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退職を伝えたら嫌がらせをされた?労働基準監督署への相談方法とは
更新日
この記事のまとめ
- 退職時の嫌がらせには、上司や同僚からのハラスメントや理不尽な要求などがある
- 退職は労働者の権利なので、職場で嫌がらせを受けても毅然とした態度を保つことが大切
- 暴行や脅迫などの嫌がらせは、違法行為として労働基準監督署に「是正申告」が可能
- 労働に関する法律に違反する嫌がらせなら、弁護士や労働基準監督署に相談できる
- 円満退社を目指すなら、ポジティブな退職理由を早めに伝えるのがおすすめ
退職時に上司や同僚からの過度な引き止めや嫌がらせを受けてお悩みの方もいるでしょう。あまりにもひどい場合は労働基準法に抵触する可能性があるため、適切な対応方法を知っておくことが大切です。とはいえ、できれば問題なく円満に退職したいもの。
このコラムでは、トラブル時の対処法や、相談先として多くの方が思い浮かべる労働基準監督署について解説します。円満退職のコツも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
退職時に嫌がらせをされたらどうする?
退職にあたって職場で嫌がらせを受けた場合は、毅然とした態度を保つことが大切。嫌がらせの内容によっては、労働基準監督署への「是正申告」が可能です。
以下では、退職時に嫌がらせを受けたときの対処法をご紹介します。
毅然とした態度で対応する
退職をする際、しっかりとマナーを守り引き継ぎなども実施しているなら、退社に対する罪悪感を持つ必要はありません。そもそも、仕事を辞めるのは労働者の権利の一つです。労働者の「退職」の意思決定が会社にとって都合が悪い場合であっても、拒否や嫌がらせをすることはできません。
嫌がらせを受けた場合には、冷静に毅然とした態度で「退職の意思を変えることはない」と伝えましょう。その際、理由も一緒に説明すると、相手に納得してもらいやすくなります。
退職が労働者の権利であるとはいえ、民法では退社に関するルールが定められています。退社の意思を伝える前に、「退職して損害賠償になる事例は?法律を知ってトラブルを防ごう」のコラムをチェックしてみてください。労働者側が不利になる退職トラブルについてもまとめています。
嫌がらせの内容によっては「是正申告」が可能
嫌がらせの内容によっては、労働基準監督署に「是正申告」が可能です。
一口に「嫌がらせ」といっても、その内容は過度な引き止めや理不尽な言動、拘束、賠償金などさまざま。なかでも、上司による脅迫や暴行といった行為は「暴行・脅迫・監禁を伴う不当な拘束による強制労働の禁止」を定める労働基準法の「第5条(強制労働の禁止)」に抵触する可能性があります。違法行為とみなされる場合には、労働基準監督署に「是正申告」して対処してもらうことが可能です。
参照元
e-Gov法令検索
労働基準法
退職時の嫌がらせに対する仕返しは無用
退職するからといって、嫌がらせをされた相手への仕返しを考えるのはやめましょう。退職時は、後任者への引き継ぎや転職活動などで忙しい時期です。そのため、貴重な時間を「仕返し」に使うのは、時間がもったいないといえます。どうしても嫌がらせに耐えられない、改善してほしい場合は、労働基準監督署へ相談しましょう。
ハタラクティブキャリアアドバイザー後藤祐介からのアドバイス
退職の嫌がらせに当たる3つの例
退職の嫌がらせに当たるのは、ハラスメントや理不尽な要求、実現不可能な仕事内容の強要などです。退職を伝えたあとの上司や同僚の態度に少しでも違和感を覚えるなら、状況を見て適切に対処する必要があります。
退職の嫌がらせに当たる例
- ハラスメント
- 理不尽な要求
- 実現不可能な仕事内容
1.ハラスメント
退職時の嫌がらせの一つに、ハラスメントが挙げられます。
退職を伝えたのをきっかけに、上司からパワハラやセクハラなどを受けるようになったという事例もあるでしょう。退社時のハラスメント行為を、「ヤメハラ」と呼ぶこともあります。
退職時の嫌がらせのなかでも、「有給消化を認めない」「私物を無断で処分される」「部署内で無視される」などの行為は、パワハラに該当する可能性が高いでしょう。パワハラの定義と具体例については、「パワハラの定義は?該当する3つの要素や対処法についても解説」のコラムをご一読ください。
2.理不尽な要求
退職にあたって、理不尽な要求をされるという嫌がらせを受ける場合もあるようです。
「退職するなら賠償金を請求する」といった要求を伴う嫌がらせは、脅迫行為に当たる可能性があります。労働者が会社に賠償金を支払わなければならないのは、情報漏えいや横領などで会社に多大な損害を与えた場合のみで、自己都合の退職はこれに含まれません。万が一、本当に賠償金を請求されて裁判になったとしても、会社側の敗訴がほぼ確実の不当な請求といえます。
