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諭旨解雇で退職金はもらえる?退職奨励との違いや再就職への影響も解説
更新日
この記事のまとめ
- 諭旨解雇とは懲戒解雇より一段階軽い懲戒処分で、重大な規律違反をした場合に下される
- 諭旨解雇・懲戒解雇の法的なルールはなく、処分の判断は各企業に任されている
- 諭旨解雇は解雇予告や退職金の対象となる
- 退職奨励は企業が従業員に退職を勧めるもので、強制力はない
- 諭旨解雇は自己都合退職なので、履歴書には「一身上の都合により退職」と記載できる
「諭旨解雇された場合の退職金はどうなる?」と気になっている方もいることでしょう。このコラムでは、諭旨解雇について詳しく解説。退職金や解雇予告はどうなるか紹介しています。また、混同されやすい退職奨励との違いや、解雇の種類もまとめました。諭旨解雇の再就職への影響についても考察しているので、興味のある方は、ぜひ目を通してみてください。
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諭旨解雇とは?
諭旨(ゆし)解雇とは懲戒処分の1つで、重大な規律違反を犯した従業員に下される解雇命令のこと。懲戒処分の中で最も重い「懲戒解雇」より一段階軽い処分です。従業員のそれまでの功績や再就職への影響、本人が真摯に反省していることなどを踏まえて、従業員に懲戒解雇に相当する過失があっても、会社側の情状酌量により諭旨解雇になることもあります。しかし、必ずしも温情措置というわけではなく、「社のイメージを落としたくない」という事情で行われることもあるようです。懲戒処分の種類を詳しく知りたい方は「懲戒処分とは?種類や解雇されることで生じる影響について解説」にまとめてありますので、こちらも併せてご覧ください。
懲戒解雇と諭旨解雇の法的なルールはない
懲戒解雇と諭旨解雇については法的に明確なルールがあるわけではなく、処分の判断は各企業に任されます。懲戒解雇、諭旨解雇ともに、就業規則に定めがなければ実施できませんが、ほとんどの企業では何らかの事由が定められているのが一般的です。ただ、従業員が「不当解雇だ!」と訴えた場合、諭旨解雇や懲戒解雇の最終的な判断は裁判所によるところとなります。
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諭旨解雇の場合、解雇予告や退職金はどうなる?
「労働基準法第20条」では、企業は解雇日の30日前には従業員に予告をし、予告のない場合は最低30日分の平均賃金を支払わなければならないと定めています。懲戒解雇であっても解雇予告の義務が企業にはあります。諭旨解雇の場合も、解雇予告をしなければなりません。ただし、例外として労働基準監督署による「解雇予告除外認定」を受ければ、企業側は解雇予告なしでの即日解雇が可能です。
諭旨解雇が退職金を受け取れるかどうかは、企業ごとに定めた就業規則によります。一般的には、懲戒解雇では退職金が受け取れるケースが稀な一方、諭旨解雇では退職金の一部もしくは全額が支給されることがあるようです。
諭旨解雇については「諭旨解雇とは?転職時にばれる?退職金や失業保険の有無も解説!」のコラムでも解説してあります。諭旨退職との違いや、諭旨解雇の事例も紹介されているので、ぜひチェックしてみてください。
参照元
e-Gov法令検索
昭和二十二年法律第四十九号「労働基準法」
諭旨解雇と退職奨励の違いは?
諭旨解雇と退職奨励は混同してしまう人が多いので、両者の違いを確認しておきましょう。「退職奨励(退職勧告)」とは、会社が従業員に退職を勧めることで、退職の最終的な判断は従業員に委ねられます。
諭旨解雇では退職届の提出を拒むと懲戒解雇にされますが、退職奨励では退職を拒否しても無理矢理解雇されることはなく、従業員と会社が合意した場合に限って退職する流れです。もし、従業員が退職奨励に応じた場合は、「解雇」ではなく「自主退職」の形で会社を去ることになり、会社側は解雇予告をする必要はありません。ただ、退職奨励では従業員に円満に退職してもらうため、退職金に上乗せした金額を支払うケースもあります。
退職奨励は「肩たたき」とも呼ばれ、従業員の能力や勤務態度の問題、人権費カットを理由に行われているようです。日本の法律では、会社が従業員を一方的に解雇するのは難しいため、奨励という形で退職が打診されると考えられます。退職奨励は違法ではありませんが、退職に追い込むための嫌がらせや不当な配置転換は許されません。退職奨励が度を超えていると思ったら、労働基準監督署や弁護士に相談する必要があるでしょう。退職勧奨については「退職勧奨とは?解雇との違いや違法になる事例をご紹介!」でも解説しているので、参考にしてください。
諭旨解雇・懲戒解雇の再就職への影響は?
