住宅手当がないと一人暮らしはきつい?支給する企業の割合を確認しよう

住宅手当がないと一人暮らしはきつい?支給する企業の割合を確認しようの画像

この記事のまとめ

  • 住宅手当は労働基準法で規定されていない、法定外の福利厚生のひとつ
  • 住宅手当は法定外の福利厚生のため、支給がない会社もある
  • 住宅手当を従業員に支給している会社の割合は47.2%
  • 住宅手当がなくても一人暮らしをすることは可能
  • 就職前に、住宅手当が支給されるかされないかの確認をすることがおすすめ

就職や転職の際、住宅手当や支給額を重視する方もいるでしょう。住宅手当は法定外福利厚生のため、支給の有無は企業によって異なります。
このコラムでは、住宅手当を支給する企業の割合や支給額について紹介します。また、住宅手当がないと一人暮らしはきついのか、ひと月に必要な金額も解説。住宅手当の制度やメリットを知り、就職や転職の際の参考にしてみてください。

住宅手当がないと一人暮らしはきつい?

住宅手当がないと一人暮らしはきつい?の画像

住宅手当がないと一人暮らしがきついかどうかは、居住環境や収入によって異なるので一概にはいえません。家賃の安い地域や物件を選んだり収入が多かったりすれば、住宅手当がなくても一人暮らしは十分に可能でしょう。

一人暮らしに必要な金額

総務省が実施した「平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 結果の概要 6 借家の家賃・間代(7p)」では、専用住宅の1ヶ月あたりの家賃平均は55,695円という結果が出ています。また、総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、項目別消費支出は以下のとおりです。

費目月平均額
食費4万6,391円
光熱・水道1万3,045円
家具・家事用品5,955円
被服及び履物4,712円
保健医療7,426円
交通・通信2万1,796円
教育2円
教養娯楽1万9,425円
その他の消費支出2万5,051円

※単身世帯データ、住居費を除く

参照:総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要 Ⅱ 総世帯及び単身世帯の家計収支 表Ⅱ-1-2 消費支出の費目別対前年実質増減率 -2023 年-(15p)

家賃が6万円と仮定すると、上記の費目を合わせた支出は約20万円。毎月20万円を手取りで確保するには、給料の総支給額が25万円ほどあることが必要です。給料の支給額や家賃の金額、毎月の消費支出によっては、住宅手当がないと一人暮らしがきつく感じる可能性があります。
より詳しい目安を知りたい方は、「手取り20万は額面や年収でいくら?一人暮らしはきつい?家賃や貯金も解説」のコラムも参考になるでしょう。
参照元
総務省統計局
平成30年住宅・土地統計調査 調査の結果
家計調査

住宅手当とは?

住宅手当とは?の画像

住宅手当とは、労働基準法では規定されていない、住宅の一部費用を補助する福利厚生のことです。住宅手当の支給がない、家賃補助がない会社も珍しくありません。なお、住宅手当は課税対象となります。

住宅手当の具体的な定義は企業によって異なるため、毎月の家賃補助を社員に支給する会社もあれば、住宅ローンの費用を一部補助する会社も。法定外の手当のため、住宅手当の支給額や条件も企業が自由に決められます。また、雇用形態や扶養している家族の人数によって、支給額を設定している企業もあるようです。

住宅手当を支給している会社の割合

厚生労働省の「令和2年 就労条件総合調査の概要(13p)」によると、住宅手当を支給している会社の割合は47.2%という結果が出ています。同じく厚生労働省の「平成22年 就労条件総合調査結果の概況(24p)」「平成27年 就労条件総合調査の概況(20p)」によると、住宅手当を支給する企業は2009年時点で41.2%、2014年時点では45.8%。年々増加傾向にあることが分かるでしょう。

また、以下は企業規模別の住宅手当の支給割合を抜粋して表にしたものです。

企業規模支給割合
1,000人以上61.7%
300~999人60.9%
100~299人54.1%
30~99人43.0%
令和2年調査計47.2%

引用:厚生労働省「令和2年 就労条件総合調査 2 賃金制度 第18表 諸手当の種類別支給企業割合(令和元年11月分)

企業規模別に見てみると、規模が大きくなるほど住宅手当が支給される割合も高くなっていることが読み取れるでしょう。

参照元
厚生労働省
令和2年就労条件総合調査 結果の概況
平成27年就労条件総合調査 結果の概況
平成22年就労条件総合調査 結果の概況

住宅手当と社宅手当の違い

住宅手当は給与の一部と考えられるため、社会保険や住民税、所得税などの税金の課税対象になります。住宅手当を支給されることで家賃の負担は減りますが、支払う税金の額が増えてしまうことを理解しておきましょう。

一方で、社宅手当は雇用期間中であれば無料で住める場合や、従業員に住宅補助が支給されるケースなど、会社によってさまざまな手当の内容があります。無償で社宅に住めれば、従業員は費用面で大きなメリットとなるでしょう。

