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職場での嫌がらせの具体例は?考えられる原因や対処法と相談先を紹介
更新日

この記事のまとめ
- 職場では無視や嫌味を言うことだけでなく、情報や仕事を与えないのも嫌がらせにあたる
- 仕事の仕方や上司に対する態度などが原因で、職場での嫌がらせにつながる可能性がある
- 職場で嫌がらせを受けたら仕返しはせず、録音やメモで証拠を集めるなど冷静に対応しよう
- 職場の嫌がらせを社内で解決できない場合は、外部の相談窓口に頼るのも一つの手段
- 嫌がらせが原因で職場を辞める場合は会社都合退職にし、可能なら労災認定も受ける
職場で嫌がらせを受けていたり、いじめに悩んだりしている方もいるでしょう。職場で嫌がらせを受けているときは我慢せず、必要に応じて社内や社外の機関に相談するなどの対処をする必要があります。
このコラムでは、職場での嫌がらせの具体例や考えられる原因を解説。嫌がらせへの対処法や外部の相談機関も紹介します。職場での嫌がらせやハラスメントに悩んでいる方は、早めに対応して解決を目指しましょう。
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職場での嫌がらせとは
職場での嫌がらせとは、同じ職場で働いている上司や同僚から精神的・身体的な苦痛を与えられることです。大勢の前で批判されたり、無視されたりといった行為が嫌がらせに該当するでしょう。職務上の地位が優位な上司や先輩からの嫌がらせは、「パワハラ」と呼ばれることもあります。具体例については次項で解説するので、ぜひ読み進めてみてください。
職場で嫌がらせを行う人の心理には、単に相手のことが嫌いだから、自分の機嫌で動いているからなどが挙げられます。なかには、「特定の社員を解雇したい」という目的で組織的に行われる場合が見られ、結果として自己退職に追い込まれてしまうこともあるようです。
ハタラクティブが行った調査「若者しごと白書2024 1-3. 正社員の仕事を辞めた理由」によると、「人間関係が上手くいかなかった」を理由に正社員を辞めたフリーターの方の割合は、男女ともに一定数いることが分かります。嫌がらせやいじめでなくても、職場における人間関係は仕事を続けられるかどうかに深く関わっているといえるでしょう。
参照元
ハタラクティブ
若者しごと白書2024
職場で起こる嫌がらせには何がある?9つの具体例
職場で起こる嫌がらせの具体例には、以下の9つが挙げられます。あくまで一例ではありますが、「これって嫌がらせかな…」と悩んでいる方は、現状について判断するための参考にしてみてください。
1.無視や仲間はずれをする
職場の嫌がらせに、個人または集団での無視や仲間はずれがあります。暴言や暴力と違い嫌がらせが表面化しにくいため、周囲になかなか気づいてもらえないことも少なくありません。
嫌がらせを受けている本人も、あからさまな無視や仲間はずれでないと、「自分の思い過ごしかな」とすぐには気づかない場合があるでしょう。しかし、無視や仲間はずれをされると心理的なダメージにつながり、仕事に行くのを苦痛に感じる可能性があります。
2.悪口や嫌味を言う
悪口や嫌味を言うのも、嫌がらせ行為の一つです。「なんとなく気に食わない」「相性が合わない」といった個人的な好き嫌いを理由に、嫌味を言う人もいるでしょう。「職場内での成績が悪い」「仕事の要領が悪い」といった業務上の理由と無理やり関連づけて、悪口につなげる場合もあります。
悪口や嫌味が本人の耳に入れば、傷ついたり悲しい気持ちになったりして、職場に居心地の悪さを感じる可能性があるでしょう。無視や仲間はずれと同様に、人を傷つける行為にほかなりません。
3.大勢の前で批判する・バカにする
大勢の前でわざと批判したり、バカにしたりするのも嫌がらせにあたります。たとえば、ほかの社員も揃っているフロアやオフィスなど、あえて多くの人がいる場所を選んで特定の個人を批判する行為が該当するでしょう。周囲からの評判を不当に下げる原因になるだけでなく、嫌がらせを受けた当事者の自尊心を傷つけ、自信を奪うことにもつながります。
4.行き過ぎた叱責や妨害を行う
職場の上司や先輩による行き過ぎた叱責や妨害行為も、嫌がらせの一つといえるでしょう。具体的には、部下や後輩の些細なミスを見つけては繰り返し指摘する、自分の意に少しでもそぐわないと必要以上に責め立てるなどの行為です。
