退職後に市役所の手続きでやることは?必要書類や持ち物も解説

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この記事のまとめ

  • 退職後に市役所でする手続きには、健康保険の切り替えと国民年金への加入がある
  • 国民健康保険や国民年金の手続きは、退職後に市役所の保険窓口や年金窓口で行う
  • 退職後の保険や年金の手続きを担当する課の名称は、市役所によって異なる
  • 退職後すぐに転職する場合とそうでない場合で手続きが変わるので注意しよう

「退職後に市役所で行う手続きって何があるの?」とお悩みの方も多いでしょう。退職後すぐに転職する場合は転職先の職場が手続きを代行してくれますが、すぐに就職しない場合には一定の期間内に市役所にて健康保険や年金の手続きを行う必要があります。

このコラムでは、退職後の手続きの進め方や申請期間についてご紹介。自分がどの対象に当てはまるのかを把握したうえで、手続きの流れと必要書類を押さえておきましょう。

退職後に市役所で必要な手続きは?

会社を退職後に市役所で行う手続きは、健康保険の切り替えと国民年金への加入の2つです。 どちらも全員必要な手続きではなく、該当する退職者のみが対象となります。健康保険の手続きの対象になる人は、会社の健康保険から国民健康保険に加入する人、年金の手続きは、厚生年金から国民年金に変わる人です。

退職後にやることリスト

退職後、すぐに行う必要のある手続きは以下のとおりです。

  • ・健康保険の手続き(退職後14日以内または20日以内)
  • ・国民年金への加入手続き(退職後14日以内)
  • ・失業保険の給付申請手続き(離職票が届き次第)

健康保険の手続きは、基本的に退職日から14日以内に行いましょう。任意継続を利用する方は20日以内に手続きを行いますが、家族の扶養に入る場合は退職日から5日以内に手続きを済ませる必要があります。家族の扶養に入ることが決まったら、速やかに扶養者の職場に報告しましょう。

退職後の手続きの流れについては、「退職後の手続きは何をする?期限や順番、必要書類を分かりやすく解説!」のコラムでも解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

市役所とハローワークの手続きはどちらが先?

明確な順番は決まっていませんが、退職後すぐに就職しない場合は、まず市役所で健康保険と年金の切り替え手続きを行うと良いでしょう。健康保険に未加入の状態だと、事故や病気で診療を受ける際、全額自己負担になってしまうからです。

また、必要な書類がそろっていれば、市役所とハローワークで行う手続きを1日で済ませることも可能です。ハローワークで行う手続きについては「退職後の手続きは?ハローワークでの失業保険の受給条件や給付までの流れ」のコラムで詳しく解説しているので、あわせて参考にしてみてください。

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退職時の健康保険に関する手続き

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退職に伴う健康保険の手続きは、以下の3つのパターンに分けられます。以下、それぞれ見ていきましょう。

国民健康保険へ切り替える場合

会社を退職してからすぐに再就職をしない場合、原則的に国民健康保険に加入することになります。国民健康保険の申請期間と申請場所は、以下のとおりです。

申請期間

国民健康保険への加入を希望する場合は、退職後14日以内に申請が必要です。期限までに手続きを完了できるよう、事前に準備しておきましょう。

退職後14日を過ぎたらどうなる?

退職後に14日を過ぎてしまうと、その間の医療費は全額自己負担になります。自己負担で支払った医療費は、健康保険に加入したあとも払い戻しされない可能性が高いため注意しましょう。また、納める保険料は、以前まで加入していた健康保険の資格喪失日の月まで遡ることになります。

「国民健康保険に加入しない=その分は払わなくて良い」というわけではないので、退職後14日以内に必ず手続きを完了させましょう。

退職後の手続きを忘れないためのポイントは、「退職後の手続きを忘れたらどうなる?失敗を回避するための方法を紹介」のコラムにて、より詳しく解説しています。

申請場所

国民健康保険の申請場所は、市役所の健康保険窓口です。何課に行けばいいか分からない場合は、窓口で「国民健康保険の手続きをしたい」と伝えると、担当の窓口を教えてもらえます。担当する課の名称は自治体によって異なりますが、「国民健康保険課」や「保険年金課」といった、国民健康保険の担当なのが分かる表記であることが多いようです。

