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試用期間中にクビになる可能性はある?主な理由や前兆も解説
更新日
この記事のまとめ
- 試用期間は、会社側が応募者の適性を見極めるための期間
- 試用期間に「協調性に欠ける」「気に入らない」などの理由でクビになる可能性は低い
- 試用期間中にクビになる理由は、経歴詐称や業務命令違反など
- クビの理由に納得できないときは、会社の人事担当者や労働組合へ相談してみよう
- 試用期間中にクビになった場合、履歴書には「会社都合により退職」と記載する
「試用期間にクビになったらどうしよう」と不安を感じる方もいるでしょう。真面目に仕事をしていれば、基本的にクビになることはありません。ただし、明らかな業務命令違反や、度重なる勤怠不良がある場合は、試用期間であってもクビになる可能性があります。
このコラムでは、試用期間にクビになる理由や前兆、納得できないときの対処法を解説。焦らず対応できるよう知識を身につけておきましょう。
試用期間とは
試用期間とは、正社員として雇用することを前提に、入社後に仮採用として働く期間のこと。正社員だけでなく、アルバイトやパートといった非正規雇用であっても、試用期間を経てから本採用になる場合があるようです。
ただし、法的に実施が義務付けられているわけではないため、試用期間があるかどうかは企業によって異なります。
試用期間を設ける理由は適性やスキルを確認するため
企業が試用期間を設けるのは、応募者のポテンシャルや能力、性格などをチェックするためにあります。理由は、応募書類や面接だけでは、実際の業務対応スキルや人柄が自社にマッチしているかの判断が難しいからです。
問題がなければ、試用期間終了とともに本採用になります。「試用期間中だから」と気を緩めることなく、長期間働くことをイメージしながら業務に取り組みましょう。
一般的な試用期間の長さ
試用期間の長さは会社によって異なるものの、一般的には1〜6ヶ月程度が多いようです。場合によっては、途中で試用期間の延長を言い渡されることも。延長理由は、「本採用に必要なスキルが身についていない」「さらに詳しく適性をチェックしたい」などが考えられます。
試用期間の延長は、正当な理由なく会社側が一方的に行えるものではありません。試用期間の延長理由に納得がいかないときは、各都道府県にある総合労働相談コーナーに相談してみましょう。
厚生労働省の「総合労働相談コーナーのご案内」によると、総合労働相談コーナーでは職場のトラブルに関する相談や情報提供をワンストップで実施。採用や解雇など労働に関するあらゆる悩みに対し、専門の相談員が回答してくれます。
参照元
厚生労働省
雇用環境・均等
不当に長い試用期間は無効になる可能性がある
試用期間の長さを定める法律はありません。しかし、何度も期間を延長したり、長期に渡って本採用を履行しなかったりするのは、公序良俗に反するとされています。
試用期間は本採用を前提とした猶予期間なので、長くても6ヶ月~1年程度としている企業がほとんどです。おかしいと疑問に感じることがあったら、会社の人事や外部の窓口に相談してみましょう。
試用期間の給与・待遇
試用期間の給与と待遇は、本採用時と同じ場合と、やや差を設けている場合があり、会社によって異なります。ただし、試用期間であっても社会保険の加入要件は本採用時と同じです。
また、試用期間中の給与は最低賃金より低くなることも。これは、最低賃金法の「第七条」と最低賃金法施行規則の「第五条」によって、会社が都道府県労働局長の許可を受ければ、特例として最低賃金の最大で20%減額した給与の支払いが認められているためです。
減額の期間や試用期間中の待遇は、就業規則や労働契約書で確認できるので、一度目をとおしておきましょう。
試用期間中にクビになっても働いたぶんの給与はもらえる
試用期間中にクビになった場合も、働いたぶんの給与はもらえます。給与が支払われないと賃金未払いに当たるため、企業に請求することが可能です。
「試用期間中の賃金は支払わない」といわれた場合は、先述した総合労働相談コーナーや労働組合、労働基準監督署などに相談してみましょう。
労働組合や労働基準監督署についてはこのコラムの後半で解説しているため、ぜひ読み進めてみてください。
試用期間中にクビになる可能性はある?
