アパレル業界の仕事

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アパレル業界とは

アパレル業界とは、既製服の生産・卸・販売を行う産業をいいます。もともとは、衣料品を製造するアパレルメーカーと、小売店に卸す卸売業がアパレル産業と呼ばれていました。現在はメーカーが小売も行ったり商社も洋服を作ったりするようになったため、衣料品関連の産業をアパレル業界としています。

アパレル業界の変遷

「アパレル」とは、既製品を意味します。戦後の日本では洋服を家庭で作るのが一般的で、アパレル産業は確立されていませんでした。1960年代〜1970年代が日本のアパレル産業の形成期と呼ばれ、アパレルメーカーが台頭した時期といわれています。
その後、高度経済成長期になると、アメリカンカジュアルの流行やジーンズの普及によって、若者を中心にアメリカンテイストのファッションが広がりました。アパレルブランドやアパレル専門店が増加し、アパレル産業が一気に発展したといわれています。

1980年代には、日本のアパレル企業が海外展開を始め、グローバル化が進みました。また、カジュアルウェアからビジネスウェアへと需要が移り、ビジネススーツなどの需要が増加。1990年代に入ると、欧米や中国からの輸入が増え始めます。欧米からは高級ブランドが参入し、中国やアジア諸国からは低価格のアパレル商品が入ってくるようになったのです。
その流れは2000年代に入っても続き、ファストファッションの確立へとつながります。

代表的な仕事

アパレル業界の代表的な仕事は、「企画」「製造」「卸」「小売」です。さらに、小売店の運営を代行する「販売代行」や、Webサイトで衣料品を販売する「ファッション系ECサイト」もあります。

小売

メーカーや商社から商品を仕入れて販売するのが「小売」です。ブランドの専門店やセレクトショップ、百貨店やファッションビルなどがあります。
販売員が消費者に商品を薦めたり、コーディネートを提案したりして、洋服の魅力を直接伝えるのが特徴です。

製造

商品を企画・製造し、小売店に卸すのが製造(アパレルメーカー)です。自社工場を持つメーカーは少なく、縫製は外部に委託するのが一般的。また、メーカーでありながら、自社ブランドのショップを出すアパレルメーカーもあります。消費者の声を自社ブランドに効率的に反映させたいとの考えから、小売りまで手掛けるアパレルメーカーが増えつつあるようです。

SPA(製造小売業)

SPAとは、企画から製造、販売まで全てを一貫して行うビジネスモデルのことを指します。
SPAの特徴は、顧客ニーズに素早く対応できること。製造から販売を行うことで、SCM(サプライチェーン・マネジメント)の無駄を省くことができ、効率的に顧客へ商品を届けることが可能です。
マーケティング効果があることから、アパレル業界では、SPAの考えを持つ企業が増加している傾向にあります。

販売代行

大元のメーカーから店舗を委托され、運営を行っている企業のことを指します。
アパレル業界の店舗運営に関して密に関わる販売代行は、販売スタッフの採用や教育、管理などを外部会社が行うというビジネスシステムです。
メーカーはテナントや商品の準備、供給を行い、店舗運営の全般は外部会社が行います。販売代行には、労務コスト削減や雇用リスクの回避というメリットがあります。
販売代行の報酬額は地域や集客条件、環境などで異なりますが、およそ売上額の10~20%程となっているようです。

ファッション系ECサイト

Webサイトで衣料品を販売するのが、ファッション系ECサイトです。アパレルメーカーが運営するサイトや、多種多様なブランドの商品を販売するプラットフォームとしてのECサイトもあります。
経済産業省の「令和3年度 電子商取引に関する市場調査(63p)」によると、ファッション系ECサイトの売上は伸びつつあり、在宅時間が増えた影響からその動向は加速するとの予想です。
アパレル業界におけるECビジネスの拡大については、「アパレル業界の現状と課題」の項で詳しく解説します。

参照元
経済産業省
電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました(報告書)

アパレル業界に関連する業界

アパレル業界に関連があるのは、ブランドの宣伝をする広告業界や、ファッション誌を発行する出版業界などです。また、繊維事業部を持つ商社もアパレル業界と関連があります。
ここでは、アパレル業界と関連のある主な業界を解説しますので、就職先の選択肢として検討してみてください。

