やりがい搾取とは?意味や実態は?抜け出すための対策を紹介

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この記事のまとめ

  • やりがい搾取とは、やりがいを利用して長時間低賃金で働かせて利益を搾取する行為
  • ブラック企業ではやりがい搾取が常態化している傾向が強いといわれる
  • まじめで努力家の人ほどやりがい搾取の対象になりやすい
  • やりがい搾取がひどい場合は労働基準監督署などに相談しよう
  • やりがい搾取から抜け出すためには別の企業への転職もおすすめ

「どこまでがやりがい搾取なのか」「自分はやりがい搾取に遭っているのではないか」などの疑問や不安を感じている方も少なくないでしょう。やりがい搾取とは、やりがいを利用して従業員に低賃金で長時間働かせることです。ここでは、やりがい搾取をしている企業の実態とそこから抜け出すための対策を解説。やりがい搾取の被害に遭いやすい人の特徴も紹介しているので、思い当たる方はぜひご覧ください。

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やりがい搾取とは

やりがい搾取とは、経営者が従業員の「やりがい」を利用して、低賃金や不当な長時間労働を強いて利益を搾取する行為のことです
従業員が自主的にやりがいを求めて働くのは良くても、やりがいを餌に雇用主が意図的に過剰労働をさせた場合は、ハラスメントとなり労働災害に発展することもあります。無意識にやりがい搾取の状況下におかれて働き過ぎたり、ワーカホリックの状態に陥ったりしている従業員もたくさんいるのが現状です。

やりがい搾取は従業員の身も心もむしばむ

低賃金で長時間働かされた従業員は、心身の健康を壊してしまうリスクが高くなります。また、正当な対価を受けることができない状況が当たり前になってしまえば、対象になった業界全体の賃金相場を低下させることにもつながります。

やりがい搾取に遭うと従業員は仕事に対する自信を失い、希望をもって就いた職業を嫌いになったり挫折したりすることもあるようです。身も心もむしばむやりがい搾取に早く気づいて対策をとることは、自分を助けるだけでなく、業界全体の衰退を防ぐことにもなります。

仕事が面白くなくて苦痛を感じている方は、「仕事がつまらないときは転職すべき?原因と対処法を20代へ向けて解説」をチェックしてみてください。

本来の意味での「やりがい」とは

そもそも「仕事に対するやりがい」というのは、業務を心から楽しむ気持ちや、与えられた役割を達成して充実感を感じることです。やりがいは仕事をするうえでのモチベーションを高め、個人の成長や継続力や企業の競争力も高める大事な要素ですが、賃金や賞与などのように形にはなりません。

仕事の「やりがい」の感じ方は人それぞれですが、仕事を通して得られる達成感や充実感を「やりがいがある」ととらえる人が大半です。そのほか、成長意欲やミスをしたときの悔しさをバネにすることを「やりがい」ととらえる人もいます。詳しくは「やりがいとは?面接で聞かれる理由と仕事で感じるタイミング」のコラムもご覧ください。

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やりがい搾取の具体例

やりがい搾取の具体例は「残業代等や休日出勤の割増賃金の未払い」「長時間労働によって、賃金が最低賃金を下回る」「有給を取得できない」など。やりがいを大義名分に相応の報酬を支払わなかったり、契約以上の業務を課したりするのはやりがい搾取に該当します。

割増賃金の未払い

労働時間については法律で定められており、法定労働時間を超えて労働した場合は割増賃金を支払わないといけません。しかし、「固定残業代だから」「変形労働時間制だから」といった理由をつけて、やりがい搾取が行われ割増賃金を支払わないケースは多くあるようです。

最低賃金を下回る場合は違法

各都道府県で最低賃金が定められており、正社員であっても賃金を時給換算したとき最低賃金を下回っている場合は違法となります。やりがい搾取が横行している企業では、最低賃金を下回らないために、本来なら最低賃金に換算されない手当や残業代を含めていることもあるようです。

有給休暇や休憩の拒否

有給休暇は条件を満たして働くすべての労働者の権利です。にも関わらず、企業が取得を拒否したり、取得が許されない雰囲気を出していたりするのは明らかなやりがい搾取。有給休暇は基本的に理由を問わず取得できる休暇のため、「やりがいのある仕事だから」「自己研鑽が必要だから」といった理由で拒否されるのは労働基準法に反しているといえます。
詳しくは「有給とは何かを分かりやすく解説!アルバイトやパートでも取得可能?」のコラムでご確認ください。

また、有給休暇と同様に、一日の労働時間内で休憩をとれないのも違法です。このように、やりがい搾取が行われている会社では満足な休憩や休暇が取れない傾向が多く見られます。