重大な過失や企業利益の損失など、正当な理由があれば試用期間であってもクビになる可能性があります。ただし、会社と従業員の間には正式な労働契約が結ばれているため、客観的に見て「重大かつ合理的」と認められる理由がなければクビにはなりません。
以下では会社が試用期間の正社員を、容易にクビにできない理由を解説します。
労働者をクビにすることは容易ではない
一般的に、試用期間は「解約権留保付きの労働契約」とみなされます。解約権留保付労働契約とは、正社員として就労できる見込みがない従業員を解雇する権利は会社側にあるものの、「本採用と同様の労働契約を締結している」という意味です。
したがって、試用期間に労働者をクビにし、労働契約を解除するには、本採用後の解雇と同様に一定の条件を満たさなければなりません。
企業側が労働者を解雇するときの条件
労働基準法の「第二十条」によって、会社側が従業員を解雇する場合は、「少なくとも30日前に予告をしなければならない(解雇予告)」「予告をしない場合は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない(解雇予告手当)」と定められています。
そのため、基本的なルールやマナーを守り業務に従事していれば、警告や指導なく突然解雇されることはありません。
ただし、労働基準法の「第二十一条」によると、以下に該当する場合は、解雇予告や解雇予告手当の適用外です。
- ・日雇いで働く人
- ・2ヶ月以内の期間で働く人
- ・季節的業務を4ヶ月以内の期間で行う人
- ・試用期間中の人
試用期間として勤務開始から14日以上経過すると、解雇予告や解雇予告手当の義務が適用されます。逆にいうと、法的には試用期間開始から14日以内で解雇の条件を満たしていれば、従業員に解雇予告をしたり解雇予告手当を支払ったりせずクビにすることも可能です。
重大かつ合理的な理由があればクビになることもある
重大かつ合理的な理由であれば、試用期間かどうかに関わらず、会社をクビになる可能性があるでしょう。解雇の事由については、労働基準法の「第八十九条」によって、会社の就業規則への記載が義務付けられています。就業規則に記載のない理由でクビを言い渡された場合は、不当解雇を申し出ることも可能です。
どのような事例が「重大かつ合理的な理由」に該当するかは、次項で詳しく解説します。
参照元
e-Gov法令検索
労働基準法
試用期間中にクビになる主な5つの理由
企業が従業員をクビにできるのは、社会通念上認められる理由がある場合のみです。
ここでは、試用期間中にクビになる理由を5つご紹介します。「試用期間でクビになる人はどんな人?」と気になる方は、ぜひ参考にしてください。
試用期間中にクビになる主な理由
- 業務命令違反行為があったから
- 著しく能力が不足しているから
- 履歴書や職務経歴書に嘘が発覚したから
- 勤怠不良だから
- 傷病により就業が困難だから
1.業務命令違反行為があったから
試用期間中に機密情報や個人情報の持ち出しといった就業規則違反があった場合、業務命令に背いたとして会社は従業員をクビにできます。ほかにも、インサイダー取引や、クライアントからの不正なリベートの受領、ハラスメント行為などには注意が必要です。試用期間にクビにならないためにも、日ごろからコンプライアンスを意識しましょう。
2.著しく能力が不足しているから
労働契約の前提となる能力を保持しておらず、業務遂行に重大な支障が出ると判断されれば、試用期間にクビになることがあるでしょう。たとえば、「何度指導をしても改善が見られない」「職務能力不足で会社に甚大な損失を及ぼす可能性がある」といった場合は、試用期間にクビを言い渡される恐れがあります。
ただし、仕事が遅かったり、ミスがあったりするだけでクビになることはほとんどありません。また、仕事を割り振ってもらえなかったり、実行不可能なノルマを課せられたりして「能力不足」と一方的に判断された場合、不当解雇に該当することもあります。
企業は従業員に対して教育や指導、必要に応じて部署を移動するなどの措置をとったうえで、解雇以外に方法がないときに限りクビを言い渡せるのです。
業務に支障が出るほど協調性に欠けるとクビになる可能性もある
