し、あとからできた規定を根拠に処分を行うことはできないため、社会情勢などを勘案し、規定を早めに整備しておくことが必要です。

7.刑罰法定主義

懲戒処分を行う際は、その対象となる行為や内容を明らかにしておかねばならないとされています。主観で処分を実施することはできないため、その根拠を周知しておくことが必要です。

懲戒免職になった際に知っておくべき4つのポイントとは

懲戒免職となった際には、退職金や年金、再就職などはどのようになるのか、事前に知っておくべきポイントを4つご説明します。懲戒免職にならないため、またなってしまったときのためにも、理解しておくことが大切です。

1.懲戒免職になると公務員への再就職は難しい

一度懲戒免職になると、公務員への再就職の道は険しくなります。国家公務員や地方公務員は望みがありますが、警察官や教員の場合は再就職できない可能性が高いでしょう。
また、懲戒免職で退職したことは履歴書に書かなければいけません。記載しなかった場合は経歴詐称になるので、採用されても再び懲戒処分を受けるでしょう。懲戒免職を受けた経歴は一生残るものなので、一般企業への転職も難易度が高くなるといえます。
懲戒免職を受けるとその後の人生への影響が大きいので、問題になりそうな行動は慎み、公務員の自覚をもって行動することが大切です。

2.懲戒免職になると退職金の支給は基本的にない

懲戒免職になると、退職金は減額されるか、全く支給されないかのどちらかです。公務員の退職金の支給額は、法律によって退職理由ごとに区分されています。そのうえ、懲戒免職の原因となった内容によって不支給や減額が決まるので、退職金が支給されても少額である可能性が高いです。懲戒免職になって経済的に困窮することがないように、日頃から行いに気を付けましょう。

3.懲戒免職でも年金はほぼ支給される

懲戒免職になっても厚生年金はほぼ支給されます。懲戒免職になると、共済年金の「職域加算額」の最大50%が減額されますが、支給額に大きな影響はありません。公務員は会社員と同じように年金を収めているので、厚生年金はほぼ支給予定額をそのまま受け取れます。

4.公務員は懲戒免職の異議申し立てできる場合がある

公務員は、懲戒免職を受けた際に、要件を満たせば異議申し立てができる場合があります。不人事院や人事委員会に対して「審査請求」することにより、処分取り消しを求めることが可能です。ただし、審査請求が可能な期間が決められているため、注意が必要となります。

懲戒免職以外の懲戒処分の5つの種類

公務員には、懲戒免職以外にも、さまざまな懲戒処分があります。ここでは、懲戒処分の種類についてご紹介。それぞれに処分の程度が異なりますが、労働者には何らかの制裁となります。

1.減給処分

減給処分とは、一定期間の給与を減ずることをいい、最も軽い処分となります。定められた期間を経過すると、元の給与額に戻るのが特徴です。

2.降格処分

現在の役職や地位を失い、それよりも低い役職や地位になる降格処分もあります。それに伴い、給与などが減少する可能性もあるようです。

3.出勤停止処分

停職とも呼ばれ、定められた期間に業務に就くことを禁止する処分です。出勤停止期間中は給料が支払われません。

4.戒告・訓戒・譴責処分

戒告・訓戒・譴責処分は、いずれも、労働者に反省を求め戒める懲戒処分です。懲戒処分の中では最も軽い処分になります。一般的に、戒告と訓戒では口頭での反省が求められ、譴責では始末書や誓約書など書面での反省が求められるのが一般的です。
譴責処分については「譴責処分とは何のこと?懲戒処分の7つの種類や転職への影響を解説!」でも詳しく解説しています。

5.諭旨解雇・諭旨退職

諭旨解雇とは、懲戒解雇に相当する事由がある場合に、情状酌量で若干処分を軽減した解雇のことです。使用者と労働者が話し合い、両者が納得する形で解雇処分を行う形となり、退職金が一部支給される場合もあります。

諭旨退職は、諭旨解雇よりもさらに緩やかな処分となり、労働者が自ら退職届を提出し、依願退職した形を認める処分です。

懲戒処分の種類については「戒告、譴責、減給、諭旨解雇、懲戒解雇…懲戒処分とは?」のコラムも参考にしてみてください。

懲戒免職が行われる流れ

懲戒免職処分が行われる際の流れをご説明します。

事実確認

まず、事実確認を行い、事案について本当に処分に値するかどうか、客観的な事実に基づいて確認します。

弁明の機会を与える

確認した事実を労働者本人に伝え、弁明の機会を与えます。やむを得ない事情がある場合は、処分を軽減する必要があるでしょう。

過去の事案を確認する

過去に同様の事案があった場合には、処分も同じ内容にすることが適当です。そのため、過去の事案について確認する必要があります。

懲戒委員会への付議

規程等において懲戒処分を行う際、懲戒委員会に付議すると決められている場合は、その手続きを踏む必要があります。

労働組合との協議

場合によっては、労働組合との協議が必要となることもあります。

懲戒事由の公表

懲戒処分を行ったあとは、規定に基づいて、その自由の公表を行います。

懲戒免職処分が行われる際の気をつけるべき点

懲戒免職処分を行う際に気をつけるべき点をご説明します。

処分は規定や過去の事案に基づいて行う

懲戒免職処分は、規定に照らして行われなければならず、正当な事由なしに下されてはならないのです。また、過去の事案と比べて極端に重い処分が下されることがあってはなりません。

反論の機会を与える

一方的に処分を下すのではなく、労働者による反論の機会を与える必要があります。労働者側の事情を聞き入れなければ、一方的な処分と認定されてしまう場合もあるでしょう。

処分説明書の発行

懲戒免職を行う際には、処分説明書を発行し、書面で通知する必要があります。口頭での通知のみでは、トラブルに発展する可能性もあるでしょう。

懲戒免職が不当解雇に該当する3つのシチュエーション

懲戒免職されてしまった場合でも、その理由や経緯等によっては、それが不当解雇として認められ、無効になることも。そのようなシチュエーションを3つご紹介します。

1.問題行為が就業規則に記載の事由に該当しない場合

たとえ問題行為と思われる事由であっても、それが就業規則に記載されている事由に該当しない場合は、懲戒免職が認められない場合があります。

2.過去の処分例と均衡が保たれていない場合

過去に似たような事案での処分例がある場合には、それと均衡が保たれた処分である必要があります。あまりにも平等さが保たれていない場合は、処分が無効となる可能性もあるでしょう。

3.勤務態度や家族構成に照らした懲戒免職になっていない

懲戒処分は、労働者の勤務態度や家族構成などによって、情状酌量の余地があります。そのような労働者の事情や反論を聞かずに一方的に下された懲戒免職処分は、あとに無効となる可能性もあるでしょう。

懲戒免職について理解を深めて再就職を成功させよう

懲戒免職処分を受けると、公務員としての再就職は難しくなります。次の職場では同じことを起こさないように反省し理解を深めたうえで、民間企業への再就職を目指しましょう。

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