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昇給なしは違法?収入を増やすための対処法や昇給制度についてご紹介
更新日
この記事のまとめ
- 就業規則によっては、昇給なしでも違法ではない
- 昇給なしの企業は比較的少ない傾向にある
- 昇給制度には、「定期昇給」や「ベースアップ」などさまざまな種類がある
- 昇給なしだと基本給が上がらないため、賞与も上がらない
就職した会社が「昇給なし」だった場合、「もしかしたら違法なのでは?」と不安になる方もいるでしょう。しかし、ほとんどの場合「昇給なし」は違法ではありません。長年勤めているのに昇給がないなら、一度就業規則や労働契約書などを確認してみましょう。このコラムでは、昇給制度の実績や昇給なしのデメリットをご紹介します。昇給なしでも収入を増やせる方法もまとめているので、参考にしてみてください。
「昇給なし」は違法?
「昇給なし」でも違法にはなりません。なぜ昇給がなくても違法にならないのか、その理由と違法性が認められた事例を解説します。
就業規則によっては違法ではない
就業規則と労働契約には、昇給に関する規定を書く必要があるものの、内容に関する規定はないため、「昇給なし」と書いても問題ありません。
また、「年に1回昇給あり」と書かれている場合、「あくまで年に1回昇給の可能性がある」だけで、規則によって定められている条件を満たせなければ昇給が見送られることも多く、違法だと訴えるのは難しいでしょう。
条件として挙げられるのは、会社の業績悪化や個人の成績不振、やむを得ない事情があった場合。該当するものがあれば、昇給は難しいといえます。
「昇給なし」が違法になる場合
上述した理由以外で昇給がなかったのであれば、違法になる可能性があります。たとえば、規則のなかに「前年度△ヶ月以上の休業があるものは対象外になる」といった記述があることは少なくありません。
しかし、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の「男女雇用機会均等法第9条」によると、産休や育休を取得する際に、労働者に解雇等不利益な扱いをしてはならないと
定められています。裁判で「違法な就業規則である」と認められた事例もあるので、不当な扱いだと感じたら労働基準監督署などに相談してみると良いでしょう。
参照元
e-Gov 法令検索
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律
「昇給なし」のデメリット
違法にならないとはいえ、昇給なしの企業で働くうえでデメリットはあります。主に考えられるデメリットは以下のとおりです。
基本給・賞与が増えない
「昇給なし」の企業では、基本給が増えないことがデメリットとして挙げられます。また、賞与は基本給をベースに計算するため、数年間勤務した場合の年収も入社時からほとんど変わらないでしょう。基本給が高めに設定されていることもありますが、将来のことを考えると金銭面に不安を感じる人もいるようです。
モチベーション・やる気が下がりやすい
スキルを身につけたにもかかわず収入額が上がらないと、モチベーション・やる気の低下につながります。仕事で成果を出して会社に貢献しても、昇給しないと頑張り続けるのが難しい場合があるようです。
昇給制度があると、働いた年数や業績が評価されるのでモチベーションが上がり、結果的に生産性が上がるでしょう。「昇給とはいつ実施される?ボーナスに影響は出る?疑問をまとめて解決!」では、昇給制度について紹介しているので、参考にしてみてください。
昇給制度とは
昇給制度にはいくつかの種類があり、従業員のモチベーションアップや生産性の向上、安定した人材の確保のために導入されています。会社によって導入している制度や昇給のタイミング、評価基準も異なるものです。
ここでは、それぞれの制度の特色について解説します。
昇給制度の種類
- 定期昇給
- ベースアップ
- 臨時昇給
定期昇給
定期昇給は、年に1回決算時期や年度初めの4月に行われる昇給制度です。一般的な昇給制度で、個人の業績に関わらず年齢や勤続年数をもとに昇給を行うことから、年功序列型賃金と呼ばれることもあります。
従業員のモチベーションアップや生産性の向上、安定した人材確保のために定期昇給を行う企業は多いようです。一方で、「同じ仕事でも年齢や勤続年数で給料が異なる」「成果が給与につながらない」ことが問題視され、成果主義に切り替える会社もあります。
ベースアップ
ベースアップとは、基本給を底上げする制度です。従業員全員の基本給が一律で上がる昇給制度で、莫大な人件費が掛かります。一般的には、労働組合と会社の交渉によって導入されるようです。
ベースアップを導入している会社は、「資産運用が安定している」「従業員の声を聞いてくれる」といった環境にあるといえるでしょう。定期昇給と違って昇給時期が明確に定まっていないため、就業規則を確認することが大切です。
臨時昇給
臨時昇給とは、業務上の負担の大きさや功績を上げたときなど、必要に応じて昇給を認める制度です。特定の従業員や部署にのみ昇給という場合もあり、定期昇給やベースアップのように具体的な時期も決められていません。