通常、協調性のなさを理由にクビになることはありません。しかし、反抗的な態度ばかりとっていたり、改善を促されても努力の姿勢が見られなかったりすると、業務に支障が出ると判断されクビになる可能性があるでしょう。
どの程度チームワークを重視するかは会社によって異なるものの、働くうえで一定程度の協調性が必要です。
3.履歴書や職務経歴書に嘘が発覚したから
嘘の学歴や職歴、保有資格を履歴書・職務経歴書に記載していることが発覚すると、経歴詐称でクビになる可能性があります。特に、職務経験や資格重視で採用を行っている企業の場合、虚偽申告によって大きな損害を受けるためクビになる確率が高まるでしょう。
たとえ試用期間にクビにならなかったとしても、周囲からの視線が厳しくなって会社に居づらくなったり、重い処分を受けたりする場合もあります。
4.勤怠不良だから
試用期間中に度重なる遅刻や早退、無断欠勤などがあった場合、勤怠不良を理由にクビになる可能性があるでしょう。試用期間であっても雇用契約を締結している以上、労働者には所定労働時間が定められています。これを履行しないことは、雇用契約違反に該当する可能性があるためです。
勤怠不良が原因の場合、解雇予告を受ける前に、人事や上司と面談の場が設けられる場合もあります。勤怠不良に正当な理由があれば申し出て、改善の意思を伝えましょう。
5.傷病により就業が困難だから
病気やケガを理由に、従業員をクビにする会社もあるようです。ただし、労働基準法の「第十九条」では、「業務上の病気やケガによる療養の場合、療養期間中およびその後30日間は解雇してはならない」と定められています。したがって試用期間に病気やケガをしても、休職し完治すれば業務に戻れるため過剰に心配する必要はありません。
なかには、完治までに長い時間を要する場合、復帰が見込めないとして会社側から退職を促されたり、クビをほのめかされたりする可能性も。休職後に復帰を希望する場合は人事や上司と面談し、よく話し合うことが大切です。病気やケガによる休職可能期間は企業によって異なるため、就業規則を確認しておきましょう。
試用期間にクビになる理由については、「トラブル回避!試用期間中の解雇条件」のコラムでも解説しているので、あわせてチェックしてみてください。
会社の経営不振によりリストラされる可能性もゼロではない
一般的に、会社が従業員をリストラ(整理解雇)する際は、「人員削減をする必要があるか」「解雇以外の方法で経営改善の努力はしたか」「リストラ対象者の人選に合理性はあるか」「解雇手続きに妥当性はあるか」の4つを満たす必要があるとされています。試用期間に急激な経営不振に陥り、従業員をリストラする場合であっても同様です。
会社の経営不振によって試用期間にリストラされる可能性はゼロではありません。しかし、上記の要件を満たしていないにも関わらずクビを言い渡された場合は、不当解雇として会社側に異議を申し立てることが可能です。
参照元
e-Gov法令検索
労働基準法
試用期間中のクビが不当と判断される場合もある
試用期間中にクビになった場合、解雇理由によっては「不当」と判断される可能性があります。ここでは、不当とされやすい理由について解説するので、参考にしてみてください。
適切な教育がされていなかった場合
試用期間中の研修や教育の機会が少なく、業務を遂行するための適切な教育が受けられなかったにも関わらず、能力不足でクビを言い渡されるのは、不当解雇に当たる可能性があります。具体的には、未経験と伝えたうえで採用されたにも関わらず「能力不足と言われた」「試用期間に適切な教育を受けられなかった」といった場合が挙げられるでしょう。
「著しく能力が不足しているから」で解説したように、会社が能力不足を理由に解雇できるのは、教育や部署異動といった対策を講じたうえで、解雇以外に解決策がないと判断される場合のみです。教育を怠ったのであれば正当な判断とみなされないため、不当解雇となる可能性があります。
成果や成績のみで能力不足と判断された場合
「ノルマが達成できなかった」「部署の目標に届かなかった」など、仕事の成果や成績のみによって能力不足と判断されてクビになった場合も、不当解雇に当たることがあるでしょう。仕事の成果は景気や同業他社の動向などさまざまな要素が複雑に絡み合って決まるため、一概に「労働者の実力不足」と断定することは難しいといえます。