広告業界

広告業界では、ブランドのビジュアル広告を作ったり、広告の運用をしたりする仕事があります。大手の広告会社なら有名ブランドのイベントを手掛ける機会もあるでしょう。「ファッションが好き」「おしゃれが楽しい」という人にとっては、センスを活かした仕事ができる点も魅力なようです。大手の子会社には、ファッション専門の広告代理店もあります。

出版業界

ファッション誌を発刊している出版業界も、アパレル業界と関連があります。好きなブランドやモデルを活かして誌面を作るのは、ファッションが好きな人にはやりがいとなるでしょう。
ただし、出版社に就職しても、ファッション誌に携われる保証はありません。希望の部署に配属されるまで、数年かかる可能性もあることを念頭に置きましょう。出版業界について詳しくは「出版業界の仕事」のコラムをご覧ください。

商社

アパレル部門や繊維事業部がある総合商社、アパレル専門の商社など、商社とアパレル業界も関連が深いです。商社では、海外から素材を輸入してアパレルメーカーに卸したり、海外ブランドのライセンスを取得したりといった仕事をしています。
商社は大卒以上を応募条件とする企業が多く、さらに語学力が求められるケースもあるようです。

上記のほか、広義では化粧品業界もファッションとの関連が強く、アパレル業界に関連する業界といえます。化粧品業界については「化粧品業界の仕事」のコラムで詳しく紹介していますので、こちらも併せてご覧ください。

アパレル業界に必要な資格やスキル

アパレル業界は、資格がなくても就職は可能です。しかし、資格は知識・スキルの客観的指標となるので、就職や転職で有利に働く場合もあります。また、資格取得によって得た知識は、実務にも役立つでしょう。
ここでは、アパレル業界で役立つ6つの資格を紹介します。

販売士(リテールマーケティング)検定

日本商工会議所が実施している試験で、流通・小売りの知識が身につくほか、売り場づくりや接客などの知識・技術も身につきます。3級・2級・1級があり、2級は管理職レベル、1級は経営者レベルです。アパレル業界では資格取得を条件にしている企業もあるといわれているので、キャリアアップにも役立つでしょう。5年に1度、更新手続きが必要になります。

ファッション販売能力検定

一般財団法人日本ファッション教育振興協会が実施しており、ファッション販売に特化した試験です。販売知識や接客技術のほか、マーケティングやVMD(ビジュアルマーチャンダイザー)に関する問題も。3級・2級・1級があり、1級は管理職育成を目的として、マネジメントやブランディングの知識を習得できる内容となっています。

ファッションビジネス能力検定

一般財団法人日本ファッション教育振興協会が実施している、ファッションビジネスの知識がどれだけあるかを判定する試験です。3級・2級では、商品企画、流通、生産などの内容が対象。上位資格である1級は、ファッション産業全般の知識や、各種戦略、事業計画といった高度な内容が出題されます。

繊維製品品質管理士(TES)

一般社団法人日本衣料管理協会が主催している資格です。この試験は、繊維に関する知識を持つスペシャリストを育て、消費者に一定の品質を保障できるようにするために設けられました。アパレル業界では、商品企画・営業・品質管理・生産管理を担当する人に受験者が多いようです。糸・布地の種類や性質なども出題されるので、デザイナーを目指す人にも向いています。

ファッション色彩能力検定

一般財団法人日本ファッション教育振興協会が実施している試験です。3級・2級・1級があり、3級ではファッションにおける色彩の役割や、配色の基礎などを学びます。1級の試験では、図版や写真を見て色彩計画を提案する実技試験もあるようです。商品や店舗の色彩計画について学べるので、アパレル業界で商品企画やディスプレイ、デザインの仕事を目指す際に役立つでしょう。

パターンメーキング技術検定

パターンメーキングとは、デザイン画を型紙におこすことをいいます。パターンメーキング技術検定では、3級・2級・1級のいずれも実技試験があり、ブラウスやジャケットのパターンを実際に作れることが必須です。2級ではCADや縫製仕様書の知識も必要となり、さらに1級はデザイン画を見て工業用パターンを完成させなければなりません。3級の試験でもある程度の専門知識が必要なため、専門学校で学んだ人や、キャリアアップを目指したい人におすすめです。

アパレル業界でよく聞く専門用語

アパレル業界には、以下のような専門用語があります。就職前に覚えておくと、仕事をスムーズに覚えるのに役立つでしょう。また、面接で専門用語が出てくる可能性もあるため、覚えておくと安心です。
 