また、「個人面談という名目で、退職を取り消すまで何時間も会議室に拘束する」という嫌がらせは監禁に該当する可能性があります。その場の雰囲気や開放されたい一心で退職の撤回を了承しても、これを守る義務は一切ありません。このほか、「後任者を自分で探してくるように」といった上司からの指示も理不尽な要求に該当するでしょう。
3.実現不可能な仕事内容
「退職日までに何十件・何百万円の契約を取ってくる」といった、明らかに実現が不可能な仕事内容を指示されるのも、退社時に起こりうる嫌がらせの一つ。また、明らかに退職までに終わらない量の仕事を任されることも、嫌がらせに該当します。
理不尽な上司に実現不可能な仕事を指示されたときの対処法を知りたい方は、「上司が理不尽なときはどうすればいい?対処法7選や注意点を徹底解説」のコラムもご覧ください。
辞めさせてもらえない事例も退職時のトラブルのひとつ
上司に退職願を提出したのに、「退職日を決定させてくれない」「退職届を受理してくれない」「離職票の交付を拒まれる」などの方法で、辞めさせてもらえない場合もあるようです。会社側のこの引き止め行為は、民法の「第627条」に抵触する法律違反。就業規定に「退職希望日の△ヶ月前までに申し出る」と記載された期間を、労働者が守って申し出た場合、上司は拒否できません。この場合も、毅然とした態度で、退職理由と退職希望日を伝えましょう。参照元
e-Gov法令検索
民法
退職の嫌がらせは労働基準監督署に相談できる?
退職時の嫌がらせのなかには、労働基準監督署に相談できる事柄もあります。
労働基準監督署とは、労働に関する法律(労働基準法や労働契約法など)を守らない企業を取り締まる機関のこと。たとえば、賃金や残業代の未払いといった労働契約法に反する会社に対して、取り締まり(是正勧告)を行います。
労働基準法に記載がないことは管轄外
労働基準監督署を「労働者の相談先」「仕事のことならなんでも解決してくれる場所」と捉えるのは、正確には間違いといえます。
前述したように、労働基準監督署はあくまでも「労働に関する法律違反を取り締まる機関」です。したがって、働くうえでのパワハラやセクハラ、整理解雇(リストラ)などの問題に関しては取り締まれない場合もあるでしょう。厚生労働省の管轄機関なので、労働基準法や労働契約法といった法律に明確に記載されている事柄以外のことは、労働者と会社の問題と判断されて「民事不介入」となるようです。
労働基準監督署でできること
労働基準監督署では、自己解決に向けた助言や提案のほか、第三者が介入する対応も行っています。
しかし、労働基準監督署から会社に直接アクションが起きることは少ないようです。
自己解決に向けた提案
労働基準監督署では、自己解決に向けた提案を行ってくれる場合があるようです。最も理想的なのは、退職に対して嫌がらせを受けた相談者本人が社内で問題解決することでしょう。
労働基準監督署では、トラブルに関して「どんな嫌がらせを受けたのか」「嫌がらせに対する損害の有無」「社内に相談しているか相談の結果はどうか」などのヒアリングを行います。相談者が自身で解決できる問題であると判断すれば、解決に向けたアドバイスをするようです。
第三者が介入する解決の提案
問題の自己解決が難しいと労働基準監督署が判断した場合は、第三者が介入して解決する方法を提案します。労働基準監督署で対応できるのは、「労働局長による指導」と「紛争調整委員会によるあっせん」です。
労働局長による助言や指導
問題の内容によっては、退職に関する嫌がらせを含む「労働に関する個別の紛争」に対して、各都道府県の労働局長から具体的なアドバイスや指導を実施することがあります。会社と相談者(労働者)の双方に指導し、退職時の嫌がらせについて話し合いで解決を目指す方法です。
紛争調整委員会によるあっせん
「紛争調整委員会」とは、弁護士や大学教授といった労働問題の専門家で組織された委員会のこと。各都道府県の労働局に設置されています。労働局長が介入するのと同じく、あくまでも話し合いでの問題解決を目指すもの。解雇やパワハラ、労働契約だけでなく、昇進や金銭に関する問題にも対応しており、無料で申請が可能です。
円満退職のために心掛けたい3つのこと
退職時の嫌がらせやトラブルに対して、労働基準監督署や労働局といった相談先はありますが、できればトラブルは避けたいものです。上司に退職を伝える際は前向きな理由を説明し、退職マナーに反する行動は避けましょう。
この項では、円満退職のために心掛けたいポイントをご紹介します。
円満退職のために心掛けたいこと
- 退職理由はポジティブに伝える
