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特定受給資格者の範囲や判断基準は?特定理由離職者との違いも解説

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【このページのまとめ】

  • ・特定受給資格者とは、会社都合によって再就職の準備ができないまま離職した人
  • ・特定受給資格者は基本手当受給条件や給付日数の優遇があり、給付制限がない
  • ・特定受給資格者の範囲は、離職理由が「倒産」か「解雇」かで異なる
  • ・特定理由離職者の範囲は「労働契約の満了」と「正当な理由がある自己都合退職」で違う
  • ・特定受給資格者は国民健康保険料の軽減制度利用によって保険料を抑えられる場合がある

監修者:後藤祐介

キャリアコンサルタント

一人ひとりの経験、スキル、能力などの違いを理解した上でサポートすることを心がけています!

「特定受給資格者の判断基準って何?」「特定理由離職者との違いは?」と悩む人は多いでしょう。特定受給資格者は主に会社都合で離職することになった人で、具体的な離職理由によって特定理由離職者と区別されます。このコラムでは、特定受給資格者や特定理由離職者の範囲・判断基準を詳しくご紹介。また、雇用保険基本手当の金額や給付日数なども解説します。特定受給資格者の詳細を知りたい方はぜひ参考にしてみてください。

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特定受給資格者とは

特定受給資格者とは主に会社の都合によって、再就職の準備ができないまま離職することになった人を指します。特定受給資格者の主な特徴は以下のとおりです(一般の離職者と比較した場合)。

・1.基本手当の受給要件緩和
・2.所定給付日数の優遇
・3.給付制限なし

基本手当の受給要件緩和については、このコラム内の「基本手当支給の3つの条件」をご覧ください。また、給付日数や給付制限についてはこのコラム内の「特定受給資格者に対する基本手当の所定給付日数」で詳しく解説しています。

特定理由離職者との違い

特定受給資格者と特定理由離職者との大きな違いは離職理由です。特定受給資格者の主な離職理由は「会社の倒産」や「解雇」など。一方、特定理由離職者の離職理由は、労働契約の未更新や正当な理由がある自己都合などです。正当な理由がある自己都合には、「体力不足や心身の障害が生じた場合」「父母の扶養が必要になった場合」「通勤が不可能もしくは困難になった場合」などが当てはまります。
特定理由離職者の詳細な判断基準を知りたい方は、このコラム内の「特定理由離職者の範囲や判断基準」をご参照ください。

特定受給資格者の範囲や判断基準

ハローワークインターネットサービスの「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」によると、特定受給資格者の範囲は離職理由が「倒産」か「解雇」かによって変わります。それぞれの判断基準は以下を参考にしてください。

「倒産」を含む4つの理由のいずれかで離職した人

勤務先の倒産や事業所内の大量雇用変動、事業所の廃止や移転などによって離職した場合、特定受給資格者に該当します。詳しい判断基準は以下のとおりです。

1.勤務先の倒産

破産や民事再生、会社更生などの各倒産手続の申し立てまたは手形取引が停止されたことなどにより離職した場合は、特定受給資格者に該当します。

2.事業所内の大量雇用変動

事業所において1カ月に30人以上の離職を予定する届出がされた、もしくは、当該事業主に雇用される被保険者が3分の1以上離職した場合。また、事業所による再就職援助計画が申請された場合は特定受給資格者に該当します。再就職援助計画とは、事業主が離職する従業員に対して行うべき再就職活動援助などの責務を果たす目的で作られる計画書。事業所において30人以上の離職者が発生する場合、再就職援助計画の作成は義務です。

※事業所内の離職者が30人未満でも、再就職援助計画を提出して公共職業安定所長の認定を受ければ特定受給資格者に該当します。

3.事業所の廃止

事業所の廃止もしくは事業活動の停止後、再開見込みがないことを理由に離職した場合は特定受給資格者に当てはまります。

4.事業所の移転

事業所の移転によって通勤が困難になり離職した場合は特定受給資格者に該当します。

「解雇」を含む13個の理由のいずれかで離職した人

離職理由が、以下に提示する条件に1つでも当てはまる場合は、特定受給資格者に該当します。

1.勤務先からの解雇

勤務先から解雇された場合。ただし、自分の責任によって生じた重大な理由による解雇を除きます。

2.労働条件の相違

労働契約の締結時に明示された労働条件と、実際の条件が著しく相違していることを理由に離職した場合、特定受給資格者に該当します。

3.賃金の未払い

退職手当を除く賃金の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかったことを理由に離職した場合、特定受給資格者に当てはまります。