また、目標に届かなかったのは、現実的ではないノルマ設定や業務の割り振りなど労働環境や働き方に理由があることも考えられるでしょう。人員管理やマネジメントも会社の役割の一つのため、仕事の結果だけを見て解雇するのは不当と判断されやすいようです。
試用期間中にクビになる前兆
試用期間にクビになる場合、前兆として周囲の行動に変化が起きることがあります。基本的には、警告や指導なくいきなり解雇されることはありません。状況を確認したり、改善を促されたりしても変化が見られない場合にクビを言い渡されるのが一般的です。
ここでは、解雇前の前兆として考えられることをご紹介するので、「試用期間にクビになるのが怖い」と不安な方は確認してみてください。
試用期間中にクビになる前兆
- 職場の人の態度が変わる
- 仕事内容や勤務態度への指摘がなくなる
- 自主退職を促される
職場の人の態度が変わる
上司や指導担当者の態度が急によそよそしくなったり、仕事を与えてもらえなくなったりしたときは、クビになる前兆の可能性があります。解雇が決定している場合、「本採用しない相手にこれ以上指導する必要はない」と思われていることがあるからです。
また、一概にはいえないものの、親しく話しかけてくれていた先輩や上司との会話が極端に減ったり、距離を置かれていると感じたりしたときも、解雇の前兆という可能性もあるでしょう。
仕事内容や勤務態度への指摘がなくなる
仕事ぶりや勤務態度への指摘・指導がなくなるのも、クビになる前兆の一つといえます。上司や先輩が新入社員を指導するのは、「一緒に働きたい」「成長してほしい」という気持ちがあるからです。入社したばかりであるにも関わらず何も指摘されなくなった場合は、自分の勤務態度を見直してみましょう。
自主退職を促される
会社は正当な理由がなければ従業員をクビにできないため、本採用が難しい人には自主退職を勧めることがあります。それとなく上司や人事から退職を促された場合、クビになる前兆といえるでしょう。
試用期間の正社員に自主退職を勧めることは稀ですが、「ほかの仕事のほうが向いている」「うちより働きやすい会社がある」などと言われたら、クビを警戒すべきです。
「会社をクビになる理由とは?解雇条件とクビの種類を確認しよう」では、不当解雇に該当するケースについて紹介しているので、あわせてご一読ください。
試用期間でクビにならずに本採用を目指すには?
本採用を目指すには社会人としてのマナーを守り、真面目に取り組みましょう。また、過度にクビを恐れ過ぎないことも重要です。意欲的に真摯な姿勢で業務に向き合っていれば、よっぽどのことがない限り試用期間でクビにはなりません。
以下で本採用を目指すためのポイントを解説するので、「本採用してもらえないのでは…」と不安な方は、参考にしてみてください。
試用期間でクビにならずに本採用を目指すには?
- 仕事に真面目に取り組む
- 「報告・連絡・相談」を徹底する
- アドバイスや注意を受けたら改善する姿勢を示す
- 社会人としてのマナーやルールを守る
- クビを恐れ過ぎない
仕事に真面目に取り組む
試用期間中に限った話ではありませんが、仕事は真面目に取り組むことが重要です。与えられた仕事は最後まで責任を持って取り組み、手が空いたら「何かお手伝いできることはありませんか?」と積極的に質問しましょう。
新卒・中途採用を問わず、入社後すぐの新人にほかの従業員のような働きを求める上司や先輩はいません。最初から仕事を完璧にこなそうとするのではなく、コツコツと努力を積み、着実に力をつけましょう。
「報告・連絡・相談」を徹底する
業務中は、「報告・連絡・相談」を意識しましょう。分からないことは臆さず質問・相談し、ミスをしたらすぐに報告することが大切です。独自の方法で仕事を進めたり、ミスを隠したりするのは好ましくありません。あとで大きな問題に発展する可能性があるので、すぐにほかの従業員や上司に相談しましょう。
仕事で好評価を得やすい人の特徴は、「会社で評価される人が持っている特徴とは?」でご紹介しているので、「試用期間中に評価を得たい」と感じている方は、ぜひチェックしてみてください。
アドバイスや注意を受けたら改善する姿勢を示す
先輩社員や上司から仕事のアドバイスや注意を受けたら、真摯に受け入れすぐに改善する努力をしましょう。最初は上手く仕事ができなくても、「言われたことを守ろう」「改善できるように挑戦しよう」という姿勢が見えると、前向きな評価につながるものです。