用語説明
M&A(エムアンドエー)M&Aとは、Mergers(合併)and Acquisitions(買収)の略です。アパレル業界では、ECサイトを拡大するためにアパレル企業がEC企業を買収するといった動きがあります。
OEMOEMとは、「Original Equipment Manufacturing」の略で、他社ブランドの製品を生産すること、または企業をいいます。本社は国内にあり、縫製工場は海外に持つという企業も多いようです。
アスレジャーファッションアスレジャーは、アスレチックとレジャーを組み合わせた言葉で、スポーツウェアをおしゃれとして取り入れたファッションのことです。
たとえば、スポーツサンダルやヨガウェアを取り入れたスタイルがあります。
ノームコアファッションノームコアとは、ノーマルとハードコアを組み合わせた言葉です。シンプルでありながら、こだわりを持ったファッションを指します。
モノトーンやグレーといった色や、定番といわれるブランド・商品を取り入れるのがノームコアのスタイルです。
コングロマリット異業種同士の合併・買収をコングロマリットといいます。アパレル業界でも大規模なコングロマリットがあり、「3大コングロマリット」と呼ばれているようです。
コンペティター競合他社や競争相手という意味で、アパレル業界ではターゲットやテイストが似ているメーカーやブランドを指します。

アパレル業界の具体的な職種

アパレル業界にはデザイナーやバイヤー、営業やショップスタッフなど、さまざまな職種があります。志望する職種によって、就職のしやすさや求められるスキルが異なるため、自分に合ったファーストキャリアを選ぶのが重要です。

デザイナー・パタンナー

アパレル業界のデザイナーは、商品企画や縫製仕様書作成、納期管理などを行います。センスやデザイン力が求められるだけでなく、予算管理やスケジュール管理、コミュニケーション能力も必要とされる仕事です。また、素材や縫製に関する知識も必要でしょう。
パタンナーはデザイナーが作成したデザイン画を実際に形にするのが仕事です。工場に指示を出してサンプルを作ってもらい、デザイナーの意図に合っているかチェックします。専門知識はもちろん、デザイン画を読み取る能力も必要です。

MD(マーチャンダイザー)

MDは、マーケットやトレンド分析、売上分析や予算管理などを行います。商品企画や販売計画に顧客ニーズを反映させる、重要な役割です。企業の売上に大きく関わる職種といっても過言ではありません。分析力や語学力、ファッションに関する深い知識が求められるでしょう。

バイヤー

MDが立てた企画・計画に沿って、生産元から商品を買い付けるのがバイヤーです。売れる商品を見極めるため、トレンドを把握し、見る目を養う必要があります。
商品の購入が決まった後は、金額設定や販売スタッフへ商品説明を行うのもバイヤーの役割。海外への買い付けを行うこともあるため、企業によっては英語力があると有利です。

生産管理

納期までに商品を完成させるため、工場の進捗管理を行います。また、品質管理や原価交渉も品質管理の役割です。アパレル業界の生産管理は縫製工場とのやり取りが多いため、コミュニケーション能力が求められます。また、納期を守るためのスケジュール管理能力や正確性なども必要です。

広報

アパレル会社やブランドの顔として、商品の宣伝やブランディングを行うのが広報です。取材応対や撮影の立ち合い、商品のリースなどを担当し、メディア担当者とつながりを作ります。広報担当者がブランディングの一貫でもあるため、おしゃれに興味があり、センスの良い人が向いているでしょう。広報のやりがいや年収については、「広報の仕事」のコラムで詳しく紹介していますので、参考にしてみてください。

営業

百貨店やセレクトショップに自社の商品を売り込んだり、自社のショップのコンセプトを考えたりするのがアパレル業界の営業です。主にアパレルメーカーや専門商社で活躍しており、MDや小売部門と連携して仕事をすることもあります。

VMD(ビジュアルマーチャンダイザー)

店舗のディスプレイやレイアウトを担当するのがVMDです。シーズンごとのコンセプトやブランドのイメージに沿って、売り場を作り込みます。また、ショップスタッフに売り場の作り方を指南することも。レイアウトによって売上が変わる場合もあるので、VMDの知識とセンスが必要です。

ショップスタッフ(販売員)