また、相手がミスをするように仕向けたり、他人の成果を自分の手柄として横取りしたりする妨害行為も嫌がらせに含まれます。理不尽な扱いを受け続ければ、仕事のモチベーションを保つのが難しくなるでしょう。
5.無茶な業務量を押し付ける
就業時間内に終わらない量の業務を押し付けて残業を強要する行為も、嫌がらせの一種です。許容量を超えた業務で連日残業していると、プライベートで十分に身体を休められず、心身に支障をきたす恐れがあります。週の労働時間の上限は法律で定められているため、あまりに残業が多過ぎる勤務先は、場合によっては労働基準法に反している可能性があるでしょう。
残業の決まりについては、「平均残業時間ってどのくらい?もしかして働きすぎかも?」のコラムで詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
6.故意に仕事や情報を与えない
わざと仕事や仕事に関する情報を与えないことも嫌がらせになります。仕事をするために所属している会社で意図的に業務を与えないのは、当事者の尊厳や働く意欲を損なう行為です。また、周囲との連携が欠かせない仕事において故意に情報が共有されないと、ミスや業務の非効率化につながります。
周囲からの嫌がらせによって成長やキャリアアップの機会を奪われたり、「あの人が社内の足並みを乱している」と不当な評価をされたりする恐れも。その結果、会社で働いている意義を見出せなくなり、自己退職を選択してしまう場合もあるでしょう。
7.理由があっても会社を休めない
職場での嫌がらせとして、体調不良や急用などの理由があっても会社を休めないことが挙げられます。ほかの社員は休めるのに自分だけ無理に出勤させられたり、嫌味を言われたりする場合があるようです。
しかし、体調不良や有給休暇を取得しているのに出勤を強要してくることは、会社側の違法行為となり得ます。「雇われている身だから仕方ない…」と思い込まず、理由がある場合は遠慮なく休みを取りましょう。会社を休めない・休みにくい状況にある方は、「仕事を当日欠勤しても良い?休む理由や注意点を解説」を参考にしてみてください。
8.プライバシーを侵害する
プライバシーを侵害する行為も嫌がらせに該当します。具体的には、有給休暇の申請理由をしつこく尋ねる、家族や恋人について執拗に聞くといった行為です。職場の飲み会への参加を強要したり、毎日深夜まで時間外の労働をさせたりする行為も、プライベートな時間の活動を拘束することにつながります。
昨今では、職場においても個々のプライバシーを尊重する傾向にあるため、私生活にまで過度に干渉してこようとする相手がいると、ストレスを感じる場合があるでしょう。
9.ハラスメントをする
優位な立場や威圧的な態度、性的な言動で相手に不快な思いをさせる「ハラスメント」も、職場で起こる嫌がらせの一つです。以下で、代表的な3つのハラスメントを紹介します。
パワハラ
パワハラは、相手より優位な立場や職務権限を利用した嫌がらせのことです。主に上司から部下に対して身体的、または精神的な苦痛を与える行為を指す場合が多く、暴言や侮辱、脅迫のほか、ときには暴力も伴います。
パワハラの詳細については、「パワハラ対策でストレスを溜めない!ハラスメントの原因や対処法を徹底解説」のコラムをご一読ください。嫌がらせへの対策を詳しく解説しています。
セクハラ
セクハラは、体を触られたり卑猥な言葉を投げ掛けられたりといった性的な嫌がらせのことです。以前は「男性から女性へのハラスメント」という印象が強くありましたが、セクハラの被害者は女性だけとは限りません。相手が嫌だと感じていれば、女性から男性、もしくは同性間であってもセクハラ行為にあたります。
モラハラ
モラハラは、職務上の立場に関係なく、道徳や倫理に反する言動で相手の心身に害を与える嫌がらせのことです。相手の人格を否定するような発言をしたり、陰湿な言葉や態度で尊厳を傷つけたりする行為が該当します。
モラハラに悩んでいる方は、「職場でのモラハラとは?判断基準や対処法を分かりやすく解説」のコラムもご参照ください。
そのほか、「職場いじめの対処法は?相談窓口も紹介」でも職場で起こる嫌がらせについて解説しています。あわせてご一読ください。
嫌がらせやハラスメントの加害者を訴えられる?