持ち物

手続きに必要な持ち物は、次の5つです。

  • 1.健康保険資格喪失証明書
  • 2.本人確認書類
  • 3.通帳
  • 4.印鑑
  • 5.マイナンバーが分かるもの

前述のように、国民健康保険の手続きには期限があります。期日までに手続きを完了できるよう、上記の持ち物を揃えておきましょう。

企業の健康保険を任意継続する場合

退職者は、希望すれば退職後も最長2年間、退職前の職場の健康保険に加入し続けることができます。任意継続制度を利用するには、「退職前に2ヶ月以上会社の健康保険に加入していたこと」が条件です。任意継続を希望する場合、退職する職場にその旨を伝える必要はありません。手続きは、退職者が直接、以前加入していた健康保険組合または全国健康保険協会(協会けんぽ)に対して行います。

なお、在職時には保険料の半分を会社に負担してもらえましたが、退職後は全額自己負担になる点に注意が必要です。任意継続をしても、退職後は健康保険料の負担額が異なる点に注意しましょう。

申請期間

任意継続する場合は、退職後20日以内に手続きする必要があります。

申請方法

申請は、各保険組合の規程に従って行いましょう。退職する職場の総務部や人事部などの担当部署に確認することで、スムーズに手続きを進められます。

家族の扶養に入る場合

退職後に家族の扶養に入るには、家族の加入している保険組合に申請します。扶養に入るには、いくつかの要件を満たしていることが必要です。

扶養に入るための3つの要件

扶養に入るための要件は以下の3つです。

  • 1.被保険者に生計を維持されている
  • 2.被保険者の直系尊属(父母・祖父母)、または同一世帯の3親等内の親族(配偶者・兄弟姉妹・子・孫)
  • 3.年収が130万円未満、かつ同居の場合は被保険者の年収の2分の1未満、別居の場合は被保険者の仕送り額未満であること

保険組合によって細かい要件は異なるため、よく確認しましょう。

申請方法

扶養に入る場合は、家族の職場に申告を行います。必要書類は、職場が加入している保険組合によって異なるため、確認することが重要です。一般的には、健康保険被扶養者異動届や、年収を確認できる書類などが求められます。

退職後の健康保険手続きについては、「退職後に健康保険に入らない選択肢はある?加入方法や必要手続きを解説」のコラムでより詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

退職時の国民年金への加入手続き

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国民年金への加入手続きが必要な場合は「退職後しばらく就職しない場合」や「国民年金加入者の扶養に入っていた配偶者が退職した場合」の2つです。 また、年金の加入者は以下の3つに分類されます。

  • 1.国民年金の加入者(国民年金第1号被保険者)
  • 2.企業の厚生年金の加入者(国民年金第2号被保険者)
  • 3.第2号被保険者に扶養されている年収130万円未満の配偶者(国民年金第3号被保険者)

職場を退職したあとしばらく就職しない場合は、第2号被保険者から第1号被保険者となるため、国民年金への加入手続きが必要です。

また、第3号被保険者は配偶者の第2号被保険者が退職して第1号被保険者となった場合、同時に自分も第1号被保険者となります。そのため、国民年金への加入手続きが必要となり、年金保険料の支払いも発生するので注意しましょう。

申請場所

申請場所は、市役所の年金窓口です。担当する課の名称は、健康保険と同様に自治体によって異なります。

持ち物

国民年金加入手続きに必要な持ち物は、以下の4つです。

  • 1.年金手帳
  • 2.退職日を証明できる書類
  • 3.本人確認書類
  • 4.印鑑

退職日を証明できる書類には退職証明書や資格喪失証明書など、本人確認書類には運転免許証やマイナンバーカードなどが該当します。

退職後に配偶者の扶養に入る場合

退職後に配偶者の扶養に入る場合は、第3号被保険者となります。配偶者の勤務先に連絡して手続きを申請するのが必要です。勤務先によって必要書類は異なりますが、源泉徴収票のコピーや離職票または退職証明書のコピーなどが該当します。

退職後に国民年金に入ることを予定している方には「厚生年金から国民年金への切り替えはどうしたらいい?」のコラムが参考になるでしょう。

退職後に失業保険を受け取る場合に必要な手続き

退職時は、健康保険や国民年金の手続き以外に、失業保険の受取の手続きや税金の手続きが必要になります。失業保険の受給資格に該当する人は、退職後に受け取りの手続きを行いましょう。

ここでは、失業保険の受取手続きについてご紹介します。

失業保険の受給資格

失業保険の受給資格は、以下の3つの要件を満たしていることです。

  • 1.失業状態であること
  • 2.退職日以前の2年間で通算12ヶ月以上雇用保険に加入していること
  • 3.ハローワークに求職申込みをしていること

ハローワークでの求職申込みは、失業保険の手続きと同時に行えます。

申請期間

退職した職場から離職票を受け取り次第、速やかに申請を行います。決められた期間はありませんが、離職票は退職後10日ほどで発行されることが一般的で、遅くなるとそのぶん失業保険の受給開始が遅れたり、全額受給できなくなったりする場合があるので注意しましょう。