接客を中心に、商品検品や返品作業、顧客管理などを行います。アパレル業界のなかではお客さまに近い重要な役割です。ブランドのコンセプトや意図をしっかりと理解し、それを発信する第一人者として活躍します。
接客業とは?どんな職種がある?必要なスキルや志望動機の書き方も解説」のコラムでは、接客の仕事で身につくスキルを紹介していますので、こちらも併せてご覧ください。

SV(スーパーバイザー)

複数の店舗を統括する責任者として、本社と店舗の橋渡し役を担います。エリアごとにSVを配置する企業も多く、エリアマネージャーと呼ばれる場合もあるでしょう。店舗ごとの特徴や、ショップスタッフの能力などを把握し、人員配置や育成について考える場合もあります。マネジメント能力が必要となる仕事です。

EC(イーコマース)

オンラインショッピングのサイト運営、商品管理、受注・発送、コンテンツデザインなどを担当します。PCスキルはもちろん、担当する仕事によってはWebデザインやデジタルマーケティングの知識も必要です。アパレル業界のなかでは、今後の需要が増える職種と考えられます。

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アパレル業界の現状と課題

アパレル業界は国内市場が縮小傾向にあり、現状は厳しい側面があります。しかし、ECサイトの需要が伸びている動向から、IT技術を駆使すれば改善の余地はあるとの見方も。ここでは、市場規模や課題を含め、アパレル業界の現状について解説します。

アパレル業界の市場規模

経済産業省の「2030年に向けた繊維産業の展望(4p)」によると、2021年の繊維産業の市場規模は8.6兆円でした。新型コロナウイルス感染症の流行前である2019年は11兆円でしたが、2020年に8.6兆円に落ち込み、2021年も引き続き停滞している状況です。
輸出額においては、衣料品は405億円前後でほぼ横ばいが続いているものの、生地は減少傾向にあります。生地の輸出額は2018年には3,000憶円を超えていたのが、2020年には2,279憶円まで落ち込みました。また、繊維工業の事業所数も減少しており、後継者不足の現状が垣間見えます。

参照元
経済産業省
「2030年に向けた繊維産業の展望(繊維ビジョン)」をとりまとめました_3.とりまとめについて-2.(概要資料)

アパレル業界の現状

前述の通り、アパレル業界の市場規模は減少傾向にあり、現状は厳しいといえます。しかし、海外でアパレル業界の収益が伸びていることや、国内でもファッション系ECサイトのニーズ増加の動向から、改善の見込みはあると考えられるでしょう。

衣料品への支出金額は年々減少している

総務省統計局の「家計調査(家計収支編) 3.時系列データ(総世帯・単身世帯)」によると、消費者の衣料品に関する支出額は減少傾向にあると分かります。
主な衣料品の年間の平均支出金額について、2019〜2022年の推移を以下にまとめました。

 2019年2020年2021年2022年
男子用洋服1万5,136円1万4,634円1万1,413円1万1,398円
婦人用洋服2万7,001円2万1,204円2万411円2万1,278円
子供用洋服5,073円4,532円3,926円3,838円
シャツ・セーター類2万2,992円1万8,317円1万8,177円1万9,503円
下着類1万229円9,001円9,672円8,691円
履物類1万5,662円1万2,505円1万2,323円1万3,085円

引用:総務省統計局「家計調査(家計収支編) 総世帯 支出金額

調査した年によって微増のものもありますが、2015年に比べると全体的に減りつつあります。2020年以降の減少は新型コロナウイルス感染症の影響もあると考えられるものの、それ以前から減り続けているのは、一時的な要因だけではないといえるでしょう。

参照元
総務省統計局
家計調査

ECサイトの市場規模は拡大傾向

アパレル業界の市場規模が縮小傾向にあるなか、ファッション系ECサイトの市場は拡大しています。経済産業省の「令和3年度電子商取引に関する市場調査」によると、BtoC-EC(いわゆるオンラインショッピングサイト)の市場規模は右肩上がりに伸びており、そのなかでも物販系分野は高い伸び率です。

経済産業省「令和3年度 電子商取引に関する市場調査 報告書(7p)」の画像

 

引用:経済産業省「令和3年度 電子商取引に関する市場調査 報告書(7p)

物販系分野のなかで「衣類・服飾雑貨等」の市場規模は2兆4,279億円で、2021年に比べて9.35%増加しています。
かねてからECサイトの市場は拡大しつつあったようですが、新型コロナウイルス感染症の流行がさらに拡大を後押しした形となりました。
実店舗とECサイトのそれぞれの良さを活かし、販売戦略や接客方法をどう使い分けるかが今後の争点になるでしょう。