職場で悪質な嫌がらせやハラスメントを受けた場合、加害者を訴えることは可能です。嫌がらせの決定的な証拠が揃っていたり、身体的・精神的苦痛を受けたことが明白であったりする場合は、法的な手段で責任を追及するのも一つの手段でしょう。
ただし、訴訟となると弁護士費用や時間が掛かるほか、提起したとしても損害賠償請求が必ず認められるとは限らない点に注意が必要です。職場で嫌がらせを受けている際に考えられる8つの原因
どのような理由があっても嫌がらせを行ってはいけませんが、「職場で嫌がらせを受けているかも…」という場合、いくつかの原因が考えられます。以下に示す8つの原因のなかから、自分に当てはまるものがあるか確認してみましょう。
なお、「職場での嫌がらせとは」でも述べたように、なかには個人的な好き嫌いやこれといった理由なく嫌がらせをしてくる人がいます。自分に原因がないことも考えられるため、深く考え過ぎないのも大切です。
1.空気を読むのが苦手
空気を読むのが苦手で場の雰囲気を壊すことが多いと、嫌がらせを受ける原因になり得ます。集団のなかでは、周囲の反応を推し量りながら発言や行動をするよう求められる傾向にあるため、職場の和を乱さない言動を良しとする会社は少なくありません。
和を乱すと反感を買って社内での評判が下がり、嫌がらせにつながることがあるでしょう。
2.自己主張ができない
職場で嫌がらせを受ける原因として、自分の意見を伝えるのが苦手だったり、考えや気持ちを言えなかったりすることが挙げられます。
なかには、相手が言い返せないと見越して嫌がらせをしてくる人もいるでしょう。最初は軽い冗談で始まった行為も、当事者が「嫌だ」と強く自己主張できないことを利用して徐々にエスカレートし、嫌がらせに発展する場合があります。
3.大人しく控えめな性格
嫌がらせをする人にとって、大人しく控えめな性格の人は「自分が優位に立てる相手だ」と認識されやすい可能性があるといえるでしょう。性格が控えめな方は、職場で無理な仕事を押し付けられたり、多少の悪口を言われたりしても、自分の内にとどめて我慢する傾向にあります。
仕返しや反発をされないと分かれば、相手も嫌がらせをやめなかったり、エスカレートさせたりする恐れがあるでしょう。
4.仕事の能力が高い
仕事の能力が高い人も職場で嫌がらせを受ける場合があります。仕事ができたり、好成績を収めたりしている人物は周りからの評判も上がりますが、一方で嫉妬心を抱かれやすいのも事実です。
「鼻につく」「調子に乗っている」など、いわれのない非難を受けることもあるでしょう。他人の成功を喜べないようなプライドの高い人や、嫉妬深い人のターゲットになりやすいといえます。
5.業務上のミスが多い
仕事をするうえでミスが多く注意を受ける回数が増えると、嫌がらせに発展する可能性があるでしょう。「何度説明しても覚えられない人」「仕事ができない人」として、嫌がらせや不当な扱いを受けることが職場で日常化してしまい、社内での評判が下がる場合も。もちろん、仕事の失敗は当人がしっかり反省すべきですが、周囲の執拗な叱責や平等さを欠く対応は適切とはいえません。
6.仕事が遅い
周囲に比べて仕事の進め方が遅い場合も、嫌がらせを受ける原因の一つになります。基本的にどのような仕事でも求められるのは、正確かつ迅速な対応です。たとえ丁寧でミスがなくても、「期限内に仕事が終わらない」「遅れたぶんの肩代わりを別の社員がしている」といった状況が続いていると、周囲に不満を抱かれ、冷たい態度を取られてしまう可能性も少なくありません。
自分なりに懸命に取り組んでいるのに「業務の進みが遅い」という自覚があり、評価に悩んでいる方は「仕事が遅い原因とは?自分に当てはまる理由や改善方法を理解しよう」を参考にしてみてください。要領良く仕事に取り組むための対策を紹介しています。
7.遅刻や欠勤が多い
嫌がらせを受ける人のなかには、遅刻や欠勤が多く、社内での評判が下がっていることが原因の人もいるでしょう。社会人であれば時間やルールの厳守は基本のため、まずは会社のルールを守る努力をすると、職場での状況や評判が好転する可能性が考えられます。生活態度を見直したうえで仕事の成果を上げる方法が効果的です。