諭旨解雇や懲戒解雇は再就職のハードルが上がるといわれています。履歴書の書き方でいうと、諭旨解雇は自己都合退職にあたるので、「一身上の都合により退職」と書けば問題ありません。転職者の大多数は自己都合による退職なので、面接官も特に不審に思わないでしょう。一方で、懲戒解雇は会社都合による退職です。マイナス印象を避けるためには、「懲戒解雇により退職」ではなく「会社都合により退職」と記載しますが、退職理由を問われた時の説明は用意しておく必要があります。
このとき、全くの嘘をつくと経歴詐称となり、事実が明らかになった時に内定を取り消されるか、入社後に処罰される恐れがあります。懲戒解雇の事実を隠すために、履歴書に「一身上の都合により退職」と書く人がいますが、詐称が判明したときのリスクを覚悟しなければなりません。応募者の経歴や素性を調査するかは転職先によりますが、外資系ではリファレンスチェックを行う企業が多いので、注意が必要です。また、狭い業界では人づてに経歴が伝わる可能性があるので、嘘をつくリスクは大きいでしょう。懲戒解雇については、「履歴書には退職とだけ記載し、面接では懲戒解雇だとは言わず嘘にならない説明をすればいい」という意見もあります。再就職後のことも考えたうえで、最終的にどうするかは自身で判断しましょう。
解雇の種類を知ろう
諭旨解雇や懲戒解雇のほかにも、解雇の種類はあります。
普通解雇
普通解雇とは能力不足や勤務態度の不良を理由とした解雇のことです。普通解雇の条件については就業規則に定めがあり、心身の不調で業務を行うのが難しい場合も、普通解雇の対象となるケースがほとんどです。ただ、就業規則に定めがあるからといって、会社は制約なく従業員を解雇できるわけではありません。社会通念上、客観性、合理性に欠く理由での解雇は認められませんし、不当に解雇した従業員が訴訟を起こした場合、会社側は賠償金の支払いを命じられます。また、「能力不足で解雇する」という場合でも、解雇の前にスキルアップのための指導や研修の機会を設けなければなりません。たとえば「気に入らないから」といった上司の一存で解雇することはできないのです。
整理解雇
整理解雇はいわゆるリストラのことで、企業が経営不振による倒産を避けるために行う措置です。整理解雇は従業員側に非がないため、解雇を行うには厳しい条件が設けられています。整理解雇では、一般的な解雇の要件に加えて、以下の4つの要件が満たされなければなりません。
整理解雇の4つの要件
- ・会社の倒産を避けるためには、客観的にみても人員削減しか手段がない
- ・希望退職者の募集、役員報酬のカットなど、人員削減を避けるためのあらゆる手段を講じた
- ・解雇する従業員の選定に合理的かつ客観的な基準がある
- ・対象者と労働組合に対して人員削減の必要性を説明し、従業員が納得するまで話し合う努力をした
以上が整理解雇の要件ですが、近年では終身雇用が崩れつつあり、4つの要件すべてを満たしているかではなく、総合的に判断する流れになってきています。
どんな行為が普通解雇や懲戒処分の対象になるのか気になったら、勤め先の就業規則を確認してみましょう。「懲戒処分は自分とは関係ない」と思うかもしれませんが、不当解雇を受け入れないためにも、日頃から解雇の知識を持つことが大切です。
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一人ひとりの経験、スキル、能力などの違いを理解した上でサポートすることを心がけています!
京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。
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