参照元
経済産業省
ニュースリリースアーカイブ 2022年度 8月一覧

アパレル業界の課題

アパレル業界では、国内の人口減少や消費者ニーズの多様化の影響を受け、課題は山積しているようです。ここでは、経済産業省の「2030年に向けた繊維産業の展望」をもとに、アパレル業界の主な課題を解説します。

国内市場は縮小が進むと予想される

日本は人口が減少しているため、アパレル業界の国内市場は縮小が進むと考えられます。さらに、低価格・高品質なファストファッションが人気を高めているという動向も、市場規模の縮小に影響しているようです。そのため、海外事業をいかに展開するかが課題となっています。

人手不足が進んでいる

人口減少による人手不足・後継者不足もアパレル業界の課題の一つです。紡績・織物・縫製において、日本の品質や技術は高いといわれています。しかし、技術を引き継ぐ人材の不足が進むと、新しい技術の開発や海外市場への事業展開に影響が出てしまうでしょう。分野を超えた新しいビジネスモデルを構築し、さらなる発展を目指せるかどうかが課題といえます。

ニーズの多様化

低価格商品が人気を集めている一方で、サステナビリティに配慮した商品は高額でも売れるなど、消費者のニーズは多様化しています。また、フリマアプリやハンドメイド通販を利用した個人間の取り引きが増え、消費行動も多様化しているでしょう。
このような動向から、大規模な市場を一つ作るよりも、小規模な市場を多数作ることが、アパレル業界の今後の課題と考えられています。

個々のニーズに応える新事業が生まれつつある

アパレル業界ではスタートアップ企業を中心に、多様化するニーズに応える事業が生まれつつあります。たとえば、消費者の要望に合わせて縫製工場を都度選択し、オーダーメイドが簡単にできるシステム。これは、多種多様な工場の情報をクラウド上にデータベース化したことで実現しています。また、消費者が自分で柄を選び、アプリで簡単にオーダーできるサービスなど、IT技術を活用した新しいサービスが出始めているようです。

参照元
経済産業省
「2030年に向けた繊維産業の展望(繊維ビジョン)」をとりまとめました_3.とりまとめについて-2.(概要資料)

アパレル業界の将来性

アパレル業界の厳しい状況を打破するためには、IT技術の促進や海外展開に向けて、改革が必要といえるでしょう。しかし、改革がうまく進めば、新しいビジネスチャンスの可能性は広がっているとも考えられます。ここでは、経済産業省の「2030年に向けた繊維産業の展望」をもとに、アパレル業界の将来性を考察します。

アパレル業界の今後の動向

アパレル業界の今後の動向は、「デジタル化」「海外事業の展開」「サステナビリティ」がポイントといえるでしょう。ここでは前述の課題を踏まえ、アパレル業界の動向について考察します。

デジタル技術の活用が進む見込み

ファッション系ECサイトの市場拡大が進むなか、「サイズが合うか分からない」「質感が確かめられない」といった声があるのも事実です。そのため、今後は仮想空間での試着や、メタバースでのイベント開催といった、デジタル技術の活用が進むと見込まれます。ショップにはないサービスをECサイトで提供できれば、店舗とECサイトの併用で相乗効果が期待できるでしょう。

海外事業の展開が必須

アパレル業界の国内市場を拡大するのは難しいため、海外事業の展開は必須です。日本の人口が減っているのとは反対に、世界的には人口爆発といわれており、欧米や東南アジアの市場は今後も拡大する可能性が高いといえます。
前述の通り、日本の素材品質は高い評価を得ているので、海外事業における展開の仕組みや販路を作り、市場を開拓する必要があるでしょう。

サステナビリティへの取り組みが求められる

アパレル業界は、シーズンごとに新しい商品を発売し、セールで売れ残ったら廃棄するというビジネスモデルを続けてきました。しかし、昨今はリサイクル・リユースに注目が集まっており、アパレル業界にも厳しい目が向けられています。特に欧米では、繊維製品における生産工程がチェックされるようになっており、日本のアパレル業界も環境配慮への取り組みは避けられないでしょう。