社宅に住む際の注意点も知っておこう

社宅に住んでいる社員との付き合いが密になった場合、費用面では得をしても人間関係で悩む可能性があるでしょう。また、社宅は基本的には会社が決めた物件に住むため、自分で好きな部屋を選択することはできません。「借り上げ社宅とはどんな制度?メリットとデメリットを解説します」のコラムでは借り上げ社宅のメリットとデメリットを解説しているため、あわせて参考にしてみてください。

住宅手当の平均相場

ここでは、住宅手当の平均支給額や、法定外福利厚生費における住宅関連の手当の割合を紹介します。

企業規模によって支給額は変わる

厚生労働省の「令和2年 就労条件総合調査の概要(14p)」によると、住宅手当の平均支給額は1万7,800円です。企業規模1,000人以上で2万1,300円、300~999人だと1万7,000円。企業規模100~299人で1万6,400円、30~99人だと1万4,200円と、大手企業であるほど従業員に支給される住宅手当の割合が高い傾向があります。

なお、厚生労働省が実施した「平成27年 就労条件総合調査の概況 第18表 諸手当の種類別支給された労働者1人平均支給額(平成26年11月分)(21p)」の調査結果では、産業別で住宅手当の平均支給額は、情報通信業が2万5,312円と一番高額。会社によって規定は異なりますが、「住宅ローンの3割を負担」「一律2万円を負担」など、支給額はさまざまです。
参照元
厚生労働省
令和2年就労条件総合調査 結果の概況
平成27年就労条件総合調査 結果の概況

法定外福利厚生費における住宅関連の手当の割合

日本経済団体連合会が発表した「2019年度福利厚生費調査 結果の概要(3p)」によると、法定外福利厚生費のうち住宅関連は11,639円。法定外福利厚生費全体が24,125円なので、およそ48%が住宅関連の福利厚生に当てられていることが分かります。(従業員1人1ヶ月当たり、全産業平均)

法定外福利費金額前年度金額
住宅関連1万1,639円1万2,133円
医療・健康3,187円3,161円
ライフサポート5,505円6,103円
慶弔関係514円585円
文化・体育・レクリエーション2,069円2,124円

参照:日本経済団体連合会「2019年度福利厚生費調査結果の概要 第1表 2019年度福利厚生費等の項目別内訳(従業員1人1ヵ月当たり、全産業平均)(3p)」

また、法定外福利厚生費のうち住宅関連が占める割合は、多少の前後はあるものの毎年50%前後で推移しています。このことから、法定外福利厚生において、住宅手当は大きな割合を占めていることが分かるでしょう。なお、法定外福利厚生費について詳しく知りたい人は、「福利厚生には何がある?企業が用意する目的と対象となる条件について解説」を参考にしてみてください。
参照元
日本経済団体連合会
2019年度福利厚生費調査結果の概要

住宅手当が支給される基準は企業によって異なる

住宅手当が支給される条件は主に、「正規雇用かどうか」「一人暮らしかどうか」「扶養家族はいるか」の3つです。住宅手当は企業独自の福利厚生制度なので、支給する基準や条件は会社内で自由に決められます。
ここでは、住宅手当支給の条件をそれぞれ詳しく解説しますので、確認してみましょう。

住宅手当が支給される主な基準

  • 雇用形態
  • 同居人の有無
  • 扶養家族の有無

雇用形態

住宅手当の支給基準になるポイントの一つは、正規雇用の社員かどうかです。正規雇用に対して住宅手当が支給されている場合は、社員に転勤が発生する可能性があります。転勤が発生すると引越し費用や転勤先の居住などの確保が必要になるため、社員の雇用継続のために企業が費用を負担するのが目的です。
なお、一般的には非正規の派遣社員やアルバイトには住宅手当がないことが多く、労働条件によって支給されるかが変わります。

同居人の有無

一人暮らしかどうかを住宅手当の支給基準にしている企業もあります。一人暮らしの場合は賃貸に住んでいることが多く、毎月家賃がかかるという点が理由です。さらに、住宅手当は世帯主でないと支給されない会社もあります。一般的に、住宅手当の支給対象は一つの物件につき一人だけなので、同居人がいる場合は前もって会社へ確認しましょう。

一方、実家住まいの場合、同居している家族に食費や光熱費を毎月支払っていたとしても、契約上の家賃は発生していません。そのため、実家住みの場合は、住宅補助を支給している企業はあまりないでしょう。

扶養家族の有無

正規雇用の社員に、扶養家族がいるかどうかが支給基準になっている企業もあります。しかし、扶養家族がいる場合は扶養手当・配偶者手当という形で、別途手当が支給されることも少なくありません。
扶養家族が住宅手当の支給基準に入る場合、手当の金額に影響します。社員に扶養家族がいることで、一人暮らしよりも大きな住居が必要だったり、家賃も高かったりする可能性が考えられるからです。そのため、扶養家族の人数によって住宅補助の金額を定めている企業もあるでしょう。

配偶者手当や扶養手当に関して具体的に知りたい人は、「配偶者手当とは?共働きでももらえる?支給条件や廃止が進む理由を解説!」のコラムもご覧ください。支給額や支給条件について詳しく解説しています。