申請場所

申請場所は、居住地を管轄するハローワークです。失業保険の受給までは何度かハローワークに行く必要があります。

退職後の失業保険についてより詳しく知りたい方は、「退職後に失業保険をもらうには?アルバイトは可能?手続き方法を確認しよう」のコラムもあわせてご覧ください。

退職後の税金に関する手続き

退職後の税金手続きの概要をまとめました。すぐに再就職しない場合は税金の手続きを自分で行う必要があるなど、退職の期間や状況によって手続きが異なることを把握しておきましょう。

所得税の手続き

所得税の納付は、「年収想定額の12等分にかかる税金額」を毎月職場に源泉徴収してもらうやり方です。

よって、退職して実際の年収額が減った場合には、所得税を多く納めてしまっていることになります。その場合、納め過ぎた税金を返してもらう「還付手続き」が必要です。所得税の還付手続きについては、年内に再就職したかどうか、期間によって手続きの方法や時期が異なります。

年内に再就職したとき

再就職先の企業で年末調整をしてもらえます。必要なものは、生命保険や医療費などの控除証明書と前職の源泉徴収票です。

しかし、年内に再就職したときでも、再就職先の年末調整の時期に間に合わなかった場合は自分で確定申告をする必要があります。

年内に再就職しなかったとき

居住地管轄の税務署で確定申告をする必要があります。必要なものは、確定申告書に加え前職の源泉徴収票、生命保険や医療費などの控除証明書、印鑑です。

住民税の手続き

住民税は、前年の1月から12月までの所得に対して課税されます

納税する時期は決まっており、翌年の6月から翌々年の5月までです。納税時期が決まっていることから、退職時期によって支払い方法や手続き方法が変わります。

すぐに転職する場合

転職先の会社で継続して天引き(特別徴収)してもらえます

継続を希望する場合は、退職する企業に「給与所得者異動届出書」を作成してもらい、転職先に提出してください。なお、再就職まで1ヶ月以上空いてしまう場合は継続ができません。

再就職まで期間が空く場合は、自分で納付する普通徴収に切り替えるか、退職する際に数ヶ月分の住民税をまとめて天引きしてもらう必要があります。 再就職後は、転職先で天引きされるよう改めて特別徴収に切り替えることも可能です。その際、退職した企業に「給与所得者異動届出書」の作成依頼をする必要があることを覚えておきましょう。

1月~5月に退職する場合

退職した月から5月までの税金が一度に徴収され、退職月の給与や退職金から引かれます。税金額が退職月の給与や退職金の合計を上回る場合は、一部を天引きしてもらい残りを自分で支払うよう普通徴収に切り替えることも可能です。

6月~12月に退職する場合

退職月分の税金のみ天引きされ、残りは自分で支払う必要があります。一括納付と分割納付のどちらかを選ぶと納付通知書が役所から発行されるので、それをもとに納付してください。

金額は大きくなりますが、退職月から翌年5月分の税金を退職月の給与や退職金から一括で天引きしてもらうやり方も選べます。

退職後に市役所で行う手続きの順番は?

退職後に市役所で行う手続きの順番は以下のとおりです。ただし、前述したように、条件に該当する退職者のみが対象となります。

  • ・健康保険の手続き(退職後14日以内もしくは20日以内)
  • ・国民年金への加入手続き(退職後14日以内)

転職先の職場がすでに決まっている方や家族の扶養に入る方は、上記の手続きは不要です。また、退職後にすぐに就職しない期間がある場合は、国民年金の免除・猶予申請が受けられる可能性が高いので、あわせて相談してみましょう。

退職までの流れも押さえておこう

退職予定日1ヶ月前から最終出社日までの期間の流れを以下にまとめました。 職場の忙しさなどによっては、このスケジュールどおりに動くのが難しい場合があるので、できるだけ期間に余裕を持って退職の意思表示をするのが望ましいでしょう。

退職予定日1ヶ月前まで

退職予定日1ヶ月前までの期間に職場で済ませておくべきことは、以下のとおりです。

  • ・退職の意思表示
  • ・退職日の相談

民法第627条では、退職希望日の2週間前までに退職意思を伝えれば良いとされています。

しかし、引継ぎなどの期間が不十分なため、企業の就業規則では1ヶ月前までに申し出るよう決められている企業も。就業規則を確認したうえでできるだけ早く上司に相談し、仕事の引継ぎに取り掛かれるようにしましょう。