8.反抗的な態度を取る
職場の上司や先輩から指導やアドバイスをもらっても反抗的な態度ばかり取っていると、嫌がらせの対象になる場合があります。常に反抗的な態度だと、指導している人から「せっかく教えているのに全く話を聞かない」と悪い印象を抱かれがちです。社内での評判も悪くなりやすく、嫌がらせのきっかけにつながることも。業務上の必要な指導やアドバイスは、素直に受け取るのが仕事におけるマナーです。
職場で嫌がらせやいじめを受け続けると起こり得ること
ここでは、職場で嫌がらせやいじめを受け続けると起こり得ることを解説します。今よりも過ごしやすい職場環境はほかにもあるため、行為がエスカレートしたり強いストレスを感じたりする場合は、無理せず退職を検討してみるのもおすすめです。
嫌がらせやいじめが悪化する恐れがある
対策を講じても嫌がらせやいじめが続いている場合は、ますます行為が悪化する可能性があります。理不尽な嫌がらせに耐えたとしても、職場や人間関係の問題を完全に解決できるとは限りません。一時的に嫌がらせを止められたとしても、再び不当な扱いを受ける可能性もあるでしょう。
そういった環境のなかでは、周りの目を気にして仕事が思うように進められなかったり、自分の力を十分に発揮できなかったりする恐れも。集中して仕事に取り組めるよう、転職で新しい環境や人の輪に身を置くことをおすすめします。
精神的に疲弊してしまう
長期的に嫌がらせやいじめを受けると、当事者の精神が著しく疲弊してしまうでしょう。「仕事に行くのがつらい」「集中力が続かない」など、心に不調が生じる可能性があります。また、「眠れなくなる」「食欲がなくなる」「頭痛や吐き気がする」といった身体の不調も起こり得るでしょう。
日常生活に支障をきたすほど精神的に疲弊してしまう場合は、嫌がらせやいじめに耐えるよりも自分の心身を癒す作業に集中することが大切です。休職や退職など、ゆっくり休む選択を検討してみましょう。
職場で嫌がらせやいじめを受けたときの乗り越え方
職場で嫌がらせやいじめを受けた際は、自分で冷静に対処することも重要です。ここでは、職場でのしつこい嫌がらせやいじめに対し、会社側に対応を依頼する前に行える8つの対処法について解説します。
職場で嫌がらせやいじめを受けたときの乗り越え方
1.観察・情報把握に努めて仕返しはしない
職場で嫌がらせを受けたら、仕返ししたい気持ちが湧いてもぐっと堪え、冷静な状況把握に努めましょう。相手と同じ行為をすれば、自分も処分の対象になったり、罪に問われたりする可能性が出てきます。嫌がらせしてくる人の様子をよく観察し、「どのようなタイミングで悪口を言うのか」「何がきっかけで無視をしているのか」などを把握するのがおすすめです。
場合によっては自分のなかの改善点が見つかり、改めることで嫌がらせがなくなる場合もあるでしょう。
2.プライベートの話は避ける
嫌がらせを止めるには、職場でプライベートの話をするのは避けるのが無難です。自分にとっては何気ないプライベートの話でも、理不尽な妬みから嫌がらせを受けるようになったり、いじめがエスカレートしたりする恐れがあります。「会社へは仕事をするために来ている」と割り切って、上司や同僚とは適度な距離感を保つのが有効です。
3.相手にしない
職場で嫌がらせを受けたときに、あえて反応をせずスルーするのも効果的といえます。嫌がらせに対し毎回リアクションしてしまうと、相手はその反応に面白さを感じ、さらに悪質な行為に発展する可能性も。嫌がらせをエスカレートさせないためにも、常に落ち着いた対応や普段通りの接し方を心掛け、相手にしないスタンスをキープしましょう。
職場の嫌がらせをスルーする方法は、「職場で無視される…対応や気にしないための方法を解説!」のコラムでも紹介しています。あわせてチェックしてみてください。
4.嫌がらせをする人と距離を置く
嫌がらせをする人と物理的・心理的に距離を置くのも一つの手です。距離を置けば、次第に対象者への関心が薄くなり、嫌がらせが緩和する効果が期待できます。相手に避けていることを気づかれても問題ないため、仕事をするうえで距離を置いても支障がない場合におすすめです。
