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懲戒処分とは?公務員のその後の処遇についても解説
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この記事のまとめ
- 懲戒処分とは、法律や規則に対して非違行為をした場合に科されるペナルティのこと
- 懲戒処分された公務員は、退職金や再就職に影響する可能性がある
- 非違行為や犯罪行為をした場合に、懲戒処分になり得る
- 免職とは公務員に下される「懲戒処分」のなかの一つで、解雇に相当するもの
公務員として働いている、あるいは公務員職を目指している方のなかには「懲戒処分とは?」「その後の人生への影響は?」と気になる人もいるでしょう。懲戒処分で免職になると、公務員として再就職するのは難しい傾向にあります。また、公務員が懲戒免職になると退職金が支給されない場合もあるようです。このコラムでは、懲戒処分で免職になった公務員のその後や再就職に行き詰まったときの対処方法についても解説します。
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公務員にとっての懲戒処分とは?
懲戒処分(ちょうかいしょぶん)とは、従業員や職員が法律や規則に対して非違行為をした場合に科されるペナルティのことです。公務員には、懲戒免職以外にも「国家公務員法第八十二条」「地方公務員法第二十九条」によって定められた処分が存在します。以下では、公務員の懲戒処分を4つ紹介するので、チェックしてみてください。
公務員にとっての懲戒処分
- 免職
- 停職
- 減給
- 戒告
1.免職
免職とは、職員の意にかかわらずその職を失わせる処分で、民間企業における「懲戒解雇」にあたります。懲戒処分のなかのレベルとしては、最も重い罰といえるでしょう。
免職になると、原則として退職金は支給されず、公務員としてのキャリアが終了するだけでなく、再就職にも影響を及ぼす可能性があります。特に、公務員の不正行為は社会的にも注目されやすいため、厳しい処分が科されることが多いようです。
2.停職
停職とは一定期間、職務に従事させず無給とする処分のこと。国家公務員の場合は1日以上、1年以下と定められています。停職期間は非違行為の重大さに応じて決まり、長期間になるほど職場復帰が困難になることも。停職処分を受けると昇進や昇給に影響する可能性もあり、場合によっては自主退職を選ぶ公務員もいるようです。
「知っておきたい!停職ってどんな処分なの?」では、停職処分について詳しく解説。気になる方はこちらもあわせてご一読ください。
3.減給
減給とは一定期間、職員の給与を減額して支給する処分です。「人事院規則一二―〇(職員の懲戒)第三条」によると、国家公務員の場合、減給期間は1年以下で、減給額は俸給の月額の5分の1以内(20%以内)と定められています。地方公務員の場合は、各自治体の規定によって減給額が異なるようです。
4.戒告
戒告とは、非違行為を行った方に口頭での厳重注意や始末書を提出させるなど、将来に対し戒める処分のこと。公務員としての職務を続けられるが、戒告の履歴は残るため、昇進や人事評価に影響を与える可能性はあるでしょう。
また、職員はこれらの戒告処分の決定に不服がある場合は、申し立てられます。ただし、懲戒免職となった場合は訴訟に発展し、司法の判断に委ねる場合も少なくありません。
参照元
e-Gov法令検索
国家公務員法
地方公務員法
人事院規則一二―〇(職員の懲戒)
懲戒免職になる公務員はどれぐらいいる?
人事院が公表した「令和5年における懲戒処分等の状況について」の報告によると、令和5年の間に懲戒処分を受けた公務員は240人で、前年より6人増加しました。その内訳は、免職12人、停職57人、減給110人、戒告61人という結果です。ほかの処分件数に比べ、免職は少ないと分かります。
参照元
人事院
令和5年における懲戒処分の状況について
公務員が懲戒処分で免職になったらその後はどうなる?