任意参加の会合に強制参加させる

休日出勤が任意にも関わらず参加を強要されたり、「業務体験」と称して参加費を徴収されたうえ、実質的な労働を課せられたりと、企業から実質的な命令を受けて働かされる行為はやりがい搾取に該当します。

やりがい搾取が生まれる理由

やりがい搾取という言葉は2007年前後から使われるようになり、その後日本社会でも広く認知されるようになりました。ここからは、やりがい搾取が生まれる3つの理由です。詳細を見ていきましょう。

雇用主による人件費削減

企業側による意図的な人件費削減は、やりがい搾取を生み出す最大の原因です。
人件費を削減するために必要最低限の人材しか確保せず、1人あたりの業務量が膨大になることも珍しくありません。また、「若いうちから活躍出来る」などと謳い、経験が浅いうちから責任を負わせるような働き方をさせるのも、人材が不足している証拠でしょう。

実力に合わない役職への登用

会社員にとって、ポストやステータスを与えられることは大きなやりがいにつながります。そのことを承知したうえで、あえて実績もあげていなければ能力もない社員に主任や課長などのポストを与えて、やりがい搾取をする企業が存在しているのも現実です。

自分はほかの社員より優れた特別な存在だと思わせれば、役職に見合わない低賃金で働かせても文句を言わず、やりがいを持って働いてくれる可能性は高いです。能力がない社員ほどポストやステータスに捉われやすいことを、ブラック企業の経営者は熟知しています。

伝統的な業界構造

伝統的な業界構造が、やりがい搾取を生み出しているケースも少なくありません。
特に日本古来の伝統的な師弟関係が成り立つ職人などの世界では、一人前になるまでほとんど給与を受け取れないまま働くことも。伝統工芸職人などは時代が進むにつれ伝統工芸品の需要が減少していることもあって、現実的に弟子の収入の面倒をみられなくなってきているということもあるようです。

そのことを知ったうえで職人などの世界に足を踏み入れるなら良くても、そうでなければやりがい搾取をされたと感じてしまうのは、今の時代では当然のことでしょう。

やりがい搾取されやすい人の3つの特徴

やりがい搾取に遭いやすい人には、以下のような4つの特徴があります。
「長く勤務しているけど給料が上がる気配がない」「時給換算してみたらアルバイトより収入が低かった」「残業をたくさんしても給与があまり変わらない」などの不安や不満のある方は、やりがい搾取に遭っていることを疑ってみましょう。

1.まじめで努力家の人

まじめで努力家の人ほどやりがい搾取に合いやすい傾向があるといわれています。
まじめな人ほど仕事に対しての責任感も強いため、高いノルマを与えられてそれを達成できなければ、低賃金でも仕方がないと妥協してしまう人も少なくありません。
やりがい搾取をしている人はそこに付け込み、当人には気づかせないで長く過重労働をさせているケースもあるのが現実です。

2.社会経験が乏しい若手社員

新入社員をはじめとした、社会経験が少ない若手社員はやりがい搾取に遭いやすいです。
十分な知識や経験を持たない人ほど、社会経験豊富な経営者や上司の言うことを聞きやすく、やりがい搾取に気づくまで時間がかかってしまいます。

3.異なる職種に転職した業界未経験者

今までと全く異なる職種に転職した業界未経験者は、若手社員と同様に業界の知識に乏しいためにやりがい搾取に遭いやすいです。特に自分が憧れている仕事に就いた場合は、多少条件が悪くても我慢してしまう人が多く、やりがい搾取をもくろむ経営者に付け込まれやすくなっています。

仕事にやりがいを持てない理由を知りたい方には、やりがいを感じない原因や対処法などが書かれているコラム「仕事にやりがいを感じない原因とは?対処法も合わせて紹介」がおすすめです。

やりがい搾取に遭いやすい6つの職業

やりがい搾取に遭いやすい6つの職業を以下に紹介します。
「営業時間が長い」「下積み時代が必要」「サービスを提供する」などの職場で、やりがい搾取が発生しやすいようです。また、「好きだから」という理由で従事する人が多い仕事や、成果主義の仕事もやりがい搾取に合いやすいでしょう。

1.介護職

介護の仕事は、サービスを提供する人との距離が近く感謝されることも多いため、やりがいを感じやすい特徴があります。そのいっぽうで人手不足が原因で勤務時間に柔軟な対応が求められることも。責任の強い仕事のため、労働に見合わない低賃金でも納得してしまう従事者は多いようです。