参照元
e-Gov法令検索
民法

退職日1ヶ月前から

退職日1ヶ月前からの期間に職場で行う主なことは、以下のとおりです。

  • ・退職届の提出
  • ・仕事の引継ぎ

退職届は直属の上司に提出します。その後は職場内の承認を得る必要があるため、すぐには受理されないことを念頭に置きましょう。

職場に退職届が受理されたら、期間内に仕事の引継ぎがスムーズに行えるよう、あらかじめ資料などを作成しておくといいでしょう。

2週間前から最終出社日まで

取引先への挨拶回りをする場合は、通常この期間に行います。

どのように挨拶回りをするのかは職場の意向によって異なるので、上司に指示を仰ぎましょう。後任者がすでに決まっている場合は、紹介・引継ぎを兼ねて一緒に取引先へ挨拶をします。

最終出社日

最終出社日には、職場の自部署や他部署でお世話になった人たちに挨拶回りをします。時間帯は、仕事が落ち着く午後以降が望ましいでしょう。

退職時には、皆の前で挨拶をする機会もあります。退職日の挨拶に関しては「退職の挨拶はメールでも良い?社内・社外向けのメッセージ例文を紹介」のコラムを参考にしてみてください。

退職時に返却するものと受け取るもの

退職時には、職場から支給された名刺や制服などを返却しなければなりません。 また、会社側から受け取っておかなければならない書類も複数あるので、退職日までの期間に忘れずに申請しましょう。

企業に返却するもの

企業に返却する主なものは、以下のとおりです。

  • ・名刺
  • ・制服
  • ・社員証
  • ・企業から支給された文具や書籍
  • ・現物支給の定期券

そのほか、自宅のパソコンに入っている業務上のデータは削除もしくは媒体に記録して返却します。 取引先から受け取った名刺も返却を求められることがあるので、返却するかどうか迷うものがあったら上司に確認しましょう。

文房具などの物品も、会社から支給されているものであればすべて返却の対象です。退職後に再び会社を訪れて返却手続きをすることがないよう、退職日が近づく前に返却するものを手元にそろえてきましょう。

企業から受け取るもの

退職時に企業から受け取る主なものは、以下のとおりです。

  • ・離職票
  • ・厚生年金基金加入員証
  • ・健康保険被保険者資格喪失確認通知書
  • ・雇用保険被保険者証
  • ・年金手帳

企業から受け取るものには、退職後の失業手当受給に必要な書類や、年金・健康保険の手続きで求められる書類があります。また、雇用保険被保険者証や年金手帳、源泉徴収票は再就職先で提出が求められるので、退職日までに忘れず受け取りましょう。

なかでも、離職票と同様に退職を証明する「退職証明書」は採用先の企業で提出を求められることがあります。退職証明書はすべての企業で提出が義務づけられているわけではありませんが、今後必要になる可能性を考えて退職前に発行を依頼しておくと良いでしょう。

事前に必要な書類を知り、いつまでに入手できるのかを退職前に確認しておくのも大事です。基本的には会社が用意するものですが、必要となるものを知っておくと、退職後の書類不備によるトラブルを防げます。

転職先が決まらないなら転職エージェントを活用しよう

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退職時の手続きに関するQ&A

ここでは、退職時の手続きに関してよくある質問と回答をまとめました。

退職後、市役所で行うのは何の手続き?

国民年金への加入と国民健康保険への切り替え手続きです。退職後にすぐ再就職しない場合に必要となります。

なお、健康保険は、条件を満たしていれば最長2年まで任意継続ができます。健康保険の任意継続については「健康保険の任意継続とは?国民健康保険との違いや手続き方法」で詳しくご紹介していますので、ご参照ください。

退職後の手続きに必要な書類は?

健康保険資格喪失証明書や退職証明書、離職票などが挙げられるでしょう。何の書類が必要になるかは人によって異なるうえ、会社に発行を要請しなくてはならないものもあります。自分がするのはどのような手続きで、何の書類が必要かを退職までに押さえておきましょう。

退職後の必要書類を一覧でチェック!手続きをスムーズに行うポイントとは?」のコラムでは、退職時の手続きや必要書類について詳しくご紹介していますので、ご一読ください。

退職まではどんな流れ?

退職の相談、退職届提出・承認、引継ぎ、挨拶回りです。最低でも退職希望日の1ヶ月前までには職場に退職を願い出るようにしましょう。退職届の承認を得るまでは、引継ぎ資料などを作っておくとスムーズです。

退職後すぐに就職しない場合は?

国民年金への加入と国民健康保険への切り替え手続きが必要です。国民健康保険への切り替えは、市区町村役場で手続きします。詳しくは、このコラムの「退職時の健康保険に関する手続き」「退職時の国民年金への加入手続き」の項にて詳しく説明しているので、参考にしてみてください。

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