懲戒処分で免職になった公務員が抱えるリスクは、退職金(退職手当)の支給制限や再就職が厳しくなるなどです。以下で詳しく解説するので、ご参照ください。
懲戒処分で免職になると退職金に影響が出る
「国家公務員退職手当法第十二条」によると、懲戒処分で免職になった公務員は退職金(退職手当)を全額、または一部が支給されない可能性があります。
公務員の賃金支給額は地方条例や法律で定められており、退職金も同様に法令に基づいて金額が決められることが一般的です。
参照元
e-Gov法令検索
国家公務員退職手当法
懲戒免職による退職金の支給は不服申立てが可能
懲戒免職の処分に不服があれば、人事院に審査請求する方法があります。「基準に比べて処罰が重過ぎる」「そもそも事実とは異なる」「他処分で済むと考えられるのに懲戒免職にされている」などの場合には、処分に対して申し立てることも可能です。
人事院の「不利益処分審査請求」によると、審査請求ができるのは処分説明書を受領した翌日以降の3ヶ月以内。処分説明書を受領しなかった場合は、処分があった日の翌日から1年以内です。懲戒免職の処分に対して不服を申し立てる場合は、早めに行動しましょう。
参照元
人事院
不利益処分審査請求
年金や失業保険は支払われる
一部例外はありますが、基本的に国家公務員や地方公務員の場合は、失業保険の対象外となります。また、厚生年金は公務員も支給されることが一般的です。ただし、処罰の内容によっては年金の支給が制限される可能性もあるでしょう。
失業保険の受給の仕方について知りたい方は、「失業保険の受け取り方法とは?条件や手続きなどを詳しく解説」のコラムを参考にしてみてください。
懲戒処分で免職になると公務員として再就職は難しい
「国家公務員法第三十八条」によると、国家公務員で懲戒免職になった場合、処分の日から2年間は官職に就けません。地方公務員の場合も「地方公務員法第十六条」で同様の規定が定められており、懲戒免職の処分から2年経たない間は職員にはなれず、職員採用試験を受けることも不可能です。
公務員以外の再就職も厳しい可能性がある
公務員が懲戒処分を受けると、氏名や所属名を公表する場合があるため、民間企業への就職に影響する可能性があります。転職活動をする際、懲戒免職の事実を履歴書に記載する義務はありませんが、再就職の面接で前職の退職理由を聞かれた際に嘘をつくのは避けましょう。
仮に免職したことを隠したまま入社した場合、転職先がリファレンスチェックを行った際や、社会保険や雇用保険の加入手続きを進める過程で発覚する場合もあります。
民間企業での懲戒処分の種類
公務員以外の従業員に対する懲戒処分の種類は、上記で紹介した4つのほか、下記のものがあります。
降格
降格(降職)とは、該当する従業員の資格や役職を引き下げる処分のことです。人事制度内で行われるのではなく、就業規則の規定に定められた懲戒処分の内容にしたがって処分が下されます。
降格は懲戒解雇ほど重い処分ではないものの、賃金も低下する傾向があるため、元の役職に復職するまでその給与は下がったままです。
諭旨解雇
諭旨解雇とは、企業側が従業員に対して退職届・辞表を出すように指示する処分のこと。期限内に提出しなければ懲戒解雇となり、期限内に提出すれば退職扱いとなります。
諭旨解雇は、懲戒解雇にまで至らないが、「継続的な勤務が難しい」と企業が判断した場合に行われることが一般的です。たとえば、重度の不正行為や非違行為、企業倫理に反する行動があった場合に適用される傾向があります。
「懲戒免職」と「懲戒解雇」の違い
非違行為に対して、公務員に適用される処罰が「懲戒免職」、民間企業で適用される懲罰が「懲戒解雇」です。懲戒免職と懲戒解雇は呼び方が異なるだけで、どちらも職を失う重い処分といえるでしょう。
ただし、懲戒免職が下った公務員は場合によって氏名・所属先・処罰内容などが公表されますが、懲戒解雇になった一般企業に務める会社員は、原則世間的な公表には至りません。国や自治体に所属し、税金から給与を支払われている公務員は、民間の正社員より厳しい処罰になります。
懲戒解雇について詳しく知りたい方は「懲戒解雇が転職に与える影響とは?隠すリスクや再就職成功の方法を解説!」もあわせてご覧ください。
公務員が懲戒処分で免職になる事例とは?
「欠勤」「秘密漏洩」「セクシャル・ハラスメント」「横領」など、懲戒処分における免職になる理由はさまざまです。具体的な刑の種類と処分は、人事院が定める「懲戒処分の指針」で判断されます。
非違行為が悪質なものであったり複数回繰り返していたりする場合は、これから下記で紹介する事例より重い処分になる可能性も。一方、処分が軽くなる場合は、非違行為を自ら申し出たり、非違行為の内容が酌量すべきものと認められたときです。
公務員が懲戒免職になる事例
- 欠勤
- 違法な職員団体活動
- 秘密漏洩・公的な文書の不適正な取扱い
- 不当な取引制限などに関与する行為
- セクシュアル・ハラスメント/パワー・ハラスメント
- 重大な犯罪行為
1.欠勤
正当な理由のない欠勤が続いた職員は、職務放棄とみなされ免職となる可能性があります。公務員は職務専念義務があり、たとえ私的な理由であっても無断で勤務を怠ることは許されません。
特に、事前に休暇の申請をせず無断欠勤を続けたり、長期間出勤しないことで業務に支障をきたした場合は、重い処分が下される恐れがあるでしょう。
2.違法な職員団体活動