反対に、何度注意を受けても改善の兆しが見えなかったり、アドバイスに否定的な言葉で返したりすると、勤務態度を問題視されてしまうことも。社会人として適切ではない言動や振る舞いが目立つと、会社に不利益が生じると判断され試用期間中にクビになってしまう恐れがあるでしょう。
社会人としてのマナーやルールを守る
仕事をするうえでは、社会人としてのマナーやルールを守ることが大切です。
ルールといっても難しいことはなく、「挨拶をきちんとする」「無断で遅刻・欠勤をしない」「会社の機密情報は外に漏らさない」といった基本的な部分を守れていれば問題ありません。ルールやマナーが守れていると、「きちんとしている」と好印象を与えられるでしょう。
一方、威圧的で協調性のない態度や無断欠勤を繰り返すと、業務への悪影響を懸念されクビを言い渡されてしまう恐れも。また、会社の備品や情報の取り扱いには注意が必要です。備品を持ち帰って個人的に利用したり外部に情報を漏らしたりすると、最悪の場合懲戒処分が下ったり罪に問われたりする可能性があります。
クビを恐れ過ぎない
本採用を目指すなら、前向きな気持ちで仕事に取り組みましょう。試用期間中、過度にクビを恐れると本来の力を発揮できず、思うような評価を得られなくなる可能性もあります。
ミスを指摘されたり指導を受けたりした程度で、クビになることはありません。過度に恐れ過ぎず、自分ができることを精一杯やることを意識しましょう。
試用期間中のクビに納得がいかない場合の対処法
試用期間にクビを言い渡されたら、会社へ「解雇理由証明書」の発行を依頼しましょう。解雇理由証明書を入手したら、自身の勤務状況や態度などを記載内容と照らし合わせ、納得できる内容かどうかをチェックします。
「解雇理由を教えてもらえない」「内容に心当たりがない」など、クビの理由に納得できない場合は、以下で紹介する方法を試してみましょう。
試用期間中のクビに納得がいかない場合の対処法
- 会社に解雇理由証明書を発行してもらう
- 会社と話し合う
- 労働組合に意見を聞く
- 労働基準監督署に相談する
- 労働審判手続を行う
1.会社に解雇理由証明書を発行してもらう
解雇理由証明書とは、解雇の理由が記載されている書類のことです。労働基準法の「第二十二条」によって、従業員から発行を依頼された場合、会社は速やかに作成しなければならないと定められています。
ただし、解雇理由証明書は、従業員から請求された場合にのみ発行が義務付けられているため、自分で会社に申し出ない限り入手することはできません。第三者機関へ相談する際も証拠として提示できるので、試用期間のクビに納得できない場合は解雇理由証明書の発行をおすすめします。
参照元
e-Gov法令検索
労働基準法
2.会社と話し合う
解雇理由が不明瞭だと感じたり納得がいかなかったりする場合は、上司や人事と話し合うのも一つの方法です。話し合いの結果、納得する説明を受けられたり、思わぬ行動が就業規則に反していたりと、解雇理由が明確になることもあります。
上司や人事との話し合いは、冷静な態度と客観的な意見を心掛けて臨みましょう。感情的になると、伝えたいことを思うように言葉にできず、余計に話がこじれる恐れがあります。
また、シフト表やタイムカードなど、自身の勤怠を証明できるものがあれば事前に用意しておくのがおすすめです。
話し合いの内容を録音しておくと役立つこともある
試用期間の解雇に納得がいかず上司や人事担当者と話し合いをする際は、会話を録音しておくと役立つこともあります。やりとりを残しておくと、解雇が妥当かどうかを第三者に判断してもらうときに、証拠として示せるためです。
会社側の主張が事実と異なる場合や、合理的な理由なくクビを言い渡される場合もあるので、準備しておくと良いでしょう。
3.労働組合に意見を聞く
会社と話し合ってもクビが撤回されず不当な判断だと感じるときは、労働組合に相談してみましょう。労働組合は、労働者が団結し、賃金や労働時間など労働条件の改善を図ることを目的とした団体です。従業員の悩みを聞いたうえで会社と交渉を行ってくれます。状況によっては、クビの撤回を会社に要求してくれることもあるようです。
厚生労働省の「労働組合」によると、2020年6月末時点で日本の労働組合の数は約2万4,000組合あります。