昇給システムは種類に応じて昇給率なども違いがあります。各システムの具体的な違いは「昇給率とは?大企業と中小企業で変わる?平均値を解説」のコラムでまとめているので、参考にしてみてください。
昇給制度がある会社の割合
長く働きたいのであれば、モチベーション維持のためにも昇給なしの会社は避けたいところ。実際に昇給制度を導入している会社がどれくらいあるのか、厚生労働省の調査結果をもとに確認してみましょう。
定期昇給
厚生労働省の「令和5年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況(p8)」によると、2023年時点で一般職の定期昇給制度があると答えた企業は全体の83.4%です。従業員数が1000人以上の企業では83.8%、従業員数が999人以下の企業では81.2〜90.1%になります。また、管理職の場合は、一般職に比べてやや低く77.7%です。
定期昇給制度を導入している会社は多く、経営の安定した大企業であれば昇給を見込めるでしょう。
ベースアップ
厚生労働省が発表した「令和5年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況(p8)」によると、2023年度中に一般職のベースアップを行っていると答えた企業は、49.5%でした。管理職の場合は、43.4%と一般職よりやや低い傾向があります。
ベースアップの実施率が低い背景として、定期昇給制度の併用が考えられます。ベースアップを導入している企業は定期昇給制度も採用しており、2つの制度を区別している企業もあるため、「今年はベースアップ見送りで定期昇給のみ」という使い分けが起きるようです。
定期昇給とベースアップの詳しい違いは「定期昇給とは?平均上昇率とアップに有効な方法をご紹介」でも解説しているので、こちらもあわせて参考にしてみてください。
中小企業や雇用形態など昇給しにくい場合もある
パートや派遣社員などの非正規雇用社員の場合、明確な昇給基準が設けられていることが少なく、昇給しにくいといわれています。パートや派遣社員で長く勤めていて、昇給しないことに悩んでいるのであれば、正社員登用制度を利用するか、転職を検討して年収アップを目指すと良いでしょう。参照元
厚生労働省
令和5年賃上げ等の実態に関する調査の概況
昇給しにくい会社の特徴
定期昇給を設けている会社の多くは、従業員数の多い大企業に偏っています。厚生労働省が発表した「令和5年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況(p8)」によると、2023年度に一般職の定期昇給を「行わなかった」と回答した会社は、従業員数5000人以上の会社が14.8%に対し、従業員数100〜299人の会社が16.3%という結果でした。
このことから、従業員数が少なくなるほど定期昇給がしにくいことが分かります。現在、中小企業に勤めている方で昇給を目指すなら、組織のリーダーや幹部に昇格し、臨時昇給を狙いましょう。
参照元
厚生労働省
令和5年賃上げ等の実態に関する調査の概況
昇給なしなら辞めるべき?理由と対処法
「長年働いているにも関わらず昇給しない…」という方もいるでしょう。「入社した会社が昇給なしだった」「制度はあるはずなのに実施されない」という場合、何か理由があると考えられます。
ここでは、考えられる可能性と対処法をご紹介。辞める前にできることがないか参考にしてみてください。
昇給なしだったときに考えられる理由
- 会社の業績悪化
- 個人の人事評価や実績が悪い
- 昇給制度がない
会社の業績が悪化している
景気が良くなかったり、会社の業績が悪化したりすると、昇給が見送られる可能性があるようです。就業規則に「業績悪化などやむを得ない事情があれば昇給は見送る」と記載があれば、昇給は諦めるしかありません。
しかし、翌年以降昇給する可能性は十分あります。働き方や仕事内容、社風が気に入っているのであれば、期限を決め様子を見てみるのも良いでしょう。
個人の人事評価や実績が悪い
欠勤や遅刻・早退が多い、個人の人事評価が低いという理由で昇給が見送られることも。近年では成果主義の会社が増えつつあり、人事評価や業績も昇給を決める際の参考にされます。まずは自分が昇給しない理由を分析し、改善に努めましょう。
「ノルマが高過ぎる」「上司の私的な感情で昇給しない」などがあれば、信頼できる人に相談してみましょう。
「仕事で評価されない理由と対応策は?人事評価基準を知ろう!」のコラムでは、人事評価を上げるための対応策を解説しているので、参考にしてみてください。
昇給制度がない
昇給制度がない会社の場合、どれだけ頑張って成果を上げても昇給は期待できません。昇進すれば給料は増えますが、時間が掛かるうえに確実な方法とはいえないでしょう。手当やインセンティブで収入を増やせる会社もありますが、安定した収入とはいいにくいです。
将来的に安定した収入を得たいのであれば、昇給制度がある会社への転職を検討してみましょう。