「国家公務員法第九十八条第二項」にある「怠業」に該当する非違行為を企て、実行や共謀をそそのかす、あるいはあおった職員は免職または停職の処分となるでしょう。また、活動に単純参加した場合は、戒告や減給となる恐れがあります。
国家公務員法や地方公務員法では、違法なストライキや政治活動、争議行為が禁止されており、これに違反すると懲戒処分の対象となることも。特に、組合活動の名目で勤務時間中に職務を放棄したり、組織ぐるみで非違行為に関与した場合は、免職処分に至る可能性があるでしょう。
3.秘密漏洩・公的な文書の不適正な取扱い
公務員は職務上知り得た機密情報を適切に管理し、公文書を正しく扱う義務があります。これに違反すると、国民の信頼を損なう重大な違反とみなされかねません。
たとえば、公的機関の内部情報を外部の企業や個人に漏らした場合、情報が不正利用され、国や自治体に大きな損害を与える可能性があります。また、公文書の改ざんや隠蔽、誤った廃棄などが発覚すると、行政の透明性や公正性が損なわれるため、懲戒免職の対象となり得るでしょう。
特に、防衛・外交・警察などの機密情報が漏洩した場合や、公文書の不正な取扱いによって不正行為を隠そうとした場合は、処分がより厳しくなる傾向があります。公務運営に大きな損失を与えた職員は、免職または停職の処分が下るでしょう。
4.不当な取引制限などに関与する行為
いわゆる入札談合に該当する行為を行った、あるいは関与した職員は免職または停職の処分が下ります。
入札談合とは、物品の公共調達や公共工事にかかわる入札において、企業同士が相談し予定価格などの情報を示したり受注金額を定めたりして、競争の取りやめをほのめかす行為のことです。
5.セクシュアルハラスメント・パワーハラスメント
セクシュアルハラスメントとパワーハラスメントは、職場において他者を不快にさせる性的な言動や脅迫、暴行に該当する行為のことを指します。および上司・部下の関係を利用した性的関係の強要などを行った職員は、免職または停職の処分です。
たとえば、部下や同僚に対して繰り返し不適切な発言をしたり、長期間にわたり精神的・肉体的な苦痛を与える行為を行った場合、被害者の訴えが認められ、厳しい処分が下されることがあるでしょう。
6.重大な犯罪行為
公務員が重大な犯罪を犯した場合、公務の信用を著しく損なうため、懲戒免職の対象となり得ます。具体的には、以下のような行為が含まれるでしょう。
- ・横領や搾取
- ・放火や殺人
- ・麻薬所持
- ・淫行
- ・飲酒運転
- ・交通事故
公務員の懲戒免職は、単なる非違行為ではなく、職務の公共性や社会的責任の重大さを考慮して行われます。特に、国民の信頼を損なうような行為に対しては、厳しい処分が科されることが一般的です。
「民間企業と公務員の違いとは?転職前に知っておくべきことを解説」では公務員の基本的な仕事について解説していますので、罰則以外の業務内容に興味のある方はご一読ください。
公務員の副業も懲戒免職になる?
公務員が許可なく副業をすると、懲戒処分の対象となり、場合によっては懲戒免職になることもあります。公務員の副業は「国家公務員法第百三条」や「地方公務員法第三十八条」で、一部例外を除き禁止されているため、懲戒処分の対象です。
たとえば、公務に支障が出るほどの長時間の副業や職務上の立場を利用した営利活動、公的な情報を使った不正な収入、利益供与などは特に厳しく処分される傾向にあります。
参照元
人事院
国家公務員関係法令等一覧
e-Gov法令検索
国家公務員法
地方公務員法
懲戒処分で免職になってから再就職する方法
「公務員として懲戒免職になり正社員就職するのが難しい」と感じる場合は、就職・転職エージェントを利用する方法もおすすめです。公務員からの懲戒免職によって再就職が難しい状況も、経験豊富なキャリアアドバイザーが就職・転職活動をサポートしてくれるので心強いでしょう。
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公務員の懲戒免職に関するQ&A
公務員の懲戒免職に関する質問にお答えします。ぜひ参考にしてみてください。
公務員が懲戒免職になると実名が公表されますか?
公務員が懲戒免職になると、実名を公表される場合があります。人事院による「懲戒処分の公表指針について」では、公表内容について「個人が識別されない内容を基本として公表する」として記載がありますが、非違行為に対し社会的影響が大きい場合は実名も公表の対象です。
参照元
人事院
懲戒処分の公表指針について
公務員の懲戒処分に時効はありますか?
公務員の懲戒処分に時効の規定はありません。処分の対象となる行為をしてから長期間経過していても、懲戒処分される場合があるため、注意しましょう。
「懲戒処分とは?種類や解雇されることで生じる影響について解説」のコラムでは、懲戒処分されるとどのような問題が生じるのか解説しているので、あわせてご一読ください。
懲戒免職になると再度公務員になるのは難しいですか?
懲戒免職された場合、公務員として再就職するのは厳しい可能性があります。懲戒免職の処分から2年経過しない間は職員にはなれず、職員採用試験も受けられません。今すぐに再就職したいと考えている人は、民間企業への転職も検討してみましょう。
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その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。