5.証拠を集めて記録を付けておく
職場での嫌がらせやいじめの対処法として、その都度メモに残して記録を付けておく方法があります。あとで社内や社外の相談窓口を利用する際や、嫌がらせする人を訴える際に証拠として役立つ可能性があるでしょう。具体的には、嫌がらせの内容と回数、業務への影響、関わっていた人物、自分が感じた苦痛などの記録が有効です。
嫌がらせ行為や暴言を録画・録音したり、メールやSNSでのやりとりをデータ保存したりするのも、職場での嫌がらせを裏付ける決定的な証拠になり得ます。上司や会社に相談のうえで協力が得られる場合は、防犯カメラの設置を依頼するなどして、できるだけ多く嫌がらせの証拠を収集しておきましょう。
6.信頼できる同僚や上司に相談する
嫌がらせを受けたら1人で抱え込まず、信頼できる同僚や上司に相談することもおすすめです。陰湿な行為の場合、当事者以外、誰も嫌がらせの事実に気づいていないことも。相談をとおして嫌がらせやいじめの事実が明るみに出れば、何らかの対応策を取ってくれる可能性があります。
ただし、相談する相手は信頼に値する人物を選ぶことが重要です。嫌がらせをする人よりも上の立場の人に状況を知ってもらえると、然るべき処置が期待できるでしょう。
上司に相談する際の注意点
嫌がらせを行う人物が、上司にとってお気に入りの社員や成績優秀な部下である場合、慎重に対応する必要があります。「自分のお気に入りだから」「成果を上げてくれるから」などの理由で上司が味方をしてくれなかったり、嫌がらせの事実を信じてくれなかったりする可能性があるためです。
このようなときは、別の部署の上司に相談したり、外部の相談機関を利用したりするといった対応が求められます。職場の人間関係を踏まえたうえで、誰に相談すべきか、どこに相談すべきかをしっかり見極めることが重要です。7.心身に不調があれば病院を受診する
職場で受けた嫌がらせが原因で心身に不調が出始めたら、無理をせず専門の医療機関を受診しましょう。そのまま放置しておくと、日常生活に重大な支障をきたすリスクもゼロではありません。専門医に話をするだけでも心が軽くなる効果が期待できるほか、状況に応じて薬を処方してくれることもあるでしょう。
嫌がらせによる不調が認められた診断書が発行されれば、裁判になった際に重要な資料として提出できる場合もあります。
8.無理に耐えず休職する
嫌がらせのストレスで心身に不調を感じ「会社に行くのがつらい」と思ったら、休職を選択するのも一つの手です。自分の限界を超えてまで嫌がらせに耐える必要はありません。つらいと感じるときは我慢せず、心身を回復させるために休息の時間を取りましょう。職場には、「休職する理由は嫌がらせが原因」と明確に伝えるのがおすすめです。
嫌がらせが原因で職場に行きたくないと感じる方は、「仕事に行きたくないときに休むのはあり?憂鬱な気持ちを解消する方法9つ」のコラムにも目を通してみてください。
職場での嫌がらせを解決する方法
ここでは、職場での嫌がらせの解決方法を紹介します。嫌がらせの内容が悪質だったり、会社全体で行われていたりする場合、自分1人ですべてを処理するのは難しいのが実情です。状況によっては専門家の力も借りながら、問題の解決を目指しましょう。
職場内にある相談窓口を利用する
職場内で嫌がらせの解決を目指す場合は、先述したようにまずは信頼できる上司に相談しましょう。それでも解決しない場合は、人事・総務部門への相談や、社内の相談窓口の利用を検討してみてください。嫌がらせの加害者に注意したり、上司に状況の改善を指示してくれたりする場合があります。嫌がらせの程度によっては、異動や相手の懲戒処分、会社全体でのハラスメント防止措置をしてくれることもあるでしょう。
しかし、「社員同士のトラブルだから」「ことを大きくしたくない」と解決に消極的な企業もあるため、職場の誰に相談しても何も変わらない可能性も少なくありません。社内での解決が難しいときは、次に紹介する外部の相談先を活用するのがおすすめです。