4.賃金の低下

当該労働者に支払われていた賃金に比べて賃金が85%未満に低下した、もしくは、低下することになった場合。ただし、当該労働者が賃金低下の事実を予見できなかった場合に限ります。

5.長時間の時間外労働

長時間の時間外労働を理由に離職した場合、特定受給資格者に該当します。ただし、離職直前の6カ月間における時間外労働が下記のいずれかに該当していなければなりません。

・いずれか連続する3カ月で45時間
・いずれか1カ月で100時間
・いずれか連続する2カ月以上の期間における時間外労働の平均が1カ月で80時間

また、事業主が行政機関から危険または健康障害発生の恐れを指摘されたうえで防止策を講じなかった場合による離職も、特定受給資格者に当てはまります。

6.妊娠や出産、介護中の強制労働

事業主が下記の労働者を法令に違反して就業させたり、雇用継続を図る制度の利用を不当に制限したりした場合。

・妊娠中もしくは出産後
・子の養育もしくは家族の介護中

また、妊娠・出産および制度利用の申し出・利用などにおいて不利益な取扱いをされたことを理由に離職した場合も特定受給資格者に当てはまります。

7.職種転換時の無配慮

職種転換時などにおいて、事業主が労働者の職業生活継続に対して無配慮だったことによって離職した場合、特定受給資格者に該当します。

8.労働契約の未更新:勤続3年以上

有期雇用契約の更新によって3年以上雇用された者が、新たに契約更新されなかったことを理由に離職した場合は特定受給資格者に該当。ただし、労働者が再度の更新を希望したにも関わらず契約が更新されなかった場合に限ります。

9.労働契約の未更新:勤続3年未満

労働契約時に契約の更新が明示されていたにも関わらず、契約が更新されなかったことを理由に離職した場合、特定受給資格者に該当。ただし、「『解雇』などの理由で離職した人」内の「8.労働契約の未更新:勤続3年以上」に該当する場合を除きます。

10.上司や同僚などからの嫌がらせ

上司や同僚などから故意の排斥や著しい冷遇、嫌がらせなどを受けたことによって離職した場合、特定受給資格者に該当。また、事業主が職場において以下の状況を知っていながら、雇用管理上の必要な措置を講じなかったことによって離職した場合も該当します。

・セクシュアルハラスメントの事実
・妊娠や出産、育児休業、介護休業などに関する言動によって労働者の就業環境が害されている事実

※厚生労働省の「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準(p6)」によると、視覚型セクハラ(事業所にヌードポスターなどが掲示されているなど)の場合は、原則として当該基準に該当しないようです。

参照元
厚生労働省
特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準

11.事業主からの退職勧奨

事業主から直接または間接的に退職の勧奨を受けたことを理由に離職した場合、特定受給資格者に該当します。ただし、「早期退職優遇制度」などに応募した場合は当てはまりません。

12.使用者の都合による休業の継続

事業所において使用者の責任によって行われた休業が、引き続き3カ月以上となったことによって離職した場合、特定受給資格者に該当します。

13.業務の法令違反

事業所の業務が法令に違反したことを理由に離職した場合、特定受給資格者に当てはまります。

特定受給資格者の範囲や判断基準への理解をより深めたい方は「知らなきゃ損!失業保険受給の条件とは」を併せてご確認ください。

参照元
ハローワークインターネットサービス
特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要「特定受給資格者の範囲」

特定理由離職者の範囲や判断基準

ハローワークインターネットサービスの「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」によると、特定理由離職者の範囲は「労働契約の満了」と「正当な理由がある自己都合退職」とで異なります。特定受給資格者との違いを意識しながら、以下で判断基準を確認してみましょう。