サプライチェーンの改革が進む

サプライチェーンとは、素材から消費者の手に届くまでの流れを指します。アパレルにおいては、素材を調達して製品化し、物流を介してショップに商品が並ぶまでのことです。そのため、自社だけでなく素材メーカーや縫製工場、物流会社や小売業者など、多種多様な企業を含めた全体の流れを捉える必要があります。
サプライチェーンを通して、在庫管理や作業の効率化を図るのがSCM(サプライチェーン・マネジメント)です。
アパレル業界では企業の垣根を超えて売上・在庫の情報を共有したり、AIに倉庫の発送作業を任せたりするなどの改革が進められています。SCMはコストや時間を削減し、収益を増やすことにつながるため、改革は加速度的に進むでしょう。

アパレル業界のメリット・デメリット

アパレル業界はファッションが好きな人には魅力が多い仕事です。好きな洋服に囲まれていたり、周りの人からも刺激を受けたりして、仕事そのものを楽しめるでしょう。
一方、毎日のファッションに気を抜けないのが、デメリットと感じることもあるようです。また、職種によってはノルマやクレーム対応など、大変な点もあります。

アパレル業界の魅力とやりがい

アパレル業界の魅力は、好きなファッションに携われる点でしょう。就職先によっては、仕事で着用する洋服も自由度が高く、毎日ファッションを楽しめる場合もあります。企業によってはサンプルセールや社員割引などがあるのも、ファッション好きな人にはメリットの一つです。

また、仕事で出会う人たちもクリエイティブでおしゃれな人が多く、刺激を受けられるのも魅力といえます。流行への感度が高くなり、自分自身も磨かれることでさらにモチベーションが高まるでしょう。

そのほか、ショップスタッフに就職した場合は、実力次第で昇進のチャンスがある点がやりがいという人もいるようです。ショップスタッフはコミュニケーション能力やプレゼン能力といったスキルを磨けるため、将来の転職もしやすくなります。

アパレル業界の大変なところ

ファッションを楽しめるのがメリットである一方、毎日のおしゃれに手を抜けないのはデメリットともいえます。衣料品への出費が重なるうえ、「今日は疲れているから楽な恰好にしよう」というわけにはいきません。ショップスタッフや広報といった職種を選んだ場合、自身のファッションもブランディングの一貫として気をつける必要があります。
また、職種によっては土日祝日に休めないのも大変なところです。大型連休や年末年始も出勤となる可能性が高いため、育児との両立は難しい側面があります。
そのほか、ショップスタッフの場合はノルマが課せられたり、お客さまからクレームを受けたりするのが精神的に大変という人もいるようです。

アパレル業界の志望動機

アパレル業界の志望動機では、「ファッションが好き」というのは前提であり、それだけでは不十分です。選考で印象を残すためには、数あるアパレル企業のなかで応募先企業を選んだ理由や、就職後に何をしたいのかを明確にする必要があります
ここでは、アパレル業界にマッチする人物像と志望動機の例文を紹介するので、参考にしてみてください。

アパレル業界に向いている人

アパレル業界に向いている人は、世の中のトレンドに敏感な人や、コミュニケーション能力が高い人です。また、裏方の地道な作業も楽しめる人が向いています。

流行に敏感な人

トレンドを追求することが好きな人は、MDやバイヤー、ショップスタッフ、広報などアパレル業界の多くの職種に向いています。ファッションに限らず、音楽やアート、インフルエンサーなど、さまざまな流行にアンテナを張るのが大事です。情報収集を楽しめる人は、アパレル業界に向いているでしょう。

コミュニケーション能力が高い

接客を中心とする業務のショップスタッフはもちろん、生産管理やデザイナー、バイヤーなどにもコミュニケーション能力は求められます。製造過程では、縫製工場との連携も必要なため、円滑な業務を行うにはコミュニケーション能力が必須です。特にショップスタッフは、初対面の人と話すのも苦でない人が向いています

地道な作業が好きな人

アパレル業界の仕事では、商品の発注・検品・品出しなど、地道な作業も多いです。コミュニケーション能力がありながら、黙々と作業するのも好きな人が求められます
また、デザイナーやパタンナーは細部にこだわって仕様を決めたり、細かい図面を書いたりする仕事が多く、1人で作業する時間も長いでしょう。華やかなイメージの裏には、地道な作業があることを覚悟できる人が向いています。

未経験者の志望動機

未経験でアパレル業界を目指す場合は、「ファッションに関心がある」「応募先企業のブランドが好き」ということを具体的なエピソードで示すのがポイントです。
トレンドへの知識や、ブランドが持つストーリーなどを志望動機に入れ込み、単に好きというだけではないことを伝えましょう。
先ほど紹介したマッチする人物像をもとに、志望動機の例を挙げてみました。