企業には「職場環境配慮」や「パワハラ防止」の義務がある
多くの人間が集まる「会社」という場所は、異なる価値観や性格、業務内容などが要因となり、あらゆる問題が起こりやすい環境といえるでしょう。そのため、労働契約法第5条「労働者の安全への配慮」において、会社側は「職場環境配慮義務」を果たすよう定められています。
職場環境配慮義務とは、労働者が安全かつ快適に働くための職場環境を整える義務のこと。パワハラやセクハラ、悪口、不当な扱いなどが原因で仕事に悪影響が出る職場であれば、事業主は環境の改善に努める必要があります。労働契約を結び人を雇う以上、会社は「個人間の問題だから」と放置はできません。
また、2022年4月からは大企業・中小企業ともに、「パワーハラスメント防止措置」が義務化されました。これをもとに各事業主は、職場でのパワハラを防止するために必要な措置を講じなければなりません。企業側は労働者からの相談に応じたり、ハラスメントに適切に対応したりする義務があるため、嫌がらせの訴えをうやむやにされようとしても、会社としての責任を果たすよう求めましょう。参照元
e-GOV 法令検索
労働契約法
厚生労働省
職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)
職場以外の第三者機関に相談する
会社に相談しても職場での嫌がらせやいじめを解決できない場合は、労働組合や労働局・労働基準監督署、弁護士への相談が有効です。以下で、それぞれの違いや役割について解説します。
労働組合
労働組合は、労働者の権利や働く環境を守るための組織です。労働者が主体となって作られており、自社に労働組合がなくても、個人で入れる労働組合が存在します。基本的に誰でも入会可能です。
ただし、労働組合は、個人的な嫌がらせへの対処よりも、組合員全体が労働環境の改善を求める際に動く事例が多い傾向にあります。職場での組織的な嫌がらせやいじめについて相談したいときや、解決につながる助言をもらいたいときに利用するのがおすすめです。
労働局や労働基準監督署
労働局は、厚生労働省の管轄下で各地に配置されている行政機関で、主に企業と労働者の間で起きたトラブルに対して助言や指導、あっせんを行います。「あっせん」とは、トラブル解決の仲立ちのことです。企業からの残業代未払いや有休の未承認、不当解雇など、トラブルの要点を明確・整理し、解決方法を提供します。
労働局は、あくまで第三者として両者のあいだを取り持つ立場です。あっせんを通じ、職場の嫌がらせに関して企業側に改善を命令するといった行為は行えません。そのため、労働局が「勤務先に労働基準法の違反が見られる」と判断した場合は、企業の調査を行う労働基準監督署への相談を勧められる可能性があります。
労働局と労働基準監督署の違いを知りたい方は、「労働基準監督署に相談できる内容は?効果的な通報方法や注意点も解説」のコラムをご参照ください。労働基準監督署に相談できる内容についても詳しく解説しています。
弁護士
法律のプロである弁護士に相談するのも、職場での嫌がらせを解決する方法の一つです。労働問題に強い弁護士に現状を相談すれば、専門的な知識のもと解決方法を提案してもらえたり、解決に向けて直接行動を起こしてもらえるでしょう。
ただし、弁護士を雇って動いてもらうには費用が必要です。職場での嫌がらせの度合いや証拠資料の有無によっては、企業への賠償請求が難しい場合もあります。「自分では判断がつかない」「意見を聞いてから今後を決めたい」という方は、初回の相談を無料で受けてくれる弁護士もいるため、話を聞いてもらうところから始めるのがおすすめです。
パワハラをはじめとする職場での嫌がらせにお悩みの方は、「パワハラはどこに相談する?24時間無料の窓口や労働基準監督署などを紹介」のコラムもあわせて参考にしてみてください。
転職して職場環境を変える
「職場での嫌がらせを社内では解決できない」「第三者の介入に限界がある」という場合は、転職して職場環境を変えることを検討してみましょう。同僚や上司に見て見ぬふりをされたり、対処を行っても嫌がらせが続いたりするならば、その職場では根本的な解決が難しい可能性があります。