ただし、すべての会社に労働組合が存在するわけではありません。自分の会社に労働組合があるのか、試用期間のクビに関する相談を受け付けているのかは、事前に確認しておきましょう。
労働組合に関しては、「労働組合とは何?会社での存在意義や加入方法を分かりやすく解説」でご紹介しています。
参照元
厚生労働省
労使関係
4.労働基準監督署に相談する
上司や人事担当者、労働組合と話しても解決できなかった場合は、労働基準監督署に相談するという手段もあります。
労働基準監督署とは、会社が違反行為をしていないかをチェックしたり、必要に応じて指導を行ったりする公的な機関です。労働基準監督署および総合労働相談コーナーは、全国各地にあります。所在地は、厚生労働省の「全国労働基準監督署の所在案内」でご確認ください。
ただし、労働基準監督署は会社の違法行為があれば積極的に介入してくれるものの、試用期間のクビは民事トラブルと判断されることが多く、相談しても良い結果を得られない可能性があります。そのため、労働基準監督署に相談するのは最終手段と考えましょう。
試用期間中のクビに関するトラブル対処法については、「試用期間に解雇されたら理由を確認!会社側の手続き内容や対処法も解説」に記載があるのでご覧ください。
ハタラクティブ在籍アドバイザーから解雇に納得がいかない場合のアドバイス
試用期間にクビとなってしまった場合、自身の権利や手続き方法は、企業あるいは解雇に至った理由によって異なるため、専門窓口へ相談することをおすすめします。
離職の手続きが完了すれば次の仕事に就けるので、手続きを進めながら就職・転職活動を行うことも可能です。解雇となってしまった理由は人それぞれ。解雇理由や自分自身の適性などを確認し、あなたの希望に合う労働環境や仕事内容の職場を探しましょう。
「一人では不安…」という場合は、若年層に特化した就職・転職エージェントのハタラクティブにご相談くださいね。
ハタラクティブキャリアアドバイザー後藤祐介からのアドバイス
参照元
厚生労働省
労働基準分野のトピックス
5.労働審判手続を行う
試用期間のクビを不当解雇だと感じた場合は、裁判所で労働審判手続を行うことも可能です。裁判所の「労働審判手続」によると、労働審判手続とは「解雇や給料の不払など労働者と事業主の間に起きたトラブルを迅速、適正かつ実効的に解決するための手続き」を指します。
審判と聞くと長期のイメージを持つ方もいるかもしれませんが、労働審判手続は原則3回以内の期日で終了するため迅速な解決が期待できるでしょう。労働審判手続を行う際は、証拠や自分の主張をまとめたうえで地方裁判所へ申立書を提出します。
ただし、当事者(会社側)は異議申し立てが可能なため、労働者の主張に納得がいかないと会社側が判断すれば争うことになるでしょう。「労働審判を行えばクビが撤回される」というわけではないので注意が必要です。
参照元
裁判所
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弁護士に相談するのも選択肢の一つ
クビの理由にどうしても納得できない場合は、弁護士に相談するのも選択肢の一つです。不当解雇の問題解決を得意とする弁護士に相談すれば、クビを撤回してもらえる可能性があるでしょう。弁護士を頼る際は、解雇理由証明書や会社との話し合いの音声データを持っていくとスムーズです。
ただし、弁護士への相談は費用と時間が掛かるため、よく考えてから依頼しましょう。
試用期間でクビになったあとの転職はどうしたら良い?
試用期間でクビになった際は、今後のためにも解雇の理由を聞いておくのがおすすめです。クビになった理由が分からないまま転職すると、同じ過ちを繰り返してしまう恐れがあります。まずは、解雇となった理由を明確にして反省点を次に活かしましょう。
ここでは、試用期間でクビになったあとの転職活動について解説します。
履歴書に「会社都合により退職」と書く
試用期間にクビになり転職活動を行う場合は、履歴書に「会社都合により退職」と記載します。解雇は、会社側が従業員に下す命令です。リストラや倒産と同じく、企業側から従業員に辞めるよう指示しているため、「一身上の都合」と記載しないように注意しましょう。詳しい退職理由の説明は、履歴書に記載しなくても構いません。
退職勧奨の場合は履歴書にどう書く?