- 退職の意思表示は早めに
- 転職エージェントにアドバイスを貰うのもおすすめ
1.退職理由はポジティブに伝える
退職理由は、ポジティブに伝えるようにしましょう。退職を決めた人のなかには、「会社に不満があるから退職する」という方もいるようです。
しかし、会社に対する不満が退社理由であっても、それをそのまま伝えるのはマナー違反。「この会社は△△してくれない」「この会社に居ても△△ができない」「上司のハラスメントに耐えられない」などとネガティブな内容を伝えると、上司や社員との関係が悪くなり、嫌がらせの原因になり得ます。
「△△を実現したいから転職する」「△△を目指しているため」など、前向きな退職理由を伝えれば心象も悪くならず、転職を受け入れてもらいやすくなるでしょう。
2.退職の意思表示は早めに
退職の意思表示は早めにするようにしましょう。「嫌がらせを受けたら困るから」「退職をなかなか言い出せない」といった理由で、直前に退職を伝えるのは適切ではありません。前述したように、退職するのは労働者の権利ですが、退職を伝える時期は守りましょう。
立つ鳥跡を濁さずというように、退社する際には後任が困らないように引継ぎを行うのもマナー。早めに退職の意思を伝えておけば、後任探しや引き継ぎに十分な時間を割けます。「退職は何ヶ月前に会社へ言うのが一般的?相談の時期や法律上のルールを紹介」では、退職を伝える時期や法律上の決まりについて紹介していますので、こちらもあわせてご一読ください。
3.転職エージェントにアドバイスを貰うのもおすすめ
「円満退職の方法が分からない」「上司が対応してくれない」などの問題でお悩みなら、転職エージェントへ相談してみるのもおすすめです。転職エージェントとは、民間企業が運営する就職支援サービス。専任のアドバイザーが、転職活動全般をサポートしてくれます。社内での嫌がらせなど、話しづらい問題についても転職のプロに相談できるでしょう。
手厚い転職サポートをご希望なら、ハタラクティブの利用がおすすめ。転職エージェントのハタラクティブでは、一人ひとりを専任のキャリアアドバイザーが担当します。求人紹介をはじめ、退職に関することや転職先への条件など、マンツーマンで丁寧にヒアリング。転職活動を始める際に心掛けたい手順や、嫌がらせへの対処法もお伝えできますので、ぜひお気軽にご相談ください。
退職に関するQ&A
ここでは、退職を検討する方に向けて、よくある質問をQ&A方式でまとめました。退職トラブルを避けるためにも、ぜひ参考にしてみてください。
退職を伝えたあとの嫌がらせにはどう対処したらいいですか?
あいまいな態度はとらず、毅然とした態度で対応することが重要です。冷静に退社理由を伝えましょう。退職は労働者の権利の一つなので、会社側が労働者に対して嫌がらせをすることは間違いです。嫌がらせの内容によっては、労働基準監督署に「是正申告」できます。
労働基準監督署への相談方法については「労働基準監督署に相談できる内容は?効果的な通報方法や注意点も解説」のコラムをご一読ください。
円満退職とは何ですか?
円満退職とは、会社と退職者の双方が納得したうえでトラブルなく退職することです。 「円満」には穏やかという意味があり、「穏やかに退職する」=トラブルなく退職する、という意味として捉えられます。退職時にトラブルが発生すると、転職先への入社が遅れることも懸念されるため、問題のない退社を目指しましょう。
円満退職を叶える方法については「円満退職をするコツは?タイミングや周囲への配慮が大切」に掲載しています。
退職届と退職願の違いは?
退職届は「退職を届け出る書類」で、退職願は「退職を願い出る書類」です。 そのため、退職届は受理されると撤回できません。一方、「退職願」は合意をお願いする段階なので、受理されても撤回の余地があります。「退職届の渡し方は?タイミングはいつ?書き方や封筒の選び方を解説!」では、退職関連で会社に渡す書類のの書き方や提出方法についてまとめましたので、ご覧ください。
転職先が決まる前に辞めるのは危険?
可能なら、在職中に転職先を見つけてください。 在職中は収入が安定しているので、納得するまで転職先を探すことが可能です。また、空白期間を作らず転職できるのもメリットといえます。
在職中は忙しくて転職活動ができないという方は、ハタラクティブをご利用ください。専任のキャリアアドバイザーが丁寧な転職サポートを行います。
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一人ひとりの経験、スキル、能力などの違いを理解した上でサポートすることを心がけています!
京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。