自分らしく働けない仕事やストレスを受ける日々を続けるよりも、思い切って転職すると過ごしやすい職場に出会えて、現状が好転することも。世の中には多くの仕事や会社があるので、「もうどうしようもできない…」と諦めてしまう前に、新しい職場への転職をおすすめします。
現状を変えるために退職を検討している方は、「仕事を辞めてよかったと感じるのは?退職を伝えるタイミングや伝え方も解説」もあわせてご一読ください。
職場での嫌がらせを転職で解決するときのポイント
ここでは、職場での嫌がらせを転職で解決する際に、注意すべきいくつかのポイントを解説します。自分が不利になりにくい退職方法やトラブルの対処法を知り、転職活動をスムーズに進めましょう。
自分が不利になりにくい退職方法を検討する
職場での嫌がらせが原因で仕事を辞める場合は、自分が不利になりにくい方法で退職し、短いブランクで転職を行うのがおすすめです。自分から退職を申し出ると、離職票には「自己都合退職」と記載されるのが一般的。しかし、ハローワークに嫌がらせの証拠資料となるメール文や動画、録音音声、病院の診断書などを提出すると、自己都合退職を「会社都合退職」として扱ってくれる場合があります。
会社都合退職は自己都合退職よりも失業保険を早期に受給できるほか、年齢や被保険者期間によって給付期間が長くなることもメリットです。職場での嫌がらせで退職する際は、証拠資料をしっかり揃えたうえで「会社都合退職」にしてもらえるよう、ハローワークに相談してみましょう。
「自己都合退職とは?会社都合との違いや失業保険の受給方法を紹介」のコラムでは、自己都合退職と会社都合退職との違いについて詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
職場での嫌がらせで労災認定は受けられる?
職場の嫌がらせが原因で精神的な疾患を抱えてしまった場合は、労災認定を受けられる可能性があります。厚生労働省の「精神障害の労災認定(2p)」によると、精神的な疾患による労災認定の基準は以下のとおりです。
【精神障害の労災認定要件】
- ・認定基準の対象となる精神障害を発病していること
・認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6ヶ月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
・業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと
参照元
厚生労働省
精神障害の労災補償について
退職でトラブルになったときの対処法を確認しておく
退職理由を「職場で嫌がらせを受けたため」と伝えると、会社側とトラブルになるリスクが考えられます。真実を伝えるのは間違ったことではないため、万が一トラブルになった場合に備えて、以下の対処法を参考にしてみてください。
退職を拒否された場合は意思を示した証拠を残す
基本的に労働者は会社を辞める権利が保障されており、法律上、退職の意思を1ヶ月以上前に表明していれば退職は可能です。たとえ退職が受理されないといった嫌がらせを受けたとしても、退職の意思を表明していた事実があれば、法律に基づき退職手続きを進められます。
職場に退職の意思を示したことを証拠づけるには、配達証明付きの内容証明郵便で会社宛てに退職届を送ったり、上司とのやり取りを文面に残したりするなどの対策を取りましょう。法的な手段でしか解決できなくなった場合に、状況を証明できる資料として役立ちます。
会社側に退職を拒否された際の対処法については、「退職届を拒否されたら?知っておきたい法律と対処法」のコラムをご一読ください。
会社に損害賠償を求められても冷静に対応する
退職時に損害賠償を請求されても、真に受ける必要はありません。企業側が損害賠償を請求しても、労働者によほどの過失がない限り認められる可能性は低いと考えられます。