労働契約の満了

期間の定めがある労働契約の期間が満了し、さらに、労働契約の更新がない場合。ただし、更新を希望したにも関わらず更新の合意が成立しなかった場合に限ります。また、特定受給資格者の判断基準である「『解雇』などの理由で離職した人」内の「8.労働契約の未更新:勤続3年以上」および「9.労働契約の未更新:勤続3年未満」に当てはまる場合は、当該条件を満たしません。

※労働契約において、確約がない契約更新の明示があった場合にこの基準が適用されます(「契約の更新をする場合がある」など)。

正当な6つの理由のいずれかで自己都合退職した人

「正当な6つの理由」に当てはまる条件は以下のとおりです。

1.体力不足や心身の障害

体力の不足や心身の障害、疾病、負傷、視力・聴力・触覚などの減退。

2.妊娠や出産、育児

妊娠や出産、育児など(「雇用保険法第20条第1項」の受給期間延長措置を受けた場合に限る)。

3.父母の扶養

死亡や疾病、負傷などを理由とした父母の扶養。また、親族の疾病や負傷などにより常時看護を必要とする場合も該当します。

4.配偶者や親族との別居生活が困難

配偶者または扶養家族と別居生活を続けるのが困難になった場合。

5.通勤不可能

通勤が不可能もしくは困難な状態とは、下記のとおりです。

・結婚に伴う住所の変更
・育児に伴う保育所や施設の利用および親族への保育依頼
・事業所の移転
・自己の意思に反する住所や居所の移転
・鉄道や軌道、バスを含む運輸機関の廃止もしくは運行時間の変更
・事業主の指示による転勤または出向に伴う別居の回避
・配偶者の事業主による転勤もしくは出向の指示、または配偶者の再就職による別居の回避

上記のいずれかを満たしていれば、特定理由離職者として認められます。

6.希望退職者への応募

企業整備による人員整理などの際に、希望退職者の募集に応じた場合。ただし、「『解雇』などの理由で離職した」内の「11.事業主からの退職勧奨」に当てはまる場合は当該基準を満たしません。

特定理由離職者の概要をさらに詳しく知りたい方は「失業保険に関わる!特定理由離職者とは」をご覧ください。特定受給資格者との違いがより深く理解できるはずです。

参照元
ハローワークインターネットサービス
特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要「特定理由離職者の範囲」

雇用保険の基本手当の現状

この項目では、雇用保険の支給条件や1日当たりの給付金額など、基本手当の現状を解説します。基本手当の支給条件は、特定受給資格者だけでなく一般受給資格者や特定理由離職者にも当てはまる内容なので、ぜひご参照ください。

基本手当支給の3つの条件

雇用保険の基本手当は、以下3つの条件をすべて満たした場合に支給されます。

1.「一般被保険者」が失業している

一般被保険者とは、雇用保険適用事業によって雇用される65歳未満の労働者。会社に勤める正社員
や、所定労働時間が週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがある常時雇用の従業員などが該当します。高年齢被保険者や短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者は含みません。

2.「被保険者期間」が通算12カ月以上ある

通常、雇用保険の基本手当を受給するためには、離職日以前2年間の被保険者期間(雇用保険に加入していた期間)が通算12カ月以上必要です。ただし、特定受給資格者もしくは特定理由離職者の場合は、離職日以前1年間の被保険者期間が6カ月以上でも条件適用となります。

被保険者期間における「1カ月」の基準は下記のとおりです。

・賃金支払いの基礎となる日数が11日以上ある月
・賃金支払いの基礎となる労働時間が80時間以上ある月

離職日からさかのぼって1カ月ごとに期間を区切ったうえで、上記条件のどちらかを満たしている月は「1カ月」としてカウントできます。そのため、労働日数が11日未満の場合は、労働時間が80時間を超えているか確認しなければなりません。逆に、労働時間が80時間未満の場合は労働日数が11日を超えているか確認しましょう。
たとえば、労働日数が10日であっても1日の労働時間が8時間であれば「10日×8時間=80時間」となるため、被保険者期間1カ月分としてカウントできます。

