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年功序列とは?働くメリット・デメリットや実力主義との違いについて解説
更新日
この記事のまとめ
- 年功序列制度とは、勤務年数や年齢などに応じて賃金や役職を上げる制度のこと
- 年功序列制度のメリットは、将来の安定性が期待できること
- 年功序列制度のデメリットは、仕事への士気が上がりにくくなる可能性があること
- 将来の安定を重視する場合は、年功序列制度に向いているといえる
- 実力で勝負したい場合は、成果主義の会社の方が向いているといえる
年功序列がどのような仕組みなのか、詳しく知らない方もいるでしょう。年功序列とは、年齢や勤続年数によって賃金や役職などを決める人事制度で、多くの企業で取り入れられています。このコラムでは、年功序列制度や日本の雇用システムの変化について解説。また、年功序列と実力主義との違いやそれぞれのメリット・デメリット、向いているタイプなどについてもまとめています。
年功序列とは
年功序列とは、「年齢や勤務年数に応じて賃金や役職を上げる人事制度」のことです。個人の能力や実績とは関係なく勤務年数のみで評価を行う仕組みのことを指す場合もあります。年功序列制度は、戦後の高度経済成長期に日本に普及したものです。普及した理由としては、長期的な視点での人材育成と会社への貢献を求める企業側の考えが大きくなったことが考えられます。また、経済状況が目まぐるしく変化する中、勤務し続けることで自然と給与や出世ができるのは、従業員側にとっても魅力的なシステムであったといえるでしょう。
年功序列制度の歴史
では、年功序列制度はどのように定着し、変化してきたのでしょうか。以下では、年功序列制度が普及し始めた当時の経済状況や背景、その後の働き方の変化について説明します。
雇用システムの三種の神器
先述した「年功序列」のほか、「終身雇用」「企業組合」といった日本独自の3つの雇用制度は、通称「三種の神器」と呼ばれています。これらの雇用制度は、第二次世界大戦後の1940年代から高度経済成長、安定経済成長を迎えた1980年代に定着した日本型雇用システムです。この雇用制度によって、日本は飛躍的な経済成長を迎えます。終身雇用とは「長期雇用慣行」とも呼ばれ、社員を定年まで雇用するシステムのことです。企業組合は、事業者と労働者が「組合員」となって資本や労働を持ち寄り、働く場を創造する組織のこと。組合自体がひとつの法人としての機能を持って事業を展開します。
日本型雇用システムとその後の流れ
平成に入り起こった「バブル経済」が崩落すると、その不況の煽りを受けた企業が人件費削減のためにリストラを慣行し、失業者が一気に増大しました。そのあと、日本経済は国内のみならず、世界に目を向けて経済の自由化を推し進める資本主義経済(グローバル経済)へと移行。それにより、男女雇用機会均等法や女性・子育て世代の社会進出、それに伴う非正規雇用者の増大など働き方が大きく変化しました。また、少子高齢化に伴い年功序列制など雇用システムの見直しが行われ、雇用体制の在り方が変わり、現在に至っています。
年功序列と実力主義との違い
実力主義とは、労働者の年齢や勤続年数での評価ではなく、仕事で出した成績によって評価が下される考え方です。この場合、個人のスキルや実績、会社への貢献度によって、賃金や役職が決まっていきます。年齢やキャリアに関わらず、実力を評価されることで若手のうちにキャリアアップしやすい点が実力主義のメリットといえるでしょう。企業側としては、実力主義を導入することにより社員間の士気を上げ、競争心を持って新しいチャレンジをさせることにより会社全体の成長を図っているといえます。ただし、評価へのプレッシャーが社員の精神的な負担となったり、なかなか賃金が上がらないことに焦りを感じたりと、さまざまなデメリットもあるようです。年功序列のメリット・デメリット