2.保育士

保育士の仕事は人から感謝されやすく、やりがいを感じやすい特徴があります。過酷な仕事にも関わらず、育児や家事の延長だと思われる面もあることから、低賃金でも仕方がないと思ってしまう傾向にあるようです。

政府の取り組み

厚生労働省の発表によると、政府は待機児童の解消や保育士の確保を目的に、保育士の給与改善に取り組んでいることがわかります。保育士は子どもの命を守る重要な仕事。少しずつですが、「やりがい搾取」の状態から離れつつあるといえるでしょう。

参照元
厚生労働省
保育士確保

3.飲食・販売の店長

飲食や販売はアルバイト従業員が多いことが特徴で、人材を確保できない場合は店長が代理出勤するなど、過重労働になりがち。
チェーン店や商業施設にある店舗の場合、人手不足を理由に休業することもできないため、どうしても店長や社員に業務が偏ってしまうようです。

5.営業職

ノルマが課される営業マンは、目標を達成できればやりがいを感じやすいことから、ワーカホリックになりやすい特徴があります。
一方で、ノルマを達成できなかった場合は自分のせいだと思い込みやすい傾向があります。ノルマを達成するには残業をするしかないと考え、過労働になることも。
ブラック企業の経営者は、きついノルマを従業員に課して、それを達成できないうちは安い賃金のまま長く働かせることがあります。ノルマを達成できない従業員に自社の製品を購入させるケースも少なくありません。

6.カルチャーに関する仕事

アニメーターなど趣味に関わる夢のある職業では、やりがい搾取が行われやすくなっています。「夢」や「憧れ」の対象となることが多く、趣味の延長として仕事に就く方も多いからでしょう。
また、経営者が意図しなくても、予算や締め切り日などが設定されていることから、どうしても低賃金の長時間労働を強いられるケースが多いようです。

やりがい搾取のチェックポイント

上記で紹介した仕事は、業務内容や業界的にやりがい搾取が起こりやすいといわれているものです。もちろん、上記以外の仕事でもやりがい搾取は起こりえるので注意。以下が、やりがい搾取が起こりやすい特徴といわれています。

・基本給に残業代が含まれている
・「裁量労働制」「みなし残業代」を都合よく捉えている
・残業が当たり前の社風
・経営者がワンマンで従業員の意見を取り入れない
・同僚など周囲が仕事に対する熱意が強い

社風や勤務実態は働いてみないと分からないこともあります。不当な労働から身を守るためには、労働に関する法律や言葉について正しく理解することが大切。「裁量労働制とはどんな働き方?メリットやデメリットと合わせて解説」や「労働基準法違反の判別基準と違反に気づいた時の対処法」のコラムを参考にいて、知識を身につけましょう。

やりがい搾取から抜け出すための3つの対策

やりがい搾取から抜け出したいと少しでも感じたら、思い切って行動することが重要です。以下に紹介する3つの対策は、やりがい搾取をしている企業の従業員がよくおこなっている対策方法です。ぜひ試してみてください。

1.思い切って休みをとる

やりがい搾取により過重労働を強いられると、どのような人でも肉体的・精神的に疲れてしまいます。その状態を「仕方ない」ととらえて妥協して働き続けるのはナンセンスです。
仕事より優先すべきことは、自分の健康を守ること。経営者や上司の言いなりになって無理をして働き過ぎると、心身の不調を起こして仕事ができなくなってしまうこともあります。本当に苦しいときは思い切って休みをとりましょう。

自分を「安売り」しないことが大切!

やりがい搾取に合ってしまうと、「この仕事ができるだけで幸せ」「期待している人が多い」「まだまだスキルが足りない」などさまざまな理由をつけて働かされてしまいます。もちろん、やりがいを持って働くことは大切ですが、周りに言われるがまま働くのは良くありません。「自分には十分な知識とスキルがある」「労働に対して対等な対価を得るのは当たり前」と、自分を安売りしたり過小評価したりせず、自信を持つことが大切です。

2.労働組合や労働基準監督署や弁護士などに相談する

休みたくても許可を出してくれない、理不尽な要求ばかりされるようなら、労働組合や労働基準監督署などに相談しましょう。それでも改善されない場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

やりがい搾取の中には法律違反に該当しているケースも少なくなく、その場合は法の専門家の力を借りることが得策です。相談に行くときや裁判を行うときには、証拠を集めておくことで戦いを有利に進めることができます。

3.転職をする

やりがい搾取をするような会社にこだわって留まるより、早めに見切りをつけて転職をするのも良い方法です。若いうちに転職を決心したほうが就活を有利に出来る可能性が高く、ブラック企業から抜け出すためなら真っ当な転職理由として認められるでしょう。

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