ここで紹介した理由に該当せず、会社側に非があると思った場合は、弁護士や相談窓口に相談してみるのもおすすめです。直接異議を唱えて職場に居辛くなったり、悶々とした気持ちを抱えたりせず、専門家を頼りましょう。
自分だけが昇給なしのときにできること
周囲と比べて自分だけが昇給しないときは、「昇給しない理由を聞く」「自己評価を上げる」などの対策をしましょう。ここでは、自分だけが昇給しないときにできることを解説します。
1.自分だけが昇給しない理由を聞く
長年勤務しても自分だけが昇給しない場合は、上司に理由を聞きましょう。理由を聞くと、改善点が確認できたり、スキルアップをするためのチャンスをもらえたりする可能性があります。
理由を聞くときは不満をぶつけるのではなく、「スキルアップを目指したい」と謙虚な姿勢を示しましょう。
2.会社へ貢献する
会社への貢献度が低いと感じる場合は、貢献度を高めましょう。売上を向上させるために行動したり、業務効率を向上させたりすることが大切です。
実績を上げている人に話を聞き、自分に足りないものを整理し、積極的に行動しましょう。
3.自己評価を上げる
自分だけが昇給しない場合は、勤務態度を見直してみましょう。「時間を守る」「やる気をもって業務に取り組んでいる」など、これまでの自分の行いを客観的に評価することが大切です。
適切に評価されていないと感じる場合は、資格を取得したり、プロジェクトリーダーに立候補したりなど積極的にアピールしましょう。
昇給なしでも収入を増やすためにできること
昇給が望めないのであれば、別の方法で収入を増やすことを考えましょう。自分の働き方やライフプランに合った収入の増やし方を探してください。
昇給なしでも収入を増やすためにできること
- 手当を増やす
- 副業を始める
- 転職する
1.手当を増やす
昇給制度がない代わりに、各種手当が充実している会社の場合は上手く活用して収入を増やせます。たとえば、資格手当や皆勤手当、職能手当など努力次第で支給額を上げられるでしょう。
ただし、手当は就業規則の見直しによって支給額の変更や廃止の可能性があり、安定した収入源ではないため注意が必要です。
2.副業を始める
働き方にも多様性が生まれ、副業で収入を得る方もいます。ハンドメイド作品の販売やアイデア提供、データ入力など副業の幅は広いので、興味がある分野から始めるのがおすすめです。
ただし、会社によっては副業禁止や届け出必須の場合があるので、副業を始める前に就業規則を確認しましょう。
副業を始める際の注意点が知りたい方は「副業をする会社員が注意したいこと」のコラムもあわせてご一読ください。
3.転職する
「昇給なしの会社で働き続けるのは不安」「給料以外の不満もある」という場合は、転職するのも一つの方法です。転職するときは昇給制度の有無だけでなく、会社の将来性や仕事内容など、条件を確認して後悔がないようにしましょう。
昇給制度のある安定した会社を探すには、転職エージェントやハローワークなど、プロの力を借りるのも良い手段です。転職エージェントなら求職者の希望の条件や、前職で不安だった点などを細かくヒアリングしたうえで、一人ひとりにあわせたアドバイスがもらえます。
若年層に特化した就職・転職サービスのハタラクティブでは、求職者一人ひとりに専任のキャリアアドバイザーがつきます。就職活動の進め方や求人の紹介、面接対策、職業訓練での経験をどのようにアピールするかなど、マンツーマンでアドバイス。また、企業へ直接聞きにくいことや就活中のスケジュール管理も、求職者に代わって行います。「昇給制度がある会社に転職したい」「業績が安定している会社に就職したい」とお考えの方は、ハタラクティブにご相談ください。
昇給に関するQ&A
ここでは、昇給に関するよくある質問と回答をご紹介しています。
昇給額を知りたいのですが計算方法はありますか?
昇給額は昇給後の月収から昇給前の月収を引くと分かります。昇給額と一緒に昇給率を確認するのもおすすめです。昇給率は昇給額を昇給前の月収で割ると算出できます。
詳しくは、「昇給の平均額はどれくらい?給料アップの目指し方もあわせてご紹介!」をご覧ください。
各種手当は基本給に含まれますか?
基本給に各種手当は含まれません。また、手取り額は各種保険料を差し引いているため、基本給とは異なります。昇給額を把握するには、まず基本給を知っておくことが大切です。
基本給については、「基本給とは?低いと損をする?給与内訳の仕組みを解説」で解説しています。
昇給制度がある転職先を探せますか?
昇給に関しては、求人に掲載されている給与額と平均年収の差があるかどうかで予測できます。詳しい企業情報が知りたい場合は、転職エージェントを利用するのがおすすめです。
昇給制度がある会社を探したい方は、ハタラクティブにご相談ください。応募先企業にあわせたアピール方法をアドバイスします。
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一人ひとりの経験、スキル、能力などの違いを理解した上でサポートすることを心がけています!
京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。