前述したとおり、これまでの経済状況では年功序列や終身雇用といった制度が主流でした。また、企業によっては、現在も「年功序列制度」を継続しているケースもあります。以下では、「年功序列」のメリットとデメリットをまとめているので、就職・転職先の企業選びの参考にしてください。
年功序列のメリット
年功序列のメリットとしては、以下のようなことが挙げられるでしょう。
将来への安定性が高い
年功序列は、年齢や勤務年数に応じて賃金や役職が上がるため、将来への不安が少ない傾向にあり、安定した生活を望めるでしょう。また、そうした安定感から社員が定着しやすく、会社への帰属意識が高まりやすいといった会社側のメリットもあるといえます。
年上の人が上司や先輩になる
上司が年下であったり、後輩のほうが出世していたりすると気まずい場面もあるでしょう。その点で、年功序列の場合は基本的に年上の人が上司や先輩になるため、人間関係が擦れにくい可能性があります。
長期で働きやすい
年功序列は将来における安定性の高さから、職場に定着しやすい点もメリットでしょう。会社側にとっても、人材を長期的目線で育成することが可能になる点はメリットといえます。また、社員と会社が同じ方向を向いていることで、モチベーションを保ちやすく、仕事のクオリティ向上にもつながりやすいでしょう。
年功序列のデメリット
年功序列のデメリットとしては、以下のようなことが考えられます。
社員の士気が低下する
年功序列では、「自分の頑張りを認めてもらえない」と感じてしまう人もいるようです。若手の内に仕事を積極的に引き受け挑戦しても人事的な評価が上がりにくいため、仕事に対する士気が低下してしまいがちな点はデメリットといえるでしょう。また、何もしなくても時間が経てばキャリアアップできるため、新しいチャレンジが生まれにくくなることも考えられます。
職場環境が変わりにくい
年功序列は長期で働きやすい環境がメリットですが、定着しやすい反面、上司や同僚などに合わない人がいる場合はデメリットになる可能性もあるでしょう。他部署への異動が定期的にあれば別ですが、従業員の入れ替わりが少ないと、合わない人とも上手く付き合っていかなければなりません。「社内の人間関係に疲れた」と感じている場合は、「職場の人間関係が辛いときの対処法とは?ストレスを感じる要因を知ろう」のコラムを参考にしてみてください。
向上心が強い場合は不満を感じやすい
向上心が強い場合、年功序列が合わず、「離職して新たな環境に身を置きたい」と考える人も少なくないようです。年功序列は、年齢や勤続年数が評価の基準になりやすいため、成果や実績が昇給や出世にどれほど影響があるかが見えにくい点はデメリットといえるでしょう。特に、向上心が強いと「仕事で成果を出しても現状が変わらない…」と評価に対して不満を感じてしまう恐れも。中には、転職や独立をして、自分がもつ能力を適切に評価してくれる環境を選ぶ人もいるようです。
年功序列の会社側のデメリット
年功序列の場合、会社側はたとえ社員のスキルや貢献度が低くても、長年勤めていれば高い給与を払わなくてはいけません。少子高齢化が進む現代では社内でも高齢化が進んでいることが考えられるため、会社の負担は増大しているといえるでしょう。実力主義のメリット・デメリット
近年では、実力主義の企業も増えつつあるようです。以下では、実力主義のメリットとデメリットを紹介していきます。
実力主義のメリット
実力主義の会社では、年齢や学歴、勤続年数に関係なく、仕事で出した成果で社内評価されます。そのため、20代や30代の若い世代で役職に就いたり、高い年収を得たりするなど、早期でキャリアアップを目指しやすい点がメリットといえるでしょう。
実力主義のデメリット
実力主義の環境だと、仕事で成果が上げられなければ評価は下がり、給与も下がっていく可能性があります。そのため、仕事内容が自分に合わない場合など、結果が出ないことへのもどかしさやプレッシャーを感じやすいといえるでしょう。
年功序列と実力主義…どちらで働く方が良い?