未経験者の志望動機の例文

『私は御社の「シンプルで良質なものを」というコンセプトに共感しています。流行を追いかけるのではなく、着心地や品質を重視してものづくりをしている点に惹かれ、実際に愛用してきました。
良質な分、価格は決して安くありませんが、長く使える点も魅力です。昨今の環境配慮にも適していると感じています。
私は学生時代、Webデザインの会社でアルバイトをしていました。専用ソフトを扱って制作に携わっていたので、御社が力を入れているECサイトの運営に貢献できると考えております。
御社製品の品質の良さをオンラインでも伝えられるように、新しい技術を使ったECサイトを作るのが将来の目標です。』

ポイント解説

ブランドのどのような点に魅力を感じているのかを具体的に説明しているのがポイントです。未経験ではあるものの、アルバイトの経験が活かせるとアピールしているのも良いでしょう。
また、将来の目標を語ると「長く働いてくれそう」と、好印象につながる効果が見込めます。

経験者の志望動機

経験者の志望動機では、なぜ前職を辞めて応募先企業を選んだのかを説明する必要があります。また、これまでに培ったスキルを、今後どのように活かしたいのかを述べて、応募先企業へ貢献できる点を示しましょう。

経験者の志望動機の例文

『私はアパレルメーカーで営業を担当いたしました。憧れの百貨店に売り場を設けてもらったり、新しい自社ショップを立ち上げたりすることにやりがいを感じてきました。
しかし、サステナビリティへの取り組みを問われるようになり、このままで良いのかと疑問を持つようになりました。
御社はブランドでありながら、「私たちの仕事はサステナブルな素材を開発することといっても良い」と宣言し、循環型社会への取り組みを進めている点に共感しております。
これまでに作った人脈やコミュニケーション能力を活かし、今後は広報としてこの活動を広め、業界全体の取り組みにしていきたいと考えています。』

ポイント解説

転職して何をしたいのか、なぜ応募先企業を選んだのかが明確です。また、営業としての実績や身につけたスキルをアピールしており、次の仕事でも活かせることが伝わります。
志望動機の書き方はどうする?注意点やパターン別のポイントも紹介」のコラムで志望動機における注意点を解説していますので、参考にしながら実際に作成してみましょう。

アパレル業界に関するFAQ

ここでは、アパレル業界の仕事や就職に関する疑問をQ&A方式で解消します。

アパレル業界はどんな業界ですか?

アパレルショップやブランドのほか、工場や物流、マーケティングなど、さまざまな業種で成り立っている業界です。職種の幅も広く、就職するにはファッションセンスやクリエイティブ性のほか、コミュニケーション能力や提案力なども必要になります。アパレル業界の企業でどのようなスキルが求められているかは企業研究で見定めましょう。「企業研究は転職でも必ず行おう!情報の集め方と活用のポイント」のコラムで、企業研究のやり方を解説していますので、参考にしてみてください。

アパレル業界の現状は厳しい?

厳しい側面があります。人口減少や新型コロナウイルス感染症の影響で、売上が下降傾向にあるためです。しかし、海外市場の拡大や、国内のECサイトの売上増加といった現状もあり、状況が変わる見込みはあるでしょう。アパレル業界の現状を調べるには、業界研究が欠かせません。「業界研究のやり方や目的を解説!就職活動に活かすためのポイントも紹介」のコラムを参考にして、業界全体の動向を掴みましょう。

アパレル業界の課題とは?

売上は減少傾向で、ニーズは多様化している点が課題です。また、人手不足も課題となっており、AIの導入やサプライチェーン・マネジメントの促進が欠かせません。業務を効率化させ、少ない人手で収益をアップさせる工夫が求められています。このコラムの「アパレル業界の課題」の項でも、アパレル業界の課題について解説していますので、ご覧ください。

アパレル業界の就職の動向は?

EC関連の職種は需要が伸びているようです。また、ショップスタッフは比較的就職がしやすく、その他の職種はハードルが高い傾向も。未経験の場合は、まずはスキルを磨いてから就職を目指すのも検討しましょう。「販売員に資格は必要?業界ごとに必要なスキルを解説」のコラムでは、アパレル業界の販売員におすすめの資格を紹介していますので、ご覧ください。
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