3.就職の意思や能力がある

ハローワークで求職の申し込みを行うなど、就職の意思や能力があるにも関わらず失業の状態にある場合、当該条件に該当します。

特定受給資格者の給付金額について

ここでは、特定受給資格者に給付される雇用保険基本手当(日額)の算出方法や下限額・上限額を解説します。

特定受給資格者に対する1日当たりの基本手当給付金額

特定受給資格者や特定理由離職者の雇用保険基本手当(日額)を算出する方法は以下のとおりです。

雇用保険基本手当(日額)=賃金日額×給付率
賃金日額=離職日の直前6カ月間に支払われた賃金(賞与などを除く)÷180

厚生労働省の「雇用保険の基本手当日額が変更になります~令和3年2月1日から~(p2)」では、基本手当日額の計算方法が以下のように掲載されています。

基本手当日額の計算方法の表

引用:厚生労働省「雇用保険の基本手当日額が変更になります~令和3年2月1日から~(p2)

参照元
厚生労働省
「雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ」リーフレット

基本手当の上限額と下限額

厚生労働省の「雇用保険の基本手当日額が変更になります~令和3年2月1日から~(p1)」に掲載されている、基本手当日額の上限額および下限額は以下のとおりです。

年齢区分に応じた賃金日額・基本手当日額の上限額と賃金日額・基本手当日額の下限額の表

引用:厚生労働省「雇用保険の基本手当日額が変更になります ~令和3年2月1日から~(p1)

賃金日額の上限額や下限額は「毎月勤労統計」の平均定期給与額の増減によって変化します。毎月勤労統計とは厚生労働省が行う調査のことで、労働時間や雇用変動の明示が目的です。賃金日額の変動によって基本手当日額の算定基準は変わります。そのため、支給額が変化する場合もあることを頭に入れておきましょう。

失業保険の金額は、どんな計算式で設定されているの?」でも雇用保険の基本手当について詳しく解説しています。特定受給資格者に関しても一部触れているので、気になった方はぜひチェックしてみてください。

参照元
厚生労働省
雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ」リーフレット

特定受給資格者に対する基本手当の所定給付日数

特定受給資格者に対する雇用保険の基本手当給付日数は、基本的に自己都合退職の場合に比べて長く設定されています。
厚生労働省の「基本手当の現状について(p5)」に掲載されている、特定受給資格者への基本手当給付日数は下記のとおりです。

被保険者期間 1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
区分
~29歳 90日 90日 120日 180日
30歳~34歳 120日 180日 210日 240日
35歳~44歳 150日 240日 270日
45歳~59歳 180日 240日 270日 330日
60歳~64歳 150日 180日 210日 240日

引用:厚生労働省「基本手当の現状について(p5)

参照元
厚生労働省
第133回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会資料 資料1 基本手当の現状について

給付制限期間

特定受給資格者は、雇用保険の基本手当給付における期間の制限がありません。そのため、待期が終了した翌日から基本手当の支給対象期間となります。
待期とはハローワークにおける求職の申込日から失業状態の日までを通算した7日間のことで、期間中は基本手当が支給されません。
一般の離職者の場合は、待機を終えたあと1カ月以上3カ月以内の期間で給付が制限されます。

特定受給資格者の待期や給付日数については「失業保険の待期期間とは?給付日数や支給額の上限」も参考にしてみてください。

特定受給資格者の国民健康保険軽減制度

特定受給資格者は、国民健康保険料(税)の軽減制度利用により、国民健康保険料を抑えられる場合があります。国民健康保険料軽減制度とは、雇用保険の特定受給資格者や特定理由離職者の保険料を軽減する制度のことで、平成22年4月1日より施行されました。

本来、国民健康保険料の算出に使われるのは前年の所得などです。しかし、特定受給資格者が軽減制度を利用した場合、前年の給与所得を100分の30とみなして計算されます。期間は、離職の翌日からその翌年度末までです。
※就職先の健康保険に加入するなどして国民健康保険を脱退すると、軽減対象ではなくなります。

国民健康保険料(税)の軽減を受けるためには申請が必要です。詳しくは、お住まいの市区町村における国民健康保険担当窓口でご相談ください。

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