「年功序列と実力主義のどちらで働く方が自分にとって良い?」と疑問に思う人もいるでしょう。人によって仕事に対する意識や働きやすさは異なります。そのため、会社を選ぶ際は、「仕事へのモチベーションを維持しながら、安定して働けるかどうか」を判断することが大切です。以下では、年功序列と実力主義のそれぞれに向いているタイプについてまとめているので参考にしてください。
年功序列に向いているタイプ
「将来について心配せず、安心して生活したい」「キャリアなどに特にこだわりがない」などと考えている場合は、年功序列制を採用する職場が向いている可能性があります。年功序列では、年齢とともに自動的に給与が上がっていくため、収入面で安定しやすいといえるでしょう。また、周りと競争することなく、自分のペースでスキルを身につけることも可能です。ただし、突然の会社の倒産や定期昇給制度の廃止のリスクもないとは限りません。転職・就職活動で経験・スキル不足などの理由により不利にならないためにも、仕事へのモチベーションを維持したり、スキルを磨いたりしておくことが大切です。
実力主義に向いているタイプ
「年齢やキャリアを問わず自分の力を試してみたい」「目標を持って仕事に挑戦したい」と考えている場合は、実力主義の会社のほうが合っているといえるでしょう。実力主義の企業であれば、経験に関わらず実績で評価してもらえる可能性があります。自分の力をしっかり評価してもらえれば、仕事に対するやりがいやモチベーション維持につながりやすいでしょう。しかし、会社で実力が発揮できないと昇給や役職につながりにくく、ストレスや不満を感じてしまう恐れも。思うように会社から評価されない場合は、ほかの社員と比較せず、あくまで自分のペースで仕事をすることが大切です。
会社から評価されない理由とは?
会社から評価されない原因としては、「数字で評価しにくい」「自分への期待度が大きい」「努力の方向性が間違っている」などが考えられます。まずは、「なぜ会社から評価されないのか」を客観的に考えてみると良いでしょう。自分に対する評価に不満がある場合は、「会社で評価されないのはなぜ?考えられる原因を解説」のコラムもあわせてご覧ください。前述したとおり、年功序列と成果主義のどちらが自分に合った働き方なのかを判断することは大切です。しかし、自分に合った働き方ができる会社に転職しても、「入ってみたら合わなかった」と感じてしまう可能性もあるでしょう。もし、「自分に合った働き方が分からない」「今より良い条件の会社に就職・転職したい」という場合は、エージェントを利用することをおすすめします。第三者からの意見を聞くことで、自分のことを客観的に見ることができ、やりたいことやスキルに合った会社を見つけることができるでしょう。
ハタラクティブは、20代の就職・転職支援に特化したサービスです。年功序列や終身雇用などといった雇用体制のことはもちろん、入社時に気をつけるべきポイントなどについても丁寧にアドバイスいたします。また、履歴書の添削や面接対策など、より良い就職・転職に向けた手厚いサービスを提供。「自分に合った会社に転職したい」「キャリアアップを目指したい」などの思いに寄り添うハタラクティブで、より良い就職・転職を実現させましょう。
年功序列に関するFAQ
ここでは、年功序列にまつわる質問にQ&A形式で回答していきます。
年功序列の反対はなんですか?
実力主義です。年功序列は、労働者の年齢や勤続年数によって、昇給や出世をしていくことができる働き方です。一方、実力主義は仕事で結果を出すことによって、年齢や勤続年数に関係なく、昇給や出世を目指せる働き方を指します。そのため、実力主義では、先輩や上司を超えて昇進する可能性もあるでしょう。実力主義のメリット・デメリットに関しては、「実力主義が向いている人は?会社の評価制度やメリット・デメリットも解説」で解説しているので、あわせて参考にしてください。
年功序列は海外でもある?
アメリカには、年功序列という考え方はないようです。理由としては、上下関係がほとんどないことや、年齢差別になる可能性が考えられるでしょう。ただし、独立行政法人労働政策研究・研修機構の「データブック国際労働比較」によると、ドイツやイタリア、フランスなどでも勤務年数とともに賃金は上がっており、年功序列制度が日本特有のものではないことが分かります。
参照元
独立行政法人労働政策研究・研修機構
データブック国際労働比較2023
年功序列は今後廃止されるのでしょうか?
近年では、実力主義の企業が増加傾向にあり、年功序列は廃止していくという動きはあります。しかし、まだまだ広がりきってはいないのが現状です。日本は安定思考が強いことや離職を避けたいなどの理由が考えられます。今後の社会の変化に注目しながら、自分のキャリアプランを考えてみると良いでしょう。もし、キャリアプランの立て方に迷う場合は、若年層の就職・転職支援に特化した「ハタラクティブ」にご相談ください。プロのアドバイザーが、求職者一人ひとりの希望や適性に合わせてキャリアプラン作成をサポートします。
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京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。