住宅手当のメリット

住宅手当のメリットの画像

住宅手当には、社員側、企業側それぞれにメリットがあります。以下で詳しく解説しますので、ぜひチェックしてみてください。

企業側のメリット

住宅手当を支給する会社のメリットとして、従業員のやる気を引き出して職場に定着させる効果があります。また、企業の印象が良くなり、応募者も増えやすくなる点があげられるでしょう。

労働者側のメリット

住宅手当をもらうことのメリットは、ローンや毎月の家賃支払いの負担が軽くなり、生活が楽になるという点です。また、社宅がある場合は、自分で物件を探す必要や手間を省けます。さらに、年収や手取りが上がるため、仕事へのやる気も高まることが考えられるでしょう。

住宅手当は所得税の課税対象

前述したように、住宅手当は所得税の課税対象です。「住宅手当をもらったぶん収入が上がり、税金も高くなってしまった」という状態になることも考えられるでしょう。住宅手当の支給がない場合は、課税対象になる金額が上がらないため、税金面でメリットがあるといえます。
一方、住宅手当をもらうことで起こるデメリットを避けるには、社宅を利用するのも一つの手です。社宅の場合は、金銭を支給するのではなく、企業が従業員に家賃代を徴収します。そのため、従業員の所得税の課税対象にはなりません。どちらが自分にとって良い方法かを見極めるのが大切です。
ハタラクティブキャリアアドバイザー後藤祐介からのアドバイス

就職・転職前に企業の福利厚生や手当を確認しよう

新卒の就活時や転職活動時には、福利厚生をしっかりと確認するのがおすすめ。住宅手当に限らず、引っ越し手当や家族手当、赴任手当などの補助の有無も含めてチェックしておくと良いでしょう。
自分に合った働き方をするためにも、どのような手当が従業員に支給されるかだけでなく、支給条件や金額の割合などを細かく調べておくことが大切です。

「住宅手当や家族手当など、福利厚生が充実している企業はどこだろう?」「自分に合う会社や仕事はどのようなもの?」など、就活に関する悩みがある場合は、20代のフリーター、第二新卒、既卒向け就職エージェントのハタラクティブにご相談ください。ハタラクティブでは、専属のキャリアアドバイザーがマンツーマンで若年層の就活を徹底サポート。履歴書添削や面接の練習、企業紹介などを一貫して行っています。企業とのやり取りもキャリアアドバイザーが行ううえ、サービスはすべて無料で利用できますので、ぜひこの機会にご連絡ください。

住宅手当に関する疑問を解消!よくあるお悩みQ&A

住宅手当に関する疑問やお悩みをQ&A形式で解消いたします。「そもそも住宅手当って何?」「支給には条件があるの?」など、よくある質問をまとめました。

住宅手当ってどういう制度ですか?

住宅手当とは、社員の住宅費を企業が補助する制度です。 賃貸であれば家賃の一部を会社が負担したり、持ち家の場合はローン返済を補助したりと、企業によって形式は異なります。詳しくは「住宅手当をもらうには?支給条件を相場とあわせて解説!」で解説していますので、こちらも合わせてご覧ください。

なぜ会社によって住宅手当の有無が異なるのですか?

住宅手当制度の導入は義務ではなく、会社が任意で決めるものだからです。住宅手当だけでなく、法定外福利厚生の細かい内容は企業によって異なります。「福利厚生には何がある?企業が用意する目的と対象となる条件について解説」のコラムで福利厚生について詳しく解説していますので、興味がある方はぜひ参考にしてみてください。

住宅手当の支給金額はどれぐらいですか?

企業によって支給額は異なります。「一律△△円」「基本給の△%」のように定めている企業もあれば、同じ会社内であっても、雇用形態や扶養家族の有無、勤務地や役職などによって金額が変わる企業もあります。
家賃補助は会社からいくらもらえる?支給条件やメリットを解説!」のコラムもあわせて参考にしてみてください。

住宅手当のある会社に就職したいです

選考に応募する前に、求人の福利厚生欄をチェックしておきましょう。また、より詳細な企業情報を手に入れたい方は、就職エージェントの利用がおすすめです。
若年層向け就職・転職エージェントのハタラクティブでは、企業に事前調査を行っていますので、就職前に就業条件や福利厚生を確認できます。住宅手当の有無を確実にチェックしたい方は、ぜひこの機会にご利用ください。

ハタラクティブ
のサービスについて
こんな人におすすめ
  • 経歴に不安はあるものの、希望条件も妥協したくない方
  • 自分に合った仕事がわからず、どんな会社を選べばいいか迷っている方
  • 自分で応募しても、書類選考や面接がうまくいかない方

ハタラクティブは、主にフリーター、大学中退、既卒、そして第二新卒の方を対象にした就職・転職サービスです。
2012年の設立以来、18万人以上(※)の就職・転職をご支援してまいりました。経歴や学歴が重視されがちな仕事探しのなかで、ハタラクティブは未経験者向けの仕事探しを専門にサポートしています。
経歴不問・未経験歓迎の求人を豊富に取り揃え、企業ごとに面接対策を実施しているため、選考過程も安心です。

※2014年12月~2024年1月時点のカウンセリング実施数

目次