職場の嫌がらせが会社ぐるみで行われていた場合、退職の意思を伝えると「辞めるなら損害賠償を請求する」と脅されることもあるでしょう。しかし、労働者に一方的な過失がなければ法的な根拠が弱く、仮に請求が認められたとしても金額は大幅に低減されるのが一般的です。
企業側の損害賠償請求は、不当なプレッシャーを与えて引き止める手段の場合が多いため、慌てず冷静に対処しましょう。詳しくは「仕事を辞めさせてくれないのは法律違反?対処法や相談先をご紹介」のコラムでもまとめているので、ぜひチェックしてみてください。
退職の意思表示で嫌がらせが悪化したら証拠を集めておく
退職を伝えたことで、今まで受けていた嫌がらせがさらにエスカレートしたら、行為の証拠をしっかり集めておきましょう。退職の意思を伝え、手続きや業務の引き継ぎ作業を適切に行っていれば、退職する側に責められる要素はありません。退職を伝えたことをきっかけに、自分に非があるかのような発言や行動をされても、動揺せずに嫌がらせの証拠を確保することが重要です。
先述したように、職場での過度な嫌がらせの証拠は「会社都合退職」や「労災認定」を申請する際に有効。嫌がらせが激化したとしても相手にせず、適切な退職手続きや証拠集めを進めましょう。
1人で悩まず就職・転職エージェントに相談する
転職を考えているものの1人で動けずに悩んでいるなら、就職・転職エージェントの力を借りるのがおすすめです。就職・転職エージェントとは、就活をサポートする民間のサービスのこと。プロのキャリアアドバイザーが前職での悩みも聞いたうえで手厚くフォローをしてくれるので、自分の希望や適性に合った求人を見つけられるでしょう。
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職場での嫌がらせに関するFAQ
ここでは、職場での嫌がらせやいじめに関する質問をQ&A形式でまとめました。現在嫌がらせに悩んでいる方は、ぜひご一読ください。
職場の嫌がらせで退職すると転職活動に影響する?
影響するかどうかは、採用担当者への伝え方次第といえます。前の職場がどれだけひどかったとしても、応募先の選考で悪口や愚痴のように伝えるのは避けましょう。退職理由はできるだけポジティブな内容に言い換えるのが転職成功のコツです。
具体的な例文は「退職理由が人間関係の場合は面接でどう伝える?例文と答え方のコツを解説」のコラムでまとめているので、参考にしてみてください。
職場での幼稚な嫌がらせは相手にしないほうが無難?
それほどストレスを感じていないのであれば、相手にせずスルーするのも手です。嫌がらせをする人は相手の反応を楽しんでいる場合もあるため、過度にリアクションせず普段通りに過ごすのも有効といえます。
しかし、嫌がらせが度を超えていたり、自身に多大なストレスが掛かっていたりする場合は「人間関係で仕事を辞めるのはあり?ストレスになる理由や対処法などを解説」を参考に、スルー以外の対処法を考えてみましょう。
職場で嫌がらせをする人の心理は?
単に相手のことが気に食わない、自分より優れているから気に入らない、などの理由から嫌がらせをする人がいるようです。また、上司や先輩の場合は、自分の優位な立場を利用して部下や後輩に嫌がらせをしていることもあるでしょう。
嫌がらせをする人の心理については、「嫌味を言う上司の心理や上手な対処法を紹介!パワハラの可能性も解説」のコラムで紹介しているので、あわせてご覧ください。
職場で嫌がらせを受けたときの対処法は?
「観察や情報把握に努める」「同僚や上司に相談する」「休職する」などの対処法があります。このコラムの「職場で嫌がらせやいじめを受けたときの乗り越え方」を参考に、現状に合った対応をするのがおすすめです。職場での嫌がらせがどうしても解決できなければ、転職に向けて行動を始めるのも一つの方法といえます。
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一人ひとりの経験、スキル、能力などの違いを理解した上でサポートすることを心がけています!
京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。