会社が従業員に退職を促す「退職勧奨」も基本的には会社都合退職となるため、履歴書には「会社都合により退職」と記載します。
会社都合退職になる場合や、履歴書の書き方について詳しく知りたい方は、「会社都合退職の履歴書の書き方とは?状況別の記載方法や注意点も紹介」のコラムをご覧ください。
面接では反省を踏まえて前向きに取り組む姿勢を示そう
退職理由については転職活動時に面接で質問される可能性が高いので、反省を踏まえた前向きな姿勢や考えが伝わる回答を準備しておきましょう。前職の愚痴や悪口、言い訳ばかりだと、面接官の評価を得られません。「力不足を実感し悔しい思いをしたが、反省を活かし御社ではコミュニケーションを意識して仕事に取り組みたい」というように、入社後を見据えた回答がおすすめです。
解雇された経歴を隠した場合、経歴詐称の罪に問われることもあります。試用期間中にクビになった経緯を事細かに説明する必要はないものの、事実を偽らず素直に受け答えすることを意識しましょう。
すぐに転職しない場合は失業保険の要件を確認する
試用期間中にクビになったあと、すぐに転職しない場合は失業保険を受給できる可能性があります。退職後は早めに失業保険の要件を確認し、要件を満たしている場合はできるだけ早くハローワークで手続きを行いましょう。
ただし、ハローワークインターネットサービスの「基本手当について」によると、「自己都合退職なら離職日以前の2年間に通算12ヶ月以上」「会社都合退職なら離職日以前の1年間に通算6ヶ月以上」の被保険者期間があることが条件の一つです。
2年以内(会社都合なら1年以内)であれば前々職までの被保険者期間も合算できるものの、試用期間は長くても6ヶ月ほどのことが多いため、場合によってはもらえない可能性があるでしょう。
失業保険の給付期間や手続きについては「失業保険の受給資格とは?給付期間や金額、手続きの方法を解説」のコラムで解説しているので、参考にしてみてください。
参照元
ハローワークインターネットサービス
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【アンケート調査】就職活動・転職活動を始めるときの不安度は?
ハタラクティブの働き方やキャリアに関する調査「若者しごと白書2024 3-10. 就職活動・転職活動を始めるときの不安度」によると、63.1%の正社員が「自分の経歴で就職/転職できる仕事があるか不安」と回答。「就職/転職の相談、サポートしてくれる人がおらず不安」と答えた正社員も52.6%にのぼりました。
また、選考中においても、正社員の63.9%が「事前の面接対策が不安」、60.6%が「履歴書の書き方や面接時のマナーが不安」と回答。多くの正社員が不安を感じながら就職・転職していることが分かります。
参照元
ハタラクティブ
若者しごと白書2024
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試用期間中にクビにならないか不安な方に向けたQ&A
試用期間にクビになることはあるのか不安な方へ、よくあるお悩みをQ&A方式で解決します。
よっぽど問題がなければ試用期間でクビにならない?
真面目に働いていれば試用期間でクビになる心配はありません。
心当たりがないにも関わらず本採用へ進めずクビを言い渡されたときは、不当解雇の可能性があります。「会社をクビになった場合とその種類について」では、クビになる理由と対処法を紹介しているので、参考にご覧ください。
試用期間にクビになる原因は?
業務上の違反行為や勤怠不良などが挙げられます。
会社は正当な理由がなければ従業員をクビにできないため、「ミスをする」「仕事が遅い」といった内容で解雇される可能性は低いでしょう。試用期間にクビになる原因は、このコラムの「試用期間中にクビになる主な5つの理由」をご一読ください。
試用期間でクビになった…納得できないが諦めるしかない?
クビになった理由にどうしても納得できない場合は、会社との話し合いの機会を設けるのがおすすめです。
冷静に話し合いをすることで、納得できる理由を説明してもらえたり、自分の反省点が見えてきたりすることも。話し合いのうえで「不当解雇では」と感じたら、労働組合や労働基準監督署への相談を検討しましょう。詳しくは、このコラムの「試用期間中のクビに納得がいかない場合の対処法」で解説しています。
試用期間にクビになったら履歴書に書かないとダメ?
履歴書には正しい職歴を記載しましょう。
嘘が判明した際、経歴詐称として内定取り消しや懲戒解雇などの処分を受ける可能性があります。クビになった場合の履歴書の書き方は、「試用期間中に解雇されることはある?正当な理由や不当に感じたときの相談先」をチェックしてみてください。
試用期間でクビになったあとの転職は難しい?
対策次第で再就職は可能です。一人での就活やクビになった理由の説明が難しいという場合は、第三者に頼るのも手。
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一人ひとりの経験、スキル、能力などの違いを理解した上でサポートすることを心がけています!
京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。